ギャルゲー板のパロディーです
>>2から、バトルロワイヤルスタート!
「エビちゃん……起きろよ、エビちゃん」
聞き覚えのある声が、蛯名の耳に届いた。
「……ヨシトミさん」
自分はいつの間に眠っていたのだろう。
蛯名が検量室の床の上で目覚めた時、外の景色は夜に変わっていた。
そして蛯名の傍らには、同僚の柴田善が、今にも泣きそうな顔で蛯名を見つめていた。
ゆっくりと上体を起こし、周囲を見渡す。
秤と荷物が撤去された室内には、騎手十数名の姿があった。
皆、眠りから覚めたばかりらしく、蛯名と同様に周囲を見回している。
一体、何が起きたのだろう?何故俺達は、ここに居るのだろう?
誰もが困惑と不安を隠しきれずにいた。
「なあ、エビちゃん……何が、どうなってんだ?」
柴田は、目に涙を溜めて不安を訴えた。
蛯名は「大丈夫だ」と言いかがったが、出来なかった。
自分自身、現状が怖くてたまらなかった。
そう、嫌な予感がする。
何度も噂で聞いた、『あれ』の状況によく似ている……
突然、施錠されていた検量室の扉が、開いた。
そして、銃を携えた兵隊の様な連中が十数人、入って来る。
兵士達は確定順位を書くホワイトボードの前に整列すると、銃を騎手達に向け、構えた。
いつでも発砲できる体勢だ。
まさか……
コツ、コツ、と、兵士達とは違う、軽い足音が聞こえた。
教室に入って来たその足音の主は……尾形調教師だ。
尾形は台に上に立つと、いつもと変わらぬ嫌味な笑顔で、話し始めた。
「ようこそ諸君。まさかこれだけの人間が集るとは、このワシも予想出来なかったがな」
相変わらずの高慢ちきな口調だ。
しかし、今日は普段にも増して、自信に満ちているようだ……蛯名にはそう映った。
そして尾形は、室内をぐるりと見回すと、衝撃的な一言を言い放った。
「今日はこれより、諸君に殺し合いをしてもらう!」
室内の全ての空気が止まった。
「諸君は、『プログラム』に選ばれたのだよ」
蛯名の悪い予感が、的中した。
柴田は、ギュッと蛯名の腕を掴んで、震えていた。
誰かが、うっ、とうめいた。
【残り18人】
『プログラム』
それは、魔の計画。
近年、技術の進歩はクローンを生み出せるまでに至っていた。
クローン技術によって往年の名馬とまったく同じクローンホースを秘密裏に誕生させ、
(もちろんそれを一般に悟られないようにDNA鑑定などは偽装工作を行う)
育成しレースに出す、そして世界の競馬を日本競馬界が席巻する。
……そして一環として考案されたのが、この計画だった。
最強馬に見合う「全てにおける強さ」を持った騎手だけを選抜する。
数年前から、この計画は関係者の間で噂されていた。
しかし、実行される確立はゼロに等しいと言われていただけに、騎手達はすぐには信じられなかった。
お、ちょっと面白いかも。
続けてくれ。
「おい、冗談じゃねぇぞ」
張りのない、群馬訛りの声が響いた。
騎手界一の権力の持ち主、岡部幸雄だ。
「俺のために最強馬を用意するというならともかく、俺に戦えだと?正気なんか?」
岡部は嘲笑を込めて異議を唱えた。
そもそも、このプログラムの指揮権が尾形調教師にある事に、理解が出来なかった。
普通なら、政府や農林水産庁の担当者が赴いて、ここで説明するだろう。
ここに居る兵士達も、おそらくテレビ局の用意したエキストラの面々。
驚かせておいて、実は「ドッキリでした!」とでも言うのだろう……そう思っていた。
しかし、現実は残酷だった。
「そうか……岡部くん、君はまだ、信じられない様子だな。では、信じられる物を用意しよう」
尾形は表情を変えずにそう言うと、指をパチン、と鳴らした。
部屋の扉が開き、藤澤調教師と森調教師が『何か』を載せたベッドを運んできた。
ビニールシートの下の『何か』からは、少し生臭い匂いがした。
「見せてやれ」と尾形が言うと、藤澤がそのシートを外した。
一瞬の静寂。
そして次の瞬間、岡部と蛯名が絶叫した。
「ま、ま、マサトーーーー!!」
「……的場さあああんっ!!」
二人の叫びが、一瞬にして全員の悲鳴へと変わる。
そこに有ったのは、柴田人師、的場師の『なれの果て』だった。
まるで操り人形を投げ捨てたかの様に関節は捻じ曲がり、
頭蓋骨は陥没し、両目も潰されていた。
「マサトー!マサトー!!」
岡部は泣き叫びながら、戦友の亡骸に近付こうとする。
しかし次の瞬間、兵士達が一斉に岡部に向け、銃を構えた。
それに気付いた北村が、慌てて岡部を羽交い絞めにして、引き止める。
「岡部さん、駄目です!今行ったら、岡部も殺されちゃうよ!」
「でも、マサトが!まさ……と……が……」
岡部はその場にヘナヘナと座り込むと、声をあげて泣いた。
泣くことしか、出来なかった。
そしてその光景は、騎手達に現実を認識させるのに、充分だった。
騎手を育成するのになぜ柴田と的場を?
尾形が説明を続ける。
「このふたりは、私達同様調教師という立場だった。
本プログラムの推進のために、計画への協力をお願いしたんだが、断られてね。
その結果が、これだ。素直に協力すれば良いものを……」
死臭が室内を満たしてゆく。
それはまさしく、絶望の臭いでもあった。
尾形は胸元から政府印の押された封書を取り出すと、その中の文書を事務的に読み始めた。
いわゆる『宣誓文書』だ。
「……本プログラムは、日本国政府の完全管理下のもと、競馬界の運営者代行である
日本調教師組合、日本馬主組合によって執り行われるものとする旨を、ここに通達する……」
宣誓文書など、誰も聞いてはいなかった。
ただ、殺戮の海に放り込まれた事実を受け止める事しか、出来なかった。
自分達を庇ってくれた(であろう)1000勝ジョッキーでもあった二人の調教師が、
あっけなく殺された。
こんな理不尽な殺人さえ、許されるのだという。
いや、理不尽な殺人劇は、これから始まるのだ。自分達の手によって……
どうする?どうすればいい?ここから逃げ出す方法は無いのか?
誰もが、戦うことなく生き延びる方法を自問自答していた。
と、その時、尾形が宣誓文書を読むのをピタリと止めた。
「……どうやら、ワシの話を聞いてくれない者が、いるようだな」
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全員が、肩をビクッ、と震わせた。
今ここで彼に逆らうことは、死を意味している。
……まさか、聞いていないのを悟られたのでは?
騎手達は、恐る恐る尾形の視線の先を辿った。
尾形が見ていた先……そこには、四位と藤田の姿があった。
四位はまだ睡眠薬が効いているらしく、眠ったままだった。
それを藤田が必死になって起こそうとしている。
「……起きろ、起きろよ。寝てる場合じゃないんだってば……」
藤田は、尾形を刺激しないように、小声で呼び掛けながら四位の肩を揺すっていた。
その呼びかけに応じたのか、四位がようやく目を覚ます。
「そーだね……あら?みなさん。おはよう。どこ、ここ?」
まだ現状を把握していない彼の一言が、部屋中に響き渡った。
誰かの呟く声がした。
「……だめだっ!」
次の瞬間、尾形は小さなリモコンの様な物を取り出すと、四位に向けてそれを「ピッ」と鳴らした。
ピピピピ、ピピピピ……
何処からともなく、アラーム警告音が聴こえる。
「うるせーな、誰か、時計とめろよ? 今日は全休日だろ……」
まだ寝ぼけているのか、四位は緊迫した現状に気付いていなかった。
「なに言ってんのだ、四位!今はそれどころじゃ……四位?」
藤田は、異変に気付いた。
警告音の発信元が、異常に近いのだ。
しかもそれは、四位の体内――頭の中から聴こえている。
「まさか……尾形先生!四位に何をしたのだ!?」
藤田の追及に、尾形は落ち着いた調子で答える。
「四位くんに限った事ではない。君達には、眠っている間に、『装置』を埋め込ませてもらった。
なあに、最新技術を駆使したマイクロサイズの物だ。特許は竹園さんがもっている。
違和感は感じないだろう?
それから、これには位置特定の為の発信機と、自爆装置がセットされている。
指定の制限時間をオーバーしたり、プログラムの進行を著しく妨害した場合には……」
「場合、には……」
藤田は、唾をゴクリと呑んだ。まさか……まさか、そんなことって……
そして、一番聴きたくない言葉が、尾形の口から発せられた。
「爆発する」
ピピピピピピピピ……
警告音の間隔が短くなってゆく。
悪魔のカウントダウンに、静かだった教室が再びざわつき始めた。
しかし、当の四位本人は、まだこの危機的状況に気付いていなかった。
「みんな、起きてるじゃんかよ……早く時計は止めろよ!」
藤田はパニック寸前だった。
親友の命が、あと数秒で消えてしまうかもしれない。
しかし、自分にはそれを止める術が無い。
「四位……四位……」
藤田は、とっさに四位の両手を強く握った。
涙がこぼれ落ちて、止まらない。
その涙が、四位の頬へと落ちて行く。
「ずっと……ずっと、友達だぞ……」
まだ通常の判断力が戻っていない四位には、何故藤田が泣いているのか、解らなかった。
しかし、「友達だよ」という言葉だけは、はっきりと聞こえた。
「そーだね、もちろんだよ、俺と田原さんと藤田さんで世界を獲るんだ……」
四位は、いつものように微笑んだ。
その直後――
ぱんっ、という音とともに、四位の側頭部が弾けた。
藤田の顔が返り血を浴び、真っ赤に染まる。
瞬間、部屋中が再び悲鳴に包まれた。
人の命が奪われた瞬間を目撃した以上、それは二人の調教師の時とは比較にならない状況だった。
「オメーら!静かにしねーか!」
尾形の忠告も、もはや届かない。
ある者は泣き叫び、ある者は気を失い、ある者は何度も嘔吐を繰り返した。
そんな混沌とした中、藤田はゆかりの手を握ったまま、動かなかった。
いや、動けなかった。
呆然としたまま握っている四位の手には、まだ、温もりが残っていた。
「あったかいよ、四位……」
【残り17人】
「威嚇射撃!」
尾形の号令が飛んだ。
それに合わせて、兵士達が一斉に床へ向けてマシンガンを発射する。
ただならぬ轟音とともに、床面のコンクリートが削られ、破片が宙に舞う。
圧倒的な『実弾』の恐怖。
その威力の前に、泣き叫んでいた騎手達の動きが一瞬にして止まった。
そして、数秒間の掃射が終わる直前――
床に跳ね返された弾の一発が、横山典の左膝をかすめた。
「痛っ!」
横山は傷口を押さえ、その場にうずくまった。
「――ノリちゃん!!」
その様子を見た蛯名は、慌てて横山のもとへと駆け寄る。
「大丈夫か!?ノリちゃん!」
蛯名はそう言うと、ポケットからハンカチを取り出し、それを横山の膝へと巻き付けた。
「大丈夫。かすり傷だから……ありがとう」
横山典は苦痛に顔を歪めながらも、蛯名に礼を言った。
確かに、弾は膝をかすめただけだった。
あと数ミリずれていたら、確実に骨を砕き、歩く事さえ出来なかっただろう。
しかし、弾を受けた際の痺れと出血は、普段の『かすり傷』とは比較にならないものだった。
教室が『一応の』平静を取り戻した所で、再び尾形が話し始める。
「まったく、諸君らは……これ以上、ワシの手で参加者を減らしたくないのでね。
しかしまぁ、驚くのも無理はあるまい。 」
この時、蛯名は状況を整理し、理解するのに必死だった。
自分は『プログラム』に選ばれた。
間違いなく、『あの馬』をめぐる戦いだ。
ここにいる騎手達と、命を賭けて。
競馬界で見慣れた人や、競馬学校時代の友人……
今、隣で震えている柴田とも、戦うかもしれない。
そんな、そんなこと……わからない、どうすりゃいい……
冷静な判断をする為に、現状を整理するつもりだった。
しかし、考えれば考える程、気持ちは混乱してゆく。
誰か、助けて……
だが、そんな蛯名の願いを無視するように、尾形の宣誓が響き渡った。
「ではこれより、プログラムを開始する!
制限時間は三日間。東京競馬場全域が戦闘エリアとなる。
勿論、一般人の立ち入りは禁止している。
全ての馬主にも既に連絡済だ。後悔の無い様、思う存分やりたまえ!」
【午前1時 プログラム開始 残り17人】
出発は、最初のひとりがくじ引きで選出され、それ以降はランダムだった。
森が用意した箱の中に尾形が手を入れ、1枚の紙を引く。
「それでは、最初に出発する者の名前を発表する……安藤勝くん」
全員の視線が、彼に集中する。
参加者中唯一、中央以外からの参加者だ。
「は、はいッ!」
自前の勝負服に身を包んだアンカツは、上ずった声で返事をし、立ち上がった。
そして、顔を強張らせながら部屋の出口へと進む。
その彼の右手には、愛用の鞭がが握られていた。
尾形がその姿を横目で見ながら、参加者にプログラムの説明を行う。
「私物の持参は自由だが、くれぐれも『お荷物』にならないよう、注意したまえ。
それから、出口で支給するデイパックには、武器がランダムで入っている。
有効に活用し、円滑にプログラムを進めて貰いたい。以上だ」
アンカツは出口でデイパックを受け取ると、部屋内へ向き直り、深々と一礼をした。
そして、一目散に外へと駆けて行く。
次の生徒の騎手は2分後だ。
皆一様に怖がっていたが、中には「やる気」になっている子がいるかもしれない。
特にアンカツの場合、参加者は皆、よく知らない者ばかりだ。
心を許せる人間が居ないことが、彼の不安感を更に増大させていた。
早くここから離れなければ……
その言葉だけが、アンカツの心を支配していた。
教室では、2番目に出発する騎手の名が呼ばれた。
「それでは、……江田照くん」
江田は「はいっ」と返事をして立ち上がったものの、一歩が踏み出せない。
「江田くん、早くしたまえ」
尾形は冷徹に、出発を促す。
「はい……」
江田は覚悟を決めると、夜の闇へと走り去って行った。
出発の点呼は続く。
次いで、藤田の名が呼ばれた。
しかし、藤田は何の反応も示さない。
あの時からずっと、四位の手を握ったままだ。
「藤田くん、早くしたまえ。
このままだと、プログラムの進行を阻害するものとして、君を排除することになる」
尾形から最後通告が発せられた。
それに反応するように、ようやく藤田が動き出す。
藤田の手から、四位の手が離れた。
「四位……じゃあ、行って来る。待っててくれ……」
藤田は俯いたまま、返り血を拭う事もせず、ゆっくりと立ち上がる。
そして、教室の出口ではなく、尾形の居る教壇へと向かった。
数秒後――
パシッ、
藤田の鞭がが、尾形の頭を捉えた。
兵士達が一斉に藤田に向け銃を構えるが、尾形がそれを制止する。
尾形は叩かれた頭を押さえつつ、じっと藤田を見た。
藤田の瞳は、さっきまでの無気力さが消え、怒りに満ちていた。
「絶対に……絶対に、許さないからな!」
藤田はそう言い放つと、足早に出口へと向かう。
意外なことに、尾形は藤田を咎める事もせず、ただじっと藤田の様子を見ていた。
出口へ向かう途中、再びシートが被せられた二人の調教師の死体の前で、藤田は足を止める。
この二人は俺達、現役ジョッキーをかばってくれた、それでこんな目にあった。
田原さん、アンタは、アンタはかばってくれなかったのかよ・・・・。
「・・・畜生め」
藤田はそう呟くと、デイパック受け取って教室を去って行った。
その後の出発は順調だった。
順調といっても、”藤田に比べたら”というレベルではあったが。
目眩を起こして倒れていたミキオは、歩くことがやっとだった。
北村も、力無く教室を後にする。
その横山典も、左足を微妙に気にしながら、出発して行った。
一人、また一人と、教室から参加者が消えて行く。
そして、蛯名の番がやって来た。
勿論、行きたくなんかない。
しかし、この場で抵抗しても無駄なのは判っている。
(行くしか、ない……)
名前を呼ばれ、立ち上がろうとする蛯名。
と、その蛯名の右腕を、ヨシトミが掴んだ。
「エビちゃん……大丈夫だよな。みんな、人を殺したりなんか、しないよな……」
柴田善の顔は蒼ざめ、恐怖と不安に震えている。
「勿論……大丈夫だ」
蛯名は優しく語り掛けた。
怖がりで本番に弱い柴田善の心を、少しでも落ち着かせなければ……
「みんな大丈夫だ。そんな簡単に、人を殺すことなんて――」
蛯名がそう言い始めた瞬間だった。
パンッ、パンッ、パンッ、
乾いた銃声が、外から聞こえてきた。
残っていた全員が、ビクッ、と肩を震わせる。
誰もが信じられなかった。
(まさか、本当に「やる気」になっている奴がいる!?)
「嫌だ……こんなの、嫌だあああっ!!」
柴田善は耳を塞ぎ、激しく首を横に振る。
蛯名の言葉に、わずかでも希望を持とうとした矢先の銃声。
容赦ない現実が、ヨシトミの希望を一瞬にして打ち砕いていった。
「……入り口で待ってるから!」
蛯名はそう言い残すと、デイパックを受け取り、部屋を出た。
恐怖に震える柴田善を、このまま放っておくことなど出来ない。
だからといって、迂闊に外で待ち合わせるのは危険だ。
さっきの銃声は、地下馬道入り口の辺りから聞こえてきた。
標的にされる可能性が高すぎる。
次に出発するのは、柴田善。
あそこで待っていれば、安全かつ迅速に柴田善と合流出来る筈。
ヘルメットだけ取りに行って、裏口から出よう……
蛯名はそう考えた。
しかし、それが悲劇の始まりだとは、この時、蛯名は知る由も無かった。
入り口に、人の気配は感じられなかった。
地下馬道までの十数メートルの間にも、動くものは見当たらない。
蛯名は慎重に周囲を警戒しつつ、荷物置き場へ向かった。
まずヨシトミのヘルメットを回収し、次いで自分のを回収する為に。
だが、自分のヘルメットに手を伸ばした時、蛯名はふと思った。
そうだ。
何故わざわざ、ヘルメットを取りにここへ来たのだろう。
今は非常時だ。
悠長に勝負服を替え、騎乗装備を調えて殺し合いをする人なんて、居やしない。
一刻を争うというのに、どうして、こんなことを……
危機感の欠如
それは、参加者の誰もが同じだった。
火事や地震と違い、殺し合いという状況に備えている人間などいない。
しかも、今まで出発した参加者には、主催者である尾形たち以外への殺意は、感じられなかった。
誰も人を殺すなんて、出来やしない。
とりあえず外へ出れば、何とかなるだろう。そう思っていた。
だが、そんな淡い期待は、さっきの銃声によって打ち消された。
信じたくは無いが、既に殺し合いは始まっている。
とにかく、ここまで来てしまった以上、早くヘルメットを取って戻ろう――
防具になるかも知れない。
蛯名は心の中でそう呟くと、ロッカーから自分のヘルメットを取り出した。
その時だった。
カチッ、という金属音とともに、何かが引っ掛かる感触が伝わって来る。
このロッカーの構造上、引っ掛かる物があるとは思えない。
嫌な予感がした。
暗がりの中、蛯名はロッカーの中を覗き込む。
そこには、ガムテープで固定された丸い物体が、一つ。
そして靴には針金が巻かれ、その先には
ピンを思わせる金属部品が結び付けられていた。
――手榴弾だ!
しかも、ヘルメットを取り出したことにより、ピンは外れている。
仕掛けた人物を詮索する時間など無い。
蛯名は全速力で、その場から立ち去るべく走り出した。
だが、運命は脱出を簡単に許してはくれない。
走り出した彼の眼前に、突然、人影が現れた。
肩がぶつかった。
足がもつれ、蛯名は廊下へと倒れ込む。
バッグと靴が、勢い良く床を転がって行った。
……誰だ!?
蛯名はロッカーの方向へと振り返る。
そこには、虚ろな目をした若い男が、ぼんやりと立ち尽くしていた。
「渡辺・・・・・。」
沖調教師の秘蔵っ子として、またへタレとして栗東では有名な騎手だ。
しかし、今の渡辺には、普段の明るさは微塵も感じられない。
当然だ。
今は殺人ゲームの真っ只中なのだから。
……だが、それ以上に、今の渡辺は様子がおかしい。
渡辺は腹部を手で押さえている。
そしてその手は、赤黒い血液に濡れていた。
「えびなサン……撃たれちゃったヨ。どうしよう……」
渡辺は、声を絞り出すようにして、語り掛ける。
その声は震え、息も荒い。
どんな素人が見ても、致命傷を負っている事は明白だった。
(どうしよう、って……)
蛯名は答えられなかった。答えられる筈もなかった。
手榴弾を発見し、そして傷付いた渡辺と遭遇するまで、ほんの数秒間。
突然すぎる恐怖と衝撃の連続に、蛯名の思考回路はパニックに陥っていた。
「……逃げろっっ!!」
蛯名は咄嗟に叫んだ。
そう、手榴弾のピンを引いてしまっている。
もう時間が無いのだ。
一刻も早く、ここから離れなければ――
そう思い、蛯名は体を起こそうとした。
その瞬間だった。
34 :
名無しさん@お馬で人生アウト:2001/08/21(火) 01:35 ID:wrUC7ezQ
都合によりage
なぜ上げる?
36 :
名無しさん@お馬で人生アウト:2001/08/21(火) 01:36 ID:wrUC7ezQ
大音響とともに、渡辺の背後のロッカーが吹き飛んだ。
強力な爆風とともに、埃や破片が彼らに降り注ぐ。
そして、その中でもひときわ大きな金属片が、渡辺の後頭部に突き刺さった。
「ぐっ」と、渡辺は小さなうめき声をあげる。
それが、彼の最期の言葉だった。
倒れ込み、動かなくなった渡辺の体が、みるみる血だまりに沈んでゆく。
蛯名は震えながら、その血だまりが広がってゆくのをじっと見つめていた。
そうする事しか、出来なかった。
【残り16人】
37 :
名無しさん@お馬で人生アウト:2001/08/21(火) 01:36 ID:wrUC7ezQ
(俺の……せい?)
(俺が、不用意にヘルメットを取りに来たから?)
(俺が、手榴弾のピンを抜いてしまったから?)
(だから……渡辺は死んでしまったの?)
蛯名の心の中に、自責の念が渦を巻く。
あの爆発以前に、既に渡辺は致命傷を受けていた。
自分が何もしなくても、彼は助からなかっただろう。
しかし、直接の死因は、あの爆発にある。
防ぐ事が可能だった筈の、あの爆発。
人を殺した
人を殺した
人を殺した
同じ言葉が、何度も何度も蛯名の頭を駆け巡る。
「違う!あれは……あれは……」
蛯名は頭を抱えて、泣き叫んだ。
気が変になりそうだった。
38 :
名無しさん@お馬で人生アウト:2001/08/21(火) 01:37 ID:wrUC7ezQ
「エビちゃん、しっかりしろ!」
その時、ヨシトミの声がした。
ハッとして、顔を上げる蛯名。
いつしか、蛯名の傍らには柴田善が寄り添っていた。
「……」
「エビちゃん……落ち着こうよ。事故だったんだろ?
渡辺には悪いけど……運が、悪かったとしか……」
そう、確かに渡辺は運が悪かった。
本来なら、今回集められた騎手は腕のいいヤツばかりの筈。
腕でいえば渡辺が選ばれるハズがない。
明らかな名簿の作成ミスだ。
と、ここで蛯名は今の状況に気付いた。
自分は今、ヨシトミに慰めてもらっている。
検量室の時とは、全く逆の立場になっているのだ。 (そうか……俺、強がっていただけなんだ……)
必要以上に張りつめていたものが、段々と緩くなってゆくのを感じた。
緊迫した状況に変わりは無いが、蛯名は少しずつ、冷静さを取り戻してゆく。
「……ありがとう」
蛯名はヘルメットを柴田善に渡すと、自分もそれをつけ、バッグを拾い上げた。
あと30分弱で、ここは立入禁止エリアになってしまう。
早くここから立ち去らなければ……
しかし、ここでまた新たな訪問者がやって来た。
「いったい何の騒ぎだよ、これは……」
そこに現れたのは、武豊だった。
豊は何故か、ゴーグルとヘルメットをかぶり勝負服を着ていた。
「お前……どうしたんだ?その格好」
蛯名は目を丸くした。
確かに、私物の持参は自由というルールだ。
しかし、教室を出た時の豊は、バッグ以外の物は持っていなかった。
「ああ、これ?ちょっとへ取りに寄って、着てきたんだ」
豊は苦笑する。
「どうせなら、最後は正装で死にたいからな……」
最後は――
とてつもなく、重い言葉だった。
豊に戦う意思が無いのは明白だが、この言葉は、彼が生き残る事を放棄するとも取れるものだった。
「豊……お前はは、生き残りたくないのか?『あの馬』に乗りたいとは、思わないのか?」
蛯名が問いただす。
しかし、豊の回答は実にあっさりしていた。
「まぁ、これに参加してる以上、気持ちが無い訳じゃない。
でも、人殺しをしてまで、俺は馬に乗りたいとは思わない。後味悪いからな。それだけだ。
生き残れたらラッキー、ってところかな。」
「なあ、豊俺達と一緒に行動しよう」
蛯名は言った。
「それがいい」
柴田善も続けた。
「それもいいかもな」
豊はそう言うと、渡辺の亡骸に近付き、その体からバッグを引き剥がした。
そして豊は、ポケットから拳銃を出し、構えた。
「むやみに人を信じたら、負けだよ」
それは一瞬の出来事だった。
数発の銃弾が、柴田善の体を貫いてゆく。
柴田善は、痛みを感じるより早く、着弾の衝撃によって床へと倒れこんだ。
「――!!」
蛯名は信じられなかった。
少なくとも、話していた時の豊の雰囲気からは、この状況は予測出来なかった。
だが、これは現実だ。
現に柴田善は、豊の放った銃弾を受け、血にまみれている。
次いで豊は、蛯名にも銃口を向けた。
手を伸ばせば届く程の至近距離だ。
外すことは有り得ない。
蛯名は咄嗟に、自分のバッグを豊の手めがけて振り回した。
豊の手からグロックが弾かれ、床を転がってゆく。
その隙に、蛯名は倒れた柴田善の手を引いて、物陰へと隠れた。
「しっかり!しっかりしろ!」
蛯名は、苦痛に喘ぐ豊に呼び掛けながら、バッグの中の武器を探す。
豊は銃を拾い、再び攻撃して来る筈だ。
時間稼ぎで構わない。彼を足止め出来る武器を……蛯名は祈った。
豊は廊下の端まで転がった銃を拾い上げると、蛯名たちが隠れた物陰へと歩を進ませる。
そして銃撃が始まった。
スチール製のロッカーが、激しい金属音を打ち鳴らす。
蛯名は銃撃の恐怖に震えながら、手にした武器を天井へと掲げた。
パンッ!パンッ!パンッ!
自分の物とは違う銃声に、豊は素早く身を隠した。
4列ほどのロッカーを挟んで、双方が対峙する。
豊が蛯名の出方を警戒している一方、蛯名の心は更に不安を増していた。
どうにか豊を牽制する事は出来たが、それとて一時的なもの。
どうすれば……どうすればいい?
蛯名の手中にあるパーティー用のクラッカーは、ほんの少しだけ、熱かった。
「豊!どうして!?どうして撃った?
人を殺したくないって言ったじゃないか!」
蛯名は豊に呼び掛ける。
時間稼ぎをしたいという思惑もあった。
だが、豊の行動に、どうしても納得がいかなかった。
理由を聞きたかった。
「死にたくないから、やっただけだ。……ナベを殺したんだろ!?
あいつを殺したおまえらを、信用できるわけがないだろう!」
豊は強い調子で言い返した。
誤解している。
「違う!渡辺をを撃ったのは俺達じゃない!
それに、あの爆発も偶然……偶然だったのだ。信じてくれ!」
だが、豊は蛯名の弁明に耳を貸す事はしなかった。
「言い訳なんか聞きたくないね。理由はそれで充分……」
豊が動き出した。
一歩ずつ、足音が近付いて来る。
蛯名は、急いで柴田善のバッグを探り始めた。
もうクラッカーでは誤魔化せない。
今度こそ、武器らしい物が入っていますように……蛯名は祈った。
だが、祈りは届かなかった。
蛯名が手にした武器――それは透明プラスチックで成型された水鉄砲だった。
勝負にならない。
段々と豊の足音が近付くなか、蛯名は今度こそ死を覚悟した。
『あの馬』に跨る事も無く、ここで豊に殺される。
嫌だ。嫌だけど……
蛯名は生き残る事を諦めかけてゆく。
しかしその時、意外な声が玄関に響き渡った。
「おまえら!ここでの戦闘は速やかに停止しろ!」
いつしか、この場所は尾形と兵士達によって包囲されていた。
「まったく、困った奴らだ……ここには大会本部が設置されている。
これ以上戦闘を続けた場合、プログラムの進行を著しく妨害したものとして……」
そして尾形は、『あの』リモコンをポケットから取り出し、掲げる。
思わぬ水入りだった。
豊は悔しそうに唇を噛む。
そして蛯名は、ほっと胸を撫で下ろした。
とりあえず、差し迫っていた危機は回避出来た。
しかし、決してプログラムから解放されたわけではない。
撃たれた柴田善の状況も、予断を許さない。
――と、ここで蛯名は柴田善の異変に気付いた。
さっきまでの苦しそうな息遣いが聴こえない。
何事も無く、静かに眠っている様に見える。
いや、もう寝息さえ立てていなかった。
「……おい?」
嫌な予感がした。
蛯名は慌てて柴田善の手を掴み、脈を測ろうとする。
……もう、鼓動を感じることは出来なかった。
(うそ……嘘でだろ)
蛯名の胸に、悔しさと怒りがこみ上げてくる。
「こんな、こんなことって…………こんなのおかしい!理不尽だ!」
蛯名の嗚咽が玄関中に響き、やがて廊下や階段へと伝わって行く。
その音を聴きながら、豊は荷物を抱え、裏口へと歩き始めた。
50 :
1:2001/08/21(火) 01:45 ID:wrUC7ezQ
だぶん続く
今日はもう終わりなのか?
まわりを殺し合いさせて、生き残ったのは癒し系の幹夫でした。
「あー平和になったな。マターリしよう」
■■■■■■■■■■■■ 終 了 ■■■■■■■■■■■■
正義は勝つ!
流石はユタカ(w
55 :
名無しさん@お馬で人生アウト:2001/08/21(火) 02:02 ID:n11HIVNI
誤字が半端にある
56 :
名無しさん@お馬で人生アウト:2001/08/21(火) 02:03 ID:n11HIVNI
俺のIP、病気
57 :
名無しさん@お馬で人生アウト:2001/08/21(火) 02:03 ID:n11HIVNI
IDだった、
豊は幹夫をヤるのは忍びなかったので、二人で王国を作ってマターリしました。
fin
郷原は出てくるのかな?
>>58 リレー小説かよ!
ユタカ幹夫をヤっちゃったよ!
幹夫ケツ大丈夫かよ!
61 :
幹夫:2001/08/21(火) 02:12 ID:???
痛いです。
豊はテクなしです。
去年、モー板で見たのは結構よかった
ユタカとミキオは子供を作って王国を大きくしていきました。
そしてみんなで幸せに暮らしました。
- 終 -
尾形が全員壊しました。
〜〜〜〜end〜〜〜〜
おい、続き
なんか藤田がカコイイ
続きが気になるのでage
種無しは案の定の役どころだな。
幹夫はやはり姫っぽい
種無しは腹黒
続きは?
