【ヤオイ】三谷新選組!腐女子専科#19【ミ〜ハ〜】

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885874から続く
「どうだか」
悪態をつきながら、新八が掛布を開いてやれば
縋るように、布団の間にもぐりこむ。

平隊士部屋とは隔たった場所にある新八の部屋は
物音一つしない静けさに覆われていた。

「…なあ、平助」
「何?」
暗闇にひかる平助の瞳を見ていると、瞬きの音すら
聞こえそうな気がする。
886名乗る程の者ではござらん:04/05/29 00:32 ID:???
「抱いてやろうか?」
「うん」
「女みたいに抱いてやろうか、って言ってんだけど」
「は?」
平助は思わず言葉を失って、次の瞬間、小声で器用に噴き出した。

「新八っつぁんが俺を!? ツッこみたいの!?」
「それもあるんだけどね」
躊躇いがちに、新八が口を開く。

「そしたらお前も、ちったァ楽になるんじゃないかって」
ずっと、考えていたことだ。
新八の、何時になく真面目な声色が、それを冗談にさせなかった。
887名乗る程の者ではござらん:04/05/29 00:32 ID:???
「どういう意味だよ」
「わかってるだろ」
「…どういう意味だよ」
平助の肩が、大きく震えた。

「考えたこと、あるだろ」

女のように、理性ではなく感性で生きられたら。
頭ではなく、心でものを考えられたら。
組織のことも、政治のことも、何もかも忘れて
一途に死んだ男のことだけを想い続けられたら。

そう思わずにいられない、女々しい己を許せたら、と。
888名乗る程の者ではござらん:04/05/29 00:38 ID:???
「引きずるな、って言ってるんじゃない」
―――あの男のことを。
「少しぐらい、受け止めさせろ、って言ってんの」
この腕の中にいる間だけは、お前を女にしてやるから。

絶句している平助に構わずに、新八は淡々と続ける。
「・・・まあ、気が乗らないなら、それでいいし、
 今すぐ足開けって意味じゃないから」

しばらくの間、暗い闇の中で、
押し殺した二つの息遣いだけが
かすかに響いていた。