立てて候『暗闇仕留人』

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193ミステリ板住人 ◆0FE6khB7i2
「地獄にて候」
後期シリーズでも活躍した松井監督の必殺シリーズ最高傑作、初期ではこんなにハードな
作を撮ることもあったのである。
石井輝男監督に代表される東映B級時代劇・残酷性愛路線に完全にインスパイアされた作である。
逝っちゃてる刺青師を含む「チーム目明き按摩」による悪辣非道ぶりがとにかく凄まじい、
美人尼拉致・強制刺青・レイプ、続く大店脅迫、大店のひとり娘拉致・強制刺青…
必殺シリーズではおなじみ大木実(映画「張込み」の精悍な若手刑事の頃の面影は無し)の目明き按摩の悪ぶり、梵天太郎の刺青師の狂いっぷり(石井映画の小池朝雄にも匹敵
する大力演、彼氏の執着は女性の肉体そのものではなくして、あくまで肉体をキャンバス
にして彫られた自己の作=刺青にあるというのが、アーティストの業のようなものを表現
していて面白いものがある)がなんともはまっているし、
一味に脅迫される大店の主人役、名作「怪獣使いと少年」でおなじみ梅津栄も手堅く脇
を固めている。
ただし、大店のひとり娘役の片桐夕子はルックス的にミスキャストであろう。
関西弁の尼さんやお嬢さん付きの奉公人役の女優は美形なのに残念や…
後期なら、強制刺青される直前に娘救出というパターンだろうが、
親の因果が子に祟りというハードな展開を通したのは、いかにも最初期ならではである。