必殺シリーズ総合53 ええい面倒くせえ やっちまえ!

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471ミステリ板住人 ◆0FE6khB7i2
テレビ東京「新必殺からくり人」第一話「東海道五十三次殺し旅 日本橋」を見た。
早坂暁のホンと工藤栄一のメガホンで、名作「必殺からくり人」テーストの再現を
狙った作である。
キャスト面でも、からくり人に出ていた山田嬢とジュデイ(ただし、ドール的存在だったからくり人時とは異なり、今回は駒を使った殺しを担当)の綺麗どころ2人と
芦屋雁之助がシフトされている。
緒形拳も殺し屋役ではないが、黒幕である安藤広重役で顔を見せる。
そして、モリケンの代わりには「コンドーです」が高野長英役で登場(w
登場人物たちの基本設定も、からくり人に似た疑似家族的な芸人一座となっている。
さて、初回に関しては、初期必殺の特徴である、緊迫感ある会話シーン(初対面の時の
山田嬢と拳の腹の探り合いのシーン)、残酷(精神面も含む)な描写(婦女子の陵辱惨殺シーン)、渇いたユーモア(志ん朝師匠の必殺逆さ落とし)等が、まんべんなく散りばめられた見応えある作に仕上がっている。
コンドー=高野に、まだ殺しを担当させないという、話に無理が出ない抑えた展開も良いものがある。
しかし、既に繰り返し指摘されているところだが、回が進むにつれて、
あぶり出しにより、浮世絵の中に殺しのターゲットが浮かび上がるという、
本作の「売り」となっているミステリ的趣向が逆に仇となったか、
初期シリーズの魅力である暗い情念の発露を描いたドラマ性よりも、遊び心が前面に出て来てしまうのが残念である。
殺ヲタ諸兄は、高野長英を主人公とした傑作歴史小説である吉村昭「長英逃亡」を
必ず読んでおくこと。謹んで読め!
本書では、長英が旅先ではなく、江戸で顔を焼いたという解釈になっているのが特異。