必殺シリーズ総合31 どうせあの世も地獄と決めた

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80ミステリ板住人
ちばテレビさんの見解に同意したい。
被害者・加害者・殺し屋が、三位一体になって織り成す情念のドラマ。
これが必殺シリーズの本質だった。
より後期の作品になるほど、情念のドラマという色彩が薄まり、後退し、
殺しそのものも、次第にゲーム化して行く。
こう言った観点からは、剣劇人はセルフ・パロディとも言えよう。

ところで諸君は、大島渚監督の「愛の亡霊」という映画を、ご覧になったことがあるだろうか?
阿部定のチンポ切り事件を描いて話題になった「愛のコリーダ」
(Q・ジョーンズの同名曲も大ヒット)に続き、大島監督が、力を入れてメガホンを取った
ホラー、というよりは、怪談映画である。
文さんならぬ田村高広氏演じる亡霊が、かなり恐い、マジで恐い。
主演は、必殺シリーズには、なぜか縁が無かった吉行和子嬢、
(吉行淳之介の妹、吉行理恵の姉、従って朝ドラで有名になった吉行あぐりの娘)
と藤竜也氏。
「負犬の唄」の川谷拓三氏が巡査役で出演している。
初期必殺シリーズのテイストが好きな人には、見落せない作品なのは間違い無い。
あの「うらごろし」までは、確かに存在した暗い情念のドラマ
(70年代の空気と言ってもいいが)が、激しく熱く展開される。
仕事人以降の後期のファンには、ヘビー過ぎるだろうが、リトマス試験紙的に、
是非、ご覧頂きたい。躊躇無く言おう、心して見ろ!