トータルで18人らしいが
参加者は誰?
誰か続きアプしてよ
もちろん、ゆっこたん&れなたんはでるんだろうな?
73 :
続きだ:2001/08/22(水) 02:56 ID:R5XQxLyc
「マサト……俺は、俺は……」
スタンド入り口前のベンチで、岡部は震えていた。
その震える手には、拳銃が握られている。
岡部は出発した直後、検量室近くに身を隠していた。
立入禁止エリアになるギリギリの時間まで、柴田政人の近くに居たかったのだ。
一人、また一人と、参加者が地下馬道を過ぎて行く。
この場に留まっていられる時間が、どんどん少なくなって行く。
岡部は怖かった。
関係者施設より先の世界に出ることが、たまらなく怖かった。
(殺される。誰かに会ったら、殺される。
だから守らんと。この銃で、自分を守らんと……)
支給された銃を握って、岡部はこの言葉を何度も何度も繰り返す。
74 :
ID晒して逝くぞ続編:2001/08/22(水) 02:57 ID:R5XQxLyc
その時だった。
「岡部さーん、岡部さんでしょ・・・・・?」
かけられた言葉に、岡部は素早く反応する。
(見つかった!?)
岡部は声のした方向へと向き直り、銃を構えると、引き金に力を込めた。
そこで初めて、声の主が渡辺である事を知る。
しかし、渡辺は岡部に危害を加える素振りを見せなかった。
(――撃っちゃダメだ!)
岡部は瞬時にそう思った。だが、引き金を引く指の動きは止まらなかった。
そして……
75 :
1:2001/08/22(水) 02:57 ID:R5XQxLyc
岡部は校門を飛び出したあと、無我夢中で場内を走り回り、この場所へと辿り着いた。
だが、どんなに走り回って気持ちを紛らわせても、
渡辺に発砲した時の映像が、頭の中で何度も何度もリフレインする。
「母ちゃん……俺、人を殺しちゃっまたよ……どうしよう……」
もはや岡部は、俯くことしか出来なくなっていた。
と、その時――
誰かがやって来て、岡部に声を掛けた。
「大丈夫……ですか?」
76 :
1:2001/08/22(水) 03:01 ID:N.qvBMO.
声を掛けたのは、松永幹だった。
「柴田さんの事は、お気の毒ですけど……元気、出しましょう」
ミキオはそう言うと、岡部の隣に腰を降ろした。
「……」
岡部は銃を構えなかった。構えられなかった。
渡辺の二の舞いは避けたかったし、
優しく接してくれる人に、銃は向けられなかった。
岡部はそっと、銃をバッグにしまい込んだ。
ミキオは自分のうなじのあたりを撫でながら、岡部に話し掛ける。
「ひとつ、聞いていいですか?
岡部さんは『あの馬』について知っておられるのですか……」
77 :
1:2001/08/22(水) 03:01 ID:???
岡部はゆっくりと、頷いた。
「……ああ、少しなら、知っている。
今回造られるクローンホースはSSだ、しかし……」
「しかし?」
岡部は少し怒ったような顔をした。
「しかし、本来なら俺が乗ることが決定していたはずだ。
藤澤厩舎に入厩して……」
78 :
1:2001/08/22(水) 03:02 ID:???
「そうですか。でも……」
ミキオは岡部の方を向くと、つぶやいた。
「それは、からかわれただけだと思います」
(――なに?)
意外な返答に岡部は驚いた。
そしてミキオは、岡部と目を合わせる事無く、淡々と話し続ける。
「藤澤先生が、馬主さんと話しているのを、聞いたことがあります。
”あの爺さん、本当に痴呆症だなぁ”って、笑いながら話していましたよ」
あまりに痛烈なミキオの言葉に、岡部は言葉を失った。
(なんだと……コイツ、何を言ってるのだ?嘘つけ!?)
79 :
1:2001/08/22(水) 03:04 ID:???
「岡部さんは、みんなから”アイドルジョッキー”
って言って貰った事、ありますか?あるわけないですよね」
ミキオは続けた。
「ボクが勝つとお客さんは喜ぶんです“ヤッターミッキー”って
ボクが負けるとお客さんは慰めてくれるんです“惜しかったねミッキー”って……」
淡々と語るミキオの姿に、岡部は絶望した。
慰めてくれると思っていたのに、どうして……
しかし、ミキオの辛辣な言葉は止まらない。
「あなたは、お客が呼べる騎手として見られていないんです。
このプログラムに勝ち残る意味なんて、無いんですよ……」
決定的な一言だった。
80 :
1:2001/08/22(水) 03:04 ID:???
「なんでだ……なんで、そんなこと言うんだ!?」
岡部は泣きながら訴えた。
だが、岡部はそれを軽く受け流す。
「事実だからです。それにボク、言いましたよね?
ボクが勝つとお客が喜んでくれるって。だから……」
ミキオは岡部の目をじっと見て、静かに微笑んだ。
口元が、すぅっ、と上にあがる。
「ボク、決めたんです。生き残るって……」
その瞬間、岡部は言い知れぬ恐怖感を覚えた。
体中の血の気が、一瞬にして引いて行くのを感じる。
「う……うやああああっ!!」
岡部の絶叫が、夜の競馬場に響く。
81 :
1:2001/08/22(水) 03:05 ID:???
ザシュッ!
ミキオが隠し持っていたサバイバルナイフが、岡部の喉元を掻き切った。
血飛沫を上げながら、、岡部の体が地面へと崩れ落ちて行く。
ミキオはナイフから滴り落ちる血を見つめながら、呟いた。
「もうずっと、政人さんと一緒なんですから……寂しくなんかないですよ」
【残り14人】
82 :
1:2001/08/22(水) 03:05 ID:???
朝霧の中、熊沢は歩いていた。
誰かを殺すか、誰かに殺されるか……
嫌な選択肢しか残されていない現状を、忘れたかった。
熊沢は出来る限り、プログラムの事を忘れようと懸命だった。
しかしパドックを過ぎ日本庭園に入った時、熊沢は現実に引き戻される。
濃い霧の先に、誰かが立っている……
熊沢は走るのを止め、警戒しつつ、霧中の人物に声を掛けた。
「誰だ?そこに居るのは……返事をしろ」
そして数秒後、聞き慣れた声で返事が帰って来る。
「おれだよ 熊ちゃん」
武豊の声だ。
豊の声に安心した熊沢は、警戒を解き、豊に近付いて行く。
「無事だったんだ、武さん……怪我してない?大丈夫?」
「まあね。一応、生き延びてるよ」
普段通りの明るい声で、豊は答えた。
(良かった……元気そうだ)
熊沢は、豊と再会出来る喜びを噛み締めていた。
たった数時間しか離れていないのに、数週間振りに会うような感覚。
緊張していた心を、ようやく落ち着ける事が出来る……そう思っていた。
だが、豊にあと2〜3メートルまで近付いたその時、熊沢は自分の目を疑った。
霧の中から現れた豊は、熊沢に銃口を向けている。
「あはは、悪く思わないでね、熊ちゃん」
そうつぶやく豊の表情は、冷静だった。
「――どういうつもりだよ!?武さん……」
熊沢は動揺を隠し切れない。
しかし、豊はあくまで冷静に、言葉を続ける。
「動かないでくれよ……弾が外れるからさ」
「本気……なのか?」
熊沢は信じられなかった。
豊が自分に銃を向けるなんて、嘘だ。こんなの嘘だ……
しかし、豊は銃を下ろさない。
「本気よ。友達だからこそ、俺はオマエを撃つ……」
「どういう事だよ、それは――」
と、熊沢が言いかけた所で、何処からとも無く大音量でファンファーレが流れて来た。
東日本地域でのGTのテーマだ。
そしてそれに続いて、尾形のあの嫌味な声が聴こえて来る。
「おはよう諸君!朝6時になった。それではこれより、
第1レースが確定したので発表しよう。よく聞いておくように」
それは、6時間毎に流される定例放送だった。
二人は動きを止めたまま、その放送に聞き入る。
「これまでに脱落したのは、四位くんこれは開始前の死だから競走中止だな
それと渡辺くん。柴田善くん。そして、岡部くん……以上4名だ。
意外とペースが早い。3日もしないうちに終了するかもしれないな。
一番人気(早く死ぬと思われていた順番)の渡辺君が来た時には、鉄板かと思ったが
2着に柴田善君、3着に岡部君が入って人連、ワイドとも万馬券だぞ
それでは諸君、頑張ってくれたまえ。また6時間後に会おう」
尾形が、フェードアウトしてゆく。
そして熊沢は、その放送内容に愕然とした。
「もう……もう4人も死んだっていうのか!?
それあいつら俺達で賭をしてやがる!」
「そうさ。そして、ヨシトミさんを殺したのは、俺……」
豊のその言葉が、熊沢の心に更に傷を刻む。
「う、嘘だろ?……」
「本当だよ。もう殺し合いは避けられない。オマエもいつ、
誰に殺されるかわからない。……オマエが他の誰かに殺されるのは、嫌なのさ。
だから、友人として、俺にはオマエを殺す義務がある……」
豊の言葉に同意出来る筈はなかった。
しかし、銃口は自分に向けられている。
このまま死ぬのは嫌だ……熊沢はそう思った。
熊沢はフッ、と溜め息をつくと、挑戦的な目つきで豊を見て、言った。
「……で、俺の都合はお構いなし、ってわけ?」
86 :
名無しさん@お馬で人生アウト:2001/08/22(水) 03:12 ID:N.qvBMO.
「そりゃあ天下の武豊が殺してくれるなら、少しはドラマチックかもしれない。
でもね……俺だって、死にたくないんだ。それに……」
熊沢はそう言うと、背中のバッグから日本刀を抜いた。
「どうせなら、正々堂々と勝負しようじゃないか。
いきなり銃を構えて現れるなんて、ずるい……」
熊沢の目に、迷いは無かった。
(ただ黙って殺されるくらいなら、俺は闘う事を選ぶ。
たとえ相手が、豊であろうとも……後悔はしない!)
豊は、そんな望の姿を見て、微笑んだ。
「……勇ましい答えね。オーケー、じゃ、始めようか」
熊沢は汗ばむ両手を気にしながら、刀を構え直す。
「やるからには、全力を尽くすからな……」
「もちろんさ。Are you ready――GO!」
パンッ、パンッ、パンッ。
87 :
1:2001/08/22(水) 03:13 ID:N.qvBMO.
「やっぱり、無茶だったかな……」
木陰で、熊沢がつぶやいた。
戦闘開始の合図とともに、並木道の方向へとダッシュした。
銃が相手では、日本刀といえど勝ち目は無い。
しかし、この濃霧を味方に付ければ、まだ勝算はある。
豊の放つ銃弾を辛うじて避けながら、熊沢は街路樹の陰で機会を窺っていた。
霧の中から、豊の影が近付いて来る。
こちらから打って出るには、弾切れの瞬間を待つしかない。
危険な賭けだ。
だが、それしか手段は思い浮かばない。
熊沢は意を決して、木陰から飛び出した。
「さあ、当ててみな!」
豊が少しぼやけて見える位置で、熊沢は叫んだ。
多少距離があるとはいっても、充分射程距離内だ。
豊は熊沢に向け、数発連射する。
しかし、霧で視界が悪いのに加え、熊沢はあっという間に別の木陰へと移動してしまう。
「熊ちゃん!正々堂々と闘うんだろ?
コソコソ隠れて鬼ごっこだなんて、男らしくないなぁ」
少し不機嫌そうな口調で、豊が呼び掛ける。
しかし、熊沢は動じない。
「正面で一騎打ちをする事が、全てじゃないさ。
俺は障害にも乗るんでね、
武器の性能差を考えた上での、ベストな戦法だと思うけど……」
熊沢はそう言うと、豊との距離を確認しつつ、もう一度、木陰から飛び出した。
(そろそろ弾が切れてもいい頃だ。チャンスは逃すな!)
自分にそう言い聞かせ、熊沢は数本先の並木へとダッシュする。
しかし、回避出来ると思っていた弾の一発が、熊沢の左肩を捉えた。
「くっ!!」
どうにか木陰には辿り着いたものの、かつて経験した事の無い痛みが、全身を襲う。
左手が流血で染まり、握力がみるみる落ちて行く。
熊沢は肩口をタオルでギュッと縛り、一応の止血を施した。
しかし、血は止まりそうに無い。
「そろそろ……勝負時だな……」
豊の足音が近付いて来る。
もはや、弾切れを待っている余裕など無い。
ほんの一瞬でいい。豊の動きを封じる事さえ出来れば……思考を巡らせる。
そして、熊沢は背中のバッグを下ろした。
陰からそっと顔を出し、豊との距離を見る。
「(――届く!)」
熊沢は心の中でそう叫ぶと、バッグを豊の真正面へ向けて投げつけた。
豊の目線に、突然、バッグが飛び込んで来る。
反射的に銃を構え、豊はそのバッグに銃弾を撃ち込んでゆく。
空中でバッグが二度、三度と踊った。
そして、踊り疲れたバッグが引力に引かれ始めたその瞬間――
バッグが作った死角から、熊沢が一気に飛び込んで来る。
バッグに気を取られていた豊は、予想外の進撃に反応出来ない。
熊沢は低位置から懐に入り込むと、刃を180度返し、渾身の力を込めてそれを拳銃に叩き込んだ。
「とぉりゃあああああっ!!!」
ガキィィィン!!
金属音と共に、豊の拳銃が宙を舞い、繁みの中へと落ちて行く。
激痛に近い手の痺れに、豊は思わず顔を歪めた。
(2度も……2度も銃を弾かれた……)
そんな自戒の言葉が、豊の脳裏をかすめる。
だが、状況はそんな反省の時間も与えてはくれない。
熊沢は間髪を入れず、豊に斬りかかって来る。
豊は辛うじて、熊沢の斬撃を避け続けた。
しかし超速の刃は、豊の頬や勝負服を、何度も薄く切り裂いてゆく。
そして、路上の小石が豊の足元をすくった。
(嘘だろょ!?ここで、The ENDなの?……)
自分の体が宙を舞った瞬間、豊は自分の周囲がスローモーションになってゆくのを感じた。
そして、尻餅をついて倒れた豊の顔面に、鋭い切っ先が突き付けられる。
熊沢は、真剣な眼差しで呟いた。
「さあ、これで終わりだよ」
熊沢の勝ちは明白だった。
だが、熊沢はなかなかとどめを刺そうとしない。
「どうして……どうして殺さない?」
豊が尋ねる。
「どうしてかな……覚悟を決めた筈なのに、まだ、怖いのかもな……」
さっきまで冷徹だった熊沢の顔に、苦笑いが漏れる。
「……熊ちゃん、ひとつ聞いていいか?」
「何?」
「あの時、どうして逆刃で銃を叩いた?右手ごと切り落としたほうが、簡単なのに……」
豊は不満だった。
全力で闘うと言われながら、手を抜かれた……それが納得出来なかった。
「ああ、あれか……武さんの今後を考えたら、腕は切れないよ――」
豊は、熊沢の言葉が理解出来ない。
(なんだと?もうすぐ死ぬ人間に、どうして今後の心配なんてするのだ……)
「――だって、天国へ行っても、馬に乗っていたいだろ?だから……
腕がなくちゃ天下の武豊でも馬は追えないからね」
熊沢のその言葉が、豊の胸を締め付ける。
「熊ちゃん……おまえ馬鹿だ。大馬鹿……」
豊の頬を、涙が伝う。
「そんな……余計な心配しなければ……殺られなかったのに!!」
豊は左手で刀を払いのけると、右手でポケットから何かを取り出し、熊沢に押し当てた。
途端、熊沢の全身に凄まじい衝撃が走る。
刀が手から離れ、立っていられない程の脱力感が、全身を襲う。
「そうか、電気、か……」
意識が朦朧とする中、熊沢は豊の右手に握られた武器を見た。
それは、本来渡辺に支給された筈のスタンガンだった。
豊はもう一度、熊沢に電撃を仕掛ける。
熊沢は意識を失った。
そして再び気付いた時、熊沢の眼前には、刀の切っ先と、それを構える豊の姿があった。 「形勢逆転だね、熊ちゃん……」
「ああ、そうみたいだな……」
「……バイバイ……」
そして豊は、刀を握る手に力を込めた。
渡辺の時には感じなかった嫌な感覚が、掌に伝わって来る。
そして路上に拡がる血溜まりを見ながら、ニヤリと笑った。
【残り13人】
94 :
1:2001/08/22(水) 03:21 ID:???
たぶん続く
やたー!ミキーオが岡部を成敗したよ!!
96 :
1:2001/08/22(水) 03:26 ID:N.qvBMO.
誰か続けといてくれ
97 :
名無しさん@お馬で人生アウト:2001/08/22(水) 03:35 ID:6vpMpT12
蛯名はどうした?
熊の方が先輩なのに「熊ちゃん」「武さん」は違和感あり。
3人の兄弟が山登りに行って遭難した。
夜になって、「このまま死ぬのか?」と思ったとき、1件の民家が見えた。
助かったと思い訪ねてみると、その家には美人の娘と、めちゃくちゃ怖そうな親父が住んでいた。
「よそ者は泊めない」という親父を、「かわいそうだから」と娘が説得し、
物置小屋に一晩泊めてもらう事に。しかし、その娘のあまりの美しさに目がくらんだ3兄弟は、
夜中にトイレに起きてきた娘に襲いかかった。
しかしすぐに親父に取り押さえられ、「お前等、全員殺す!!」と日本刀を抜かれた。
だが3兄弟は土下座して必死に謝った。父親は、「ここは山奥で食料も少ない。
山から食料を持ってきたら、山のふもとへ抜ける裏道を教えてやろう」と、条件を出した。
3人はすぐに小屋の近辺を探した。
はじめに戻ってきたのは次男だった。次男は、山ブドウを持ってきた。
それを見た父親は、「それをケツの穴にいれて見ろ」と言った。
次男は言われるまま、1粒のブドウを自分のケツの穴に入れた。
そして次男は裏道を教えてもらい、無事山を降りた。
次に、三男が大きく実った栗を沢山抱えて戻ってきた。
父親は同じようにケツの穴に入れることを命じた。
三男は必死に頑張って、栗をケツの穴に入れ始めた。
もう少しで入るという所で、三男は何故か笑ってしまい、栗はケツの穴からいきおい良く飛び出した。
三男は、そのまま父親に殺された。
三男は見てしまったのだ。
嬉しそうに、スイカを抱えてこちらに走ってくる長男の姿を・・・
100 :
吟遊詩人:2001/08/22(水) 04:45 ID:???
100
種なし
クラッシャー
そうだね
ミキオ
(´ε ` )
熊沢
いい爺
ヨシトミ
ヨコテン
眉毛
北村宏
エダテル
アンカツ
未登場あと5人?
もう
>>1 がいないから俺もモトネタ見つけて作っちゃったけど
続き出来てたんだね。 がんばれ1
タヴァラ期待age
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
/ \
/ \
/ /. ̄ ̄ ̄ \ |
/ / \ |
| / ■■■■''~'■■■ |
| |:: :::ヽ ●) ヘヽ ●) 丿
| (⌒\| :::::: ̄ ̄. ノ \ ̄ :)
| (∂ノ :::::: :::::: :.( .\/
| ゝ ::::: :::::: / (⌒ヽノ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
\ \ ::: ( / ̄ ̄ ̄/ < そうだね!
 ̄ \::: \ / \__________
\:::  ̄ ̄/
ヽ____ソ
甘さの差がモロに出たな。
ステイゴールドが勝った(かつて惜敗しつづけた)差がこうなったのやら?
福永、シャー、吉田(豊)、木刀、業腹、きぼんにゅ。
熊沢カコイイ
選ばれたのはトップジョッキーばかりなんだろ?
渡辺は名簿のミスで選ばれたらしいが。
だとしたら業腹はメンバーには入ってないな。
今年のダービージョッキーは入るんですか?
騎手会長イイ爺を殺るとは。ミキーオやるね!
それにしても四位はあっけなかったな。
特別プレゼントだ、桐山。
今日の続きはまだ?
>>110 ミスかもしれんが人連を設けてるくらいだから、わざと選択したかも。
ならコネ出場と見せかけての確信犯的選択があるかも。
霧の中、青年は立っていた。
周りは何も見えない。
「ここは……何処だ?」
無の世界が、彼を不安にさせる。
突然、目の前に人影が現れた。
「あなたは……」
現れたのは『彼』だった。
『彼』は青年に向かって微笑むと、スッと背中を向け、歩き出して行く。
(え!?それだけで……行っちゃうの?)
青年は『彼』を追い駆ける。
「待ってください!僕は、あなたにどうしても伝えたいことが……」
『彼』は走ってはいない。
だが、どうしても追いつく事が出来ない。
霧の中に『彼』の姿が消えて行く。
「待って!僕の話を……聞いて……」
青年は泣きじゃくりながら、必死に『彼』を追い駆ける。
しかし、ついに『彼』の姿は、霧の中に呑みこまれてしまった……
空馬房の寝藁の上で、武幸四郎は目覚めた。
「嫌な、夢……」
彼はそう呟いた。
あのひとのことを、影から遠巻きに見ていた日々。
素直に話し掛けられず、レース中にあのひとにぶつかっては誤魔化していた日々。
間違い電話を装って、携帯の留守電にメッセージを入れた日々。
――何一つ、堂々とあのひとに接する事が出来なかった。
(……どうして、積極的にアプローチしなかったの?)
幸四郎は自分自身に問い掛ける。
ほんの少しだけ、勇気を出せば済んだ事なのに。
もっと早く、気持ちを伝えてしまえば、こんな事にはならなかったのに……
考えれば考える程、後ろ向きな言葉しか浮かんでこない。
「もう、隠れてコソコソしているなんて嫌なのに……どうして……」
と、その時、目覚まし時計のようなアラーム警告音が鳴り響いた。
幸四郎は、慌てて音源の機械のボタンを押し、警告音を止める。
彼が手にした機械――それは、武器として支給された対人レーダーだった。
そしてレーダーの画面には、二つの光点が映し出されている。
「――誰かが来る!」
幸四郎は慌てて荷物をまとめ、非常口へと走った。
そしてレーダーをチェックしながら、脱出の機会を窺う。
……だが、レーダーの光点は、段々と離れて行く。
どうやら通り過ぎて行ったようだ。
幸四郎はホッと胸を撫で下ろすと、その場に座り込んだ。
「結局、隠れ続けるしかないのかな……僕って……」
レーダーの光点は、一定の距離を保ったまま、静かに移動していた。
「なあ、四位……お前の仇を討つには、どうすればいい?」
トキノミノル像の前でバッグの中身を確認しながら、藤田伸二が呟く。
あの惨劇から数時間……藤田は当ても無く競馬場内を彷徨っていた。
「絶対に許さない!」と啖呵を切って出発したものの、何をしたら良いのかが全く分からない。
ただ、確実に言えるのは『途中で死んだら負け』という事だけ。
既に此処へ来るまでに、何人もの死体を見てきた。
(あの連中みたいには、なりたくない。
途中で死んでしまったら、四位の仇も討てない。
絶対に……絶対に生き残って、尾形のクソ野郎をこの手で殺すんだ――)
例えようの無い強力な復讐心が、藤田を動かしていた。
藤田はパンやミネラルウォーターといった食料を確認すると、バッグから武器を取り出した。
『当たり』と言っても良いだろう。小型のマシンガン、マイクロウージー9ミリだ。
「超ラッキー。これなら何とか生き残れそうじゃん」
藤田の顔に、安堵の笑みが漏れた。
添付されている簡単な説明書を見ながら、藤田は操作手順を確認する。
そして、弾倉を差し込もうとしたその時――
形状が違う。
何度差し込もうとしても、はめ込みが上手くいかない。
藤田は慌てて予備の弾倉を取り出し、同様に差し込んでみる。
しかし、どれもマイクロウージーには一致しない。
「そんな……まさか、配給ミスなわけかよ!?」
さっきまでの安堵感が一瞬にして消え、藤田の心に焦りと不安が忍び寄る。
――その時、藤田は弾倉の一つに挟み込まれた紙を見つけた。
何かが書かれている。
藤田はその紙を取り、開いて読み始める。
その文面は、藤田を絶望の淵に叩き込むものだった。
☆とっかえだまシステム☆
このマシンガンの弾は、他の誰かが持っています。
そして、その誰かが持っている銃には、この弾が使われます。
その人を探し出して、弾を交換しましょうね。
「……っ…ざけんなっっ!!」
藤田は弾倉を床に投げつけた。
無用の長物となった弾倉は、くるくると回りながら、床の上を転がって行った。
>>(゚д゚)ウマー
君の話おもしろくない
止めて
(゚д゚)ウマーかわいそう
四位や藤田を庇ってくれなかった田原調教師を出演させろ!
馬糞の匂いがした。
眠りから覚め、まだ意識が朦朧としている蛯名の脳裏に、あの日々の記憶が蘇る。
レース当日の朝、あの馬がいる馬房に向かった。
「今日は乗り鞍も少ないし、たまには様子を見てやろうと思って」
最初は、そう言うのが恥ずかしかった。
でも、その後で一緒に食べた干草の味が、それを忘れさせてくれた。
レース前の、ささいな、それでいて素敵な時間。
あの馬房には、いつも馬糞の香ばしい匂いが漂っていた。
……そう。俺はあの出張馬房に逃げ込んだんだ。
偶然鍵が開いていたここに飛び込んだ。
とにかく疲れていた。
いつもの洗い場で水を一口飲んで……そのまま眠ってしまった。
――俺、何時間眠っていたんだろう?
蛯名は時刻を確認しようと、腕時計を見ようとする。
しかし次の瞬間、蛯名は自分の腕を見て驚愕した。
何者かの手によって、両手が縛られている!
そして蛯名は、足にも違和感を感じた。
両足首までもが縛り付けられている。
(何が……どうなってるんだ!?どうして俺は縛られてる?)
蛯名は必死にもがくが、ロープは簡単にはほどけない。
「一体、誰がこんな事を……」
と蛯名が呟いた時、馬房の奥から物音がした。
地面にポリバケツを置き、そこに馬糞を捨てる音。
香ばしい香りが、辺り一面に広がってゆく。
「誰だ!?そこにいるのは……誰なんだ?」
蛯名の呼びかけに応じ、音の主が物陰から現れる。
「あ、目が覚めたんですね。蛯名さん」
淡々と受け応えをするその男の姿に、蛯名は驚いた。
「お前は……」
その男には、見覚えがあった。
何処かで見た若い男…そうだ、数年前のクラシックで活躍した馬の主戦ジョッキーだ。
男は蛯名の向かいの馬房を出ると、何事も無いかのように馬糞を食べ始めた。
「お前なのか?こんな事をしたのは……頼む、これを外してくれ」
蛯名は男に嘆願する。
だが、男は馬糞を一つ食べ終えると、笑顔を見せながらそれを拒否した。
「駄目だよ。一度目が失敗したんだから、二度目を逃がす事は出来ないね」
「……二度目?」
「そうだよ。これに見覚えは無い?」
男はそう言うと、ポケットからある物体を取り出した。
――手榴弾だ!
蛯名は思い出したくない記憶を思い出す。
荷物置き場を出発しようとした時に、ロッカーに仕掛けられていた手榴弾……
「まさか、お前が……」
「正解。こんなのがオマケに付いてたし、やるしかない、ってね」
男はそう言うと、文庫本サイズの小冊子を取り出した。
表紙には『初歩のトラップ作成法』と書いてある。
「どうして……どうして、そんな事をしたんだ?」
蛯名は唇を噛み締めながら、拳を震わせる。
「答えろ!お前がそんな事しなければ、ヨシトミさんは……渡辺は……」
その言葉に、男の顔から笑みが消えた。
「……アンタのせいだよ……」
男は呟いた。
「……え?」
「蛯名さん……アンタがいるから、僕はGIを勝てなかったんだ!」
激昂する男の目に、涙が浮かぶ。
蛯名は、男の発言の真意が分からない。
「俺の……せい?どういうことだ?」
蛯名の問いに、男は目を伏せながら答えた。
「僕は……GIレースを勝ちたかったんだ!」
あのデビューの日から……僕はずっと、あいつに騎乗していた。
中距離で勝てず、長距離でも勝てず…。
そして短距離に出走してようやく勝てると思ったら目の前にアンタがいたんだ!
あいつと共にいつかGIを獲ることが、いつしか僕の楽しみになっていた。
でも、ひとつだけ……ひとつだけ、気に入らなかった。
アンタは、いつもいい馬ばかり乗っていた。
僕なんて、何度もクビになった!
やっとあいつがGIに勝てた時……僕はもう乗っていなかったんだ!
男は席を立った。
そして馬房の出入口へと歩いて行く。
「待ってくれ!縄をほどいてくれ、お願いだ!」
蛯名が叫ぶ。しかし、男は全く意に介さない。
「駄目だよ。アンタには、ここで死んでもらうんだから……」
男は出入口に立つと、蛯名の方向へ向き直り、そして手榴弾のピンに指を掛けた。
「それじゃ、さよなら……蛯名さん」
蛯名は死を覚悟した……もう何度目だろう。
しかし流石に、もう逃げる手段は無い。
ヨシトミの所へ逝く……そう思った瞬間だった。
バスッ!バスッ!
ショットガンの発射音と共に、出入口のガラスが割れ、男の背中に弾が撃ち込まれて行く。
「誰……」
男は振り向こうとする。
しかし間髪を入れず、弾は次々に撃ち込まれる。
遂に手榴弾のピンを抜く事無く、振り向く事も無く、男はうつ伏せに倒れ込んだ。
蛯名は、突然の出来事にただ唖然とするばかりだった。
そして出入口から、誰かが入って来る。
ショットガンを携えたその人物は――横山典弘だった。
「もう大丈夫だぜ、蛯名」
【残り12人】
赤黒い血が地面を汚す中、横山典は蛯名に近付き、縄をほどいて行く。
「大変だったな。逆恨みにも程があるぜ」
そう話す横山の姿は、普段競馬で見る時とは全く違っていた。
いつもの高飛車な態度が感じられず、世話焼きのいい奴といった印象だ。
しかし、蛯名はそんな印象を感じる事すら無かった。
微動だにせず、空虚な心のまま、血に染まった男の死体を見つめている。
「……忘れろよ。あいつには悪いけど、こうしなければ、おまえが死んでいたんだ」
横山が語り掛ける。
「そう……とにかく、ここは危険だ。早く離れよう」
横山はそう言うと、近くの小屋へ行き、冷蔵庫から軽めの食料を取り出してバッグに詰めた。
蛯名も立ち上がり、改めてバッグを肩に掛ける。
だが、なかなか歩き出す事が出来ない。
血まみれで倒れている男の体から、どうしても目を離す事が出来ない。
「蛯名……」
その光景を見た横山は、一瞬、言葉に詰まった。
あの男を殺したのは、他でもない自分。
危機的な状況だったのは確かだが、本当に殺す必要があったのか……他に手は無かったのか?
