必殺シリーズ総合53 ええい面倒くせえ やっちまえ!

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678ミステリ板住人 ◆0FE6khB7i2
「必殺からくり人 江戸名所百景殺しスケッチ〜六本木」(初稿)

・ 六本木 雷部屋(らいぶや)の邸内
雷部屋主人の堀右衛門(ほりえもん)と元公儀賄い方与力村上が談笑している。
堀右衛門「手前どもが買い集めました日本(にっぽん)屋株、
これに既に村上様がお持ちの日本屋株を合わせましたら、いかに江戸の大店富士屋と
言えども、なすすべもございますまい。最早富士屋は我らが思うがままでございますな」
堀右衛門が村上に酌をする。感に堪えぬように村上が言う。
村上「しかし、雷部屋、異人の資金を利用して密かに日本屋株を買占めたるお主の悪知恵、
この村上もほとほと感心したぞ」
堀右衛門「これも、全て元御公儀賄い方、村上様のお力添えがあってこそでござい
ますよ」
村上「この度は、しかと儲けさせてもらった。礼を言うておくぞ、
しかし雷部屋、お主も悪よのぉ」
堀右衛門「なにをおっしゃいます、手前どもなど、村上様には到底及びもつきませぬ」
村上「わっはっは〜、これは一本取られたわい」
堀右衛門「さあ、村上様、今宵は飲み明かしましょうぞ」
堀右衛門が村上に酌をしようとする。
どこからともなく三味線の音色が響く。
堀右衛門と村上が怪訝な表情になる。