ジョッキーバトルロワイヤル

このエントリーをはてなブックマークに追加
2名無しさん@お馬で人生アウト
「エビちゃん……起きろよ、エビちゃん」
聞き覚えのある声が、蛯名の耳に届いた。
「……ヨシトミさん」
自分はいつの間に眠っていたのだろう。
蛯名が検量室の床の上で目覚めた時、外の景色は夜に変わっていた。
そして蛯名の傍らには、同僚の柴田善が、今にも泣きそうな顔で蛯名を見つめていた。
ゆっくりと上体を起こし、周囲を見渡す。
秤と荷物が撤去された室内には、騎手十数名の姿があった。
皆、眠りから覚めたばかりらしく、蛯名と同様に周囲を見回している。
一体、何が起きたのだろう?何故俺達は、ここに居るのだろう?
誰もが困惑と不安を隠しきれずにいた。
「なあ、エビちゃん……何が、どうなってんだ?」
柴田は、目に涙を溜めて不安を訴えた。
蛯名は「大丈夫だ」と言いかがったが、出来なかった。
自分自身、現状が怖くてたまらなかった。
そう、嫌な予感がする。
何度も噂で聞いた、『あれ』の状況によく似ている……