様々な自問自答が、頭の中を駆け巡る。
(……今は考えては駄目だ。考え始めたら、行動に迷いが出る。生き残れなくなる……)
横山は、その後悔の念をすべて封印した。
都合の良い解釈と思われても構わない。
おまえの死は、決して無駄にはしない……そう自分に言い聞かせた。
横山は蛯名の肩を叩き、出発を促す。
蛯名も頷き、ようやく歩き出す。
ボロボロになったドアを開け、二人は出張馬房を出た。
晴れ渡った空と爽やかな風が、現実とのギャップを余計に感じさせ、切ない気分にさせる。
ロープの痕が残る腕……そこに巻かれた時計は、午後2時を指していた。
136 :
鬱だ氏のう:2001/08/23(木) 11:38 ID:c7qaQJgE
夕方が近付いていた。
競馬資料館の中で、安藤勝は一人、佇んでいる。
「風車ムチを打ちたい……」
彼はそう呟いた。
風車ムチは馬を追うには大き過ぎるアクションだ。
だから、中央での彼は、普段は豪腕で追って勝利を収める事が多かった。
でも、やっぱり風車ムチが打ちたい。
所詮腕の力だけではズブい馬を追いきれないし、それに、
風車ムチの腕を見込まれて、自分は中央競馬での騎乗依頼を受けている。
「俺にはこれしか無い。俺の未来は、風車ムチと共にあるんだ」
アンカツは、資料館に飾られている馬の模型を見つけた。
そしておもむろに模型に跨りムチを降りまわし始める。
小さい頃、兄から教えて貰ったスタイル。
体に染み付いた腕の動きは、リズミカルに馬の尻を捉えている。
そして、しばらく経ったその時――
パチパチパチ……
小さな拍手が聴こえた。
「誰だ!?」
アンカツは慌てて振り返る。
資料館の奥には、後藤が一人、佇んでいた。
「あ、ご、ごめんなさい……驚かせてしまったみたいで……」
アンカツは、後藤に殺意が無いのを感じ取ると、ホッと一息ついて、警戒を解いた。
「いや、気にするなよ。君は、確か……GIを……」
「ええ、中央ではまだ勝ってませんけど…」
「そう。君は……地方競馬、好き?」
意外な質問に、後藤は少し戸惑った。
「え?は、はい……アンカツさんは……好きじゃないんですか?」
アンカツは、表情を曇らせる。
「正直言ってね……辛い、って思う時のほうが多かった。
変に周りに期待されちゃって、それがプレッシャーになってたの。
『もっと伸び伸びと、自由にやりたい』って……いつも思ってた」
アンカツは赤く染まり始めた空を見ながら、溜め息をつく。
後藤は、ただ黙ってアンカツの話を聞いていた。
「地元でも、みんな、変に気を遣うし……
もっと、晴れ晴れとした気分で、競馬がしたいんだ。
気持ちの通じ合える仲間といっしょに……だから、君が羨ましい……」
それきり、アンカツは黙り込んでしまった。
重い時間が、二人の間を流れて行く。
「あの……良かったら、もう一度風車ムチ見せてもらせんか?」
突然、後藤が提案した。
「……え?」
「色々と辛いのは解りますし、今は殺し合いの最中ですから、
晴れ晴れとした気分という訳にはいかないと思いますけど……
でも、さっきの騎乗、素敵でした。
気休め程度にしかならないと思いますけど、一緒に、競馬させて貰えませんか?」
「でも……」
「ここは防音がしっかりしてますから、外には聴こえませんよ。
それに……思い詰めたままじゃ、何も出来ません。気分転換も必要ですよ。
……楽しい競馬、しませんか?」
141 :
疲れた:2001/08/23(木) 11:53 ID:c7qaQJgE
後藤はそう言うと、模型の横に座りこんだ。
「気分転換、か……そうだな。やるか」
アンカツも、再び模型に騎乗する。
「じゃあ、さっきのやつで良いのか?」
「はい。地方での乗り方ですよね。僕も好きなんです」
「わかった。それじゃ……始めるか」
ムチが空気を裂く音が、館内を包み込む。
とても、殺し合いが行われている場所の風景には思えなかった。
アンカツの心に、束の間の充実感が満ちて行く。
142 :
もうちょい:2001/08/23(木) 11:54 ID:c7qaQJgE
そして、騎乗が終わった。
外の景色を見ながら騎乗していたアンカツは、スッキリした表情で後藤に向き直る。
「ありがとう。ちょっとだけど、気持ちが楽になっ……」
その瞬間、アンカツの体に衝撃が走った。
木刀を装備した後藤が、何発も、何発も、アンカツの体を殴りつける。
「後藤くん、どうして……」
アンカツはそのまま、床に倒れ込んだ。
倒れ込んだ衝撃で、床は歪み、奇怪な音を発する。
後藤は木刀を構えたまま、アンカツに向けて呟いた。
「豊さんが言ってました。無闇に人を信じたら負けだ、って……
でも、騎乗振りは素晴らしかったです。それじゃ……さようなら」
そう言うと、後藤はアンカツの頭に渾身の力を混めて、止めの一撃を放った。
後藤は夜明け前の武豊と蛯名の銃撃戦の一部始終を、身を隠しながら、じっと見ていた。
そして、ずっと考えた末の後藤の決断だった。
赤い夕焼けが、赤い血で染まった木刀を照らしていた。
【残り11人】
うそーん。アンカツやられた。
西原とやすひこきぼん
145 :
名無しさん@お馬で人生アウト:2001/08/23(木) 12:47 ID:qc.8b6sg
>>145 恐らく福永と思われ
馬はキングヘイロー
藤田が捨てた弾倉は,河内の物だった。
その弾倉を拾った河内がニヤリと笑った。
まだ藤田はそう遠くに行っていない。
「クラッシャーは消さねえとなぁ・・・」
そう呟いた河内は,闇の中へ静かに消えていった。
148 :
名無しさん@お馬で人生アウト:2001/08/23(木) 13:55 ID:cxhhGrug
大西はトキノミノル像の前でこけて死んでいた。
終了。
種なし
クラッシャー
そうだね ×
ミキオ
(´ε ` ) ×
熊沢 ×
いい爺 ×
ヨシトミ ×
ヨコテン
眉毛
北村宏
エダテル
アンカツ ×
ユーイチ ×
木刀
ナゾ
ナゾ
ナゾ
151 :
名無しさん@お馬で人生アウト:2001/08/23(木) 14:12 ID:cxhhGrug
大西はタバコに火をつけた。
「なあ、サニーブライアン。お前ならどうするよ?
俺はお前の子供でまた、ダービー勝ちてぇ・・・。」
その時だ、奥のほうから声が聞こえる。
酒井浩だ。大西は焦った、「殺される・・・・。」
「パン、パン、パン。」っと銃声が鳴り響く。
大西の見た方向には、加藤が居た。
【残り58人】
>>151 これは別話なので、なんか分かるよう区別つけてくれ。
154 :
名無しさん@お馬で人生アウト:2001/08/23(木) 14:24 ID:qc.8b6sg
種なし
クラッシャー
そうだね ×
ミキオ
(´ε ` ) ×
熊沢 ×
いい爺 ×
ヨシトミ ×
ヨコテン
眉毛
北村宏
エダテル
アンカツ ×
ユーイチ ×
木刀
河内
ナゾ
ナゾ
155 :
イギー:2001/08/23(木) 14:31 ID:cz8QVdig
浮き世の憂い目を感じ、はるばる異国の地より参った。
さぁいざ尋常に勝負いたせ
156 :
イギー:2001/08/23(木) 14:34 ID:cz8QVdig
それえい!!
(ブン)
(ピュ〜〜〜〜〜)
ミキオ殿の首を取ったり〜〜〜〜!!
ハァッハッハッハッハア!!
「ぼ…僕は騎手を辞めてるんだ! もう関係ない! 第一あんたは誰なんだ!?」
野崎が叫んだ刹那、日吉は銃の引き金を引いた。
パンッ、パンッ、パンッ
乾いた銃声音が鳴り響く
3発目に放った弾丸が野崎の左胸を貫き致命傷となった。
薄れゆく意識の中で野崎は呟いた
「こんなことなら…騎…手……な…んて……や…ら……なきゃ…よ……かっ……」
[残り156人]
藤田が1人生き残って
せっかくのクローンホースをクラッシュ!
とかいうオチだったらせつないね、
続きが楽しみなんでage
話、ごちゃごちゃ・・・(−−;
160 :
名無しさん@お馬で人生アウト:2001/08/23(木) 15:56 ID:nNypjzZk
とりあえず本編(?)をまとめましょう
・第一部
>>2-49
・第二部
>>73-93
・第三部
>>116-118
・第四部
>>124-143
他は感想、批評、単発ネタって事で
161 :
イギー:2001/08/23(木) 16:43 ID:pBfQ3GBU
なにを脇でごちゃごちゃ・・・
え〜いめんどいっキサマラも鉈の餌食になりゃぁあああ!!!!
フンッ
>>159フンッ
>>160 (ビシュ!ボシュッ)
ホッホ〜〜こりゃぁまた勢いよく飛んだもんじゃい
中身が詰まっとらんかったんじゃのー
カァッカッカッカッカッカッ!!
162 :
ペニ公:2001/08/23(木) 16:49 ID:x/a8DpbY
控え馬房の中で二人は狂おしいほどにお互いを求めあっていた。
幸四郎は牧原由貴子の真っ白な大腿部を膝から付け根に沿って舌を這わせる。
由貴子の恥部からは溢れんばかりの愛汁がまるで朝露の様に流れ落ちる。
「牧原がこんなに淫らだなんて俺、しらなかったな」
幸四郎の呟きに由貴子は「ビクッ」と腰を震わせながら恥ずかしそうに下唇を噛む。
「こんな時だと言うのに、私たちって・・・」
由貴子は乳首を頬張る幸四郎の頭を抱きしめそう言った。
「なに、こんな時だからこそ・・・いや、ずっとこうなることを夢みてた。
牧原、漏れ牧原がずっと好きだったんだ。」
ガタゴトッ!馬房の外から物音が聞こえた。
「おい、だれかいるのか?」
163 :
イギー:2001/08/23(木) 16:50 ID:pBfQ3GBU
おっとネズミが一匹、残っとったのぉ・・・
>>158 さぁて、丸腰のおまえを、わしがどうするか?
あっさり首をはねてもよし・・・ジワジワいたぶってもよし・・・
ハァッハッハッ
貴様の運命はわしがにぎっとる!!
にぎっとるぞぉ〜〜〜!!!!
と、安心せい。
わしは無益な殺傷はせん主義じゃ。
さぁ、逃げろ。
・・・
っとみせかけて、ほうりゃぁっ
ブシュッ
(スッポーーーーン)
ほぉ、こりゃ見事!!
・・・100メートル。
新記録じゃ。
あっぱれ!
164 :
イギー:2001/08/23(木) 16:54 ID:pBfQ3GBU
なんだこのエテ公は!?
>>162 なんとまぁ恥を知らぬやつ・・・
首をはねてやる!!
サクッ
あっ
やばっ
・・・まじ、やべぇ
わしともあろうものが、腕がすべって・・・
ナタを股間へ・・・
し・・・知らねぇ
おら知ーらねっと
165 :
名無しさん@お馬で人生アウト:2001/08/23(木) 21:47 ID:lL.NSZKU
種なし
クラッシャー
そうだね ×
ミキオ
(´ε ` )×
熊沢 ×
いい爺 ×
ヨシトミ ×
ヨコテン
眉毛
北村宏
エダテル
アンカツ ×
ユーイチ ×
木刀
河内
コーシロー
ナゾ
167 :
名無しさん@お馬で人生アウト:2001/08/23(木) 23:08 ID:gddlGaw2
>>165 うーん これ他板のコピペだからなあ(w
168 :
名無しさん@お馬で人生アウト:2001/08/23(木) 23:10 ID:T/UyNDEg
江田照期待
「……以上だ。では諸君、頑張ってくれたまえ」
司令室の放送ブースで、尾形調教師がマイクのスイッチを切る。
そして、午後6時の定例放送が終わった。
「尾形様、脱落者の増加ペースが落ちてます。そろそろ禁止エリアの指定を……」
隣に居た田原調教師が、尾形に進言する。
妙に落ち着きが無く、どこか焦っている様子だ。
しかし、尾形は余裕で日本酒を飲みながら、田原に話す。
「まあ待て、田原。まだ24時間経過していない。
そんなに慌てる必要も無いだろう。JRAから、特に文句は来ていないんだろう?」
「そ、そうですが……しかし」
「明日の朝、仮柵沿いを一つ埋める。……これなら対応出来るだろ?」
「(ちっ、さっさと終らせればいいものを…チンタラやりやがって…)」
「ん…? 何か言ったか田原?」
「い、いえ……何も」
「では……そういうことだ」
田原は深々と頭を下げ、会議室へと戻って行く。
尾形は深い溜め息をつくと、夕闇が迫る空を見た。
「さあ夜だ……殺る気のある人間は、そろそろ動き始めるぞ……」
江田照男は、当ても無く競馬場を彷徨っていた。
じっと身を潜めていれば、確かに安全ではあるだろう。
だが、彼にとっては、じっとしている事のほうが恐怖だった。
一人でいることが、堪らなく怖かった。
「先輩……横山先輩……どこにいるんですか?」
江田は、うわごとの様に横山の名をつぶやく。
心から信頼出来る人を求めて、彼はひたすら歩き続けていた。
その行為が、敵を呼び寄せていることにも気付かず……
「見つけた……」
突然、後方から声が聞こえた。
距離は7〜8メートル先といったところか。
しかし、その声は探し求めていた横山先輩の声ではない。
江田は慌ててボウガンを構え、向き直ろうとする。
が、刹那、銃弾が右腕を捉え、激痛と共にボウガンが手から離れてゆく。
「痛ッ!!」
二の腕から先が無くなったかの様な、鋭い痛みが襲う。
江田は痛みを必死でこらえながら、銃撃をした人物を見た。
「……知っている人だ。
ゴーグルをかけているから、すぐには判らなかったけど……
横山先輩の友達だ……)」
江田の目線の先には、銃を構えた松永幹夫が立っていた。
温和な笑みを浮かべたその顔は、逆に「常軌を逸した」感を助長させている。
「君は確か……ノリの後輩だね。
ノリには、僕から宜しくと伝えておくよ」
ミキオは冷静にそう言うと、江田の元へと歩を進める。
江田はボウガンを拾って構えようとするが、右腕の激痛が邪魔をして、再び地面に落としてしまう。
ミキオは江田の2〜3メートル先で足を止め、銃を構え直した。
「それじゃあ、さようなら。江田くん」
ミキオはそういい終えるや否や引き金を引いた。
二発、三発…四発…非常にも鉛の弾は江田の体を突き抜ける。
人気薄の馬に騎乗して高配当を演出する穴男は
穴だらけになって絶命した。
【残り10人】
うわ、好きなほうのキャラから氏んでいったよ…。
種なし
クラッシャー
そうだね ×
ミキオ
(´ε ` ) ×
熊沢 ×
いい爺 ×
ヨシトミ ×
ヨコテン
眉毛
北村宏
エダテル ×
アンカツ ×
ユーイチ ×
木刀
河内?
コーシロー?
吉田豊?
これってみんなコピーペ改造してんの?
それとも自力で書いてんの?
良スレ決定!!!俺としては中舘エイジを出してほしいところ。
先が読みたいage
ここから自力で書いてみたけど(モトネタがコレ以上出来てない)やっぱ辛い(w時計の針は午後8時を回っていた。
時計の針は午後8時を回っていた。
藤田は6階のS指定席から東京競馬場の全景を見下ろしていた。
弾のないマシンガンを片手にうろつく位なら、
室内でじっとしていた方がいい…そう考えてここにやってきた。
今のままではとても戦えるレベルでは無かった。
それほどまでに見てきた遺体の損傷は激しかったのだ。
↑いきなり失敗してるし 鬱だ…
「俺は死ぬわけにはいかない! 俺の馬が一番強い。」
藤田は呪文のように同じ言葉を呟いていた。
その時、階段の奥から微かに足音が聞こえた。
藤田は物陰に隠れ様子を見る。
足音は徐々に大きくなり、この階で止まった。
藤田は物陰からそっと足音の主を覗きこんだ。
足音の主は河内洋だった。 暗闇の中はっきりとは見えないが間違いない。
その右手には銃らしき物が握られている。
幸がいたら、人が良すぎて誰も殺せないだろうね。
彼に殺意があるのかはわからない。
しかし、もし「殺る気」なら… 今の自分に勝ち目は無い。
頬から冷や汗が流れ落ちる。 兎に角、見つかるわけには行かない…
藤田は息を殺し、その場にじっとしていた。
河内は気付かない、足音が徐々に離れていく。
「やり過ごせた。」
藤田ほっとため息をついた。
だが安心しすぎたのがいけなかった。
その瞬間右手に持っていたマシンガンを床に落としてしまう。
「ガシャンンッ…」
床と鉄の塊がぶつかった音はそこに人が居るのを判らせるのに十分だった。
「そこかぁぁっ!」
振り向きざま河内は持っていたマシンガンをぶっ放す。
机に銃弾がのめり込み、
巨大なガラス窓が音を立てて崩れ落ちる。
そして、冷ややかな風が一気に室内に流れこむ…
藤田はガラスの破片を浴びながらも必死で隠れつづけた。
あたり一面を一掃し新しい弾を補充する。
「まだ生きておるな…待ってろ、見つけ出して蜂の巣にしてくれる!」
河内はガラスの破片を踏み砕きながらゆっくりと室内を徘徊し始める。
サクッ、サクッ…ガラスの砕ける音が藤田には
死へのカウントダウンに聞こえた。
(俺はこのまま死ぬのか…いや、まだ諦めるのは早い
まだ河内さんは俺が何処に居るのを完全に把握していない、
…死角からいきなり飛び出してこいつを食らわせれば…)
藤田は用無しとなったはずだった「鉄の塊」を握り締める。
そして「その時」を待った。
185 :
名無しさん@お馬で人生アウト:2001/08/24(金) 01:36 ID:DF22E01M
坂本キンパツ
あと3メートル……2メートル……1メートル……今だ!
藤田は河内の不意をつく事に成功した。
2度、3度二人はもつれ合い回転し、藤田が河内の上に馬乗りになった
そして相手の頭上に「鉄の塊」を振り落とす!
「ガツン!」
鈍い音と共に河内の額が割れる。
しかし、まだ致命傷ではない。
河内はマシンガンを素早く発射する。
藤田はそれをいち早く察知し、再び物陰に隠れた。
「このクソチビがぁ! ちょこまか隠れおって!
出て来い! ぶち殺してやる!」
額の傷を抑えながら河内は半狂乱になって叫ぶ。
「クソッ、ダメだったか…」
藤田はそう呟いて自分の左腕を見た。
2発…被弾していたようだ。 幸い弾は貫通し、
骨や神経には異常が無いと思える程度の傷で済んだ。
しかし、次は間違いなく死ぬ…
ふと、床に目をやるとそこには空になった弾倉が落ちていた。
藤田はそれを見て愕然とした。
それは昼間、サイズが合わず捨ててしまった自分の弾倉だったのだ。
河内がそれを拾い自分に攻撃を仕掛けて来た…
「何で俺はあんな事をしちまったんだ…」
こんな死線の真っ只中に自分のした軽率な行動を藤田は深く後悔した。
自力で書くなんてすごいねー
続く?
190 :
名無しさん@お馬で人生アウト:2001/08/24(金) 01:43 ID:7dMAf6WM
191 :
名無しさん@お馬で人生アウト:2001/08/24(金) 01:43 ID:h7jQ5b26
藤田「もう終りだ・・ごめんタガノテイオー・・ごめんチェックメイト・・ごめんみんな・・・」
192 :
名無しさん@お馬で人生アウト:2001/08/24(金) 02:16 ID:b13YeIpU
横山典は、このゲームが始まってからずっと気にかかっている事があった。
同期のミキオと熊沢の安否だ。二人はまだ無事だろうか……
花の二期生として、同じ釜のメシを食ってきた仲だ。
彼らの事は、自分が一番よく知っている。
人を殺せるような奴らじゃあ、ない。
例え、こんな異常すぎる状況下にあっても、だ。
特にミキオは、やんちゃ坊で通っていた横山から見れば
物足りないほど控えめで、優しげな奴だった。
きっとどこかの物陰にジッと身を潜めているに違いない。
早く二人を探さなければ――
横山は蝦名と共に「仲間」になり得そうな者を探す事にした。
それが命取りになるとも知らずに……
>>192 横山氏ぬのか? とりあえず藤田VS河内編を完結させますわ。
「何処にいるんや藤田ぁぁ!」
声が裏声になる程甲高い声で河内は藤田を探す。
藤田は傷口を抑えながら必死に生き残る策を練った。
だが―――非常にも次に相手の姿を見つけたのは河内だった―――
河内は銃口を藤田に向ける。 もう逃げられない……なら!
意を決して藤田は敵の方へ突進した。
相手との距離は5メートル、藤田は身を低くして走り出す。
体が小さいのが幸いし、弾丸は藤田の頭上をかすめるだけで済んだ。
そして藤田は相手の足元を目掛けタックルをかます。
「ガッ…ドシャッ!」
河内は勢いよく背中から地面に叩きつけられた。
そして藤田は殴りかかる……だが河内の様子がおかしい…
倒れた瞬間から痙攣を始めている。
そう思った瞬間首筋辺りから赤黒い液体が流れ始めた。
河内が倒れた所には丁度ガラスの破片が刺さっていた。
それが頚動脈を切り裂いて致命傷を負わせようだ。
数秒の後、河内は絶命した。
河内が運が悪かったのか、藤田が運がよかったのか、
こうしてここでの戦いは終了した…
「それにしても何でこの人、俺に敵意剥き出しだったんだ?」
戦いを終え藤田はそう言い放つと辺りを見まわした。
そして河内の持っていたバッグから弾を取り出すと
自分のマイクロウージーにはめ込む。
「ガシャン」弾は見事にウージー収まった。
そして河内の持つ銃と2丁、
藤田はこの戦いを得て武器を持たないウサギから
強力な爪と牙をもつ百獣の王へと変身した。
「よし…これなら……」
藤田はある決心を決めた。
【残り9人】
197 :
192:2001/08/24(金) 02:25 ID:b13YeIpU
ご、ごめん。
今日は訳あってもう寝る。
誰か続き書けるなら書いといて。
書いてなかったら明日また自分で書く。
上野貴久騎手引退
199 :
名無しさん@お馬で人生アウト:2001/08/24(金) 02:33 ID:aoANWqXk
200 :
名無しさん@お馬で人生アウト:2001/08/24(金) 02:37 ID:ZLuPDR86
200
201 :
続き書いた:2001/08/24(金) 02:48 ID:7cknxr.I
パンッパンッパンッ!
暗がりの中静寂を破る銃声がこだました。
横山典と蝦名はハッとして顔を見合わせる。
また、誰かが誰かを――
銃声がした方へ急ぐ横山を蝦名が引き止めた。
「迂闊に近付いたら危ない!殺した奴がまだその場に
留まっているかもしれないし。今度は俺達がやられる!」
だが横山は引き止めた蝦名の腕を振り払った。
「大丈夫だよ。この暗闇だし……相手も見えやしない。
それにいくら人を殺した奴だって死体のそばにそういつまでも
居たいとは思わないだろう?」
「そりゃ……そうかも知れないけど……」
躊躇する蝦名にお構いもせず、横山は歩き出す。
蝦名はしぶしぶ横山と銃声がした方へ歩き出した。
202 :
名無しさん@お馬で人生アウト:2001/08/24(金) 02:51 ID:7cknxr.I
>>199 んじゃ、横典は放送聞きのがした事にしよう。
203 :
名無しさん@お馬で人生アウト:2001/08/24(金) 03:09 ID:pddKAxOc
暗闇の先に人の気配を感じた。
それも、すぐ近くに。
横山はすかさずショットガンを構え声高に叫んだ。
「動くな!俺は暗視スコープを装着している。
闇にまぎれて逃げようとしても無駄だ!」
もちろん、都合良くそんな物が支給されているはずもなかった。
(とんだハッタリだな……)
もし、むこうが本当にスコープを支給されていたら……
だが今はそんな事にまで気を回している余裕はない。
「その声は――ノリ……?」
おずおずと怯えた返事が返ってきた。
聞きなじみのある声。
「ミキオ……?ミキオか?!お前、無事だったのか!」
張り詰めていた空気が解けてゆく。
横山と蝦名は全身が脱力してゆくのを感じた。
「ミキオさん、この先で銃声が聞こえたけど……」
蝦名がたずねる。
「そ、そうなんだ……。俺はそこの植え込みの影に隠れてたんだけど
すぐ近くで銃声がして……気が付いたら、無我夢中で走り出してた。
でも本当に良かったよ。二人が無事で、こうして二人に会えたんだから……」
そう言ってミキオは、蝦名と横山に柔らかな笑みを向けた。
その笑顔と柔和な語り口は、今の二人の心を癒すのには十分足るものだった。
「とりあえず、一晩安全にしのげる場所を探そう。
3人で固まっていれば他の奴らよりは有利だろう」
横山の言葉に頷いて、3人は歩き出した。
横山、蝦名、ミキオの3人は、地下道を抜け
内馬場にある馬場内投票所の中で一晩明かす事にした。
2時間おきに、1人が監視役をし、後の2人は休む。
監視役がいるという安心感からか、横山はぐっすりと眠り込んでしまった。
彼が目覚めると、もう外は白々と明けかかっていた。
外に植えてある薔薇だろうか。濃度の濃い香気が漂ってくる。
柱にもたれて眠っていた横山は、眠い目を擦り首を巡らせた。
一気に、眠気が引いて行く。
ミキオと、蝦名の姿がない!
横山はバッと立ち上がり外に飛び出した。
自分が手ぶらであることに気付き、ハッとする。
寝る時ににぎっていたはずのショットガンがない……
その時、頭上から声がした。
「ノリ、おはよう。やっと起きたんだ?」
ショットガンは、ミキオの手に握られていた。
横山は細い目を目一杯に見開いた。
これは、この光景はなんだろう?俺は、まだ眠っているのか?
夢を見ているんじゃないか?
昨日は暗がりで分からなかったが、今はハッキリと見える。
ミキオの服に酸化して、黒みを帯びた返り血が染み付いているのが……
「お前、まさか……そうなのか……?」
「まさかって何が?」
「何って、その血だよ!何なんだよ、それは!お前、お前は……!」
「あぁ、これは岡部さんの血だよ。ナイフはダメだね。きれいに殺せない」
言いながらミキオはゆっくりと階段を降りてくる。
ショットガンの銃口を横山に向けたまま……
「やっぱり銃が一番。汚れないし、手っ取り早いし……」
「ミキオお前、まさか蝦名も?!どうなんだよ、答えろ!」
「当たり。そこの薔薇のアーチの下にいるよ。頭を狙ったから痛みは感じなかった
と思うんだ。岡部さんみたいに、苦しめるのは可哀想だっだから……」
「なんで、あんなに優しかったお前が、なんでこんな……」
横山の声は震え、嗚咽まじりになっていた。涙で視界が霞む。
その様子を、ミキオは何の感情も纏わぬ表情で見つめていた。
いつも周りを和ませている、温和な表情はどこにもない。
「ノリも、見ただろう?俺達現役ジョッキーを庇って殺された
柴田さんや的場さんの姿を……」
その言葉を聞いた横山はハッとして、顔を上げた。
「や、山本先生は……無事、なのか……?」
「分からない。でも恐らくはきっと……。ここ数日厩舎にも来なかったから……
でも俺は自分の目で確かめなきゃ。だから、まだ死ねない」
エビショー、死んじゃったの!?
彼はこのストーリーのキーパーソンだと思ってたのに。
210 :
名無しさん@お馬で人生アウト:2001/08/24(金) 11:51 ID:XjUN3ynA
関西人がこういう緊急事態に標準語で喋ってるのは少し変じゃない?
河内みたいに関西弁で絶叫とかしてほしいね。
211 :
名無しさん@お馬で人生アウト:2001/08/24(金) 13:05 ID:YHk75AsM
そういやユタカも標準語だったな
ミキオは生っ粋の関西人じゃないから標準語なのか?
ミキオは腕を伸ばし、前髪で隠れた横山の広い額に標準を合わせる。
「ごめんね……ノリ」
ミキオの顔を凝視する。能面の様に無表情な顔――
(早く、逃げなきゃ)
だか足が動かない。視線をそらす事が出来ない。
(本気で殺す気だ。早く、早く……逃げないと!)
(でも、どうせ殺されるんなら……親友のこいつに)
(何いってんだよ……、生き残りたくないのかよ!)
一瞬の間に様々な思考が交錯する。
と、次の瞬間――
バスッ!バスッ!!
(え…………?)
地面に叩き付けられる、その刹那。
横山は一筋の涙を流して立つミキオの姿を見た。
薔薇のアーチの下には、蝦名の姿はなかった。
その代わり、彼が検量室を出てすぐ取りにいった
あのヘルメットが、残されていた……
【残り8人】
エビショ−は一体どうなったんだ???
生きてるのか???気になる今後の展開!
かなりの良スレ
よってあげ
215 :
名無しさん@お馬で人生アウト:2001/08/24(金) 16:19 ID:npNc9lco
続きがかなり気になります〜。
早く書いてください!!!
216 :
名無しさん@お馬で人生アウト:2001/08/24(金) 17:37 ID:d8lnH1x.
オロ?
最後はまゆげVS種なしかな??
217 :
名無しさん@お馬で人生アウト:2001/08/24(金) 17:49 ID:eABbLA7A
ミキオ、藤田、後藤のやる気ある3人も気になる
218 :
名無しさん@お馬で人生アウト:2001/08/24(金) 19:27 ID:yCfpRtEk
正直、幸四郎も気になる。(種無しとの対比もあり)
からage
220 :
名無しさん@お馬で人生アウト:2001/08/24(金) 20:54 ID:mMv3B7Dk
れなたんとヤスヤスだせよぉ。
221 :
名無しさん@お馬で人生アウト:2001/08/24(金) 21:25 ID:Q/riq1z6
ヤスヤスの武器はやはり酒だろうか。
ペリエかデザーモ出してほしい
続きは〜?
現在の状況
種なし 生存中 的確な状況判断で大本命
クラッシャー 生存 河内から武器を奪い有力候補に
そうだね ×一番始めに死亡
ミキオ 生存 冷酷に3人を惨殺 有力
(´ε ` )×岡部に打たれた挙句手榴弾の爆発で死亡
熊沢 ×種無しとの戦いで死亡
いい爺 ×ミキオに切られて死亡
ヨシトミ ×種無しに撃たれ死亡
ヨコテン ×ミキオに撃たれて死亡
眉毛 ミキオに殺された事を匂わせてるが現状は不明
北村宏 不明 スタート後誰も見かけていない
エダテル ×死亡 ミキオに殺られる
アンカツ ×死亡 木刀に木刀で撲殺される
ユーイチ ×死亡 蛯名を殺そうとして背後から横典に撃たれる
木刀 生存 血染めの木刀を握り締め、次なる標的は…
河内 ×死亡 クラッシャーを追い詰めながら不慮の事故で死亡
コーシロー 生存 まだ息を潜め隠れている?
ナゾ 不明 誰が登場するのかは謎
生存8人 死亡10人
やっぱ吉田豊出して木刀殺すべきだろ
226 :
名無しさん@お馬で人生アウト:2001/08/25(土) 01:16 ID:vMTOmSm6
>>225 ちょっと待て、今最後の一人を書いてる。
時間の都合で途中までしか載せられぬが。
後藤が血のついた木刀を洗っていると、オークススクエアの一角にある
PRコーナーの中に入っていく影が見えた。
背格好からして後藤がこの世で一番忌み嫌っている人物…吉田豊であろう。
彼は何故わざわざ見つかり易いガラス張りの建物が多い場所を選んだのか、
はっきり言って自殺行為なんじゃねーのか。
まあいい、俺のこの木刀の餌食がまた一人増えた訳だ。
後藤は木刀を握る手の力を強め、影の後を追った。
「誰だ?そこにいるのは?!」
しんと静まり返ったPRコーナー一面に後藤の怒鳴り声が響く。実は入った時点で
受付の机の下に潜り込んでいる吉田を見つけたのだが、あえて気付かない振りをして
わざと声を張り上げた。
吉田は息を殺して沈黙を押し通そうとしたが、不意に身を起こした瞬間、
机の間に入っていたチラシがバサバサと音を立てて頭の上に降り注いだ。
「そこかああああっっっ!!!」
吉田が顔を挙げるや否や、木刀を持った後藤が机の上に飛び乗った。
228 :
名無しさん@お馬で人生アウト:2001/08/25(土) 01:52 ID:M9wBfwI.
