完全保存版 必殺シリーズ創作専門スレッド

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一連の事件についてラジオが特集を組んでいる.
ラジオに聞き入るハングマン達.

評論家「これは要するに天誅ですな.」
司会者「天誅と?」
評論家「あんたら若いもんにはなじみのないかもしれんけど,
天に代わりて不義を討つ.ようひかえていえば,
警察がようやってくれんことを,何者かが代わりにやったるってことやねえ.
その証拠にほれ,やられたんはパチ厨,ゲーム厨,
コピペ厨など皆世間の嫌われ者が闊歩するスレばっかりやないけ.」
司会者「しかしですねえ,スレの中には何の関係もない,
善良な住人も含まれているんですよ.」
評論家「いや,だから,
私は何もこの者のやっとることを認めるとは言うとらん.
けど一般市民の胸の内は,はっきり言うて,ざまあみろって,
いうことやないかねえ.まあ言うならば,この者は,そうですな,
英語でしゃれて言うとハングマン.」
司会者「ハングマン?」
評論家「ま,早い話が民間の死刑執行人や.」
ラジオを消す日下部.

日下部「あいた.名前を取られちまったよ.」
辻「(憤慨して)冗談じゃねえよ.俺たちはむやみやたらと人を殺したりなんかしねえからなあ.」
多美子「もちろんそうだけど,それにしても気味が悪いわ.」
加納「そう.まるで我々と同じようなことを.
それも情け無用でやった上,世間の喝采を浴びる奴が現れたんだからな.」
日下部「(呑気に)これからはハードボイルドが受ける時代になってきたのよ.」
辻「ハードボイルド?」
日下部「そのうちに俺達の人気をこの連中に,取って代わられちまうんじゃないの.」
多美子「もしこれがきっかけでハングマンっていう言葉がはやるようになったら,
やっぱりまずいんじゃないの?」

怒った竜が中国語でなんか言う.

辻「そう.絶対に許せん.俺達の存在は秘密だからなあ.ゴッドはいったい,
この事態をどう考えているのかなあ.」

そこへ電話がかかってくる.

日下部「ほうらおいでなすった.」
61名乗る程の者ではござらん:03/07/28 19:22 ID:q+OS6wjT
午後二時.新宿ノッポビル

神島のオフィスに日下部がやってくる.
神島は先ほどのラジオを録音したものを日下部に聞かせる.

日下部「聞きました.さっきラジオで.」
神島「(怒りで興奮して)そうか.じゃあ話ははやい.早速,
この偽ハングマンの正体を暴いてもらいたい.」

うなずく日下部

神島「もちろん,複数の人間による行動だろうが,
彼らのやってることは一見正義の味方風に見えて,
実は何の関係もない人々を平気で巻き込む無差別殺人だ.
なにがハングマンだ! こんな連中はただの薄汚いリンチマンに過ぎん!」
日下部「(よせばいいのに神島をおだてて)近頃ゴッドも品格というか尊厳というか,
ますますご立派になられて.
洒落の方もかなりお上手になられました.」
神島「冗談を言ってる場合じゃない!」

神島の一喝を受けて日下部の顔が引きつる.
神島「このまま放っておけばますます増長して,
方々で無益な血が流されることになるんだぞ! しかも,
我々ハングマンの名においてだ.」
日下部「わかりました.必ず偽ハングマンの化けの皮をはいでやりましょう.」

ここでやめとけばいいのに日下部は話を続ける.

日下部「ところで神島.最近の我々の仕事ぶり,
もちろん承知してると思いますが,この仕事は特殊でございますからして,
なんていいますか,私の場合によりますと,みんな凄いなあ,やってるなあ,
素敵だなあって,声がかなり聞こえます.もちろん,
皆さんも一生懸命やっております.私の場合でよりますと,
そのなんていうんですか,情報提供者には物品を与えたり,見出したり,
いろいろ特殊な方法でやっております.ですからして特殊な,あー,
なんていうんですか,あー,言いにくいんでございますが…
私はこういうことはストレートで言うのは,
とても嫌いな性格でございますからして,えー…」
神島「報酬値上げの話なら当分お預けだ.」
日下部「決して私を軽蔑しないで下さい.失礼します.」

日下部,神島のオフィスを去る.
日下部と竜はテレビカメラなどの中継道具一式を抱えて
オーディエンスルームに忍び込む.
その頃,辻と多美子は鉄塔の下で
日下部達の中継電波を受信する装置を組み立てている.
書斎魔神はあややの特大ポスターが飾られたオーディエンスルームでPCをいじっている.
そこへ日下部がドアを開けて登場.
獣人「ふざけるな! 黙ってのこのこ入って来やがって.おーい誰かいないか?」
日下部「どうも,先生の折角の書き込みをお邪魔致しまして,
大変申し訳ございません.わたくしとしましては先生の独占インタビューを,
どうしても取りたかったものでございまして,大変に失礼しました.」
獣人「ふざけるな.出て行け.」

獣人を制する書斎魔神.

