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ミステリ板住人:
「仕掛人・藤枝梅安講義」 講師 ミステリ板住人先生 教室 当該スレ
第一回「おんなごろし」
藤枝梅安デビュー作です。少し原作に描かれた梅安を見てみましょう。
・ 六尺に近い大きなからだの藤枝梅安
・ 団栗のような小さな両眼は大きく張り出した額の下にくぼんでい、開いているのか
閉じているのかさえもよくわからぬ。
・ 以下は冒頭に記された長屋の住人の会話から抜粋
「あの大きなからだで、あのふとい手指で、あんな細い鍼をよくあやつれるものだと
感心するね」
「見たところは、妙にのろのろしていて、あぶなっかしいが…」
「…気が向かねえと、いくらたのんでも来ちゃあくれねえ。なにしろお前、
治療のときも口ひとつきかねえ変人先生だ」
・ 梅安は初めに診療をして、自分で手に負えぬことがわかると、
「私ではだめだ、もっと、うまい医者に診ておもらい」
はっきりといい、さっさと帰ってしまう
そうした時の梅安は、「取りつく島もない…」ほどに、すげないそうな。
ここまで読めばおわかりのとおり、油っこい緒形拳の梅安は原作のイメージとは
大いに異なる感がある。また、池波先生が評価していた映画の田宮梅安はダンディ
に過ぎ、小林梅安も枯れ過ぎているように思う。
どちらにしろ、原作からは一番遠い緒形梅安が最多出演とは不思議なものだ。
つづく