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ミステリ板住人 ◆0FE6khB7i2 :
テレビ埼玉「新必殺仕置人」第25回「濡衣無用」を見た。
庚申の夜ネタ(落語「庚申待」別名「宿屋の仇討」が、すぐに思い浮かぶところだ)
新仕置人という番組は、意外に江戸風俗を描くのに力を注いでおり、
この辺は、時代性を完全スルーした作品が多い後期作品とは大きく異なるところである。
ストーリーは、この時期にしては面白い話であり、BGM流用のせいもあって、
前半は、まるで「からくり人」見ているかのような暗い情念のドラマが描かれている。
頼み人庚申の月三の怨みを象徴する炎、お秋の心を惑わす小判の輝き、
正八師匠(?)の「饅頭こわい」の噺に大量毒殺犯である自身の姿を投影する三本杉、
この辺のアブストラクトな描写が迫力があり見応えに富んでいる。
私などが見ると、帝銀事件、岡本綺堂の「鎧櫃の血」等を想起させる面もあり、
知識人を意識した創りが嬉しいところだ。
(これらのネタが、殺ヲタに通じるとは到底思えないが(w )
不満点としては、作戦会議に鉄が不参加なのは、過去の例から見て不自然であること。
ラストは、中村家のショートコントではなく、松と正八の会話で締めた方が良かった
と思われることである。
この辺は、後期主水作品に通じる悪しきコメディ志向が覗えて感心出来ないものがある。
だが、仮に松と正八の会話でエンドとなった場合にも、悪人夫婦の娘の末路を描くこと
なく、メルヘンに逃げたとの批判は成立し得よう。