iPhone 3Gはジョブズの敗北宣言 - 池田信夫BLOG
http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/9e6be8071830bc2c8ae6c62557e2acf2 事実は逆で、iPhoneは携帯端末としては売れ行き不振だから、AT&Tに補助金をもらって
見かけ上の価格を200ドル下げただけのことだ。その代わり、通信料金は2年で240ドル増える。
2年以上使ったら、事実上の値上げだ。日本ではソフトバンクが売るようだが、こっちは
そういう詐欺的な価格表示はやめたから、4万円ぐらいだろう。
もともとiPhoneがAT&Tから出たのは、3Gへの対応が遅れて急成長するベライゾンに抜かれるのが
時間の問題だったAT&Tが、ジョブズの「設計にも価格にもいっさい口を出すな」という要求を呑んで
屈辱的な契約(プロトタイプを見ることさえ許されなかった)を結んだためだが、
ここにきて立場が逆転した。iPhoneの在庫が積み上がり、eBayなどで投げ売りされるようになって、
さすがのジョブズもAT&Tの補助金に頼らざるをえなくなったのだ。
これでアップルの価格支配力も、iPhoneのポータビリティもなくなる。SIMロックなしの
オープンアクセスが当たり前の欧州では、売れないだろう。アメリカではすでに
ベライゾンがトップになり、700MHz帯ではオープンに移行し、グーグルと提携して
Androidを採用し、2010年にはLTEに移行する計画だ。
今ごろ3Gなんて騒いでいるのは1周遅れである。
もともとSIMロックして、Skypeなどの外部アプリケーションを締め出す
iPhoneの閉鎖的な構造には、ハッカーの批判が強い。それは、いわばジョブズ鎖国の端末であり、
iPodのように他の業者がへまな市場とは違って、携帯電話には価格でも性能でも
強力なライバルがたくさんいるので、iPhoneはヒットしなかったし、このままでは
今後もしないだろう。まぐれ当たりは何度も続かないということだ。
追記:TBで教えてもらったが、アップルの公式サイトによれば、今度のiPhoneでも
音楽配信は3Gではできず、Wi-FiでiTunes Storeにアクセスしなければならない。
あくまでもiTSの独占を守りたいということだろうが、NapsterやRhapsodyはすでに
3G配信を行なっている。日本でもこうなるとすれば、iPhoneは携帯音楽配信の端末としては
使い物にならない。
追記2:Economist誌も同様の分析をしている。電話会社がiPhoneをきらった原因は、
通信料金をアップルとシェアするという条件だった。このため、今まで7ヶ国でしか採用
されていなかったのが、今度はレベニューシェアをやめて60ヶ国に広がった。
しかしタッチスクリーンのPDAなんていくらでもあるので、すきま商品の一つだろう。