229 :
名無しさん@お馬で人生アウト:2001/08/25(土) 01:53 ID:lYGRXKfY
しかし良スレだね
>228
あ〜〜、スマソ。
今日はこれで勘弁してくだされ。もう限界ッス。
ではおやすみ〜〜…
>>明日も楽しみにしてます〜
良スレは良スレだが、書いてるヤツは話の大筋は既に組み立ててあるのか?
ここまで来て、行き当たりばったりで書いてるとか…?
233 :
名無しさん@お馬で人生アウト:2001/08/25(土) 02:14 ID:ZdfHVZxg
234 :
名無しさん@お馬で人生アウト:2001/08/25(土) 02:19 ID:pCZinWLY
>>232 ということは希望は受けつけてくれるのかもしれん
236 :
偽者:2001/08/25(土) 02:27 ID:HNfKZA1k
吉田は後藤を見た瞬間、とっさに机の下から出て後藤ごと机を倒した。
ショックで後藤は一瞬気を失った。
吉田は自分の武器を持っていたが、後藤を殺るには・・・木刀だろう。
と思い、後藤の手から木刀を奪い取り、思い切り叩きつけた。
「後藤さんよ・・・・この前の借りは返したぜ・・・・・・」
(
>>230さんへ つい書いてしまいました。おもしろくなかったらなかったことにしてください。
この一撃ぐらいで後藤は死にません)
237 :
名無しさん@お馬で人生アウト:2001/08/25(土) 02:30 ID:RNNDU9R.
なんかリレー小説化してきた…
02時33分
21番 安田 富男 死亡・・・。(老衰
239 :
名無しさん:2001/08/25(土) 04:56 ID:3weYHYSs
やはり最後は吉田かぁ〜。カツハルは出てこないのね。
あげ
age
種無しVSコーシロー
245 :
名無しさん@お馬で人生アウト:2001/08/25(土) 21:01 ID:seRmrj3Q
age
2ちゃんなくなるんですか?
ここもヤヴァイですね・・・・適当なフリー掲示板用意しますのでそこで続けてもらえませんか?このスレ。
247 :
名無しさん@お馬で人生アウト:2001/08/25(土) 23:05 ID:9kpexbPE
続きが気になるもんな・・・
とはいえ俺にはこの続きを書く才能もないし・・・
頼む!誰か!
>>246 ネタみたいだけど、2ちゃんじゃない所で
専用HP作ってほしいね。リレー小説みたいに
249 :
246:2001/08/25(土) 23:51 ID:x3tpAX4k
250 :
246:2001/08/25(土) 23:52 ID:x3tpAX4k
ごめんなさい、うえのサイトには移転先しか表示できません
251 :
248:2001/08/25(土) 23:58 ID:6usE7OIk
がんばれー
ID:x3tpAX4kの人。
252 :
246:2001/08/26(日) 00:08 ID:Sw.w0vrE
頑張れ自分!!!朝までに何とかします
勝つのはこーしろー
「お前の復讐なんか痛くもかゆくもねえんだよ」
気を失っていたはずの後藤が吐き捨てるようにいった。さっきの一撃で息を吹き返したのだろう。
「何ぃぃぃぃぃ!」
吉田は逆上し、床に倒れている後藤を木刀でぶちのめした。
「何でお前が…何でお前が!」
あの時の出来事が鮮明によみがえる。あの時、罰を受けたのは確かに後藤だ。しかし、あの時を境に立場は逆転した。
自分は奈落の底に落ち、後藤は関東のリーディング争いに加わるほどの勢いだ。
被害者であるはずの自分がなぜ…その怒りと悔しさを木刀にこめ、しこたま後藤を殴り付けた。
>>246 あうう〜〜、よろしくお願いします。私も頑張りますので。
(今吉田のエピソードでだいぶ煮詰まっちゃってます……)
256 :
246:2001/08/26(日) 00:23 ID:Sw.w0vrE
とりあえず掲示板と今までのをのせるところがあればいいんですよね?
257 :
続き:2001/08/26(日) 00:38 ID:yZHsbz5w
「チ…チクショオオオオオオ!!!!!」
ずっと殴られ続けてた後藤は自らを奮い立たせるように大きく叫ぶと、この世のものとは思えない
恐ろしい形相で吉田に飛びかかり、何度も拳で殴り続けた。
「ゆ…許して下さい!い、命だけは……!」
形勢逆転に驚き、慌てて両手で頭を押さえながら赦しを恁う吉田に後藤は今度は両手で首を絞め始めた。
「命だけは?笑わせるな!どうせそこから銃で俺を打ち殺そうと思ってンだろ!」
「お、俺は銃どころか武器なんて何にも持っていません!ほら……!」
吉田は咳き込みながらそう言うと自分の頭を包んでいるもの…ギンガムチェックの防空頭巾を指差した。
それが彼に支給された“武器(防具か?)”だったのだ。
「ふ…ん、信用できねえな。来いよ」
言うや否や、後藤は吉田の腕を引っ張り、壁際に立たせた。逃げようにも
後藤に腕を取られている為、それもままならなかった。
背格好もそんなに変わらないのに、後藤の腕はとても強く、また、熱かった。
ひょっとして、彼は既に誰かを殺……?!そうでなければ、こんなに身体が熱くなるはずがない。
「───脱げ」
突然、吉田の耳に信じられない言葉が注がれる。急に何を言われたのか解らない彼の喉元に、
木刀が突き付けられた。
「着てるモノを全部脱ぐんだ。何を隠してるか解らねえからな」
よりによってこの世で一番嫌いな相手に肌を晒けるという行為は吉田にとって屈辱以外の
何物でもなかったが、ある物を見つけるためにはまだ死ねない。その気持ちが勝ったのか、
吉田は意を決してシャツのボタンに手をかけた。
「…色気のないストリップだな……」
目の前で気怠そうに服を脱ぐ吉田を見ながら後藤が呟く。最後の一枚に手がかかり、
ためらいつつもそれを下ろすと、吉田の身に包んでいるものは一つもなくなった。
「ホントに何もねえな。しけてやがる」
支給されたスポーツバッグをくまなく漁り、シャツやチノパンツのポケットの中味は
もちろん、吉田の身体全体も調べたが、武器のようなものは何一つ見つからないことが判ると、
後藤は苦々しい表情をして、吉田に服を渡した。
吉田は目に涙を浮かべながら服を着、忘れかけてた数年前の恥辱を思い起こした。
あの時もこんな感じだった。尤も、あの時はこんな身体検査では無かったが……
自分のことが嫌いなら、なぜ後藤はここまで自分に執着してくるのか。
愛情の裏返しだとは思いたくもなかった。それだけで虫酸が走る。
「それにしても」
煙草を吸いながら後藤がこちらを見遣った。
「何でわざわざこんな目立つところに入ったんだ、その様子だとここに探し物があるみたいだな」
痛い所を突かれたのか、吉田の表情が一瞬強張る。
「あ、あんたには……教えたくない」
また殴られる、かとも思ったが、今の後藤はやけに冷静に吉田を見ているだけだった。
その落ち着いた態度が、なお一層吉田を不安に駆り立てた。
ID:yZHsbz5wさん、ウマイね!
明日の朝までには閉鎖になるかも知れないよ!
>246さん、頑張ってください!
260 :
246:2001/08/26(日) 01:19 ID:Sw.w0vrE
もし閉鎖されても
>249でアドレス公開しますので御心配なく。
261 :
名無しさん@お馬で人生アウト:2001/08/26(日) 01:21 ID:YAfQZ2ks
262 :
246:2001/08/26(日) 02:21 ID:Sw.w0vrE
263 :
246:2001/08/26(日) 03:02 ID:Sw.w0vrE
264 :
246:2001/08/26(日) 03:51 ID:Sw.w0vrE
掲示板はただいま作成中です。
265 :
名無しさん@お馬で人生アウト:2001/08/26(日) 04:47 ID:bJNRN3CY
>>261 競馬小説言ってもこことリレー小説だけやん(w
266 :
246:2001/08/26(日) 04:50 ID:Sw.w0vrE
267 :
名無しさん@お馬で人生アウト:2001/08/26(日) 04:59 ID:5UQKCNK.
268 :
246:2001/08/26(日) 05:14 ID:Sw.w0vrE
>>267 もう寝ます・・・・
掲示板のほうは「初期化中です」って出ると思うんですが、
しばらくすれば直ってるはずです。
269 :
246:2001/08/26(日) 05:26 ID:Sw.w0vrE
今チェックしたら直ってました。
>>258さんもがんばってくださいね
270 :
246:01/08/26 10:58 ID:XqY8662g
271 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/08/26 11:16 ID:GNGxtspc
蛯名は地下道を走り抜けメインスタンドにでた。
先ほどのことを思い出す。
−命を救ってくれたノリと、途中で合流したミキオ。
三人交代で見張りをしながら仮眠をとっていた彼が目を覚ますと
ミキオがニッコリ微笑みながら銃を構えていたのだ。
「み、ミキオさん、なぜ!」
叫んだ蛯名にミキオは
「おはよう、さよならだね、正義君」
とつぶやき狙いをつけた。
蛯名は走って逃れようと試みたが、逃げ切るよりも早くミキオが発砲する。
後頭部に衝撃が走る
「撃たれた?!」
蛯名は、内馬場投票所のある地点からプレハブの売店のある1メートルほど
低い地点に倒れ込んだ。
内馬場内中型ビジョンがある場所だ。
生きてる?
蛯名はかぶっていたヘルメットを外してみる。
弾は貫通しておらず、ヘルメットにめり込んでいた。
「コレのおかげで助かったのか?」
蛯名はヘルメットを取りに行った時のことを思い出した、
渡辺のこと、ヨシトミのこと、それに豊のこと・・・・。
罪悪感と悲しさ、そして怒りで、胸の奥が苦しくなった。
「・・・・・そんな場合じゃない」
蛯名は気を取り直すと、
自分を撃ち殺したと思いこんでいるミキオに
気づかれないよう這って地下道に向かった。
ごめんよ・・・・。
次ぎにミキオに狙われるであろう、横山典に侘びながら・・・。
蛯名がメモリアル60スタンドの前まで来たとき、内馬場の方から銃声が響いた。
ノリさん・・・・。
蛯名はその場に座り込んでつぶやくと、ある決意をし、立ち上がった。
ヨシトミを撃ち殺した豊、ノリを撃ち殺したであろうミキオ。
こいつらだけは許しておけない、絶対に仇をとってやる!
まずは武器になるモノを探さないと。
蛯名はメモリアル60に足を踏み入れた。
−武器になりそうなもの。
ターフィーショップでライター、レストランで包丁を手に入れた蛯名は用心しながら
地下のファーストフードへ向かった。
人の気配?
複数の人間の話し声・・・。
蛯名がこっそりと様子をうかがうと黒ずくめの集団が酒盛りをしていた。
どうやら売店内の生ビールサーバーを破壊し、それを飲んでいるらしかった。
「チーム田原。・・・・なぜこんなところに?」
蛯名は気づかれないように男子トイレに移動し、
引き続き連中の様子をうかがう事にした。
田原は不機嫌だった。
このプログラムを指揮する尾形調教師に「テコ入れ」を
進言したのに受け入れられなかったのが、原因だ。
「だから凡人は駄目なんだよ!」
田原はくだをまきながら飲んでいる。
チーム田原の面々はそれに相づちをうちヨイショしていた。
「ちょっとションベンしてくら〜」
千鳥足の田原は蛯名の隠れているトイレに向かって歩いてくる。
一瞬、蛯名はそこから逃げようと考えたが思い直した。
「奴を捕まえて人質にするべきだ」
蛯名はそう決断すると掃除用具の入っているロッカーに隠れた。
田原が用をたしている最中に包丁で威嚇し、チーム田原から銃器を奪う。
そう考えたのだ。
しかし、まっても田原は男子トイレには入って来なかった。
276 :
連続投稿ですか?:01/08/26 11:26 ID:TodPRO.Y
田原は女子トイレに入ったのだ。
静寂の中、女子トイレの個室が開く音が、蛯名のいる男子トイレのロッカーにまで響く。
そしてシャア〜と放尿の音が続く。
「へへへっ、女子トイレで出すのはオツなもんだ〜
天才田原様のションベン鉄砲を喰らえ!」
田原の声が響いた。
(あの変態め!!)
田原の性癖に計画は失敗し、蛯名は次の機会までここでチャンスを待つことにした。
277 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/08/26 11:27 ID:TodPRO.Y
やっと書き込めたよ。
278 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/08/26 13:36 ID:pr33iULo
小島太登場きぼーん。
279 :
246:01/08/26 13:46 ID:bHEtDdoc
マジ閉鎖するのか?
280 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/08/26 14:02 ID:u6bjrR3M
山本先生はやっぱ殺された?
ミキオはそれを確認するために生き残る決心をしたみたいだけど?
やべー、ごちゃごちゃしてる内に明け方の話し作っちゃったYO!
つまらなかったら無かった事にしてくれ
あと深夜の内に田原殺さんといて(w
東の空が明るくなり始めた。
それはこの悪夢のゲームが始まって二度目の朝日だった。
競馬場の端では銃を装備した兵士達が集まっている。
たった今からこの場所に参加者達は入れない『立ち入り禁止区域』となる。
「なんでこの栗東の玉三郎と呼ばれた俺が
こんな馬場保守員みたいな真似をせにゃならん・・・」
兵士達を指揮する田原調教師は愚痴をこぼす。
あたり一面何事もなかったかのように静まり返っていた。
その時! 突如、何処からともなく銃声音が鳴り響いた。
激しい銃掃と共に兵士達の体が弾け飛ぶ、田原は反射的に身を伏せた。
目で銃声の主を追うとそこには、
かつて自分を慕っていた騎手時代の後輩、藤田の姿があった。
銃撃を免れた兵士が銃を構え藤田を狙う。
しかし、それより早く藤田のウージーが火を吹く
兵士達は一瞬で穴だらけの肉塊へと変わり果てる。
そしてその界隈で生き残ったのは田原だけとなった。
「藤田・・・」
田原は藤田の目を見つめた。
その目には最早憧れの先輩は写らず、
憎悪と怒りに満ちている殺気立った視線を田原は感じた。
藤田は無言で田原に歩み寄ると田原の頭を蹴飛ばした。
「ぐぁっ!」
田原は苦悶の表情を浮かべたが藤田は表情一つ変えず額に銃口を突きつける。
「ま、待ってくれ藤田!」
田原が必死の形相で叫ぶ。
「あんたの話なんて聞きたくないね。 黙って俺の言う事を聞け」
藤田は相手の話に聞く耳を持たず、続けた。
「これから、奴の所へ案内してもらおうか」
「奴・・・?」
「決まっているだろ? こんな殺し合いを楽しんで傍観してる糞野郎の所だよ!
俺達がどんな苦しい思いで戦ったのか思い知らせてやる。
奴の場所に行くには許可証か何かが必要だろうから
アンタがいれば大丈夫だろ? わかったらさっさと起きな!」
田原は蹴られた頭を抑えながら渋々立ちあがった。
藤田は比較的損傷の程度が少ない兵士の服を剥ぎ取るとそれに着替える。
そして藤田は田原の背中に銃を突きつけ尾形の元へ案内するよう急かす。
その途中、藤田は今一番知りたかったことを聞いた。
「一つだけ聞きたいことがある。 どうしてアンタは俺達を見殺しにした?」
「・・・見殺し?」
「アンタがかばってくれれば四位は死なずに済んだかも知れないんだ。
アンタは何で尾形の言いなりになったんだ! そのせいで四位は・・・」
「・・・仕方がなかったんだ。従わなければ殺される。仕方が無かった!」
田原は声を震わせ叫ぶ。
「ハッ、結局手前可愛さに俺等を見殺しにしたって訳か!」
吐き捨てるように藤田は答えた。
「俺だって助けたかった! 信じてくれ! 出来る事なら助けたかった!
けどそれが出来ないなら・・・機を待つしかなかった・・・」
藤田の歩みが止まる。
「機・・・?」
「そうだ。尾形を倒すために俺は奴の言いなりになっていた。『その時』が来るまで!
潜伏していようとしたんだ。自分の心を殺して!」
一瞬、藤田の表情が緩んだ。
「田原さん・・・アンタ・・・俺達の味方なのか? それとも敵なのか?」
「俺はお前達の事を忘れた事は無かった! スイの事も・・・お前の事も!」
その声は何時の間にか泣き声になっていた。
「わかったよ、田原さん。一先ず尾形の所へ案内してくれ」
没なら没でいいっす(w
289 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/08/26 22:47 ID:Gq8m1Ccs
新作期待あげ
吉田と後藤が気になります
291 :
吉田VS後藤の続き:01/08/26 23:10 ID:x.WPG3wk
∧_∧ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
( ・∀・)<おっけい、じゃあ次逝くよ!
_φ___⊂八_ \_______________
/呂/三/ /|
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| |
|種無しミカン |/
292 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/08/26 23:11 ID:x.WPG3wk
吉田が探している物…それは、自分の師匠である大久保調教師が数日前に話していた物だった。
「ユタカ、大事な話がある」
「何…でしょうか…?」
いつもと同じ様に調教を終えた帰り、いつもの様に呼び出される。普段なら乗り方の事や馬の癖について
師匠と弟子はじっくり話し合うのだが、この日ばかりは違う雰囲気が漂っていた。
「前々から噂されている『プログラム』がもうすぐ行われるかもしれん」
それを聞いて、吉田の全身に戦慄が走った。忌わしいプログラムの噂は色々な人間から聞かされていたので
そのような事が永遠に来ないで欲しい…と祈ったものだが、
普段からとても温厚で吉田をわが子の様に可愛がっている師匠の大久保は、苦渋の表情で話を続ける。
「私としては可愛い弟子のお前が選ばれない事を祈るばかりだが、もしもの事があったら……」
暫く続く沈黙。そして、それを破るかの様に吉田の掌にチャラ…と音を立てて銀色の鍵が手渡された。
「東京競馬場のオークススクエア・PRコーナーのレーザーLDの鍵だ。
その中にひとつだけ赤いディスクがある。これがあればあの計画を潰すチャンスがあるかもしれん」
「もうひとつの鍵は?」
「書庫の鍵だ。下の段の右端にある競馬事典、実はその中は……」
言いかけたところで大久保は口を噤んだ。そして弟子の両手をぎゅっと握りしめる。
「…ユタカ、私の命も多分長くない。だがお前にはまだ希望がある。
お前だけは…私の分まで生きて欲しい。それに、隼人君の為にも」
「大久保先生……」
このひとは、自分だけでなく競馬学校に入ったばかりの弟の事も心配してくれるのか…
吉田の頬に一筋の涙が伝った。
───そして、この日を最後に大久保の姿が美浦トレセンから消えた。
先生は…俺の為に自らを犠牲にしてこの鍵を渡してくれたのか。
吉田の脳裏にあの日の大久保の悲しげな表情が浮かんでくる。
そして、この世でたった一人の弟、隼人の笑顔も。
この前競馬学校で面会した時、隼人はとても嬉しそうに兄に飛びついた。
別れ際、「また来てねー」と大きく手を振る姿も……
先生の為に、隼人の為に、そして自分の為にも。俺は負ける訳にはいかないのだ。
だからこそ、先程から常に自分を監視している後藤の存在が疎ましかった。
ファンファーレと共に、尾形の声が場内に流れた。午前6時の定例放送。そうか、もう朝なのか。
午前0時から新たに死亡が確認されたのは横山典弘一人のみ。
これで半分以上死んだって訳か…と、思う間もなく双方の腹の虫が大きく鳴り響く。
そういえば検量室を出て以来、二人ともまともな食事をしていない。
支給された食料はあるのだが、いつ襲われるかわからないという状況に味わっている暇などなかった。
「後藤さん、隣にスナックコーナーがあるからそこで何か作りますよ」
急に吉田が立ち上がり、きょろきょろと辺りを見回しながら裏口から出ていこうとする。
「ああ、頼むわ」
緊張の糸が弛んだのか、後藤はついて行こうという素振りも見せなかった。それに少しほっとすると、
吉田はPRコーナーの外に出た。
「ったく…吉田の野郎、こんなとこで何探してたんだ」
一人になった後藤は、何か手がかりがないかとあれこれ漁ろうとしたが、めぼしい物はなく、
重要な物が入っていそうな場所は鍵がかかっていた。
ふと後藤は、さっきまで吉田が座っていた場所にひとつの鍵が落ちているのを見つけた。
(そういえば…さっき見た書庫の中にいかにも怪しそうな競馬事典があったな)
試しにその書庫の鍵穴に突っ込んでみる……ビンゴ!
「お待たせしました…」
冷蔵庫の中にあった物で作った出来合いの料理とコーヒーを持って吉田が戻ってくると、
そこには後藤がニヤリと笑ってワルサーP38を構えて座っていた。
「おう、お帰り。ついでにあばよ…!」
しまった!先生の言ってた辞典の中身はコレだったのか…!しかも一足先に後藤が手に入れるとは
大きな誤算だった。いや、まだ可能性はあるか?
「待って!せめて撃つ前に最後の午餐ぐらい…させて下さい」
引き金を引こうとする後藤に、吉田は努めて冷静に諭した。そうだな、血まみれの死体を前にして
せっかくのご馳走が不味くなるというのも嫌な話である。
「解った。ただし飯を食った後は覚悟しろよ…」
少しでも寿命が伸びた事に吉田はホッと安堵の息をついた。
互いに嫌な相手同志が向かい合せで食事をするというのは何とも異様な光景だった。
しかし久しぶりに温かな料理を口にするとそんな事はどうでもよく、ゆっくりと時間が過ぎていく。
「食後のコーヒーはどうですか?」
おう、と後藤が応えると吉田はカップにコーヒーを注ぎ、砂糖を入れてかき混ぜた。
後藤はそれを受け取ると一気に飲み干し、ほぼ同時にワルサーを手に構えた。
「よし!飯は食い終わった!覚悟しろ吉田………ぐっ、ぐぼばあっ?!」
突然、構えていた銃が手を離れ、その直後後藤は膝から崩れ落ち、口元からはおびただしい量の血が吐き出された。
吉田はそれを見るとクスクスと笑い、床を這いずり回りながら苦しんでいる男に種明かしをした。
「さっきあんたが飲んだコーヒー、砂糖入れたとこ見たでしょ?あれ、実は青酸カリなんですよ。
防空頭巾はあくまでもカモフラージュ、布地の間に入れてたんです」
「そ、そうか…ゲフッ……こんな…事…なら……最…初か……ら…殺っ……ガボオッッ!!!」
ひときわ派手に鮮血を吐き出すと、後藤浩輝の生命は終わりを告げた。
「…さよなら、後藤『センパイ』」
吉田は皮肉を込めて呟くと、後藤の死体を仰向けに起こし、もう二度とこの世に戻って来れないように
鼓動を打たない心臓目掛けて木刀を突き刺した。
チノパンツのポケットに入れていたもうひとつの鍵を指定された場所に差し込む。
するとそれはあっさりと開き、中に入っていた赤いディスクもすぐに見つかった。
「先生…隼人……俺は負けない!!」
大久保の遺志を継ぐ為、そして生き残って弟に再会する為に、吉田はワルサーを片手に
オークススクエアを後にした。
【残り7人】
ちょっと吉田カコイイ
職人さん、ホントお疲れ様です
>>258の
>吉田は目に涙を浮かべながら服を着、忘れかけてた数年前の恥辱を思い起こした。
あの時もこんな感じだった。尤も、あの時はこんな身体検査では無かったが……
自分のことが嫌いなら、なぜ後藤はここまで自分に執着してくるのか。
愛情の裏返しだとは思いたくもなかった。それだけで虫酸が走る。
これのエピソードは?
298 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/08/26 23:31 ID:O8XOr7fY
後・・・後藤死亡!?
299 :
作者不明:01/08/26 23:33 ID:x.WPG3wk
>>296 ありがとうございます。まさか自分が吉田VS後藤で
ここまで長い話を書けるとは思いませんでしたよ、ええ。
>>297 そのエピソードはあまりにもヤヴァイ上に
本編とは関係ないので割愛です…。スマソ。
川原騎手能試でハリキリ過ぎて安藤光の馬を妨害 能試後川原は激怒した安光にステッキで顔面叩かれたらしい
301 :
295:01/08/26 23:39 ID:Amz./xa2
>>299 やヴぁいんですか・・・うわー想像しちゃった。
あ、職人さん的に放尿田原はおっけーなんですか?
302 :
301:01/08/26 23:49 ID:Amz./xa2
303 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/08/27 00:05 ID:4hGlBF9Y
304 :
次回予告風味:01/08/27 00:26 ID:E1s90/mg
激しい死闘が繰り広げられ18人いた生存者も半数以下の7人となった。
同期生、横山典弘の命さえも躊躇わずに奪った松永幹夫。
最愛の師匠の生死を確かめるべく生き残る決意を決めた。
自ら命を狙われ、親しい仲間達も殺された…
蛯名は怒りに打ち震える、誰も殺さないと思っていたのに、
心の奥底から涌き上がる殺意を抑え切れない…
天才、武豊はバトルロワイヤルにおいても天才だった。
まだ時間は十分にある。 最終的に生き残れば勝ちなのだから…
府中の杜の闇に紛れ好機を待つ。
宿敵、後藤を倒した吉田は何を思う?
復讐に燃える藤田の行き先は?
そして北村、幸四郎は何処に?
彼等の戦いはクライマックスを迎えようとしていた。
(※職人さん頑張って下さい)
305 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/08/27 01:05 ID:Paeuu6D6
幹夫は山本先生が殺されてたら復讐するのかなぁ
それとも後を追うとか?
北村とコーシローは何をしてるんだぁ!
復活につきあげ
307 :
名無しさん@お馬で人生アウト :01/09/09 15:18 ID:ToC7yNrA
308 :
これまでの分をUPしてみる:01/09/10 09:00 ID:HfmQlBRo
幸四郎はハッと我に返った。
幸四郎は自分の置かれてる状況も忘れて、なぜか男子トイレに落ちていたエロ雑誌に興奮していた。
おまけに自然な事とは言え、下半身のマグナム砲は爆発寸前である。
と、その時、
ガタン、バタバタバタ!
突然の背後の騒音。
ビクッとして振り向くとそこには清掃ロッカーの下敷きになった北村がいた。
内心ほっとしながらも且つ警戒しながら北村に近づく。
「おい、北村。何やっとるん?」
武器の44口径マグナムを手にしながら足でつんつんと蹴ってはみるが反応はない。
息はしているようなので、どうやら気絶しているらしい。
「・・・間抜けなやっちゃなぁ・・・」
これはラッキー、このままやっちゃえという考えが一瞬浮かんだがそれは卑怯な気もした。
そういうわけで幸四郎は北村をそのままに男子トイレを後にした。
このまま北村が死んだとしても、それはあいつの自業自得だろう。
自分の手を汚す必要無く一人を消す事ができる。
幸四郎は北村がそのまま逝ってしまうことを密かに願っていた。
さっきの本の影響か、自分の状況をわきまえずに、
とんでもない妄想の世界に入ってしまったようだ。
周りを見まわして見るが、幸いにも自分以外はいない。
ただ、妄想で果ててしまった自分が恥ずかしかった。
パンツは自分の精液でべとべとである。
「・・・俺、アホちゃうか・・・」
幸四郎はつぶやく。
とにかく、このプログラムに参加させられてからというもの、何かおかしい。
やたらと性欲が強くなっている。
人間は危機的状況に陥るととてつもなく性欲が増すという話をどこかで聞いた事がある。
・・・そのせいなのだろうか・・・・
309 :
これまでの分をUPしてみる:01/09/10 09:01 ID:HfmQlBRo
「痛てて・・・ドジ踏んじゃった」
北村はロッカーから這いずるように出、バッグの中のノートパソコンが
無事なことを確認すると、男子トイレを後にした。
内馬場の無料休憩所にどうにか辿り着くと、北村はノートパソコンの電源を入れ、
とある場所へアクセスし始めた。
本来、このプログラムは外界との接触が一切シャットアウトされているのだが、
(だから携帯などはここでは無用の長物である)
藤澤の恩恵により彼との連絡だけは特別チャットでアクセス出来るのだ。
今回のプログラムについては事前に師匠の藤澤から聞かされてはいた。
しかしまさか自分が選ばれるとは思ってもみなかった。
何で僕がこんな目に?と思いつつも、名門・藤澤厩舎のジョッキーとして誇り高く戦おうと決意した。
だが、運がいいのか悪いのか今までに出会った人間といえば
先程の男子トイレで幸四郎に見つけられた時だけだった。
幸いにも殺られずに済んだが、今度会ったらどうなる事やら。やれやれ。
310 :
これまでの分をUPしてみる:01/09/10 09:04 ID:HfmQlBRo
kitamuraさんがログインしました───
kitamura:おはようございます>先生
fujisawa:おはよう、どうだね、調子は?>ヒロシ
kitamura:ええ、大丈夫です。今のところ怪我もないです>先生
fujisawa:そうか。『あの馬』はお前の為にあるようなものだから、
最後まで無事でいる事を祈るぞ>ヒロシ
kitamura:ありがとうございます。岡部さんが気付いた時は
どうなるかとも思いましたが?
さっさとくたばってほっとしてますよ(笑)>先生
fujisawa:おいおい、なかなか辛辣だな。>ヒロシ
「楽しそうやね」
その時、背後から背の高い関西人の声がした。
その声に藤沢とチャットに夢中になってた北村は反射的に振り返った。
と、顔の横には銃口があった。
「何やっとるんや〜。北村。」
何やらにやにやと笑みを浮かべながら幸四郎が質問する。
「・・・師匠とチャットです」
北村は死を覚悟したのか、幸四郎の質問に素直に答えた。
しばらく時はたったが、銃口の位置は全然かわっていない。
「お願いです。命だけは勘弁してください」と北村が泣きながらに懇願する。
「うるせー」と怒鳴る幸四郎。
何を考えたのか幸四郎の指は既に引き金にかけてあり、今にも引きそうな様子である。
「・・・先生さようなら」と心の中で涙を流す北村の頭の中を人生の走馬灯が走る。
覚悟を決めて、目を閉じた・・・
311 :
これまでの分をUPしてみる:01/09/10 09:05 ID:HfmQlBRo
バキューン
一瞬静まり返る
何が起こったのか分からない。
でも、北村は恐る恐る目を開けると、
そこには血を流して倒れている幸四郎の姿があった。
「・・・生きている??で、幸四郎さんは死んでる
・・?なんで・・・?誰が・・・?」
北村はつぶやいた。
「おーい大丈夫か?。北村〜」
と聞き覚えのある声がこだまする。
ふっと後ろを振り返るとそこには彼がいた。
そう、北村を助け出したのは行方不明になってた蛯名だったのだ。
312 :
これまでの分をUPしてみる:01/09/10 09:07 ID:HfmQlBRo
「幸四郎!!!」
それまで行方をくらましていた豊が無料休憩所に駆けつけると、
俯せになって倒れている幸四郎を発見した。
まだ息はしていたが、いずれにせよ死期が近いのは目に見えている。
「あ・・・兄・・・さん・・来てくれたんだ・・・」
力無い声。血の気の引いた顔。
どうして幸四郎がこんな目に・・・
「誰や!お前をこんなんにしたのは!」
「・・・え・・・びな・・・さん・・・」
蛯名?!豊の表情が一瞬凍り付く。
確かに彼の親友の善臣を殺したのは自分だ。
だがよりによって弟を・・・
「に・・いさん・・・北む・・・らと・・・パソコ・・・ン・・・壊して・・・。
この・・・プログ・・・ラム・・・は、出来・・・レース・・・」
北村?
パソコン?
出来レース?
何を言ってるんだ?!
