必殺シリーズ総合35 利用する奴される奴

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844ミステリ板住人 ◆C2eJJPwS7M
閑話休題、ここで必殺シリーズと旧1号ライダーシリーズのテーストの類似性につき
少し詳しい考察を加えてみましょう。
本来、必殺シリーズのような殺しをメーンテーマとした情念を描くドラマといった類の
作品は、東映が得意とするところであります。
東映は正統派時代劇の老舗でもありますが、反面、ヤクザ映画等でわかるとおり、
「悪という概念は相対的なものに過ぎない」という哲学もかいま見られ、
これが特撮では「仮面ライダー」、アニメでは「デビルマン」という形に表象化された
わけであります。
ライダー戦士たちやデビルマンが、彼らが対峙する敵方と同様な異形の者である点に
上記の哲学が良く現れています。
必殺シリーズに登場する殺し屋たち(特に最初期)の殺しのモチベーションは、
究極的には多少の金銭欲と自己実現(これは高次における欲望です)にあり、
この点では、金銭欲、出世欲、性欲等により殺人を犯す殺しのターゲットたちと
なんら変わりないとも言えます。
つまり、殺し屋たちもターゲットたちも「殺し」を媒介とした「欲」の実現をはかる者たち
という点では、共に心が異形の者たちであり、両者の相克を描いたもの、それが必殺シリーズ
であると読み解くことが出来るわけです。
これで、仮面ライダーシリーズ、特に異形の者同士の戦いという面が強調され、
独自の暗いトーンに彩られた旧1号シリーズと必殺シリーズのテーストが類似する理由が
十分におわかり頂けたかと思います。
つまり両者の物語構造は基本的に同一なのであります。
明日は、定期連載「必殺仕事人」リポートをお送りします。
引き続きご愛読のほどお願い申し上げます。