必殺シリーズ総合54 ようござんすね? 勝負!!

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631ミステリ板住人 ◆0FE6khB7i2
仕掛人、仕置人、助け人までの必殺シリーズ最初期3作を見ると、
「それ以前の何かの雰囲気に似ている」という感を受けた。
検証してゆくと、主に夏季にオンエアしていたテレビの怪談シリーズであった。
現在でも怪奇ものは人気があるが、昭和40年代から50年代初期頃にかけての
怪談は時代劇が多く、必殺シリーズと共通する暗い情念に彩られたドラマが多数で
あった。
思うに、作品製作にあたっては各社の得意分野に持ち込むのが常套手段であるが、
怪談は人情噺(言わば人間ドラマの時代劇バージョン)のジャンルに
属するものであり、人間ドラマとなれば松竹得意の分野ではある。
素材的には必殺シリーズは、時代劇オール(大作からカルト作品まで)で得意とする
東映向きではあるが、第4作仕留人に到って、殺し屋が真の意味での義兄弟という設定
となり、中村家のコントも完成、遂に殺し屋物語に松竹十八番のホームドラマの世界観を持ち込む事に成功している。
仮に東映製作となっていた場合には、レギュラーの人間関係がもっとクールに描かれて
いたであろう。
番組が長期に渡ったこともあって、松竹は必殺シリーズを自社の土俵に持ち込むことに
成功したが、「無宿人御子神の丈吉」「修羅雪姫」等は、ファミリーピクチャー志向の東宝
製作のため原作が持つ非情な魅力といったものが、十分に生かされることがなかった
不運な例である。
逆に東映製作の「木枯し紋次郎」は、殺陣等に映画なりの面白さが溢れる作に仕上がっ
ている。
近年の例では、時代劇ではないが新世紀エヴァンゲリオンが東映製作で大成功を
収めたのは記憶に新しいところだ。
大手映画会社の中では、東映のみにアニメ製作会社が存するということばかりではなく、
エヴァというアニメが持つ反社会性、タブー性等は、伝統的な東映テーストにマッチする
ものであったのだ。