313 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/09/10 09:20 ID:ns2abbzI
豊は何とかしてこの3つの共通点をたぐり寄せようとするが、
今にも生命の灯が消えようとする弟を前にどうすることも出来なかった。
「・・・ごめん・・ね・・・、兄さん。
僕、先・・・に・・・あのひとの・・・とこへ・・逝くよ」
「あかん!俺が許さん!!幸四郎!しっかりせえや!!」
豊の瞳から止めどもなく涙が溢れていく。
だが幸四郎は弱々しく首を振ると、にっこりと微笑んだ。
「あ・・あ・・・迎えに・・・来て・・くれたんだね、し、いさ・・・・」
そして、大きく息を吐くと、幸四郎は豊の腕の中でがくりと首を垂れた。
「幸四郎ーーーーーー!!!!」
豊の慟哭が、内馬場に響いた。
【残り6人】
314 :
面倒くさくなってきたので:01/09/10 09:25 ID:roTsTMlI
315 :
会長(神聖包茎):01/09/10 09:52 ID:nSOQAEUs
オッシャー!創作意欲が湧いてきたZO!がむばるZIO!!
316 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/09/10 13:55 ID:gPAk7iss
1UP!
1UP! 。_
∠\_<_
∠| \ ||)〜
| ■■ // ̄\\
| ■■☆(゚д゚) ケロンパ
| ■■■■
| ■■■■
| ■■■■■■
■ ■■■■■■
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
松永は得意げに無限増殖した。
AGE
319 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/09/11 01:11 ID:Zj3CJ3qE
続き求ム。
ラスボスは竹園?
320 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/09/11 01:29 ID:IB5ZkaFc
>>319 そうじゃないかなあ。
たぶん和田が入るはずだったんだけど
竹園の力で渡辺になっちゃったんだろうなあ
321 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/09/11 03:07 ID:HKX.VSNg
主人公的存在が誰かわからん
322 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/09/11 03:13 ID:q3oCd4bk
323 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/09/11 03:15 ID:HKX.VSNg
池添が出てきて主役になるというのはどーだい?
324 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/09/11 03:20 ID:q3oCd4bk
>>323 今まで1回も出てこない主役?
すげえな。
325 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/09/11 03:42 ID:PAQz2q/I
気が早すぎるが第2弾もキボソ
次はリーディング上位30人ぐらいで・・・
326 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/09/11 08:29 ID:hi5N0EX.
Age
327 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/09/11 09:55 ID:FtnP7Mic
期待age
328 :
:01/09/11 14:42 ID:tigE2UiY
さらに期待age
329 :
1:01/09/11 15:10 ID:LVGcmrf2
>>317 熊沢あぼーんまでと、田原が女子トイレに入るところ(眉毛脱出編)
>>321 最初は
七原−眉毛
桐山−種なし
三村−???
光子−ミキオ
川田−クラッシャー
のつもりだったが・・・。
330 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/09/11 18:47 ID:iLcD3TCg
>>329 > 川田−クラッシャー
Σ( ̄□ ̄;)!!!!
はう…続きを書こうと思ったけどNYの事件でそれどころじゃなくなった…
何とか気力があったら書きますが…
332 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/09/12 12:15 ID:LSWzxUls
AG
復活したの今知ったage
334 :
:01/09/13 00:34 ID:lf9VmHIs
335 :
ロボ丸:01/09/13 02:04 ID:fjxICCs.
あれから数時間。未だに北村は帰って来ない。
(やっぱり後を付けて行った方が良かっただろうか……?)
蛯名がそんな事を思った時、バッグの中から金属音が聞こえた。慌てて開けてみると、
音の正体は幸四郎のバッグから手に入れた対人レーダーだった。
「来る!」
ノリが遺した銃を持ち(殺害後、幹夫は持っていかなかったらしい)、
蛯名はレーダーに反応した人物がフアフアラッコの扉を開けようとするのを確認すると、引き金を引いた。
「手を挙げろ!」
ひっ、と相手は荷物を落とし、慌てて手を挙げた。懐中電灯をつけると、その正体は北村だった。
「ご、ごめんなさい。起きてたとは思わなくて……!」
蛯名の方も気心知れた相手だった事にほっと安堵の息をついた。そして銃をしまい、落とした荷物が無事な事を持ち主に告げた。
「こんな遅くにどこ行ってたんだ?いつ何が起こるか解らないのに」
「…すみません。眠れなくて夜風に当たろうと…」
相手は20歳を過ぎたとはいえ、今回のプログラムのメンバーでは最年少だ。
自分とも10歳以上離れているせいか、どうも子供っぽく見えた。
現在生き残っているメンバーは、自分達以外では豊と幹夫、そして吉田か…
(この時点で蛯名は吉田が死んだ事を知らない)
吉田はともかく、善臣を殺した豊、ノリを殺した幹夫はどうしてもこの手で倒さなくてはならない。
幸四郎に手をかけたのも北村を助けたかっただけじゃない。目の前で親友を失う事がどれだけ苦しい事か
豊に思い知らせてやりたかったのかもしれない。ましてやあの二人は同じ血を分けた兄弟だ。
と言う事は、あいつらと同じレベルになった訳か。ああ、哀れな幸四郎よ!
堕ちたな、俺も。ハハ。
336 :
ロボ丸:01/09/13 02:09 ID:fjxICCs.
「蛯名さん…大丈夫ですか?」
心配そうに声をかけながら北村の手が蛯名の頬に触れた。少し濡れている……涙?
そうか、俺は……そう思う間もなく蛯名の視界がだんだんぼやけて、気がつけば北村の胸にすがりついていた。
「俺は…人殺しだ……」
掠れた声で何度も何度も呟く。そんな彼を北村は何も言わずに優しく抱き締め、その柔らかな髪をずっと撫でていた。
ふと蛯名は、北村のTシャツにほんのわずかな血の臭いを嗅ぎとった。だが、下手に詮索すると
お互いに動揺してしまうかもしれない。だからあえて聞くのをやめた。いや、聞くのが怖かった。
「蛯名さん、もう寝ましょう。ちょっと眠れば少しは落ち着きますから…ね?」
北村の落ち着いた優しい声が、蛯名の疑念を消してくれた。そうだな、北村は大丈夫だ。
俺達と違って汚れていない。多分自分は豊や幹夫と刺し違える事になるかもしれない。
だがせめて北村だけは生き残ってくれたら…と、願わずにいられなかった。
「北村…ありがとう」
蛯名は一言礼を言うと、北村の胸に頭を預け、ゆっくりと瞼を閉じた。
今回はここまでです。豊とミキーオ編は明日以降に…
灰<正直、和田編書いた人の続きも見てみたい。
おもしろいなぁ
338 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/09/14 00:40 ID:zpJUs75c
age
339 :
う〜ん:01/09/14 01:07 ID:ixVpvz.Q
かなりつまらん。
ちゃんとプロット作ってる?
340 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/09/14 01:13 ID:wrlCMu5Y
>>339 じゃああんた書いてみたら?
無い知恵絞って書いてくれてるのにそんな事言うのは酷いと思われ
341 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/09/14 05:35 ID:nC9vZxMA
342 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/09/15 00:42 ID:6rJXxOvE
>>339 かなりおもろいよ!
だったらお前が書いてみろよー
343 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/09/15 02:07 ID:matTCzRs
オモシロアゲ
345 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/09/15 10:09 ID:3hYQgT3Q
続き希望age
北村の胸で涙する蝦名萌え。
認識を改めて、眉毛姫と呼びたいと思います。
続き書いてage
ユタカとミキーオの再会は?
801でもよくってよ。
347 :
:01/09/15 23:31 ID:ZKKfJ1Q6
続きがんばって〜
でも801はイヤだな・・・
348 :
これの:01/09/15 23:46 ID:PrY7G4Oc
70 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2001/08/30(木) 18:55 ID:???
弟を殺された豊はあてもなく外を彷徨っていた。
いつ敵の標的にされるとも知れないのに・・・
ふと豊が顔を上げると、一年先輩のミキオが数メートル先に立っていた。
いつもの豊とは明らかに違う様子に気付いたミキオが声をかける。
「豊、どうしてん?えらい顔色悪いで」
「ミキオさん・・俺を癒してください!」
そう言って豊は芝生の上にミキオを押し倒した。
「あっ・・・ダメッ・・・!」
弟を殺されても豊の性欲は底なしであった。
「豊あかん!俺は山本先生の生死が分かるまでは
バックバージン守り抜くと誓ったんや!」
「それやったら、山本先生の生死がはっきりしたらヤラしてくれるんですね?」
「そ、そうやけど・・・」
ミキオは苦し紛れに頷いた。
「ミキオさん、絶対に生き残って下さいよ。そして俺と・・・」
ミキオは思った。
(殺されるのと、豊かにヤラれるのと、どっちがマシだろう・・・)
349 :
続き?:01/09/15 23:46 ID:PrY7G4Oc
71 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2001/08/30(木) 20:04 ID:???
ミキオとの約束をとりつけた豊はやる気を取り戻した。
一緒に行動するのはイヤだとミキオに言われ、
豊はひとりウイナーズサークルの前に佇んでいた。
幸四郎の最後の言葉を反芻する。
「誰や!お前をこんなんにしたのは!」
「…え…びな……さん……」
蝦名……待ってろよ。
弟を、華麗なる武一族の者を殺した奴を見逃しておく訳にはいかない。
例え同期であろうと、容赦はしない……
豊は善臣を殺した事などすっかり忘れ、復讐に燃えていた。
「に…いさん……北む…らと……パソコ…ン…壊して……。
この…プログ…ラム……は、出来…レース……」
パソコン?出来レース?
このプログラムが全て八百長だというのか?
豊が駆け付けた時、すでに蝦名と北村の姿はなかった。
パソコンも、きっと北村が持ち去ったのだろう。
とりあえずあの小僧を捕まえて、全部吐かせてやる!
350 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/09/16 00:33 ID:VttkOYfE
801おっけーよ
351 :
ロボ丸@続き:01/09/16 00:37 ID:.LhYIP6k
幹夫は血の止まらない左腕を押さえながらよろよろと歩いていた。
豊はどうしているのだろう。吉田は無事に逃げられただろうか。
休みたい。でも立ち止まったら負けだ。
そんな事を考えながらも依然出血は止まらず、血の跡が点々とアスファルトに落ちていく。
突然、目の前が暗転し、身体がふわりと浮いてきた。
あ、地面に…と思った瞬間、誰かが自分を受け止める感触があった。
気がつくと、目の前には豊の悲し気な、でもどことなくほっとした表情が見えた。
「幹夫さん……よかった、無事で……」
豊は喜びの余りに声を震わせ、身体を起こしたばかりの幹夫を強く抱き締めた。
辺りを見回すと、藁の匂いが立ちこめていた。恐らく東門付近の乗馬センターの中だろう。
ふと見ると、左腕にしっかりと包帯が巻かれていた。その際に自分が上半身裸だった事も。
多分治療の為だと思うのだが、自分が着ていた服は乱暴に引き裂かれたせいかボロ布と化していた。
「お前、どさくさに紛れて何かやったんじゃないだろうな?!」
あまりの恥ずかしさに幹夫が顔を真っ赤にして豊を見る。豊は苦笑いをしながら幹夫を制し、
どこかから拝借したJRA職員の制服を渡した。ダサイなと思いながらもこのままでは何なので
仕方なく着る事にした。
「よう似合ってますよ、幹夫さん」
サイズが合わないのかとも思っていたが、豊が持ってきた物はあつらえたように幹夫にピッタリだった。
「…豊、大事な話がある」
急に幹夫が真顔になって豊の瞳をじっと見る。何?と思いながらも豊も幹夫を見る。
「これから観る物はお前にとってもっと辛い事かも知れないけど…
でも、目を逸らさないで欲しい」
352 :
ロボ丸@まだ続く:01/09/16 01:25 ID:.LhYIP6k
予想通りの反応だった。
競馬博物館のミュージアムパドックで流した赤いディスクの内容は、否応無しに豊の心を
鋭く突き刺した。
中でも特に、見せしめの為に処刑された人物が自分の父親だと知った時、豊は悲鳴を挙げて
目をつぶり、耳を塞ぎ、何度も頭を強く振っていた。
「逃げるな!」
幹夫が強引に豊の両手を耳から引き剥がし、顎を捕らえてモニターの方に向かせた。
瞳に映るものは磔にされ、どんなに電流鞭で身を切り裂かれてもこの計画を馬鹿げたものだと言い放ち、
最後まで抵抗した父の姿だった。だが彼を待っていたものは…薬を打たれた何頭もの暴れ馬に
引きずられ、生きながら腕を引きちぎられ、踏みつぶされるという悲惨な最後だった。
「もうやめて、ヤメテヤメテヤメテ……」
映像が終わっても豊は両手で頭を抱え、嗚咽を漏らしていた。自分がフランスに行っている間、
急に行方不明になった父がこんな結末を迎えていたとは…
そして、自分達がクローンジョッキーのサンプルの対象として選ばれたという事実も。
何も知らずに死んでいった幸四郎はむしろ、幸せだったのかも知れない。
「腑に落ちない事があるんだが…」
不意に、幹夫が呟いた。
「サンプル対象者はフルゲートに合わせて18人、今回のゲームに選ばれたメンバーも18人。
だけど渡辺はサンプルに選ばれていなかった。地方のアンカツさんだって選ばれているのに
何か変だと思わないか?」
「それは渡辺が名簿の記入ミスで選ばれてたって誰かが…」
はっ、と豊が顔を挙げる。そしてもう一度赤いディスクを起動させ、サンプル対象者名簿の画面を
クリックする。
アイウエオ順で調べると、渡辺と同じ「わ」行で始まる人間がそのサンプルの対象者に選ばれていた。
その名前は…『和田竜二』
ロボ丸最高!
頑張ってくれ
801はマジ勘弁…
同人女はそれ向きの板に逝け。
>>353 同意 801はリレー小説だけで十分
この流れで頑張ってください
801板で801ジョッキーバトロワやれば?(w
356 :
名無しさん@お馬で人生アウト :01/09/16 04:09 ID:RlhsWVIk
これってバトロワと競馬両方詳しくないと書けないよな・・・
もはや、バトロワの本筋からは乖離してきてる。
でもバトロワより、こっちのほうがよっぽどおもしろいよ。
359 :
昔同人女:01/09/16 21:09 ID:EOjAiWXM
「・・・どういうことだ・・・?」
二人は顔を見合わせた。
「渡辺はお人良しのところがあるから、和田に頼み込まれて代わってやったとか・・・?」
つぶやくように豊が言う。
「いや、それは無いはず。このプログラムは強制参加。代役は認められてない」
「だったら、なぜ・・・?」
「分からない・・・。でも、何か裏がありそうだ」
(書いた人のつぶやき:修正専門の私にはこんな程度しか書けません。すみません)
360 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/09/16 22:10 ID:KcumaNnY
「・・・・和田って言えばさ」
幹夫が自分の頭を小突いて見せる。
「この装置作ったのは・・・・・あいつのところの・・・・」
豊が
「あの野郎!・・・・自分だけ助かろうとして・・・・。」
「助かろうとしてじゃないかもしれない。
”最終的に”残ればいいんだから」
361 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/09/16 23:15 ID:KcumaNnY
幹夫の言葉に豊は考え込んだ。
「幹夫さんはそれをどうやって・・・・・・」
「吉田君に託されたんだ・・・・・・。」
「吉田?」
幹夫は細かく説明した。
「豊・・・・・それで。」
「はい?」
真剣な顔で幹夫が豊を見つめる。
「俺もお前も残れるかわからない。
だから、このディスクは隠しておいて、残ったほうが公表しよう」
「幹夫さん・・・・・」
362 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/09/17 01:29 ID:MFMDeKwQ
「幸四郎の最後の言葉が・・・・
”北村と・・・・パソコン・・・・壊して
これは出来レース”・・・」
いくら幹夫でも全部話すことはないと思っていた豊だが
この際全部話すことにした。
豊は思い出してちょっと泣けてきた。
そんな豊を幹夫が支える・・・・・・
「北村がこのディスクを奪いに来たんだ」
「北村、和田。奴ら・・・・・」
北村は藤澤厩舎。和田は岩元厩舎。
「なんだかだんだん読めてきましたね。」
「あいつら残すのに俺達がいれば邪魔だよな。」
笑いあう。
「だから・・・・豊。しつこいようだけど」
「わかりました。がんばって生き残りましょう。」
「どこに隠す?」
「ここでいいでしょう・・・・・・・・・。」
適当な引き出しに入れる。
「ここで再生して置いていくとは思わないでしょう。」
「それもそうだね。」
「で、吉田を見つけたら、吉田には教える。それで
いいですね?」
「吉田君に説明しにくいなあ」
「じゃ、目印にクロフネのシール貼りましたから。」
「豊・・・・・誰が残ってるんだ?」
「北村、吉田。蛯名。」
「・・・・・蛯名は俺が撃った。」
「幸四郎はあいつに・・・・。」
「死んでないんだ・・・・・・。」
「じゃ、またあとで。・・・お互い、生き残ろうな!」
「ええ、幹夫さん。」
豊は差し出された手を握り・・・・・
幹夫を抱きしめてキスした。
「俺、一度あなたとこうしてみたかったんです。
じゃ!」
「何すんだゴルァ!」
幹夫は隠し持っていた銃で豊の頭を吹っ飛ばした。
「やば…ついうっかり撃っちゃったYO!」
>>362-363
いくらなんでもその展開は無いだろ(w
801だし
……と、幹夫はそうしたい衝動を押さえて豊と別れた。
もしかして二度と会えないかも、いや、大丈夫だ。
自分を、そして豊を信じよう。
幹夫は新たな気持ちを胸に秘め、暗闇を走り続けた。
366 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/09/18 17:28 ID:mCdO6P..
完結までage
367 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/09/20 01:31 ID:4jJnmuYI
山本先生は?
和田の出番は?
つーか801はやめろよ?
>362最低。
801のせいで良スレを潰さないで欲しいよ…
369 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/09/20 10:42 ID:dr2zzSRE
362って801女?
クロフネのシールとかワラタんだけどなぁ。
801女ってどこ行っても鼻ツマミ者だな。
色んな板で場をわきまえずホモネタを撒き散らす。
とか言って、今までの執筆者が実は全て801女だったら
どうしようか(w
371 :
801女:01/09/20 21:10 ID:Oza1evJ6
362みたいなのは、801とは言わないんだよ…
372 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/09/20 21:16 ID:P4PVJZ7E
どんなのがヤオーイですか?
ところで続きは?
374 :
番外編:01/09/21 01:11 ID:MNddJZDs
夜も更けた競馬学校。
吉田隼人は寮のベランダからずっと夜空を眺めていた。夏の夜空は星が煌めいてとても綺麗だった。
兄の豊と連絡が取れなくなって2日近く。落ち込んだ時も、嬉しかった時も、
いつもどんな時でも兄は電話を欠かさずかけてくれた。
(怪我でもしたのかな?でもそれだったら厩舎の人から連絡が来るし…)
「吉田君、風邪ひくよ」
背後からの声に振り向くと、同期生の小島太一が毛布を持って立っていた。
サクラの冠名で有名な馬を次々とG1勝利に導いた騎手…現在は調教師の
小島太を父に持つ太一と、メジロの牝馬に5度のG1勝利を与えた兄を持つ
隼人とは、同期生だが2つも年齢差があるためか(隼人の方が年上)
それ程仲がいいという訳ではなかったが、
悩みごとに関してはなぜか明け透けに話せる間柄ではあった。
「珍しいな、太一がこんな時間に起きてるなんて」
「うん、何だか眠れなくて…。いつもなら父さんが電話をかけてくれるのに
ここ一週間程かかって来ないから…」
「太先生も?僕も兄ちゃんと連絡がつかないんだ。
それどころか大久保先生も急にいなくなったっていう噂だし…」
「北海道の方も小さな生産牧場がバタバタ潰れてるって聞くしね…
なんだか競馬界全体がおかしくなってるよ。僕達…ホントにジョッキーになれるのかなあ…」
沈んだ表情になっていく太一を隼人が励ます。
「大丈夫だよ、僕達はきっとなれる!だってずっと夢見てた世界なんだよ!
それでお前は太先生の馬に乗って、僕は兄ちゃんと一緒にG1に出て……
だから、信じよう。ね?」
「吉田君……」
空を見上げると、流れ星がひとつ落ちてきた。隼人と太一は慌てて目を閉じて両手を組み、
肉親の無事を祈った。
「……これでよし、と。吉田君、じゃあそろそろ寝ようか」
すっかり元気になった太一を隼人が呼び止める。
「太一」
「ん?」
「……ありがとう」
隼人は小さく微笑むと、太一の背中を押して部屋に戻った。
明日になればきっと電話が鳴って、いつもの様に笑いあえる事ができるだろう。
だが、隼人はその日が永遠に来ない事を、この時点ではまだ知る由もなかった。
376 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/09/21 11:14 ID:P1C03ipk
>374-375
泣けるね…
北村は蛯名と離れて一人木陰でパソコンを起動していた。
次の作戦を藤澤調教師と相談する為、チャットを開始した。
しかし、藤澤の応答が無い。
「おかしいな・・・先生何処行っちゃったんだろ?」
そう思い当りを見まわすと、北村はある異変を感じ取った。
大分時間が経っているのにも関わらず6時間毎の定例放送が無かったのだ。
今まで必ず発表していた死亡報告がない・・・
自分が吉田を葬っている為、発表しないというのは考えられない。
「何かおかしい・・・とりあえず蛯名さんの元へ戻ろう」
北村はパソコンをバッグにしまうと蛯名の元へ向かおうとした。
その直後、タタタタタ・・・という銃器の発砲音と共に
足元の砂塵が舞いあがった。
北村は慌てて銃声の主の方へ向き直った。
そこには巨大なマシンガンを正面に構えた和田竜二が立っていた。
[こんな奴と真正面から殺り合ったら勝ち目が無い!]
即座にそう感じ取った北村は一目散に逃げ出した。
[あの人プログラム開始時に調整ルームに居たかぁ?
なによりあんな大きな武器、バッグに入らないだろう!?]
「おっ、ちょいと待てや糞ガキ!」
和田は銃を乱射しながら北村を追う。
相手が重装備だった事が幸いしてか、
辛うじて北村は相手を振り切る事に成功した。
しかし、致命傷になる程ではないが、
体中のあちこちに銃弾を浴びて余力はそう残ってはいない。
北村は馬場内投票所に飛びこむと再びチャットを開始する。
kitamura:先生! 和田に追われています! 何か策を!
kitamura:お願いします先生! 応答してください先生
kitamura:どうしたらいいsんsですか??
必死でキーボードを叩くが相変わらず応答が無い。
爆発音と同時にすぐ真横の壁が吹き飛んだ。
「よっシャ――――! み・つ・け・た・ぜェェェ!!」
悪魔のような笑みを浮かべ和田は北村に歩み寄る。
北村は慌てて吉田から奪ったワルサーを構えたが、
それよりも早く和田のマシンガンが火を吹いた。
至近距離で銃弾を受けた北村の体は数メートル吹き飛び、倒れた。
防弾チョッキのお陰で貫通こそしなかったが、
衝撃によって体中の骨が砕かれ最早北村の命は風前の灯となった。
「防弾チョッキ何か無駄だぜ。これの威力は打ち消せないぜ。
それよりお前に聞きたいことがあるんだが・・・知っているんだろ?
例のディスクの事を?」
「な・・・何の・・・事?」
何故この男はディスクの事を知っているのか? 北村は返答をはぐらかした。
「とぼけても無駄だぜ? お前が藤澤とパソコンで連絡を
取り合ってる事は判ってるんだぜ?」
「!?」
まさか、チャットでのやり取りも知っているのか? コイツは一体・・・
「余計な詮索はしなくてもいいんだよ。さっさと知ってる事をバラしちまいな」
北村は観念した。
「ディスクの事は知っている。 でも今は何処にあるかは判らない・・・
豊さんかミキオさんが多分知っているはず・・・」
和田は続けて尋問する。
「じゃその二人は今何処に居るん?」
「わからない・・・本当にわからないんだ・・・」
藤澤と連絡が取れず、自らも重傷を負ってしまった北村に
反撃をしたり嘘をでっち上げる余力は無かった。
「そうか、じゃここでお別れやな。」
和田はポケットから手榴弾を取り出すと北村の口に無理矢理押し込んだ。
そして、ピンを抜き取ると速やかにその場を去る。
「いぃ―――ち、にぃ―――い、さぁ―――ん、シャ―――――!!!」
掛け声と共に投票所から爆音が鳴り響いた。
「・・・つーわけで北村は始末しました。 これから武さん松永さんを
始末しに向かいますわ。」
「うむ、ご苦労。こちらも邪魔者は片付けておいたよ」
そう言って竹園は和田との無線を切った。
「全く、君達ホースマンという人種の考える事は解らんよ。
何が世界競馬を席巻する、だ。 賞金の低い海外で活躍するより
国内の重賞を総なめする方がどんなに儲かるか・・・
単純な算数も出来んのかチミ達は?」
そう言う竹園の足元には東西を代表する藤澤、森、両調教師が
変わり果てた姿で転がっていた―――
【残り3人】
384 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/09/21 20:11 ID:1r7xv6vk
イヤー!豊とミッキーが和田ごときに殺されるなんて!
また再会してほしいよ。
そんで和田潰すの
385 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/09/21 20:26 ID:StQYeuB.
> 「いぃ―――ち、にぃ―――い、さぁ―――ん、シャ―――――!!!」
ワラタ
386 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/09/22 00:52 ID:Bq7CPPXE
∧∧ /\ガチャ
(,,*゚/ /|> ,◇
ノつ、/||◇γ
(_,,う▲□□凸□
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
∧ ∧ 〜♪
(*゚ー゚)
、ノ つC□
(_,,う▲□□凸□
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
★★
口◇口口☆ ■ age!!
□ ☆口口◎口 ∧ ∧
口 ▽ ▼ ◎ (*゚ー゚)
○ 口 / |
▼ ○ ~(,_,,ノ
>337-
すげえ…
小ネタ(シャー)もオモロイし読みやすいし話も掘り下げてる。
面白かったよ、また頼む!
388 :
昔同人女:01/09/22 22:12 ID:Ah2BGy32
個人的には北村をあぼーんしたかったので、ストーリー考えてくれた人ありがとうございます。
残ってるのってシャーと豊と幹夫?
いや、豊と幹夫とエビショー。
和田は隠れキャラになるのかな?
391 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/09/23 00:25 ID:g1rbHLJ.
>389
ありがとうございます
和田は人数に入れちゃ駄目・・・・隠れキャラでしょう。
392 :
ロボ丸:01/09/23 00:55 ID:pmBLI29A
爆音が轟き、その衝撃は数十メートル離れた蛯名の場所まで伝わっていた。
また誰かと誰かが…そういえばさっきからトイレに行く、と言ったきり帰って来ない北村の事が頭に浮かんだ。
まさか巻き込まれた?!いや、そうじゃないとどこかで思いつつ、不安な思いが胸を締め付ける。
そして気がつけば、蛯名は瓦礫の山と化した投票所の前に立っていた。
ふと蛯名は、白いコンクリートの塊に混じって、黒い四角い物体があるのに気付いた。
近寄って手に取ると、それはグシャグシャになったノートパソコン…
北村がずっと肌身離さず持ち歩いていたものだった。
不安は徐々に確信となり、蛯名はひょっとしたら埋もれているかも知れない北村を助け出そうと
一つづつコンクリートの塊をどけていった。
やがて、ようやく人間の腕が蛯名の目の前に現れた。涙目になりながらも丁寧に腕の周りのコンクリートを退け、
その手を引こうとした瞬間───出てきたのは肘の途中からちぎれていた腕だけだった。
393 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/09/23 01:16 ID:uiGKWFEM
オモシロイ
394 :
ロボ丸:01/09/23 01:50 ID:pmBLI29A
もうひとりぼっち…
瓦礫の山で膝を抱えながら蛯名はずっと嗚咽を漏らしていた。善臣やノリだけでなく、
北村すら守れなかった自分がとても腹立たしかった。
仮に自分が生き残ったとしても、それは多くの人間を失った代償だ。
(俺は本当は生きる資格なんてないんだ………)
「じゃあ、死んじゃいなよ」
声のした方を見ると、数メートル先に巨大なマシンガンを構えた和田が立っていた。
(すみまそん…今日はここまでで勘弁してください。
明日は生でクロフネを観に阪神に逝く予定なので…
もうちょっと近所だったらいいのになあ(・ ε ・))
>ロボ丸氏
あっ、五日間音沙汰無しだったから勢い余って書いちゃったよ スマソ
あの続きも書いたけどロボ丸氏が健在のようなので自粛しますわ。
後よろしく。
>395=377-383
どうも。ちょっといろいろあって向こうの方でも休業宣言を出してたんですが、
「休むなら全部終わらせてからにしろ!」と友人に言われまくりました。
>あの続きも書いたけどロボ丸氏が健在のようなので自粛しますわ。
ええ〜〜っ、もったいないですよ、それは!
そっちのバージョンもぜひ見たいです〜。
(それによって今後の方向性を決めるというのはどうでしょうか?)
あ、和田編すっごく良かったですよ。私にはああいうのは描けないです。
ああ、そろそろ行かなくちゃ。
では、これから新幹線に乗って逝ってきます。
>ロボ丸氏
じゃ、お言葉に甘えて書きこませていただきますよ。
しかし、過程は違えど最終的な部分が
>>394とほぼ同じですが・・・
「今の音は・・・?」
蛯名正義は爆発音の聞こえた方向へ振り向いた。
その方角は北村が先程「便所に行く」と言い、向かった方角だった。
自分もついて行くと言ったのだが、北村はそれを断り一人で向かった。
「くそっ! 誰だ? 豊か? ミキオさんか?
こんな事なら無理矢理にでもついていけばよかった!」
蛯名は北村を救うべく爆発のあった方角へ向かう。
もう仲間を失うのは沢山だ! 北村!
頼むから生きていてくれ!
その想いも虚しく、火薬の匂いが立ち込める建物の中で
蛯名が見た物は、首から上を吹き飛ばされ、損傷の激しい、
誰の者とも知れない遺体だった。
蛯名は近くに落ちていた破損したノートパソコンを拾い上げる。
北村の持っていた物と同じ機種なのは間違いない。
蛯名はもう一度首無しの遺体に目を向ける。
信じたくない・・・あれが北村だなんて・・・ついさっきまで行動を共にした
仲間の遺体だと思いたくなかった・・・
次の瞬間、蛯名は激しい吐き気に襲われた。
堪え切れずその場にうずくまって嘔吐した。
呼吸を整え再度遺体に向き合おうとしたが視点が定まらない。
怒りと苦しみと悲しみと・・・負の感情の全てが蛯名の心を支配する。
蛯名はふらつきながらも建物の外に出る。
もういやだ。 こんなのはいやだ。 しんでやる。
こんなところにいちびょうだっていたくない。
正気を失いかけている蛯名は目を閉じ、自分のこめかみに銃口を向ける。
その時、第一コーナー辺りから微かにぱららら・・・という音が聞こえた。
蛯名は慌ててその方角に目を向ける。
遠くに人影が二つ見えた。 誰だ?
蛯名は必死で生き残っている人間を思い出してみた。
武豊、松永幹夫、後はえーっと・・・
わからない。 わかるのは今、あそこで誰かが戦っているという事だけだ。
兎に角あそこに行こう! 自分の身も危ないが、
もしかしたら北村の敵を取れるかもしれない。
何よりもじっとしていて命を狙われるのも、もう嫌だった。
攻撃は最大の防御! 先手必勝!