書斎魔神「出て行かせることはない.」

驚いて振り向く獣人.書斎魔神,立ち上がって日下部のほうに近づく.

書斎魔神「ちょうどいい機会だ.あたしの信念を聞かせよう.」
別室で竜の撮影している映像を見てデジコンがほくそ笑む.
そして辻にマルチキャストの準備ができてるかどうかを確認.

日下部はにやりと笑う.

日下部「ゆっくり伺いましょう.」

カメラを操作する竜の手に力が入る.
日下部「その前に一つ聞きたいことがある.偽ハングマンの元締めは貴様だろう?」
書斎魔神「偽ハングマン?」
日下部「そのとおり! 本物のハングマンはこの俺だ!」

書斎魔神と獣人は怪訝な顔でお互いの顔を見合う.日下部,書斎魔神を指差す.

日下部「書斎魔神! お前の本当の狙いはクーデターで世の中をひっくり返すことだ.そうだな.」
書斎魔神「うん.狙いはまさにクーデター.」

加納がスイッチを切り替えると同時に,
全国のコンピュータに書斎魔神の顔が大映しになる.
書斎魔神「私は今の堕落しきった2ちゃんねるがどうにも我慢がならなくなった.
だから密かにミステリ板獣人に命じて抹殺専門の部隊を作らせたんだ.
そして彼らにはどんな厨房でも構わんから,容赦なく叩き潰せと命じた.
これによって世の厨房どもは縮み上がり,人々はこれに喝采を送るに違いない.
その機を狙ってクーデターを起こすのだ! クーデターを起こせば,
愚民達はこれに熱烈なる支持を与え,
やがては優れた指導者の下にひれ伏すことになるのだ!」
日下部「その指導者とは貴様自身のことか?」
書斎魔神「もちろん.この私をおいて他に誰がいる?
ひろゆきも駄目,削除人も駄目だ!
この間違ってる世の中を立て直すことができるのはこのわしの他にはおらん.」
日下部「貴様はヒットラーになりたいのか?」
書斎魔神「そうだ,ヒットラーだ.この書斎魔神は現代のヒットラーだ.」
日下部,にやりと笑う.
日下部「ちょっと待った,書斎魔神さん.
今あんたが喋ったことは全国のコンピュータに流れている.」
書斎魔神「テレビ?」
日下部「そうとも.ネットワークでね.」

書斎魔神,狼狽してしまい,二の句が告げなくなる.

獣人「そんな馬鹿な.出鱈目を言うな.」
日下部「嘘だと思うなら,PCを見てみな.」

PCには書斎魔神がビックリしている顔が映っている.
書斎魔神「くっそー.」

書斎魔神は日本刀で切りかかったが日下部と竜に軽くあしらわれ,獣人と一緒に縛られてしまった.

書斎魔神「わしはヒットラーだ.現代のヒットラーだ.」
日下部「わかった,わかった.」
日下部が書斎魔神達を座らせると電話がかかってきた.
日下部「ほうら,視聴者から早速反応があったい.」
日下部は電話に出た.
日下部「もしもし,書斎魔神オーディエンスルームです.はい.わたくし秘書のAGE君と申します.
今のテレビをご覧になった.はい.間違いございません.はい.
あれは先生のご意見でございます.先生がですね,
世の中に自分の意思を発表したいとそう仰ってます.」
書斎魔神「そうだ,そのとおりだ.わしは現代の指導者だぞ!」
日下部「聞こえましたでしょうか? よろしくお願いいたします.」

日下部,電話をうやうやしく切る.
日下部「横浜ケーブルビジョン担当者が警官と弁護士を連れ,契約を打ち切りにすぐ来るそうだ.」

書斎魔神と獣人はびっくりしてお互いの顔を見合った.

日下部「せいぜい観念してもらおう.仕事は終わった.」
日下部と竜は書斎魔神達を置いて帰っていった.