【斜陽】次につぶれる競輪場を当てるスレ 3【廃止】
2006年9月6日(水) 埼玉新聞
http://www.saitama-np.co.jp/news09/06/05p.html 行田市も撤退へ
西武園競輪、来年度は県だけに
行田市は五日、同市が開催していた所沢市の西武園競輪場の競輪事業から、
本年度限りで撤退する方針を決めた。
九月議会初日のこの日、全員協議会で議会に報告した。
西武園競輪は、秩父市が昨年度に撤退。
続いて先月二十九日、所沢市も撤退を表明したほか、
川越市も同三十日、撤退を視野に来年度の中止を決めており、
行田市の撤退表明で来年度開催するのは県だけになる。
行田市は戦後復興の一環として、一九五二年度から競輪事業に参入。
九六年度までに、総額約五十六億九千万円を一般会計に繰り入れ財政に寄与した。
しかし、九七年度から赤字に転落。
国内各地の場外車券場に車券を販売するなどして二〇〇三、〇四年度は
計七千七百万円の黒字と持ち直したが、昨年度決算で約三千百万円の赤字を出し、
本年度も赤字が見込まれることから、撤退方針を決めた。
今後は、県に事業の引き受け先の検討を依頼するという。
2006年9月11日(月) 埼玉新聞
http://www.saitama-np.co.jp/news09/11/02x.html 「開けば収益」今は昔
相次ぐ撤退―競輪の行方<上>
■競輪事業を主催する県以外のさいたま、川口、熊谷(大宮競輪)と川越、
所沢、行田(西武競輪)の六市が、収支の悪化から相次いで撤退の意思を
明らかにし、白旗を掲げた。
昨年度の秩父市に続く格好で、財政を潤したかつての時代とは一変。
ここ十年余りは“お荷物”状態にさえなっている。
事業が傾いた背景を探った。
■一切の装飾を省いた自転車の一団がグレーのバンクを疾走する。
所沢市の西武園競輪場で今月一日に行われたF2レース。
すり鉢状の場内を一望できるガラス張りの本部室には、競技を主催する
行田市の清水英孝助役が詰めていた。
空席が目立つスタンドを見渡して言う。
「今回が駄目なら撤退を考えざるを得ない」。
その四日後、横田昭夫市長は継続断念の意思を市議会全員協議会で明らかにした。
■県内の公営競輪事業は一九四九年、県主催の大宮競輪から始まった。
戦後復興のきっかけが渇望された時期。
各市も次々と開催権を取得、こぞってレースを仕切った。
■行田市をみると、バブル期の九〇年には一挙に六億円の収益を生むなど、
累計五十七億円を一般会計に繰り入れた。
しかし、九六年を境に赤字へと転落。
岐路に立たされた今年は市ホームページによる周知や場外売り場の増設で
“起死回生”を狙ったが、劇的な効果は生めなかった。
■
■六市の競輪事業は金額の差こそあれ、現在軒並み赤字に陥っている。
合計の赤字額は昨年度だけで約二億七千万円。同じ施行者でも、大宮競輪場(さいたま市)を
所有する管理施行者の県に対し、六市は使用料として売り上げの約4%を
納めなければならない借り上げ施行者である点も共通している。
■二会場では年間計二十四の公営レースが組まれてきた。
大宮競輪場では県が年間七回、さいたま市三回、川口市と熊谷市が一回ずつ。
西武園では県が七回、川越市二回、所沢市二回、行田市は一回を担ってきた。
■撤退を明言しているのは川越を除く五市。
川越市は「来年度の開催については中止」と含みを残すが事実上の“撤退宣言”と
みる向きが強い。
いずれも「経済改善が望めず市財政に貢献できない」ことを理由に挙げる。
■
■ただ、県だけは継続の姿勢を崩さない。なお「採算が望める」事業だからだ。
■その秘密が年に一回開かれるGレースの存在。
市主催の「F」よりもレベルが高く、名の売れた選手も出場する。
売り上げは伸びる。
昨年度は大宮で三億二千万円、西武園で一億五千万円の黒字。
年間入場者数も計約三十七万人に達した。
県県営競技事務所の担当者は
「それでもFに比べ経費も掛かるし、リスクはある」と説明する。
■単純な計算では、県の黒字から六市すべての赤字総額を差し引いても、まだプラス分が残る。
撤退を決めた各市はこの点に着目した。
2006年9月12日(火) 埼玉新聞
http://www.saitama-np.co.jp/news09/12/01x.html 清算金求める県
市は「財政寄与」に望み
相次ぐ撤退─競輪の行方〔中〕
■「当市の開催分について、県にお引き受けいただきたい」。
今月四日、JR武蔵浦和駅に近い高層マンション三階の県県営競技事務所。
西武園競輪場で借り上げ施行する所沢市の加藤恒男助役が、携えてきた市長名の文書を森田正治所長に手渡した。
「ご意向は承りました」。