自分を奮い立たせる言葉を並べ蛯名は第一コーナー付近へと走り出した。
第一コーナーでは和田竜二がマシンガンを乱射していた。
標的は先程、武豊と別れたばかりの松永幹夫だった。
和田が襲撃してくるのはある程度予想していたが、タイミングが悪かった。
まさに不運としか言いようが無い。
「くそっ、火力で圧倒的に負けてる・・・このままじゃ・・・」
距離はかなり離れているが相手の武器は物量攻撃のマシンガン。
当り所が悪けりゃあっさり御陀仏だ。
どちらかといえばこの”プログラム”では(奪う側)に回る方が多かった自分が
(奪われる側)に回る事になるとは・・・妙に可笑しかった。
「これも罰かな・・・仕方ない。後はやれるだけやるか」
ミキオは今、持っている武器を頭の中で整理した。
最大の武器はもちろんショットガンだ。
そしてボウガンとナイフ・・・
「確実に当てないと・・・和田をもっと引きつけないと・・・」
ミキオは直線の半ばまで駆け寄ると、
ショットガンを構えそのまま芝コースに体を伏せ、構えた。
東京競馬場の直線は急斜面になっており逆から見た時、
傾斜のある場所まで行かないと相手の姿が見えない。
もう日が暮れており、辺りの視界が悪くなっているのも手伝って、
和田からはミキオの姿はすっかり見えない。
「そういえば初めてGIレースを勝った時はここだったんだな。
ジャパンカップの時はこの坂に泣かされたっけなぁ・・・」
こんな時に競馬の事を思い出すなんて、
つくづく自分は馬乗りなんだと、改めて思い知らされた。
予想通り和田の放った弾丸は空を切り、自分には当らない
角度的に傾斜のある場所まで近寄らないとやはり、
弾丸を食らう事は無いようだ。
さあ、来い! 俺の目の前に姿を現した時がお前の最期だ!
ミキオは坂下で和田の出現を待つ。
次の瞬間、目の前に人影が現れた。 今だ!!
「喰らえっ!」
ミキオはショットガンの照準を合わせると引き金を引いた。
弾丸は和田のどてっ腹に命中し、吹き飛んだ。
「ナイスショッ!」
ミキオは確かな手応えを感じると坂を駆け上る。
和田の野郎、竹園の犬め、思い知ったか!
ミキオは坂を登りきると和田の姿を確認した。
しかし、そこには自分の思い描いた血塗れの姿ではなく、
上半身だけ起こし、此方に銃を構える和田の姿があった。
ぱららら・・・という例の発砲音。
ミキオの悲鳴にも似た驚きの声がかき消される。
全身を貫かれ、ミキオは坂を転げ落ちていった。
「じゃーん。 防弾チョッキ2枚重ね! 素晴らしいやろ!
ショットガンの衝撃にも耐えうる俺様最強!
ま、ちょいと痛かったがな」
ボロボロになった勝負服を剥ぎ取り、和田がおどけて見せた。
東京の急坂をなお転がり続けるミキオ。 脳裏には様々な想いが駆け巡る。
思った。 和田。 クソ、俺は結局お前に負けたわけか。
思った。 豊、俺は一瞬気を抜いてしまったんだ。 すまない。
思った。 山本先生、申し訳ありません。自分は結局生き残る事が出来ませんでした――
和田がミキオの元へ歩み寄った時、既に彼は事切れていた。
「しもた、またディスクの事聞きそびれたわ。 ま、えっか。
まだ豊さんが生きておりますからね〜」
そう言い、ミキオの顔面になお止めの一撃を放つ。
かつて多くの女性ファンを魅了した松永幹夫の甘いマスクは
スイカ割りのスイカの様に真っ赤に潰れた。
「さーてと・・・ん?」
和田はターフビジョンの陰に自分を見つめる視線を感じ取った。
そのターフビジョンの裏側で蛯名の肩がピクッ、と動いた。
【残り2人】
というわけでミキオさんを亡き者にしちゃいましたので、
もし今後の展開に不都合なようであれば無視しちゃってください。
つーか自分が書くと人が死にまくるんですが・・・
このスレで人が大量に死んでる話作ってるのは大抵自分です(w
ミ…ミキーオーーーーーーーーー!!!!(絶叫)
>>408 いや、充分オッケー、採用っす!!
てな訳でそちらの方で話を進めることにしましょう。
>>392と
>>394は葬ってくださいな。
(あー、いかに自分が才能無しだって事がバレバレですな)
ただ番外編の方で太先生の名前を出したので彼を登場させたいのですが
よろしいでしょうか?
411 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/09/24 18:38 ID:qBpgRGZQ
412 :
411:01/09/24 19:41 ID:qBpgRGZQ
エビショーと間違えてた。スマソ
413 :
昔同人女:01/09/24 20:04 ID:YOC.UacM
ロボ丸さん、祝日なのにお仕事お疲れ様です。
あるはれたひの、おはなばたけです。
しろいワンピースをきたおんなのこと、
Tシャツにたんパンのおとこのこが
よりそって、すわっていました。
あったかかったのでしょうか、おとこのこはTシャツをぬぎすてました。
おんなのこも、ワンピースをぬいでパンツいちまいになりました。
はずかしそうにしていたふたりでしたが、
やがてはだとはだをふれあって
おたがいをだきしめます。
ふたりはかおをちかづけると、
そっとキスをしました。
さいしょはくちびるをあわせていただけでしたが、
そのうちおんなのこはじぶんのしたを
おとこのこのくちのなかにすべりこませます。
おとこのこのほうも、おかえしのように
したをおんなのこのくちのなかにいれます。
そうすると、ふたりのしたがからまりあうようになり、
しばらくそれがつづきました。
おとこのこはくちをはなすと、
くちびるをおんなのこのぺたんこなおっぱいにちかづけ
ちくびをなめはじめました。
おんなのこは、きもちよくなっているので
かおがだんだんあかくなり、
うっとりとしたかおつきになってきました。
さらに、おとこのこはおんなのこのパンツをぬがせて、
おんなのこをすっぱだかにすると
ゆびでわれめをひらいて、
おまんこのなかにゆびをいれました。
なかでゆびをかきまわしたり、
だしいれしたりしてたのしみました。
そしてゆびをひっこぬくと、
こんどはしたでおまんこをなめまわします。
われめのあいだにしたをつっこんだり、
おまめをくちびるでいじったり、
きもちよくてたまりません。
そのうちおんなのこは、おおきなこえをあげると
いとがきれたようにたおれこみました。
おとこのこがたちあがり、たんパンをパンツと
いっしょにぬいですっぱだかになると、
おんなのこはぺたんとすわりこんで
かたくおおきくなってるおちんちんに
かおをちかづけました。
ちょっとだけおんなのこはためらいましたが、
すぐにおちんちんをなめはじめました。
たまたまをしゃぶり、さおをなめあげると
さきっぽにかるくキスをして、
おおきくおくちをあけておちんちんをくわえました。
おんなのこは、おくちのなかのおちんちんを
はげしくなめまわします。
きもちよくなっていったおとこのこは、
はあはあとはげしくいきをします。
そして、さいこうにきもちよくなると、
おちんちんのさきっぽからおくちのなかへ、
せいえきがとびだしました。
びっくりしておんなのこがくちをはなすと、
またおちんちんからせいえきがとびだして、
こんどはおかおにかかりました。
おんなのこは、あおむけにねっころがって
おおきくあしをひろげています。
またかたくなったおとこのこのおちんちんが
おまんこにちかづいていきます。
おんなのこがおまんこをゆびでひろげると、
おとこのこはおちんちんをなかにいれました。
おちんちんとおまんこがひとつになると、
あかいちがながれてきました。
ちょっとだけ、おんなのこはいたそうにしてましたが
すぐにきもちよくなってきました。
おとこのこもきもちよさのあまり、
はげしくこしをうごかします。
こうふんしたふたりは、すきだとか、あいしてるとか、
おたがいのなまえとかを、はずかしげもなくさけびます。
そろそろ、ふたりともさいこうにきもちよくなりそうです。
そして・・・
ふたりがとってもおおきいさけびごえをあげると、
おちんちんのさきっぽからおまんこのなかに
せいえきがいきおいよくとびだしました。
そのまま、ふたりはたおれて、
しばらくおきあがれませんでした。
・・・ずいぶんじかんがたったあと、
ふたりはぬいだふくをきると、
あしたもあそぼうとやくそくして
じぶんのいえにかえっていきました。
420 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/09/24 22:55 ID:0VUc84Us
和田に殺されるなんて・・・
ミキーオが和田に殺されるなんて納得いかーん!!
別パターンもありそうだし読んでみたいね。
あ、801はヌキでな。
423 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/09/25 13:41 ID:m589aDbI
保全age
424 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/09/25 22:48 ID:uxZcb7RU
ageロ
425 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/09/25 22:53 ID:QKkcTHQs
続ききぼんぬ
426 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/09/25 22:56 ID:QKkcTHQs
島田の記事の質は、種無し>タヴァラ
タヴァラセンセーになるとマンセー度が上がる(w
「武豊の瞬間」は良かったんじゃない?
最近の同じネタを使いまわした駄文にはうんざりだけどな。
427 :
426:01/09/25 22:57 ID:QKkcTHQs
鬱ダ氏ノウ・・・
誤爆スマソ・・・
428 :
ロボ丸:01/09/26 00:49 ID:zc6shwQA
「何や?まだゴキブリがおったんか…こいつは早速駆除しないとな!!」
言うや否や、和田はターフビジョンに向かってマシンガンをぶっ放した。
バリバリバリ…と照明の割れる音が背中越しに響く。
まともに対峙しても勝ち目がない事は幹夫が身体を張って証明してくれた。
だとしたら…蛯名が選んだ道は「逃げる事」だった。
人間とはつくづく業の深い生き物だ、と蛯名は思った。
いつ死んでもいいと頭の中で思っていながら、最後の本能が逃げる方を選択してしまう。
「待たんかいワレェ!!」
髪を逆立てて和田がマシンガンを乱射する。双方の距離間が長いおかげか弾が届く前に
落ちてくれているが、この状態がいつまでも続く訳がない。
地下道に潜り込んでも和田の執拗な攻撃は続く。
出口が果てしなく長く感じる、逃げ道はない一方通行。
まるでロールプレイングのダンジョンのようだ。
いや、ダンジョンの方がまだマシか。
「早く、こっちだ!」
ふと、蛯名の耳許に誰かの声が聞こえた。豊の声ではない。まだ他に誰かいるのか?
声の方に向かうと、その声の主が後ろを走る和田に向かって何やら投げ付けた。
それは和田が乱射したマシンガンの弾に当たり、白い煙を吹き出して爆発した。
「な…何やッ?!ゲホゲホッ!!」
催涙ガスをもろに喰らって涙目になりながら咳き込む和田を呆然と見ている蛯名の腕を、
声の主が強引に引っ張る。
「マサヨシ、行くぞ!」
声の主に引きずられるように蛯名はさっきの場所からずっと離れたメモリアル60の
エレベーターに乗り込んだ。
ここまで来れば和田が追い掛ける事はまずないだろう。
「あ…ありがとう」
蛯名が礼を言い、顔を見上げると、 声の主の正体は調教師で、騎手候補生の太一の父でもある小島太だった。
「太さん……!」
「怪我はないか?とりあえず、上に向かおう」
「そこにいるのは武さんでっか、それとも蛯名さんかぃ?」
漆黒の闇夜に包まれた府中のターフに和田の声が響いた。
蛯名は「しまった、見つかった。」と焦りながらもじっと息を潜めて身を隠した。
・・・・どうする? 状況は極めて不利だった。緊張の連続で既に蛯名の意識は
限界に達していた。「まずい、このままじゃやられる!」なにか策は無いのか!?
「まぁ、どっちでもええわ。俺はどうしてもアンタらを全員始末せなあかんのや。」
不敵に笑みを浮かべて和田はゆっくりと蛯名に近づいていった。
「もう、だめだ。クッソー、やるしかないのか。」蛯名は決心した。
「ヨシトミさん、ノリちゃん。俺、また会えるかなぁ?」死んでいった友の名を呼び
ターフビジョンからまさに飛び出そうとしたその時!
まっ暗のターフに突如照明がついた。
すいません、429は面白くないので無視して下さい(;´Д`)
432 :
ロボ丸:01/09/26 23:53 ID:hGctKMaU
よく考えたらメモリアル60ってエレベーターあったかな?
東京競馬場3回しか逝った事ないもんで……
433 :
278:01/09/27 21:10 ID:aLSpjlLA
>428
おおおおお!小島太登場!!!
感涙です(T_T)
434 :
ロボ丸:01/09/28 00:32 ID:hitqyL.k
>>433 ありがとうございます。そう言って下さるとこちらも嬉しいです。
>>374-375で太先生の名前を出した手前、登場させない訳には
いかなくなりましたからねえ…
では、続き逝きます。(
>>429さん申し訳ない)
エレベーター→階段に変更になったのは御愛嬌↓
「でも何で太さんが……」
階段を昇りながら蛯名が小島に尋く。小島は今回の計画には中立的な立場であったことは知っていたが、
ここに来ていた調教師達は皆、推進派だった筈だ。
(反対派は真っ先に殺害されてたし、田原はどうか結局解らなかった)
「チャンスを待っていた。このふざけたゲームを中止できる可能性が出来たからな。
藤澤と森が死んで、尾形も今のところ行方不明だ」
「!」
「しかし…和田を連れて竹園オーナーがここに来たのは計算外だった。
あれさえなければもっとたくさんの人間を救いだせたのに……」
小島の言葉に蛯名も悲痛な面持ちになる。しばらく沈黙したまま階段を昇ると、
6階のレストランの前に着いた。
「マサヨシ、実はもうひとり、先にここに来てもらったんだ。
彼と冷静に話し合う為にも、武器を預からせてもらう」
その口振りからして相手が豊だという事は蛯名も察していた。
彼は絶対に自分を許していないだろう。彼の大事な弟を殺した自分を。
北村まで失った‥つまりは助けだせなかった今、どんな罰が降り掛かろうと構わなかった。
蛯名は覚悟を決めると、小島に銃を渡した。
435 :
ロボ丸:01/09/28 00:33 ID:hitqyL.k
レストランの自動ドアが開いた。中にいた豊はあからさまに不機嫌な顔をしていた。
幹夫と約束した場所に来てみたものの、いっこうに来ない幹夫にいらついていた所を
突然小島が現れてここに連れて来られたのだ。
「豊、 もうひとり連れてきたぞ」
小島の声に豊がはっとこちらを見る。もしかして幹夫が来てくれたのか?
…だが、その相手を見た途端、希望の笑みはたちまち砕かれ、見る見るうちに憎悪の表情へと変化した。
「え…蛯名ああああっっっ!!!」
椅子を蹴り上げ、豊は蛯名に飛びかかると、拳で何度も殴りつけた。
「幸四郎を…幸四郎を返せええええっっっ!!!」
どんなに殴られてもあくまで蛯名は抵抗しない。自分が殴られることで豊の気が済むのなら、
それでよかった。
殴り疲れたのか、豊は蛯名から離れると、今度は壁をドン、と叩いた。
「何で…何で抵抗せんのや、オモロないわ!」
蛯名は痛む頬を抑え、切れた口元の血を拭うと、豊の背中にこの言葉を発した。
「…幹夫さんが死んだ」
その時、豊の肩がぴくっと動き、はっとして蛯名の方を向く。
それは豊にとって死刑宣告に等しい言葉だった。
436 :
ロボ丸:01/09/28 00:35 ID:hitqyL.k
「な…何言うてんの?嘘やろ?」
表情が真っ青になり、唇が震える。予想以上の反応に、蛯名の方がうろたえてしまった。
「本当だ。和田が…………」
それきり言うと、あの光景を思い出し、顔を背けて口を押さえる。
豊は何も言わなくなった蛯名にいらつきを覚え、今度は小島に訊いてみる。
「な…なあ、太さん。幹夫さん死んだなんて…嘘やろ?」
だが、小島のとった反応もやはり、非情なものだった。何も答えず、ただ俯いて首を横に振るだけだった。
「ううう………うわああああーーーーーーーっっっっ!!!」
豊は悲痛な叫びをあげると、手当たり次第の物を壁に投げつけ、椅子やテーブルを次々と蹴り倒した。
だが、幸いな事に、銃は小島に預けていたので乱射の危険性は回避出来た。
この世に神がいるのなら、何と残酷な事をしてくれるのだろう!
人を信じる事が出来なかった、そして罪も無い善臣や熊沢の命を奪った自分への……
その結果、父や弟だけでなく、あのひとまで失ってしまった。
『これは罰なのか?』
廃虚となったレストランの床に手をつき、豊はいつまでも泣き続けた。
同期の頃からずっと彼を見続けていた蛯名も、ここまで感情を露にする彼を見たのは初めてだった。
だから、どうしたらいいのか解らず、ただ、呆然と見つめるしか無かった。
おもろい! これからのどうなるのか楽しみ
「の」が余計だ・・・
439 :
ロボ丸:01/09/30 00:34 ID:vBTupb0w
「───もうどうだってええ」
顔を上げて豊が呟いた。もう涙も枯れ果て、すべてを拒絶した瞳。
そして、小島の方を向く。
「太さん、銃返してくれん?今から和田のクソガキを殺してやるんや!」
「豊、気持ちは解るが焦るな。今のお前じゃ勝ち目がないぞ」
「もうええんや!俺は別にどうなってもかめへん!ディスクも『あの馬』も俺には関係ないわ!」
「バカ野郎!!」
突然、蛯名が豊を殴りつけた。不意を突かれて床に倒れ込む。更に蛯名は、その胸ぐらを掴んで無理矢理起こす。
「───お前、良く考えろよ。あの計画が実行されたらどうなる?
横並びのレース、勝つのはいつも同じタイプの馬、
利益を得るのはその馬を扱う厩舎と馬主と生産者位だ。それじゃもはや『競馬』とは言えない。
馬も騎手もそれぞれに個性があって、時には失敗もする。
お前だって『天才』って言われてるけど、しょっちゅう勝ってる訳じゃ無いだろ?」
豊はその言葉を聞いて、思わず吹き出した。確かにそれは言えてる。
マスコミには『天才』『ソツがない』とよく言われるが、時にはそんな重圧から解放されたい、と
思う事もしばしばだった。
それよりも、ここまで雄弁に語る蛯名を今まで見た事が無かった。それがおかしかったのだろうか…
「何がおかしいんだよ?!」
「…いや、自分結構しゃべるんやな、って。つい笑ってもうた。それはええとして」
そして一つ大きな息を吐く。
「───せやな。ここで自棄になったら、親父や幸四郎、このアホゲームで死んでった連中、
それに……あのひとにも申し訳が立たんわ」
豊はもう一度目をこすると、その手を蛯名の前に差し出した。
「豊……」
「俺達の本当の敵は……」
その瞳を見るだけで解った。蛯名は何も言わず、差し出された手をしっかりと握った。
これで幸四郎を殺した罪や善臣が殺された事が消える訳では無いのは解っているが、
この狂ったゲームの中で、蛯名は初めて豊と解りあえた様な気がした。
440 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/10/01 00:18 ID:v7kGlRiE
「しっかしあのガキンチョ、威勢のいいモン持ってる割には使い方っちゅうもんを知らん。
馬と同じだ。それが幸いしてか、まだ我々が死んでないんだが」
小島はつぶやいた。
蛯名はその言葉にふと先ほどのことを思い出した。
そうだ、確かに和田の持っている武器はその気になれば全員たやすく殺せているはず。
だが、ミキオを殺すのにただただ銃を乱射するばかりで、挙句の果てにはミキオに一度撃たれている始末。本来ならば和田は死んでいてもおかしくない身である。
「なるほどな」
蛯名はそうつぶやき、ニヤリと笑った。
「武器に頼っちゃいけねえな。騎手っつうのは馬の力を最大限に引き出してナンボの職業。
なら、俺らも今持っている武器を最大限活かさねえとな。」
ウマー
442 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/10/01 11:54 ID:IAPYVz5c
(゚д゚)ウマーage
443 :
ギヤック ◆KFnD0zFs :01/10/01 11:56 ID:6clnxEpI
いやぁ、これ書いてる人凄いね。良スレマンセー!
444 :
440:01/10/01 19:09 ID:3kopK3rU
「それに、あのガキンチョはまだ関東の競馬場のことをよく知らないはず。
オレと太さんはもともと関東所属の人間だし、豊、お前は何だかんだでちょくちょく来てるから和田よりはずっと知ってるだろ?
ここが京都や阪神じゃないというのも幸いしている。建物も俺らにとっちゃ味方だ。」
蛯名のその言葉に、豊もニヤリと笑う。それは普段レースで見せることのない、狡猾の笑みだった。
「せやな。あのクソガキも、俺らを見つけられんことには何も出来へんだろうし。ここは一つ、作戦会議と行きまひょか?」
「うむ、そうだな。」
小島は床に散らばっていたレーシングプログラムを拾い、3人は早速作戦会議を練ることにした。
445 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/10/02 02:06 ID:lQ/R44pw
age☆
446 :
sage:01/10/02 05:32 ID:yybYPRRM
<タイムテーブル表>
初日
00:55 プログラム開始直前 四位が脳に生め込まれた起爆装置で死亡【残り17人】
01:00 プログラム開始
01:30 渡辺が岡部に撃たれる
02:00 ロッカールームでの爆発により渡辺死亡【残り16人】
02:30 柴田がロッカールームで武に撃たれ死亡【残り15人】
04:00 岡部が松永に首を掻っ切られ死亡【残り14人】
07:00 武が死闘の末、熊沢を刺殺【残り13人】
14:00 福永が蛯名を殺そうとするも途中で横山に殺される【残り12人】
.蛯名はその後横山と行動を共にする
17:00 安藤が後藤に木刀で撲殺される【残り11人】
19:00 江田が松永の奇襲により死亡【残り10人】
21:00 藤田が河内との戦闘になり辛くも勝利 河内死亡【残り9人】
.蛯名、横山組に松永が合流、行動を共にする
二日目
02:00 松永の裏切りにより蛯名が撃たれる(奇跡的に助かる)
02:30 松永の裏切りにより横山が死亡【残り8人】
06:30 後藤が吉田に毒殺される【残り7人】
同時刻 幸四郎が北村を殺そうとするが蛯名に撃たれ死亡【残り6人】
同時刻 藤田が首謀者、尾形を殺害しようとするも返り討ち【残り5人】
23:00 吉田が北村に鎖で絞殺される【残り4人】
竹園が和田にディスク回収を命じる
三日目
01:00 北村が和田に殺される【残り3人】
02:30 松永が和田に殺される【残り2人】
03:00 蛯名が小島太調教師と合流、その後豊と和解
あんまり時間に関する描写が無いですがこんな感じですかね?
447 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/10/02 13:30 ID:2GDQhCZM
ご苦労あげ
448 :
440:01/10/02 23:45 ID:GtIYqbHE
シャーがクラッシャーに化けて尾形を撃った時、尾形は朝から飲んでいたという記述があるがいかに?
449 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/10/03 01:49 ID:g9ch/WKU
450 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/10/03 03:31 ID:RTvtdSwY
早く続きをあげろー。
451 :
440:01/10/03 23:20 ID:JFRe.Z9o
時間表記が分からないと何もできないYO!
むやみに人殺してもナンダし。
452 :
あ名無し娘。:01/10/03 23:20 ID:F8wueujk
揚げ
453 :
会長(神聖包茎):01/10/03 23:21 ID:AxpwHP5g
454 :
440:01/10/03 23:22 ID:JFRe.Z9o
会長さんへ。
何書いてもあなたは無視されるんですよ。
455 :
番外編 美浦編1:01/10/03 23:36 ID:ZoHwuqSM
勝手に番外編を挙げるよー。
今回のプログラムに運良く……いや、お呼びがかからなかった騎手たちはどう思っているのだろうか。
プログラムに参加する18人の騎手は皆、一流の腕があると見込まれた者たちだった。(渡辺は違うが)
しかし幾ら殺し合いをさせられるとは言え、選ばれなかった者としては……妙な屈辱感が残る。
東京競馬場が閉鎖されたニュースを聞かされて、田中勝春は思った。
もちろん閉鎖だけで、詳しい事は聞いていないが、それがプログラムが実施されているというのは、残された者たちの間では暗黙の了解だった。
「勝春さん。どうしたんですか?」
そう話かけてきたのは、勝浦正樹だった。同じ勝の字が名前に入っているだけで、妙に親近感を覚える相手だった。
「勝浦か……東京競馬場閉鎖のニュースを聞いてな……」
「まぁ……良く分かりませんけど、そうみたいですね」
勝浦がとぼけたようにそう答えるのを見て、勝春はゆっくりと話し始めた。
「なぁ勝浦。もし俺たちは選ばれた存在だから、殺し合いをしろ。って言われたら、どう思う?」
勝浦は返答に困っていた。勝春は続けた。
「最近、何人か先生や騎手が消えているだろう。何故消えたかって、もう暗黙の了解だから分かっていると思うけどな。
彼らは皆、新聞や雑誌でもトップジョッキー、調教師としてうたわれていた者ばかりだ」
「……そうですねぇ」
「……残された俺たちって、どういう存在なんだろうな」
勝春の言葉に、勝浦はドキっとした。
456 :
番外編 美浦編2:01/10/03 23:37 ID:ZoHwuqSM
「……それは……」
「……みなまで言うな、勝浦……。俺たちは一流ってことじゃないって事さ」
勝春の言葉には、何か悔しさを押し殺すような印象すら漂っていた。
「最初に言ったこと、覚えているか?」
勝浦は黙って頷いた。
「……もし今、俺たち二人も対象だと言われて、参加する事になったとしたら……。
殺し合いでも、お前は参加したいか?」
勝浦は何も言えなかった。何も言えないくらい背筋が震えた。
勝春は悔しがっている。一流と認められなかったことに対して、明らかに悔しがっている。
夏の新潟で勝ち星を延ばし、重賞も制覇して、いよいよ田中勝春復活!をアピールした時期に、自分がプログラムに召集されなかった事を……。
そうとしか思えなかった。
「ぼ、僕は……」
勝浦の唇が震えてた。
「ぼ、ぼ、ぼ、僕はた、た、確かに一流としてみ、認められたいです……。
で、で、でも、それで、それで人をころ……」
そこまで言うと、勝春は人差し指を口の前に持ってきた。
は!自分は何を……勝浦は自分の発言を後悔した。
「……たらればの話さ。勝浦。
例え一流と認められなくても、勝つのが俺たちの仕事だからな……。
そうだろ?勝浦」
そう言われて、勝浦はやっと安心した表情になった。
「……そうですね。仮に一流じゃなくても、勝つ為に乗るのが、僕たちの仕事ですからね」
「そうだな。それに俺たち、名前に勝って入っているからな。余計に大変だぞ」
二人の顔に笑顔が戻った。
……そう田中勝春は幸せだった。
腕も一流に近いものとして認められて、こうして生を実感出来る意味では。
田中勝春……プログラム参加候補第19位……。
(゚д゚)ウマー
こうやって未登場の騎手が登場するのはいいっすね
458 :
番外編 美浦編3:01/10/04 00:08 ID:/1G.ZPV.
兄弟と言うのは面白い。
時として自分たちが何を思っているのか、言葉無しで分かってしまうのだから。
ましてやそれが、同じ遺伝子を持つ双子なら……。
一連の騒動の裏でのクローンの噂を、柴田大知に興味を持った。
「もし俺が死んだら……俺、どうなんだろう?」
「大知ぃー!」
後ろから声がした。聞き覚えのある、そう自分と同じような声の持ち主だった。
そこには、大知の双子の弟、未崎が立っていた。
「なんだ未崎か」
「なんだは無いだろう。双子の兄弟に向かって」
そういえば、こいつとはいつでも一緒だったと大知は思い出した。
進路も同じ騎手という道を選んだ。そして同じJRAの騎手になった。
しかし近年、二人の間には差が出来つつあった。
「大知、ハセノコンコルドっていい馬だな」
未崎は大知の持ち馬であるハセノコンコルドに話題を触れた。
それもそのはず。新馬戦を好タイムで勝って、重賞も狙える位置にいる馬だ。
それを双子の兄である大知が乗っているのだから、興味は沸く。
「そうだな。久々にいい馬が俺にも回ってきたよ。
エアガッツで重賞獲って以来、縁がなかったからな……」
「でもいいよな。大知は重賞勝っているから……」
未崎は羨ましそうに、大知を見つめた。
そう騎手になってからの二人の成績は、大知の方が勝っていた。
未崎は双子の兄に並ぶ事も出来ないでいた。
「いやでも、そのうち未崎にも、いい馬が回ってくるって……」
「……なぁ大知?怒らないで聞いてくれるか?」
未崎が神妙な面持ちになった。
459 :
番外編 美浦編4:01/10/04 00:10 ID:/1G.ZPV.
未崎が神妙な面持ちになった。
「もし俺が大知になりすまして、大知の馬に乗ったら……どうする?」
大知は思った……そして自分が未崎だったら、どうするかも考えた。
「未崎、じゃ逆に聞くけど、俺がお前の馬に乗ったらどうするつもりだ?」
未岬は考えた……そしてやはり自分が大知だったら、どうするか考えた。
「同時に答えを言おうか?」
「ああ、そうしよう」
そして二人はいった。
「お前はそんな事が出来ない」
二つの同じ声がはもった。
大知も未崎も面白おかしかった。そして同じタイミングで笑い出した。
「なぁ大知?」
「なんだ未崎?」
「もし俺が死んだら……お前、俺になれるか?」
大知は答えた。
「お前が死んだら、俺はお前の後を追うよ。だからお前にはなれない」
「ははは。俺もそう思ったよ。大知ならそう言うって」
二人は生まれた時から強い絆で結ばれていた。
それはクローンでは作り出せない、強い絆だ。
たとえ二人に差があっても、どちらかが死んでも、この二人の絆に敵う者はいない。
だが同じ遺伝子なら、どちらか死んでも変わりない……。
柴田兄弟のクローンが採取されないのは、そういう理由もあるからだとは、二人は知る由もない。
460 :
440@番外編in栗東:01/10/04 00:23 ID:CtFPLWnE
一方、ここは滋賀県某所。
トレーニングセンターの朝は早い。
欠伸をしながら幸が馬にまたがり、馬を追おうとした時であった。
突然あぶみが外れ、幸は地面に転げ落ちて腰を強く打った。
「幸センパーイ、何やってるんすかー?みっともないっすねー。そんなんで今日のゴルフ大丈夫なんですかねー」
傍にいた池添が幸の姿を見てケラケラ笑う。
「池添、何がおかしいんだ?てめー笑ってんじゃねえ。大体これくらいの落馬でゴルフが出来なくなるようなヤワな体じゃ…アタタタタ…」
怒り顔の幸の顔に苦痛の表情が表れる。
「ちょ、ちょっと幸さん、大丈夫っすか…だ、だ、だだ誰かー幸さんをい、い、医務室に…」
幸い幸のケガは軽い打撲程度で済んだが、今日一日は静養するようにとのお達しがあった。
医務室のベッドに横になっている幸の傍で、池添がイスにのけぞってブーたれる。
「幸さんくらいのレベルの人が、一体どうしちゃったんですかー?」
「うるせえ!オレかて落馬する時は落馬するんや!オマエみたいなガキに言われる筋合いはないわ!」
「ガキなんて言わないでくださいよー、もう減量取れたし、第一3年以内に100勝もしましたしー」
「そういうガキみたいなこと言うてるからお前はガキなんや!」
マクラを掴み、池添に投げつける。
「ちょっとー、ゴルフ行けないからって八つ当たりしないで下さいよー」
「お前にいちいち言われたかない…アタタタタ」
「ほーら、言わんこっちゃない」
「じゃかあしいわ!でもよ…」
池添にけしかけられてムキになっていた幸が、突然真顔で黙りこくった。
461 :
番外編 美浦編5:01/10/04 00:52 ID:kKGI7JSk
プログラムに参加する資格を与えられなかった者は、屈辱感を味わう者だけでない。
むしろ殺し合いに参加しないですんだ事にホッとする者もいる。
徳吉孝士は上機嫌だった。
殺し合いのプログラムなんかくそくらえと思っていたからだ。
超一流として認められて殺し合いをするくらいなら、三流でも楽しく生きた方が面白い。
そう思っていた。
「しかし今回いなくなった連中もざまー見ろっていうんだ!
