【ヤオイ】三谷新選組!腐女子専科#19【ミ〜ハ〜】

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890名乗る程の者ではござらん
重たい沈黙を破ったのは、平助の掠れ声。
「・・・新八は、どうやって乗り越えた?
 左之に抱かれて、吹っ切れた!?」
唐突な台詞だったが、新八にはその意が通じたらしい。

「…どっちかと言うと、逆だな」
当時の新八にとっての左之助は
現在の平助にとっての新八とは、全く違う存在だった。
「あ―――ごめん」
そのことに気づいて、平助が小さく謝る。

「いいよ。どうせ、俺の答えはお前の答えにはならないし」
891名乗る程の者ではござらん:04/05/29 00:43 ID:???
遠くで、かすかに聞こえるのは鳥の声か。
夜明けの刻が近づいている。

「やべ、俺明日早番だから、さっさと寝るわ」
言葉とは裏腹にのんびりと呟きながら
新八は半分寝返りをうって、平助に背を向けた。
「お前は、朝までゆっくり考えてろ」
「・・・・・ああ」

少しためらいながら、しかし母を慕う子のように、平助が新八の体温に頬を寄せる。
思うままにその身を抱かせ、安らかな寝息を装いながら
新八の冴えてしまった頭には数々の想いと意思とが錯綜をはじめる。

そうして今夜も毎夜のごとく、
眠れぬままに、朝を迎えるのであろう。
892名乗る程の者ではござらん:04/05/29 00:44 ID:???
おぼろげに描いている推測は、そう大きくは、はずれていまい。
覚悟だけなら、できている。

平助が選ぶ答えがいかなるものであっても、
驚かず、そしてそれを尊重しよう。
昏い予感は、平助に限ったものでなく
ここに身を置くすべての者が、一様に等しく有しているのだから。



「・・・・・てみるよ」




思考の合間に、かすかに聞こえた平助の言葉は―――。