【復活】魔界転生 再映画化【金目】

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314ミステリ板住人
「魔界転生」の原作の一般的な評価につき誤解があるようですので、
読書人のひとりとして訂正のレスを入れておきます。
同書は、山田風太郎忍法帖シリーズの中でもむしろ大風呂敷を広げ過ぎた企画倒れの駄作
であります。
内容は別物に脚色されていますが、深作監督による同名映画化作品が傑作だったゆえに、
多くの忍法帖の中でもひときわ高い知名度を得ることができ、永く読み継がれることに
なったわけです。
お読むになった方はおわかりのとおり、原作は登場人物が多過ぎてまとまりが悪いもの
になっています。
もっと獣兵衛と魔界衆の戦いのみに焦点を絞って書けば、
ロールプレイングゲームのような面白さなら出たと思います。
魔界衆各人との戦いが少し駆け足過ぎて物足らない感が強い。

特に不満なのは、映画で鬼気迫るまでに描かれた四郎、ガラシヤ、武蔵、但馬等の「生」に
対する妄執・妄念が原作には全く欠落しており、面白おかしい奇談にとどまっている点です。
人間を描く事、それがまた人間の業を描くことであるとすれば、映画化作品は「文学」の領域に迫ったと言っても過言ではないでしょう。
制作当時は、ドキュンメンタルな作風の深作監督と破天荒な展開で名高い山田作品を、
いかに映像化するか若干の懸念もありましたが、杞憂に終りました。
一見ミスマッチ感さえある本作においても、仁義なき戦いシリーズ等で人間の業を描いた
深作タッチは健在でした。