あいつら勝ち星挙げすぎなんだよ。だからそのしっぺ返しが今、きてるんだ。けけけー」
居酒屋に入り数時間が経過している。徳吉は明らかに酔っていた。
「それはさすがに言い過ぎじゃあ」
後輩の池田鉄平が、徳吉をたしなめる。
「おうおうどうした“オトコマエ”の池田さんよぉ。
いいんじゃいいんじゃ。年間数勝しか挙げられないけど、殺しあうよかよっぽどマシじゃぁー。
お前だって、本当はそう思っているんじゃろ?」
「そ、そりゃぁ、殺し合いには参加したくないですけど……」
「そうだぜ、徳吉。幾らなんでも言っている事が不謹慎すぎるぞ」
もう一人、徳吉の同期、水野貴史が眉をひそめる。
「なんでい水野?高崎の名門一家はお高く止まっているのかい?
お宅の弟は高崎では、名高い騎手なのに、兄貴の自分ときたら、中央のエリート面している連中に出番奪われてな。
悔しいわな?でも今回のプログラムで死ねば出番は増えるー。俺も勝てるー。ってか。」
「お前、いい加減に……」
水野が怒りかけたところで、徳吉は急に黙った。
462 :
番外編 美浦編6:01/10/04 00:54 ID:kKGI7JSk
「……でもな。はっきり言って、あいつら死んでも、わし今のまま、適当な騎手になってるわ」
「徳吉……」
「考えてもみい水野、池田?
どんなに頑張ってたところで殺されたんじゃ馬鹿じゃ。馬鹿。
それこそ手を抜いて、適当な線で頑張れば収入には困らないし、いーんじゃないの?」
徳吉は片手に持っていた焼酎をグラスに注いだ。
「まぁ適当に頑張ろうぜ。適当に。なんなら年間3勝だっていいぜー」
そこへ徳吉の背後から一人の男が現れて、徳吉のグラスを取り上げた。
「飲みすぎだな。体重に響くぞ」
「なんじゃ我ー!わしの酒に文句……ん?」
徳吉は文句が言える相手ではなかった。相手は岡部がいなくなった今や、関東最年長騎手となった坂井千明だった。
水野、池田はちぢこまっている。
「随分、大それた事言ってるな。徳吉」
「千明さん……でもわしは間違っている事言っているつもりはないですぜ。
頑張っても、殺されるなら、頑張らない方がいいに決まっているでしょう?」
坂井は煙草に火をつけると、静かに語り始めた。
「……野崎は知ってるか?」
463 :
番外編 美浦編7:01/10/04 00:54 ID:kKGI7JSk
野崎……そう今年の夏に生涯3勝しか挙げられず引退した、野崎孝仁だ。
「野崎?あー、あのどうしようも無く、下手だった、あいつでしょ?
あれはあれでどうしようもありませんなぁ。騎手なったんが間違いじゃないっすか?
さすがにあそこまではなりたくないっすよ。なぁ水野?池田?」
「そうか……知っているなら話は早い。
それでだ……その野崎は今、どこにいるか知っているか?」
三人とも見当がつかなかったが、徳吉は適当な事を言った。
「……どっか姿でもくらましたんじゃないっすか?
あまりにも恥ずかしい成績だから、皆に場所を知らせずにひっそりと……」
「そう。あまりに恥ずかしい成績だったな……JRAにとっても」
坂井はそう言い切ると、先ほどまでマシンガンのように止まらなかった、徳吉の口が止まった。
「……誰も野崎の引退後の消息を知らない。いや、引退が発表された時には既に……野崎は行方不明だったんだよ」
徳吉達三人は冷や汗が背中を伝うのを分かった。
「千明さん、それってまさか……」
水野が言おうとするのを、坂井は遮った。
「水野君には高崎という帰れる場所はあるし、池田もまだ伸びる余地はある。
だが……徳吉。あまり適当な騎乗はしない事だな。失礼だぞ。ファンにとても……JRAにとってもな」
それだけ言うと、坂井は財布からお金を出して置いて、去っていった。
「……ん?この匂いは……」
池田は異臭がするのに気がついた。その匂いの方向を見ると、徳吉は失禁して涙をボロボロ流していた……。
一流騎手は殺し合いをさせられるが、それでも生殺与奪が自分の腕にかかっているだけ、まだいいのかもしれない。
しかしそうでない者に待ち受ける運命は……。
翌日からトレセンには、今までとは違う形相の徳吉が必死になって調教にいそしんでいた。
自分が無理やり“引退”をさせられない為に。
464 :
440@番外編in栗東:01/10/04 00:57 ID:CtFPLWnE
「幸センパーイ、何カッコつけてんですかー、似合わないっすよー」
池添は相変らずけしかけ、幸をからかうものの、幸は真顔になって黙ったままである。
「…なあ、池添」
「何すか、センパイ」
「お前も知ってると思うが、ここんところ、不審な出来事がここでも起きているよな」
「そいえば今朝の幸さんも馬から落ちましたよねー」
おちゃらけ半分で答える池添に向かって幸が拳を上にあげる。思わず手をかざしてガードする池添。
「そんな小さなことやない。ユタカさんや藤田さん、河内さんらといったトップジョッキーが突然姿を消したやろ」
「ええ、確かに。まさか、例の変な噂がからんでいたりして。そいえば、幸センパイはその中に入ってましたっけ?」
性懲りもなく池添は冗談まじりでからかう。
「やかましい!…でも、あながちお前の言うことも正しいかもしれん。中学の時、友達の付き添いで競馬学校を受験したら
たまたま受かっちゃって、気がついたらかなり上の順位にいた。そんな軽い気持ちで騎手になった人間なんて、認めないヤツも
ぎょうさんおるわな。それが証拠に、伊藤先生なんか一度も乗せてくれん。認められてない証拠よ。」
「別にいいんじゃないっすか?どういう理由であれ、今僕らがこうして生活にしていることには変わりはないんですから。
まあ、そんな暗い話はやめましょう。とりあえず今日は休んでて下さい。ゴルフはまた今度にしましょう。」
「せやな…今日はスマン、池添」
「別にいいっすよ。また来週にでもやりましょうね。それじゃ。」
確かに、今まで辿ってきた道はどうであれ、
俺はここで競馬村の人間として生きている。そして、こうして冗談を言い合い、一緒に遊んだり出来る後輩もいる。
そういうヤツが傍にいるだけで、幸せなんだよな。
でも、それがある日突然壊れ去ってしまったら…。
大丈夫だよ、きっとただのウワサだよ…池添の笑い顔を思い浮かべながら、幸はその"噂"を否定しつづけ、寝ることにした。
番外編も素晴らしいです。
お疲れさまですぅ
本編ともに楽しみにしてます。
466 :
440@番外編in栗東3:01/10/04 01:32 ID:CtFPLWnE
「起きろ!調教の時間や!」
安田康彦は年配の厩務員にアタマをひっぱたかれて起こされる。
「な、何や…オレは二日酔いで気持ち悪いねん。起こさんといてや」
「何アホなこと言うてんねん!調教も騎手の仕事やろが!」
「やかましい、アタマガンガンすんねん。寝たいと言ったら寝たいんや」
「康彦、オマエ寝てばっかねえで少しは調教手伝わんか!だからオマエはいつまでもロクな成績やないんや!」
「あー?人間は星や、なるようにしかならへんわ。
手伝ったからとてすぐにリーディング取れるわけやないんに、大体こっちはユタカさんがおるやない。
あの人に勝てるわけないやん。所詮、そんなもんや」
「…勝手にしろ!知らん!」
「スンマセンセンセイ、康彦のやつ…」
「…そうか、しょうがないな。」
「それにしても康彦のやつ、いつになったらマジメにケイコつけるようになるんでしょう?
マジメにやれば康彦は…こりゃ、スンマセン、センセイ」
「…ははは、いいよいいよ。ちょっとスマンが、休ませてくれないか?」
安田伊佐夫調教師は厩務員を自分の持ち場に戻し、一人考えた。
康彦は私のかわいい息子だ。
あと何年もつか、大人になれるか、なんて言われていた康彦が成人になり、今も生きている。
私にとっては、康彦が生きている、それだけでも十分幸せだ。
失踪しようが、酒を飲んで運転して捕まっても、康彦が生きているんであればいい。
でも、騎手としての道を歩んだ以上は、やはり上位を争うような騎手になって欲しい、
というのもまた事実。素質としては申し分ない、分かる人には分かっている…。
一方、もし康彦がマジメに頑張っていたら、果たしてどうなっていたのか…そう
考えると非常に複雑だった。もし自分のかわいい息子が殺し合いに巻き込まれると
考えたら…。
そんな複雑な思いをはりめぐらしてるうちに、気がついたら伊佐夫調教師は康彦
の寝ているそばにいた。
「康彦…」
伊佐夫調教師はそうつぶやくと、無言で大粒の涙を流していた。
467 :
番外編 船橋編1:01/10/04 01:41 ID:ozjhRVF2
地方所属の騎手の中でも中央に通用する者はいる。
安藤勝巳はその腕を見込まれ、地方所属で唯一のプログラム参加者となった。
しかし中央に認められる男は、笠松の安藤勝巳だけでない。
中山競馬場から電車一本で行ける場所……船橋の石崎隆之もその一人と言える。
「東京競馬場で一体何が起こっているんだろう?」
先日デビューしたばかりの愛息、駿が隆之に聞いてくる。
「さぁな。地方所属の俺たちにはJRAの考えなんて到底及ばない。
むしろお前の方が詳しいんじゃないのか?駿よ?」
駿は白井の競馬学校を中退して、船橋所属になった身だ。JRAについて何か知っていてもおかしくはない。
「分からないなぁ。でも変な噂や体験だったら、いっぱいあったけどね」
「ほう?例えば?」
「最近やたらと騎手や、調教師の行方不明が相次いだり、突然、同級生のやっていた牧場の閉鎖が相次いだりさ……。
それで、そんな噂ばかり聞いていたら、JRAが怖くなってきて……」
「それでお前、船橋で乗る気になったのか?」
「……ま、まぁ……」
駿は下を俯いたまま、小声で答えた。
468 :
番外編 船橋編2:01/10/04 01:41 ID:ozjhRVF2
「ああ情けない。そんな噂で怯えるなんて、お化けを信じて怖がる幼稚園児じゃあるまいし。
それで『俺は親父のような、地方でも立派に戦える騎手になりたい』なんて嘘までついて逃げてきたのか?」
「そ、その言っている事は本当だよ!そ、そりゃぁ怖かったのも確かだけど……親父のようになりたいのは本当だ」
隆之は鼻で笑った。
「ふっ。お前も口だけは一人前になったもんだ。
大した腕があるわけじゃあるまい」
「で、でもー」
「分かった。分かった。一人前の口を叩く前に、もう少し勝鞍を増やせよ。
明日からの大井で少なくとも3勝しろよ。そしたら少しは認めてやる」
「よーし言ったな、親父。見てろよ!明日からの大井で3勝挙げてみせるからな」
そう言うと駿は足早にトレーニング室に向かった。
隆之は息子の後姿を見て思った。大きくなった……と。
隆之は今、JRAでどんな動きがあるか知っていた。中山での騎乗機会が多い彼なのだから、当たり前だ。
内心、隆之はホッとしている。駿がJRAに所属しなかったからだ。
JRAに所属していたら……そう考えただけで、どんな無駄な心配をしなくてはいけなかっただろうか。
しかし今は今だ。こうして息子の成長を目の前で見守れる。
この幸せを感じよう。石崎隆之はそう思った。
船橋で父の背を追いかける事を決めた息子を誰も咎める事は出来ない。
それはJRAに対する恐怖から逃れる為の言い訳だったかもしれない。
だが笠松の安藤勝己にも忍び寄った魔の手はいつ、隆之に降りかかるか分からない。
それでも今は駿の成長を願っていられない、船橋の親子鷹の伝説は始まったばかり……。
そう信じたい。
469 :
440@番外編in栗東4:01/10/04 01:41 ID:CtFPLWnE
「武田センセー、おはよーございまーす」
「おはよー、マサミちゃーん。今日も頑張ってよ」
「はーい」
「そういえば何かいろいろ変な噂を聞くけど、こっちには何にもないな。パパにも、武田センセイの身にも何もない。噂なんかどうでもいいか。」
こうして菅谷正巳のトレセンでの日々は過ぎていくのだった。
470 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/10/04 01:44 ID:iFoIBhGU
番外編
文章が読みやすくて凄くいいです
471 :
440:01/10/04 01:47 ID:CtFPLWnE
誰か他に栗東編&西日本地方競馬場編書いてくれい!
472 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/10/04 01:48 ID:8ZpNKEEM
番外編シリーズも(゚д゚)ウマー!!!
個人的にはアンミツ編きぼん・・・
473 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/10/04 01:51 ID:Te0H4N4o
番外編も名作家ぞろいだね
>田中勝春……プログラム参加候補第19位……。
ちょっと古いけどこれにはウマイ!と思ったよ
474 :
番外編 美浦編書いた人:01/10/04 01:56 ID:ozjhRVF2
>>473 嬉しいです。有難うございます。
って言うか、すみません
>>440さん。
昨日、このスレを読み上げてから、どうしても今回出てこなかった騎手達は……。
って考えたら、書きたくなっちゃたんです。
ちなみに個人的には、栗東編で一人残された武一族、武英智も書いてほしいかな?と。
それでは本編の続編も期待してますー。
475 :
ロボ丸@リハビリ中:01/10/04 02:03 ID:TJ69RmQw
どうも。しばらく疲れが取れなくて休養中です…
番外編の皆様、ここまで思い付くなんて ホントに凄いです。
ありがとうございます!
(っていうかお前も本編書けロボ丸!)
476 :
番外編 美浦編8:01/10/04 02:09 ID:ozjhRVF2
ここに二人の騎手がいる。
腕も確かで、勝ち星も挙げている。だがプログラムからは完全に除外の対象だった。
「なぁ」
「ん?」
「例のプログラム知っている?」
「あぁ。府中でやってると噂の」
「怖いなぁ。仲間同士殺しあうんだぜ」
「……物騒な事言うなよ」
「……俺たち大丈夫かな?」
「何が?」
「プログラム……だよ」
「多分……な。」
「そうだよな……グランドナショナルに勝てる騎手を選抜でもしようとしない限り」
浜野谷憲尚と亀山泰延は、障害の調教に向かっていった……。
477 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/10/04 02:10 ID:fppqA5Tw
ロム専の者です。
番外編も読み応えがありますね。
本編と同じく楽しみにしております。
(リレー小説が死に体で悲しい。あのスレは潮時か。)
478 :
440:01/10/04 07:21 ID:8Vk7yFdg
>>474さん
いえいえとんでもございません。
あ、こういうのもありかな、と思ってこっちも栗東編を書いたくらいですし。
つーかロボ丸氏スマソン。
勝手に話すすめちゃって。
あのー、
>>461の水野、名前が弟の方になってるんですけど…
480 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/10/04 13:08 ID:K4SUTEbY
age
481 :
多摩市名誉市民:01/10/04 15:26 ID:/NwmehCY
「近頃、変だわ」牧原は調教に向かう、原チャに乗りながら思った、「祐ちゃんや、竜ちゃんも連絡とれないし」牧原は師匠の増沢調教師にそれとなく聞いてはみたがはぐらかせれた、真相を知っていた増沢は牧原をきずかい、敢えて真相を胸に真相をとどめた。
482 :
多摩市名誉市民:01/10/04 15:49 ID:/NwmehCY
「一体、今何が起きているんですか」牧原は、増沢に詰め寄った。妙な噂、同期生(福永、和田)の行方不明、「ダイワテキス」の主戦騎手の北村は何故調教でこない等聞きたい事は山程あった。遂に増沢が口を開いた
「一体どないなっとるんや!」
調教も一段落し、閑散とした栗東トレセンにダミ声が響く。
出津孝一は苛立っていた。
今まで出入りしていた岩元厩舎から、突然騎乗依頼はおろか調教の手伝いも
パッタリと無くなったからだ。
調教師に連絡を取ろうと試みたが、出津の携帯電話から聞こえてくるのは
『この電話は現在使われておりません』という無機質な女性の声。
ならばと厩舎に所属していた和田にかけても同じ事だった。
その事が、出津の神経を更にささくれ立たせていた。
東西のトレセンで流れる妙な噂は出津の耳にも届いていた。
”一流の『平地』ジョッキーを選抜する”プログラム。
所詮、障害専門の自分には関係の無い事だ、と最初は捉えていた。
しかし噂が耳に届く頃、急に厩舎への出入りを禁じられた。訳を
問うても調教師からは「言われへん」の一点張り。
呆然とする出津に、相次ぐ調教師やリーディング上位の騎手達の失踪。
連絡が取れなくなった岩元と和田。
そして東京競馬場の閉鎖…。
「ひょっとして…センセや竜二も…」
ふと脳裏に浮かんだ考えを、出津は力強く頭を振り追い払う。
「あかん、何考えとるんやオレは」
そう口に出したものの、状況は悪い方へ向かっているのは出津にも判っていた。
それでも。
「…まぁ、あの二人は大丈夫やろ。うん」
無事であってほしい。出津は心底そう願い、自宅の方向へと歩いていった。
この時に岩元や和田に必要以上に関わりを持たなかったことが自身の命を
繋げる事になるとは、出津自身気付く由も無かった。
**********************************************************
駄文スマソです。(じゃぁ、あげるなって)
本編も番外編も楽しみにしております。
ロボ丸様、お身体には気を付けて下さいね。
484 :
美浦編筆者:01/10/04 23:49 ID:aA/v2QH2
485 :
番外編 墓前編1:01/10/05 00:13 ID:VbIYCxr.
今回のプログラムに関して、既にこの世の人でなくなった競馬人たちはこの事態を生きていたらどう思うのだろう……。
そんな事は生きている人間の知るところではないが、聞いてみたいところなのは、誰しも思うこと。
二本柳壮は先日、亡くなったばかりの祖父・野平祐二の墓前に手をあわせていた。
「……おじいちゃん。おじいちゃんが亡くなってもう三ヶ月くらい経つんだね。
僕には、おじいちゃんが亡くなったのは、未だに信じられないよ」
お墓が答えてくれるわけが無い。それでも壮は話続けた。
「最近、僕の周りでプログラムの悪い噂ばかりが飛び交うようになったんだ。
ここ数日で多くの騎手や、調教師の先生が行方不明になっちゃった。
僕と同期の北村もいなくなってさ……どうなっているんだろうね?」
それでも墓前の野平の写真は微笑むだけで、何も語ってはくれない。
「おじいちゃんは何か知っているの?何か知っているなら何で急に死んじゃったりしたの?
どうして……どうしてだよぉ……」
おじいちゃんっ子の壮にとって、野平の死は簡単に受け入れられるものではなかった。
今にも祖父との思い出が頭をよぎって、涙が溢れそうになった。
「父さんは何も話してくれない。僕には何が起こっているのか何も話してくれない。
僕、どうすればいいんだよ……」
「お義父さんの望みは、お前が一人前の騎手に成長することだったよ」
486 :
番外編 墓前編2:01/10/05 00:13 ID:VbIYCxr.
声をした方を振り向くと、そこには壮の父・二本柳俊一調教師が立っていた。
「父さん……」
「お義父さんは、いつもお前の騎乗を見て、楽しそうに、また嬉しそうに見ていたよ。
本当に調教師をやめたお義父さんにとって、楽しみはお前の成長だけだったからな。
一日でも長くお前の成長を見守ろうと、一生懸命頑張ったんだ。仕方ない」
壮は父の言葉を黙って聞いていた。
そしてしばらくすると立ち上がった。
「……そうだね。僕が一人前の騎手になる事がおじいちゃんの望だったなら、僕頑張らないと」
俊一は黙ってうなずいた。
「父さん行こう。グズグズしているとおじいちゃんに怒られちゃうよ」
「はは。そうだな。先に行っていろ。お義父さんに挨拶しなくちゃいけないからな」
壮が墓前から立ち去った後で、俊一は墓前に手をあわせた。
「……お義父さん……すみません。壮には、まだ本当のことを言えません。
……あなたが……あなたが、プログラムに反対して、こんな事になってしまった事を……。
若手の騎手を救う為に、あなたが命を落としたことを……それを今、壮が知ってしまったら……。
もし恨むなら、私を恨んでください。私はプログラムに反対するのが、恐かった……」
誰もいない墓前で、俊一は一人、涙を流すのであった。
487 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/10/05 00:16 ID:9.ww7fFo
朝の調教も終わり、南井克巳は自厩舎の馬の様子を見る為にそれぞれの馬房を見回っていた。
どの馬も皆、草を食べたり、気持ち良さそうにあくびをしたりして元気そうだ。
大きなレースなんか別に勝たなくてもいい、皆が無事に走ってくれるのなら南井はそれだけで幸せだった。
ふと、一番向こうの馬房が騒がしい。南井は黄地に黒の水玉の厩舎服を羽織ると、その馬房に飛んでいった。
見ると、厩舎一番の稼ぎ頭・ウイングアローが担当厩務員の制止も聞かずに暴れ回っている。
疝痛や虫刺されとは違う、明らかに怒りを露にした暴れ方だ。
「どうした?一体…」
「せ、先生!助けて下さい!アローが急に暴れだして…!」
引き綱を力一杯引いている厩務員と交代すると、南井は片手でアローの引き綱を引っ張り、
もう一方の手でたてがみを優しく撫でた。
しばらくすると、アローも大人しくなり、やがて、南井に甘えるように擦り寄ってきた。
───だが、その瞳に光るものが一つ、二つこぼれ落ちてきた。
「アロー…お前、泣いてるのか?」
アローに寄り添うように寝藁の山に座り込むと、南井はここ数日の騒動を思い出した。
武邦彦調教師の突然の失踪に始まり、それに伴う『反対派』の関係者の失踪、謎の死。
生産牧場の相次ぐ閉鎖、そして、トップジョッキーの大量失踪……
まさか、あの忌わしき風習が、再び行われているのか…?!
489 :
ユタッキー:01/10/05 00:51 ID:Sno3Qcoo
最後に生き残るのは豊なんだろうな?
491 :
墓前編筆者:01/10/05 00:58 ID:VbIYCxr.
>>487 お褒めの言葉有難うございます。
故野平祐二氏をネタに使いましたが、もし野平氏ほど競馬を愛した人なら、プログラムが許せないんじゃないか?
と思い、急死だった事も重なったので、こんな脚色をしました。ファンの方がいたらすみません。
言うまでもなく実際は、陰謀でなく(笑)天寿を全う出来た訳ですからね。
本当に空の上から、二本柳親子だけでなく競馬界を優しく見守っていてほしいですね。
ご冥福をお祈りいたします。
>491
まあ、実在の人間とは何ら関係の無いフィクションだからいいでしょ
493 :
多摩市名誉市民:01/10/05 12:14 ID:mThY1XwU
「実は、牧原」増沢は自分の知っている限りでこの恐ろしい計画の内幕を話した。話しが進む内牧原の顔を曇らせた、「じゃあ二人は・・・」増沢は首を横に振るだけだった、牧原の白い頬に涙がこぼれた。
494 :
多摩市名誉市民:01/10/05 12:24 ID:mThY1XwU
「うそよ、二人が殺し合いをする筈がないわ」「先生、うそだと言ってください」増沢は唇を噛んだ。牧原は涙を流しながら、あることを思い出した、それは、一ヶ月程前「スピードオーバー」で今季2勝目を上挙げた、夜の事であった。
495 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/10/05 23:02 ID:an.Rb5pM
番外編おもしろいなぁ。
佐藤哲、中舘、安藤光とかも出して欲しいっす。あと斧ジローも。
496 :
440:01/10/05 23:06 ID:/Wgix3wo
「エビナ――――!タケユタカ―――――――!どこにいるんじゃ――――!
往生際が悪いんじゃ――――!とっとと死にさらせ――――!」
なかなか蛯名と豊を見つけられない和田はかなりいらついていた。
また、慣れない東京競馬場の構内のせいか、同じところをグルグル
回っているような錯覚に陥っており、それが和田の神経を余計にとがらせ
ている。
カタッ、何かが落ちる音がした。
「そこか――――!」
振り向き様にマシンガンをぶっ放すが、ぶっ放した先には蜂の巣上の壁だけが
存在していた。
ゴトッ、何かが動く音がした。
「死にさらせ――――!」
振り向き様に今度は手榴弾を投げつける。
しかし、そこには全く血の匂いすら嗅ぎ取れない。
「ハァハァ…一体どこに逃げたんじゃゴキブリども。
この和田様をこけにしおって…絶対許さねえ!」
周りを見渡すと自分と同じ年頃の少年達が数十人程いる。皆、不安そうな表情だった。
ここはどこだろう。検量室だろうか?
ぼんやりしているとさっき自分を車に乗せたあの調教師が鞭を手にやって来た。
「今日はお前達に殺し合いをしてもらう」
何を言われたのか一瞬解らなかった。殆どの連中が戸惑っていると、性別の区別すらつかない
人間…切り刻まれた勝負服と鞭でさっきまで騎手だった事が解る…肉塊と、四つの脚を折られ、
内臓の飛び出した馬の死骸を目の前に見せつけられた。
ある者はパニックになり、またある者は逃げ出そうとして飛び出した所、
近くにいた兵士の放った弾丸により戦う前から戦闘不能となった。
どうやらこのプログラムの真意は、全国から集まった各競馬組合の騎手候補生に殺し合いをさせて
心身とも強い騎手を作り上げようというものらしい。だが最終的に生き残れるのはたった一人。
本来なら騎手同士で競わせたいのだが、今回は試験的に行われる事になったのだ。
そして、南井は日本中央競馬会代表としてこのプログラムに選ばれたのである。
更に、地方競馬の人間が勝者となった場合、自動的に中央競馬の資格も獲得できる。
つまりは交流競争なんかしなくても自由に中央競馬のレースに出れるのだ。
これを聞いて色めき立たない者はいない。皆が皆、南井の首を狙おうとしていた。
スマソ、もう一回送り直し。
話は30年程前に遡る。
馬乗りに憧れて愛知の片田舎から上京した南井克巳少年は日本中央競馬会の騎手になるため
毎日修行に精を出していた。辛い事もあったが、それなりに有意義な日々を送っていた。
ある日、どこかの調教師に呼び出されて車に乗った。今となってはもう思い出せないが、
あれは自分が世話になる厩舎の師匠ではないのは間違いなかった。
車内で繰り広げられる他愛のない話。何だか眠くなってうとうとしていた後、
着いた場所は数年前に廃止されたどこかの競馬場だった。
周りを見渡すと自分と同じ年頃の少年達が数十人程いる。皆、不安そうな表情だった。
ここはどこだろう。検量室だろうか?
ぼんやりしているとさっき自分を車に乗せたあの調教師が鞭を手にやって来た。
「今日はお前達に殺し合いをしてもらう」
何を言われたのか一瞬解らなかった。殆どの連中が戸惑っていると、性別の区別すらつかない
人間…切り刻まれた勝負服と鞭でさっきまで騎手だった事が解る…肉塊と、四つの脚を折られ、
内臓の飛び出した馬の死骸を目の前に見せつけられた。
ある者はパニックになり、またある者は逃げ出そうとして飛び出した所、
近くにいた兵士の放った弾丸により戦う前から戦闘不能となった。
どうやらこのプログラムの真意は、全国から集まった各競馬組合の騎手候補生に殺し合いをさせて
心身とも強い騎手を作り上げようというものらしい。だが最終的に生き残れるのはたった一人。
本来なら騎手同士で競わせたいのだが、今回は試験的に行われる事になったのだ。
そして、南井は日本中央競馬会代表としてこのプログラムに選ばれたのである。
更に、地方競馬の人間が勝者となった場合、自動的に中央競馬の資格も獲得できる。
つまりは交流競争なんかしなくても自由に中央競馬のレースに出れるのだ。
これを聞いて色めき立たない者はいない。皆が皆、南井の首を狙おうとしていた。
499 :
440@番外編in栗東 その6:01/10/06 00:15 ID:lMrAGP4I
「アホらしいわ、ホンマ」
嘉堂信雄は例の"噂”に関して吐き捨てるように言った。
「そんな腐った真似してまでいい馬作りたいか?人間と同じで、馬にもいろんなヤツがおるんに。のお。」
嘉堂は跨っている馬の首を叩き、馬にそう話し掛ける。
「お前は確かに平地じゃ他の馬にはかなわないよ。だが、こっち来てからお前は気持ちよさそうに走るよな。
お前はこっち向きのヤツだったんじゃ。全く、JRAも何が障害振興だよ。名前ばっかりハイカラなのに変えちまってよ。ハハハハハ。」
「おやっさん、馬に話し掛けちゃって、もうボケが始まってんじゃないすか?」
嘉堂の声を聞きつけた林が近寄り、イランことを言う。
「バカいえ!まだまだ老け込む歳やないわ!」
「最近はクマちゃんに押されっぱなしやけどね」
「熊沢なんかアカンアカン!平地ばっかり乗っとるヤツなんかホンモノの障害騎手ちゃうわ!
オレはデビューしてから今まで一度も平地なんざ乗ったことがない、筋金入りの障害騎手や!ハハハハハハ…」
豪快な笑い声を飛ばしたと思いきや、突然笑い声を止め、神妙な面持ちになった。
「おやっさん?」
500 :
440@番外編in栗東 その7:01/10/06 00:16 ID:lMrAGP4I
「…いやな、ちょっと例の"噂"のことを思い出したんや」
「でも、僕ら障害主戦の人間には関係のない話やないですか?」
「よう考えてみいや。確かに、牧場や馬主からみれば、そりゃ平地で重賞勝てば脚光もあるし、引退後は種牡馬になれる。
でもな、ほとんどの馬は脚光も浴びず、走れなければ引退。その後で乗馬になれればまだいい。それすらなれんかった馬は…」
「…確かにそうですね。」
「ワシらはそういった馬に乗り、障害レースという違った形態のレースで馬を輝かせるんや。こういった活躍の場も与えられてもええんちゃうん?」
「…確かに」
「それに、最近熊沢の姿が見えんねん。まさかあいつ…」
「クマちゃんは平地でもいいとこいってますからねえ。もしかしたら…」
「…アイツがおらんと寂しいわい。平地の騎手はケガが怖いだの何だのほざいて障害なんか乗りゃせん。
特にリーデングのヤツらなんかほとんどが障害で乗ったことのないヤツらばかりじゃ。
そんな中で、熊沢はようこっちに乗ってきおる。…ホンマに障害が好きなんやのお。」
「…さっきとちがうこと言うてますよ、おやっさん。」
「やかましい!どうでもええことや!人のこという前にまずオマエ自身はどうなんや!
障害の方ばっかり乗ってる割には熊沢より下やないか!直に高田や今村に抜かれるで。」
「今村まで言う…おやっさんもキッツうわ。俺、まだケイコ残ってるんで先行きますわ、んじゃ」
「…熊沢、早く戻ってこいよ、待ってるぞ…」
その願望は永遠にかなわぬものだということを、嘉堂は全く知らない…。
501 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/10/06 00:21 ID:ZwbKbNyo
502 :
番外編美浦編他筆者:01/10/06 00:29 ID:ZwbKbNyo
提案。
今書いてある、番外編シリーズが完結したら、そろそろ本編に戻しませんか?
さすがにまとまりを見せなくなりはじめたし。
って言うか、本編覚えている人いるのか?
もっともまだ本編が出来上がらないようなら、引き伸ばしてもいいかもしれないけど。
ゲームが開始された。最初に見せられた生ゴミのような騎手と馬の死骸、目の前で打ち殺され、
騎手の夢が潰えた仲間の姿を目の当たりにした少年達は、配給されたバッグを持って検量室を後にした。
南井はバッグを抱えながら考えた。ここから逃げ出せば、こんな無駄な殺し合いをしなくても済む!