森田所長はそう伝えたが、具体的な対応には言及しなかった。
■
■撤退を決めた各市が県へ引き継ぎを求める理由は、自転車競技法がうたう「地方財政への寄与」を継続して望めるためだ。
裏を返せば「利益の出ない事業に、ほかの引き受け先はない」(市関係者)との諦念(ていねん)も見え隠れする。
■さいたま市労政経済課の担当者は、大宮競輪での県との関係を「アパートの大家と住人」に例える。
「競輪は誰もが経営できる事業ではない。借り上げてきたわれわれは(管理施行者の)大家へ引き渡すのが望ましい」。
西武園競輪場のおひざ元でもある所沢市は
「県の収支が厳しければ、場の廃止も考えなければならない」と説明する。
■これに対して同事務所は
「赤字に伴う撤退は自治体の意向を尊重したい」と一定の理解を示すが、
「仮に引き継いで黒字を出しても、(県の黒字の)減額分は県民が負担することになる」とくぎを刺す。
■
■八月の記者会見で上田清司知事は、引き継ぎを求める各市への対応を問われ、
「黒字のときには市がやる、赤字基調になったらどうぞ県にと。そういうときには何のプレゼントもなしに、はい分かりましたとは言えない」
と“見返り”の必要性を示唆した。
■知事の発言を裏付けるように、県は大宮競輪から撤退する三市に対し、
「開催権を引き継ぐ代わりに過去二年間の赤字の平均額を割り出し、五年分を清算金として払ってほしい」
との条件を伝えた。
川口市公営競技事務所の担当者は
「金額が市民に説明できる額かどうか協議したい」と語る。
■この清算金の算出方法は西武園で施行する自治体も
「先例をみても一般的」として念頭に置いている。
ただし実際には機器リース料や離職慰労金などが加味され、さらに金額は増える見通しだ。
昨年度で撤退した秩父市の清算金は約九千五百万円だった。
2006年9月13日(水) 埼玉新聞
http://www.saitama-np.co.jp/news09/13/03p.html 民間委託固める県
6市との条件闘争も
相次ぐ撤退─競輪の行方〔下〕
■「包括委託を検討しています」。
先週、県の担当者が九月定例県会に提案する議案説明で県議を訪ねた際、補正予算案に盛り込まれた
「大宮競輪、西武園競輪の開催業務の委託 債務負担行為」の項目を聞かれて、こう答えた。
■大宮競輪、西武園競輪からの事業撤退を事実上表明した施行六市の動向を踏まえ、
事業を引き継ぐに当たっての“条件闘争”を六市と進めている県は、
一方で競輪事業を引き継いだ際の運営の在り方を検討。
二〇〇七年度からの民間委託導入を念頭に、県議会などに理解を求めたい考えだ。
■
■包括民間委託―。競輪の売り上げ減少、収支悪化を踏まえ、〇三年、自転車競技法が改正された。
経済産業省特殊法人自転車競技会(全国で七団体)にのみ委託できた開催事務のうち、
車券発売、広報、警備、清掃などの業務を民間企業に委託できることを認めた点も改正点の一つ。
■民間委託第一号は神奈川県競輪組合(神奈川県、横浜市、横須賀市で構成する一部事務組合)。
〇三年度から花月園競輪(横浜市)で導入した。
公募提案(プロポーザル)方式の結果、南関東自転車競技会を委託先に決めた。
■開催日程、場外発売場、払戻金や賞金、日本自転車振興会への上納金決定などの主要事務は組合が行うが、
車券販売や払い戻し事務、ファンサービス、警備、清掃などの事務を南関東競技会に委託した。
■松戸競輪の施行者、千葉県松戸市も〇五年度から導入。
こちらは競輪場を所有する松戸公産株式会社と随意契約を結んだ。
■民間委託は、民間に一部業務を任せることによる競輪の活性化とコスト削減が最大の目的。
従業員の給与、ボーナスなど人件費カット、担当職員減が進んだとされる。
花月園以降、民間委託は松戸、小倉、豊橋の各競輪場で導入が進み、検討を始めた競輪場も増えている。
■
■秩父市をはじめ開催市側からの撤退、事業引き継ぎ申し出を県は快く引き受けるわけではない。
厳しい収支見込みとともに、累積で二百十八億円を一般会計に繰り入れたさいたま市の例を引き合いに
「黒字のときは市がやる、赤字になったら県に、では調子がよすぎる」との感情論もある。
■ただ、「競輪の存続」を念頭に置いたとき、県も撤退とはできない。
かといって、従来通りの運営では収支の黒字化は見込めない。
■民間委託の選択肢は、開催市の撤退・県が引き継ぎ―の延長線上に必然性を持って出てきた案ともいえそうだ。
■〇七年度の開催日程を決めるリミットが刻々と近づく中、県は撤退表明した六市と撤退条件の詰めを急ぐ一方で、
民間委託の方策を探る二方面作戦を強いられる。
■県幹部の一人はつぶやく。
「さいたま市の相川市長が言う『責任ある撤退』の履行が埼玉の競輪の行方を左右する」