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名乗る程の者ではござらん:
何かと毀誉褒貶の多いデラ弁先生ですが、仕置人が池波的仕掛人の世界の否定であるというご高説には賛成です。
仕掛人の元締と梅安ら配下の仕掛人の関係は資本家と労働者、つまり搾取する側とされる側の関係を連想させ、
サラリーマンである私にとってはたいへん不愉快なものでした。
制作者サイドとしては元締(資本家)が頼み料からいくらピンハネしているか具体的な金額を明かさなかったり、
元締本人にも殺し(労働)を行わせることで、元締が受け取る報酬はあくまでも正当な労働の対価であると
視聴者に思い込ませる事で、資本家対労働者という関係を隠蔽しようとしていたようですが成功しているとは思えません。
必殺シリーズが、特にサラリーマンの間で爆発的な人気を得たのは、やはり個人事業主として活躍した仕置人からでしょう。
巨大資本家の庇護の下、命令に従い黙々と仕事(殺し)を遂行する仕掛人よりも、
あくまでも自分の意志で仕事をとり、自分の腕一本で仕事をこなした仕置人が当時のサラリーマンたちの共感を得、
羨望の対象となっていたであろうことは想像に難くありません。
本来の意味では必殺シリーズは仕置人から始まったといっても過言ではないような気がします。