108 :
ミステリ板住人 ◆hr24ALqEXE :
テレビ埼玉「必殺仕事人」第11話「極悪人ほどよく眠れるか?」を見た。
今日もからくり人風のスタート。
物語の基本は、古典的なモンタギュー家&キャビュレット家ネタ。
これに石森史郎が、もし若い恋人たちが死ななかったら、
敵役である当主(あの「海底軍艦」で硬派な艦長を演じた田崎潤が演じている)が
改心したらというバリエーションを加えているわけである。
今日も格別な見所もなく終了。
先日は同心ひとり殺すのにも大騒ぎだったのに、今日は幕府の要人暗殺。
物語の基本設定に疑問を感じざるをえない。
復帰したちばテレビ氏が絶賛する「必殺仕事人」だが、ここまで番組開始時の
10話程度を見た限りでは、こんなにつまらなかったかな、とういうのが
正直な感想である。
同じテレビ埼玉で土曜午後に放送している風雲竜虎編あたりは、
キャラクターのせいもあり、おバカな展開をおバカなものとして楽しめる段階に
達しているが、(必殺シリーズ末尾を飾る予定だった後番組の剣劇人に至っては
セルフパロディそのものだった)仕事人第1作の時代には、
まだまだ初期シリーズのテースト再現を意図したシリアス路線だったはずである。
そのわりには月並みなストーリー、中村家の寒いコント等が目立ち過ぎる。
もとより、必殺シリーズのみを見ていて作品の良し悪しを語れるはずがないことは
言うまでもないが、(石森史郎レベルで脚本修行のためミステリを読み耽った時期があったのは前述したとおりである)この点で殺ヲタの本嫌い、勉強嫌いは常軌を逸したものが
ある。(いまだに池波先生の原作さえ未読の者がいる事実には笑うしかない状態といえる)
後ほど、必殺シリーズの鑑賞・執筆にあたって必見の時代劇を映画部門とテレビ部門とに
分けて紹介しよう。
心して待て!
109 :
ミステリ板住人 ◆hr24ALqEXE :03/12/11 21:09 ID:c0tjusk7
殺ヲタ必見の映像作品を映画・テレビ部門別に紹介しておく。
心して読め!
時代劇歴代ベスト10 映画部門
1 忠臣蔵(58年大映)
翌年(59年)に制作された東映の「忠臣蔵」も捨て難いが、
ハセキョウならぬハセカズの大石、眠雷蔵の内匠頭のキャスティング
まさに秀逸の一言である。映画版必殺バージョンの忠臣蔵を見る際の
テクストとして本作くらいは見ておくこと。
2 水戸黄門(57年東映)
黄門はガタヤンに尽きる。数多あるガタヤンの黄門シリーズからコンパクトに
まとまっておりその魅力を堪能出来る本作を推す。
時代が許せばガタヤンに必殺の敵役あるいは元締をやって欲しかった気がする。
3 大殺陣
必殺シリーズでもおなじみ工藤栄一最高傑作は「十三人の刺客」にあらず
本作である。
クライマックスの集団抗争、思わず「ミステリ板住人と申す、助太刀致す!」
と主人公のテロリストたちに加勢したくなる。
テロルの本質を鋭く描いた佳作である。
4 大殺陣 雄呂血
殺ヲタには「助け人走る」の文十郎役知られた田村高廣氏の父バンツマ主演作品
のリメークだが、既に原典を抜いている。
クライマックス、ランボーも顔負け雷蔵の殺陣が凄過ぎる。
5 徳川いれずみ師 責め地獄
最初期必殺シリーズを想起させる暗い情念が全編に溢れた作品。
まさに殺し屋無き初期必殺の世界である。
石井スレででも折り紙付きの石井監督の最高傑作。
殺ヲタは黙して見ろ。
6 色情大名 徳川セックス禁止令
この作品も必殺シリーズに共通する乾いたユーモアとサディズムに富む傑作。
単なるエロな娯楽映画にあらず、人間の本性を描いて間断するところがない。
110 :
ミステリ板住人 ◆hr24ALqEXE :03/12/11 21:10 ID:c0tjusk7
7 必殺仕掛人
唯一の田宮梅安作品。原作のファンと殺ヲタ双方を満足させるスタイリッシュで
凄味溢れる作品かと思う。
8 木枯し紋次郎
菅原文太の紋次郎、テレビシリーズ(仕掛人のライバル番組)と比較すると
地味な存在だが、クセモノ揃い
の助演陣、スケールが大きい話の面白さは保証付き。
9 宮本武蔵5部作(東映)
武蔵はヨロキンに尽きる。社会派内田吐夢監督の起用により原作を凌駕する
ヘビーでハードな見応えあるシリーズになっている。
そう言えば、宮本武蔵ネタは必殺シリーズには無かった気が。
10 七人の侍
時代劇部門どころか、歴代日本映画、否、世界ランキングクラスの作品。
静かな小津ブームの前に黒ぱんの影が薄いのは残念だ。
そう言えば、七人の侍ネタは必殺シリーズには無かった気が。
111 :
ミステリ板住人 ◆hr24ALqEXE :03/12/11 21:11 ID:c0tjusk7
時代劇歴代ベスト10 テレビ部門
1 木枯し紋次郎
必殺シリーズのこってりした関西テーストに対して、主人公紋次郎が上州出身、
原作者笹沢先生が東京出身ということもあって、クールな関東テーストである。
原作がしっかりしているせいか、駄作が皆無に近い。
キャラ構成、スト―リーの面白さ、キャメラワーク、音楽等々、
どれひとつ取っても傑作の名に恥じない。
2 必殺仕置人
作品によりやや出来不出来があるとはいえ、必殺シリーズのフォーマット
を形成した傑作中の傑作。
3 子連れ狼
初期必殺ファンなら必ず気に入るはずだ。
第1部までの面白さは原作も顔負け。後半は阿部怪異の金田竜之介が
凄過ぎる。烈堂は佐藤慶を推す。
5 斬り抜ける
エンディングタイトルは完全に必殺シリーズをパクっているが、
これはこれで楽しめる。
コンド―です。元祖マッチこと近藤正臣の地獄旅。
112 :
ミステリ板住人 ◆hr24ALqEXE :03/12/11 21:11 ID:c0tjusk7
6 眠狂四郎(田村正和バージョン)
雷蔵とは異なる正和狂四郎の殺戮とエロスは一見の価値あり。
7 素浪人花山大吉
前番組「素浪人月影兵庫」もあるが、原作の頚木を脱し、より自由に展開された
本作を推す。
8 ふりむくな鶴吉
必殺シリーズでは実現しなかった沖雅也と伊吹吾郎共演という殺ヲタ垂涎の
名作。
ミステリタッチの物語面白さ、多彩で陰翳に富んだ個性的な登場人物、
今では見る機会も無いが、面白さ保証付きの元祖NHK金曜時代劇。
9 妖術武芸帳
子供番組と侮れない重厚な作風とゲーム感覚の面白さを兼ね備えた作品。
からくり人シリーズ後期が好きなヲタ好みと思われ、思われ。
10 荒野の素浪人
三船用心棒後日談。いわゆる時代劇の標準的な面白さを堪能出来る。
仕業人のやいとやこと大出俊が五連発の旦那なるスタイリッシュなガンマン役
で登場。両作品を見比べると面白い。