288 :
ミステリ板住人 ◆0FE6khB7i2 :
「危機大依頼」
冒頭が殺しのシーンという物語パターン、
アホな殺ヲタの如き奇声を上げる浪人者を始末する際に手負いとなる文十郎。
さり気無い演出だが、見舞いに平内が差し入れた猪肉をめぐる文十郎としのの
やり取りから、やはり兄妹の性的なメタファーが描かれていたことが読み取れる。
名優田村高廣氏が性的なものを意識させない飄々とした演技であり、
佐野厚子嬢が全く性的な魅力を感じさせない地味な女優のため、
いやらしさが無いのが救いである。
(前述したとおり、文十郎を松潤、しのを真央ティに置き換えてリメークしたケース
を想定してみると、私がこの論考で言わんとする趣旨が良く理解出来るかと思う)
メーンストーリーは、屋外は雨中、ドンデン返しが連続するそれなりにスリリングな
密室劇に仕上がってはいる。
劇中の本人の台詞にもあるが、平内が35作目にして初の女殺し(南田洋子が悪女を好演)を見せる。
この辺が生き別れとなっていた実妹さえ始末した仕掛人梅安とは異なり、
ソフト路線の一環を感じさせるものがある。