幸いにもすぐ近くに門が見えた。だが、同じ事を考えたのか誰かが先に門に向かっていた。
───と、同時に待ち構えていた大勢の兵士が彼に向かって銃を発砲した。
血を吹き出して地面に倒れる少年の姿を目の当たりにした南井は慌ててUターンで門から離れた。
もし彼が先に駆け出していなければ、自分が鉛の弾の餌食になっていた。
そう思うと自分は運がいいと言うべきなのか。
しかし…自分にその気が無くても攻撃を仕掛けようとする輩は大勢いる。ならばと南井が取った行動は
「逃げる事」ただ、それだけだった。
銃声があちこちで轟く。時折、悲鳴も聞こえる。
自分の武器は竹槍。しかし、飛び道具が相手だと圧倒的に不利だ。
何度か説得を試みようとした事もある。しかし、殆どは問答無用で襲い掛かって来た。
その度に隠れたり、時には不意打ちをかけてその隙に逃げる事ばかりを繰り返していた。
とにかく、無益な争いだけはご免だった。
やっと自分の説得に応じた相手もいたが、その直後に彼は背後から別の人間に撃ち殺された。
何と言う事だろう!
自分を信じて死んでいった少年を見て、南井はその手を握りしめ、涙を流した。
もっと自分がうまくやれば、彼は死なずに済んだのに…
お前達はそんなに中央で乗りたいのか?そこまでして中央のレースで走りたいのか?
そうか、ならばこの命をくれてやる。
本当に馬に乗るのが好きなのであれば、環境はどうであれ、乗れる事に喜びを感じる筈だ。
そう思った瞬間、先程自分の説得に応じた少年を殺した奴に肩を撃たれた。
(俺…死ぬのか…でも一度でいいからダービーに乗ってみたかったなあ……)
その場に崩れ落ちた南井は、やっとこのゲームと決別できるんだ、と安堵の笑みを浮かべた。
504 :
番外編 封印されし記憶・4:01/10/06 01:56 ID:fyDHZtag
目が醒めると、何故か医務室にいた。そして、側にはあの調教師がいた。
逆光で顔がよく見えない。
「おめでとう、君が勝ったんだよ」
彼はそう言ってニヤリと笑う。顔は見えないのに、口元がそんな動きをしているのははっきり解った。
何がなんだか解らずにいる南井に彼が説明する。
南井をライフルで撃った相手は背後にいた別の相手に撃ち殺され、更にそいつがとどめを刺そうとした所、
突然銃が暴発して自滅という呆気無い幕切れだった。
それから数日後、この計画がいかに無駄なものかが判明した為、たった1回で打ち切りが確定してしまった。
結局勝った人間が中央競馬会の騎手候補生だったせいか、貴重な人材を失った各地の地方競馬会から
猛反発を喰らってしまった為でもあった。
その結果、地方競馬の馬が自由に中央競馬のレースに登録できる様になるまで、
さらに数十年の歳月を費やした。
あれから時は流れ、当時の出来事を知る者は殆どいない。あの調教師もわずか2年後に癌で亡くなった。
ただ変わったといえば、あのゲームでは逃げる事に徹していた少年が、
レースに対しては最後まで諦めず、常に追う事に執着していた。
それが後に『剛腕』『ファイター』の称号を得る事になる。
やはり…話すべきだったろうか……?
今回の件に関して南井はあくまでも沈黙を守り通した。もう関わりたく無いというのもあった。
来年は晴れて息子も騎手デビューする。彼が一人前になるまでまだ死ぬ訳にはいかなかった。
しかし、いずれにせよ時代の流れと共に『あれ』は復活している。
そして、文明の発達は武器をより強力にさせ、犠牲者を増やしている事も。
「なあアロー、俺はこれで良かったのかなぁ…?」
愛馬の鼻面を撫でながら南井が呟く。先生の悲しみが伝わったのか、アローも悲し気な表情で南井を見る。
そして、ふと、空を見上げる。鉛色の空を見つめるその瞳は何を想うのだろう。
ああ…そうか、お前の乗り役も……引退した自分に代わり、アローの主戦騎手になった岡部も
そういえば……
そのうち、彼だけでなく、豊や河内、栗東の仲間達の事を想い出し、気がつけば
南井の両方の瞳から涙が一筋頬を伝っていった。
突然、雨が降って来た。
それは、あらゆる人の悲しみを代弁してくれている涙雨だろうか……
506 :
440:01/10/06 23:11 ID:Db//YQAY
>>550さん
お褒め預かって光栄です。
私、嘉堂騎手のファンなんですよ。
だから一度は出したかったんす。
林騎手に関しては、無難だから選んだ、という感じです。平地にそこそこ乗るし。
507 :
440:01/10/06 23:16 ID:Db//YQAY
502さん
続きを書きたいけど、カッチーと勝浦の番外編読んだら思わず関西も、とつい図に乗り過ぎて書いてまいました。
ちなみに池添と幸はゴルフ仲間inグリーンチャンネル。
508 :
元祖ロボ丸@久々:01/10/07 00:17 ID:xA282utQ
やっと続き書きました。でも凄く眠い…
「しかしこれで生きてるのは俺と豊、それに吉田か…」
「…吉田も死んだ。ここに入る前に首締められて殺されとった」
豊にそう伝えられて蛯名はまた悲痛な面持ちになった。吉田とはそんなに仲が良くなかったが、
どんどん人が死んでいく状況に生き残った者同士、少しでも協力し合えたら…と思っただけ余計に辛かった。
「吉田を殺ったのは北村だよ」
煙草を吹かしながら小島が言う。それを聞いた途端、急に蛯名が食ってかかった。
「何でたらめ言ってんですか?!あいつがそんな事する訳ないでしょう!
いくら太さんでもそんな事言うなんて…!」
「マサヨシ、あいつがずっとパソコンを持ち歩いてた理由を知ってるか?
───あれで藤澤と連絡を取り合ってたんだよ。藤澤があいつを優勝させたいために」
ふと、蛯名は北村と行動していた時の事を思い出す。食事の時も、寝る時も、急に出ていった時も、
そして和田に殺された時も。
北村は肌身離さずパソコンを持ち歩いていた。まるで身体の一部のように。
よく考えたら外部はおろか仲間同士で携帯をかけるのすら不可能だったのに、
一度覗こうとしたら慌てて閉じ、必死な形相で自分に噛み付いてきたこともあった。
あれは藤澤とチャットをしていた最中だったのだろうか。
幸四郎は…それを知っていたのか。
公正さが何よりも大事なプログラムにこのような不正があるのはまかりならない。
北村を殺そうとしたのも本意ではない、脅しをかけてただけなのかもしれない。
それなのに…自分は様子も見ずに、銃を持っているというだけで幸四郎を殺した。
あの時は善臣の敵を取りたかった、豊に復讐したかった。それだけだったのに。
───先に倒すべき相手は、北村の方だったのだ。
509 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/10/07 00:28 ID:z9qFQkv6
南井さんの話萌えた!あと、関西障害Jの渋い話も…イイ!
っていうか、このスレ最高!!
510 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/10/07 00:44 ID:hfP4hIdk
無理しなくていいですよ>ロボ丸さん
他の人のも面白いし
511 :
ロボ丸:01/10/07 00:57 ID:xjO./vGA
>>510 どもです。でも番外編も増え、長い事シピーツしてないと
早いとこ本編を終わらせなきゃいけないのかな〜という強迫観念に
捕われる事もしばしばで…
まあ無理せず、大人しくマターリと書きますわ。
512 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/10/07 17:03 ID:C/QORfFM
あげ〜
「いい加減、ディスクは回収できたのかね。」
「はっ、それが・・・。」
「これ以上長引くようだと、君の人事能力に疑問を持たざるを得ないな。」
「も、申し訳ございません。」
ーパパラパッパッパッパッパ パッパパパラパーパ
突然、薄暗い部屋に電子音のG1ファンファールが鳴り響いた。
「はい、理事長室です。・・・はい、少々お待ちください。
───理事長、吉田照也様からお電話です。」
「うむ。」
ーピッ
「私だ。」
現在、JRA本社では現地との連絡が途絶えている。今回のプログラムにおいて
人事を任された伊藤雄二は焦りと後悔の念を感じていた。金に目が眩み、竹園に
ディスク回収班班長の座と現地での特別指揮権を与えてしまったのだ。竹園が和田を
最後まで残す工作をするであろうことは予測できていた。が、まさか尾形ら他の調教師
を皆殺しにし、本社との連絡にまで応答しなくなるとは考えてなかったのだ。
(このままでは、廃棄処分にされてしまう。)
現在日本競馬界において大きな存在であるこの調教師もJRA理事長、高橋政行の
前では蛇ににらまれた蛙も同然だった。
「はっはっは。ではよろしく頼むよ。」
ーピッ
汗だらけになっている伊藤雄二に冷ややかな視線を送りながら、高橋は吉田照也との
電話を早々に切り上げた。
「伊藤君。」
「ははーっ。」
高橋に睨まれた者は誰であろうとも萎縮してしまうであろう。その風貌は人間の
それとは大きく違っている。狼のような耳に鷲のような頬、森調教師を想起させる
簡素な頭髪。そして何より恐ろしいのは、猛獣のような眼鏡であった。伊藤雄二も
この上なく慄いていた。
「社台の吉田君が彼らを寄こしてくれるそうだ。君にはいずれ責任を取ってもらうが
とりあえずは現在の状況とディスクの回収に全力を注ぎたまえ。」
「ははーーっ。」
伊藤雄二は恐怖に耐え切れず、理事長室を足早に立ち去った。
(彼ら・・・。もうあいつらを呼ぶのか・・。)
実はプログラム優勝者にはもうひとつ最後の試練が課されることになっている。
ターミネーター、天才、スーパールーキー、日本人とは明らかに違うずば抜けた
騎乗能力を備えた外国人ジョッキー3人衆とのラストバトルだ。デムーロ、ペリエ、
デザーモ、そしてプログラム優勝者の4人で戦い生き残ったものが真の最強騎手と
認定されることになっていた。
(彼らを投入するのはまだ早すぎる。いったい理事長は何を考えているのだ?
しかし、今は竹園との癒着証拠の処分が先だ。)
伊藤は一抹の不安を感じたが、高橋にこれ以上睨まれるわけにはいかない。
明日到着するであろう外国人ジョッキーの接待は部下に任せ、じきじきに
東京競馬場へ赴く事にした。
だが伊藤雄二にとってこの判断は大きな過ちであった
。
otiruyoage
517 :
多摩市名誉市民:01/10/09 12:41 ID:8Lsr1.c2
その夜牧原の携帯和田から連絡が入った。最初は祝福の電話だったが、話がはずむ内和田が変な事を言い出した。
518 :
多摩市:01/10/09 12:48 ID:8Lsr1.c2
「わしはもうすぐ一流の騎手になるんや。」「なによ、竜ちゃんはもう一流よ。」「あの馬に比べたら、オペラオーなんて、くそや。」牧原は何か恐怖を覚え、電話を切った。
多摩市名誉市民さん、スマソ
――あの馬。その時そう言った和田竜二の声は弾んでいた。
オペラオーなんてクソ食らえ……? それは一体どういう意味なのだろう?
今、和田が乗る馬の中で、テイエムオペラオー以上の馬などいない筈であった。
そして、オペラオーなんてと言い放った和田の声音には、尋常でない響きが篭っていた。
何かに憑かれたかのように、昂揚した和田の声に牧原は言い様のない恐怖と不安を感じていた。
――増沢先生が言っていた「プログラム」に参加しているのだとしたら…
そしてそれが「あの馬」とやらのためなのだとしたら。
背中を戦慄が滑り落ちてゆくのを感じながら、牧原は走り出していた。
520 :
多摩市名誉市民:01/10/09 16:55 ID:8Lsr1.c2
続きかたじけない。
521 :
多摩市名誉市民:01/10/09 17:13 ID:8Lsr1.c2
「おい、牧原、どこへ行くんだ。」増沢が牧原の肩を掴んだ、「こんな事、許せません。」「待て、お前が行っても、もうどうにもならないんだ。」増沢はポケットから書類を取り出した。
522 :
多摩市名誉市民:01/10/09 17:20 ID:8Lsr1.c2
そこには、無情にも「福永死亡」「和田派遣」の文字が踊っていた。「これは・・・?」増沢は口を開けないでいた。増沢は声を絞り出して、言った「途中経過だ・・・」
523 :
多摩市名誉市民:01/10/09 17:29 ID:8Lsr1.c2
かわいい、笑顔ながら競馬という、勝負の世界の人間の牧原は見た目以上に勝気な性格だったが、この事実に耐える程牧原は強くなかった、牧原はその場に倒れた、「おい、牧原、誰か医務室に運んでくれ」
ーブロロロ
牧場の朝は早い。まだ辺りは薄暗い時間なのに職員達は次々と起きてきていつものように
仕事を始める。悲惨な『プログラム』が行われている東京とはうって変わってどこまでも
平和でのどかな世界だった。一つの大きな牧場を除いては・・・。
仕事の取材で北海道に来ていた大坪元雄もまた、牧場へ行くために早くから脇屋香名子の
運転する車に乗っていた。
「今日社台S・Sへ行けば、一段落つくな。夜には温泉へ行って、美味いものを食いたいのぅ。」
「いいですねぇ。──そうだ。その後はすすきのでパーっと遊びましょうよ。」
「むひょひょ。君は女馬らしからぬエロチックなことを言うねぇ。」
「あはは。───んん?お、大坪さん・・・。あれは?」
「夜はいいホテルに連れて行ってあげよう。ひゃひゃひゃ。」
「大変です。あれを見てください。大坪さん!!」
「なんじゃ、君は〜。朝から元気じゃのぅ。・・・ん?」
525 :
:01/10/09 19:02 ID:g.JCeHQg
>多摩市名誉市民氏
すまぬが、改行してくれんかのう・・・
パカランパカラン ドドドドドドドー
「馬です!!2頭います。」
「馬じゃー!!男馬のような雄大な馬体じゃー!」
「ものすごいスピードでこっちに来ます。」
「なんとすばらしいトモの蹴りじゃ。」
「感心している場合じゃありません。このままでは5秒で衝突します。」
「左に旋回じゃー。」
「やってます。」
「うひゃあああ、ぶつかるじょーーー。」
キキキーーーーッ ガタガタガタ ダーン
急なハンドルを切ったために車はわき道へ投げ出されたが、幸い車と二人は無事だった。
2頭の馬は車には目もくれず、さらにスピードを上げて去っていった。脇屋香名子は2頭の
目にこの上ない怒りが宿っていたような気がして少し身震いした。
「あ、あの2頭はなんだったんでしょうか。」
「6歳くらいの男馬じゃった。牧場から逃げ出したのかもしれん。」
「危機一発でしたねぇ。どこに向かってるんでしょうか。」
「南のほうへ向かっていたようだが・・・。」
「南に何かあるのかな。」
「しかし、あの毛色、あの額の星、あの走法・・・。まさか・・・。」
「大坪さん、知ってる馬なんですか?」
「うむ・・・。2頭ともな・・・。かつてJCで戦った名馬2頭じゃ。」
和田は蛇のような目で執拗に豊と蛯名を探していた。
しかし、何時間も重装備で歩き続けたためさすがに疲れが溜まり足が重い。
「どこに隠れたって無駄じゃ・・・。」
強がって呟いてみたが、不安な気持ちをまぎらわすことは出来なかった。
和田は頭の回転はよくなかったが、野生の勘だけは他の人間より優れている。
自分が追う立場から狙われる立場になったことを肌で感じ取っていた。
(くそっ、こそこそ隠れやがって。女々しいおっさん共や。)
ふらふらになりながらも和田は二人を探しつづけた。観客席、食堂、パドック、
地下馬道・・・・。どこにもいない。途中で何人か見かけたものは皆、ただの屍だった。
「―――うっ。」
競馬博物館のほうを探そうとして向きを変えた途端、和田はがくっとひざをついた。
怪我をしているわけではない。相当な疲労で足が思うように動かないのだ。さらに催涙ガスの
後遺症で目の回りがひりひりする。いくら重装備だといっても、今の状態で日本のリーディング
ジョッキー二人を相手にしたら和田のほうが殺られることは明白だった。
(ふぅ・・・。しゃあない。あそこでちぃと休むか・・・。)
和田は比較的安全そうな競馬博物館の中に身を潜める事にした。
豊と幹夫が再会を誓ったまさに『その場所』だった。
―――ポツ・・・ポツ・・ポツポツポツポツ
命を懸けてディスクを隠してきた吉田や幹夫の無念の涙だろうか。大粒の雨が昼とも夜とも
つかない薄暗い空から落ちてきた。
「雨か・・・。」
伊藤雄二は車の中で窓の外を見ながらずっと高橋政行の真の思惑が何なのか考えていた。
(なぜ今奴らを呼ばなくてはならないのか。最終試験はプログラム終了後に優勝者の体力と
怪我の回復を待ってから行われるはずだったのに。しかも何故社台の吉田照也とまだ連絡を
取ってるんだ。例の馬はすでに完成している。奴らの仕事は『あの馬』を作ることだけのはずだ。
絶対に裏がある。絶対に・・・。しかし、これ以上何をするというのだ。)
いくら考えてもこれだという答えは出なかった。ワイパーの窓をこする音にあわせて、ぐるぐると
同じことばかりが頭の中でリピートする。伊藤雄二はだんだんと自分でも可笑しくなり
深く考える事をあきらめた。自分の身の安全だけを考えていればいい、そう思ったのだ。
「先生、現地本部に到着いたしました。」
「うむ。」
(ともかく高橋に目をつけられないように、まずは竹園を処分しないとな・・・。)
建物の灯りを確認した後、伊藤雄二はゆっくりと大会本部へ歩きはじめた。ふと、途中で
建物の裏側に黒い影をみたような気がしてそちらのほうを凝視したがはっきりと見えなかった。
(気のせいか・・・。)
雨足が徐々に強くなってきたので、伊藤は早足で放送席に向かった。
「おい、二人とも起きろ。」
「う・・・、もうちょい寝かせてや・・・。」
「ぐぅぐぅ。」
「おい、こら。起きろ。飯だ。」
「う・・ん・・・・・飯?」
「・・・飯?」
和田と戦う前に疲れを取っておくべきだという太の提案に二人とも素直に従い、6時間ほど
睡眠を取った。幸いこの場所はまだ和田の盲点になっているようだ。豊も蛯名も今は相手を
信じるしかないと悟り、小島太に見張りをしてもらって熟睡した。
人間と言うものは睡眠欲が満たされると食欲が湧いてくるものである。小島太が厨房から
取ってきたホットドッグとポテト、それに暖かいコーヒーを差し出すと、二人は無言で
がむしゃらに食べ始めた。
「美味い。こんなにごっつぅ美味い飯は初めてや。」
「ああ。二人とも限界ぎりぎりのところでやってたからな。ろくに食べてなかったんだろう?」
「そうですね。本当に助かりました。――ズズズッ」
コーヒーの暖かさと香ばしい薫りが蛯名を幸福な気持ちにした。―――幸福な気持ちである。
この数日間、蛯名が見てきたものは悲惨な裏切りや残酷な死体ばかりだった。狂気というに
等しい感情が自分の中に宿ってしまっているのを感じていた。しかし、こうして人間らしい営みの
中で幸福な気持ちを思い出せた事は蛯名の疲弊した心をよく癒した。それは武豊にとっても
同じである。皆の顔に自然と笑顔が浮かんだ。蛯名はコーヒーを飲み終えてふと外をみた。
「いつのまにか雨が降ってきてますね。」
「そうだな。3時間前くらいから降ってるな。どんどん強くなってきている。」
「今がチャンスやな。相手は重装備や。」
532 :
多摩市名誉市民:01/10/10 11:59 ID:wkFgnucc
「・・・・」牧原は医務室で目を覚ました、傍らでは同じ女性騎手の板倉が心配そうな、顔をしていた。「どうしたの?由貴ちゃん、急に倒れたりして」「え、ちょっとね」まさか、増沢から告げられた事を言うことなどできるはずがない。
>>528(和田、休む)
極度の興奮と肉体的疲労の為、和田はぐったりとしたまま座りこんでいた。
それでも、近付く者があればすぐにでも撃ち殺そうと、その神経だけは張り詰めたままだった。
軽く目を閉じ、深く溜息をつく。唇はからからに乾いていた。
――もうすぐ…もうじきに、「あの馬」に乗れるようになる。
そう考えれば、いくらかではあるが疲れは癒されるように思われた。
――オペラオーともお別れやな。思えばあいつもよう走ってくれたっちゅうもんや。
オペラオーなど捨てようと思った筈の和田の脳裏に、そのオペラオーの顔が浮かぶ。
――あいつ、もし俺がおらんようになっても解らへんやろな…人と馬なんて、そんなもんや。
「ほな、そろそろいきましょか」
呟いて立ち上がる。その顔には自嘲と欲望が交じり合って浮かんでいた。
>>532 牧原は増沢に見せられた書類に記された言葉を思い出していた。
「福永死亡」「和田派遣」。
残酷な事実を見せ付けられたにも関わらず、却って実感が薄らいでしまう。
そのことが奇妙に可笑しく、微苦笑をこぼす。
(信じたくない…そう思っているから――だから無理にでも信じようとしないんだわ)
窓の外に広がる鉛色の空が重い。
2人共、あんな恐ろしいことに無理やり参加させられて……
――参加?
先生が見せてくれた書類には「和田派遣」とあった。参加ではなく、派遣。
何もかも知っていながら、それでも和田は府中へ行ったのだろうか。
…このままにしておいてはいけない。
牧原は病室を抜け出した。
535 :
多摩市名誉市民:01/10/10 12:17 ID:wkFgnucc
「私、増沢先生呼んでくるから」「うん、ありがとう」「あ、真由ちゃん、」「え、なに」「ううん、なんでもないわ」「どうしたの、今日の由貴ちゃん、ちょっと変よ」牧原はやはり事実を口にはできなかった。
536 :
多摩市名誉市民:01/10/10 12:21 ID:wkFgnucc
あのー私的には牧原は府中に行かせないつもりでしたがこっちの方が盛り上がるので535は無視して下さい。
537 :
多摩市名誉市民:01/10/10 17:26 ID:wkFgnucc
牧原は駐車場に止めてあった、原チャリに乗った「竜ちゃんだけでも止めないと・・・」原チャリはトレセンを出るとそのまま、常磐道に向かった。勿論、行き先は不毛な殺し合いをしている府中だ、その頃牧原を心配で駆けつけた鹿戸雄一が異変に気づいた。
538 :
多摩市名誉市民:01/10/10 17:33 ID:wkFgnucc
増沢からすでに話しを聞いていた、鹿戸は牧原の行き先を悟った。「あの子は強いなー」男にも関わらずこの計画に文句一つ言えない自分の無力さに鹿戸は打ちひしがれた。
スクーターのエンジンをかけようとした牧原の視界に、
エンジンをかけたままの一台の馬運車が映った。
今しがた降車したばかりらしい運転手と、書類を手にしたトレセンの職員らしき男の声が耳に届く。
「まったく、何だってこんな急に…」
「岩元調教師から話はなかったんですかね?」
「さあ…俺はただ、この馬を運んでくれと言われただけでね」
牧原はスクーターから降りると男達に駆け寄った。「あの…」
「ああ、牧原さん」職員が笑みを見せた。「どうかしたんですか」
「いえ――どうして今頃馬運車が来たのかと思って…」
「オペラオーだよ」運転手が眉根を寄せる。「急に運んでくれって言われてね。・・さ、早く降ろそう」
自分でも何をしているのか解らないまま、牧原は反射的に運転席のドアを開けていた。
(私は何をしようとしているのだろう)
間違ったやり方かもしれない。だが、牧原の手はハンドルを握っていた。
――このまま、府中へ。
用途不明の機械が無造作にならべられた部屋の中央で、竹園正継は尾形が壊したリモコンを
修理していた。グレーを基調としたこの無機質な部屋はおおよそ人間の体温を感じることは
できそうにない。ところどころくすんだ赤い血が飛び散り、まさに血生臭い匂いが鼻をつく。
照明もつけていない部屋で一人で呟いていた。
「まぁ派手に壊してくれたもんだ。」
一瞬空が明るくなり、部屋の中が照らし出された。
竹園の眼鏡が不気味に光る。数秒たってから、遠くの空で轟音が響いた。
しばらくの静寂の後、ドアを叩く音がした。
「竹園、いるんだろ?」
修理に没頭していた竹園は久しく聞いていなかった人間の声に思わずはっとした。
聞き覚えのあるしわがれた声だ。
「・・・どうぞ、入って下さい。」
ドアを開けて入ってきたのは顔をひきつらせた伊藤雄二だった。軽く挨拶をした後、竹園はまるで
来るのが分かっていたかのように椅子を出しお茶を用意した。
「どうしてわざわざここにいらっしゃったのですか?」
「だまれ!!」
伊藤雄二の怒鳴り声とほぼ同時に遠くの空で轟音が鳴り響いた。
「何故通信を切った?」
「ふっ。何故って機械が壊れたからですよ。」
「でたらめを言うな。」
「でたらめではありませんよ。気の狂った奴が銃を乱射しましてね。それに尾形さんたちが
巻きこまれたんですよ。そして私だけが生き残った。私は運がよかった。」
「笑えないな。尾形達を殺したのはお前の部下だろう。おおよそ和田あたりか。」
「それで伊藤さんは何をしにいらしたのですか?」
「お前が何を考えているのか知りたくてな・・。だがどうやら解り合えないようだな。」
「それは前からですよ。」
今度は光と音が同時だった。凄まじい音が二人の会話をさえぎる。
「死にたくなければ今すぐこの部屋から出て行け。」
「何故です?私はあなたにお金を払った。これはビジネスなんですよ。それともあなたが賄賂を
受け取った事をJRAに報告してもよろしいのですか?」
「貴様!!」
伊藤は机を蹴り上げると同時に胸ポケットからデザートイーグルを取りだし竹園へ銃口を向けた。
「ここで死んでもらおう。」
「ふっ・・・。撃つ前に自分の置かれている立場を理解したらどうですか?」
「何!」
また空が光った。最初は暗くて気づかなかったが、部屋の隅で伊藤に銃口を向けている
兵士約10人の姿がはっきりと見える。
「さぁ、その物騒なものを下ろしてもらえますかね。」
「くっ」
伊藤は口元に悔しさを滲ませながら銃を下ろした。
「伊藤先生がお帰りだ。」
「はっ。」
「・・・このままではすまさんぞ、竹園。」
「ほほう・・・。では、やっかいなことになる前に芽を摘み取らないといけませんねぇ。」
竹園はにやりと笑い、指を鳴らした。その合図で兵士が一斉に発砲する。
「ぐふあぁぁ」
伊藤雄二の体に無数の穴が開く。伊藤はマリオネットのようなダンスを踊った後、床に倒れた。
血みどろになりながらなんとか起き上がろうと手を動かしていたが、しばらくすると動かなくなった。
「はっはっは。これは天罰なんですよ。勝率にこだわって汚い事をしすぎたようですね。」
竹園が兵士に死体の処理を命じようとしたとき、無線から声が響いた。
《竹園はん、竹園はん。例のディスクが見つかりましたで。》
545 :
多摩市名誉市民:01/10/11 11:47 ID:FaAh1fc.
あのー番外編のつもりの牧原登場でしたが、いつのまにか本編に絡んで来ているのですがミッキーのように、ファンの多い騎手を殺していいのか、ちょっと迷う今日この頃
546 :
多摩市名誉市民:01/10/11 11:50 ID:FaAh1fc.
後、何故栗東ではなく、美浦にオペラが運ばれてきたのか疑問に思う。
547 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/10/11 11:53 ID:SVlbNenI
話が交錯してきて、展開が読めん。
548 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/10/11 11:56 ID:VEz7l0JA
>>546 どうでもいいけどあんたの話ツマンナイよ
549 :
多摩市名誉市民:01/10/11 12:03 ID:FaAh1fc.
御批判を真摯に受け止め精進いたします。
>>546 牧原が馬運車を強奪するまでも無く、
いずれは東京競馬場に連れて行かれることになってたのかもな
551 :
:01/10/11 18:43 ID:XlG9dzlA
マッキーは殺さないでくれ。
たのむ(T_T)
552 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/10/12 07:19 ID:wsmzGTd6
続きキボーンage
553 :
多摩市名誉市民:01/10/12 13:11 ID:IIpIJ/dM
あのー西原だったら、殺してもOKですか?
554 :
あ名無し娘。:01/10/12 21:36 ID:hZT1SxUM
>>553 アカンにきまっとるやないけ!
レナタン≧ユッコタン
や!
555 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/10/12 21:41 ID:9uU3CY0c
って言うか、牧原&オペラオーは本編に絡まないでほしい。
一応、絡ませないための、ネタは考えたけど、どうします?
557 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/10/12 23:51 ID:zocWn.cI
期待age
558 :
実は番外編美浦編の筆者:01/10/13 00:41 ID:y6eMNejg
>>555です。
一応、話の流れから
>>539の続きって事でいきます。
牧原は馬運車を運転していた。
免許?馬運車を運転する為の免許なんてあったか?
いや、今はそんな事はどうでもいい。
早く府中に行って、和田を止めないと。
それが駄目なら……せめてオペラオーに会わせてあげないと……。
牧原は焦る気持ちを抑えて、アクセルを踏んだ。
やがて高速道路に差し掛かろうとした時だった。
牧原の目に飛び込んできたのは、検問だった。
まずい。彼女は直感でそう判断すると、無意識に検問を強引に突破していた。
言うまでもない。この検問は、先ほどの馬運車の運転手が警察に届けて手配してもらっていた検問である。
検問を無視したのだから、当然連絡は警察に届く。
牧原が検問を突破して間もなく、彼女が向かった高速道路は閉鎖された。
しかし彼女は走り続ける。府中へ。ひたすら府中へ向かって……。
559 :
番外編牧原編2:01/10/13 00:42 ID:y6eMNejg
だがそれは到底出来ない事だった。
牧原の目にパトカーが数台、バリケードを築いていたのだ。
このまま突破したら、自分のみならず、馬運車の中のオペラオーも……。
和田を止めたかった牧原だが、オペラオーの事を考えたら……強行突破は無理な話だった。
牧原はバリケードの前で、ゆっくりと馬運車を止めた。
「運転手、席から降りてきなさい」
牧原は警察の呼びかけに、素直に応じた。
「牧原由貴子、道路交通法違反で現行犯逮捕する」
彼女の細い腕に、手錠がかけられた。
そして牧原はふと馬運車を振り返った。
「……ヒヒーン!」
ドンっ!ドンドンっ!
オペラオーが馬運車の扉を体当たりして自らこじあけようとしている。
「……オ、オペラオー!」
牧原がパトカーに乗った後も、オペラオーは馬運車の扉を体当たりし続けた。
だがかつてスーパーオトメが高速道路で暴走して以来、馬運車の扉は強化されている。
オペラオーの力では扉をこじ開ける事は無理だった。そして和田に会う事も到底叶うはずもなかった……。
560 :
番外編牧原編3:01/10/13 00:59 ID:VaRER2Ug
警察の取調べを一通り終えた、牧原に元に心配した板倉、鹿戸が駆けつけた。
「由貴子!」
板倉が真っ先に、牧原の前に駆けつけた。
「……真由子」
「どうしてあんな事をしたのよ。どうして……」
板倉の質問をよそにうつろな表情で、牧原は生返事を繰り返すだけだった。
「話は増沢先生から、大体聞いた。お前さんがどうしてこんな行動に出たか分からないでもないけどな……」
鹿戸は一言、そう言っただけだった。
「……真由子、鹿戸さん……オペラオーは……」
「オペラオーなら美浦に戻したよ」
鹿戸の後から、増沢が姿を現した。
「……先生……すみません」
「いや……事実をきちんと話さなかった私にも責任はある。すまないな由貴子」
増沢は目線を下に落として語った。
「一応、JRAからの処罰は、後日下される。
まぁ交通法違反だから、騎手免許を取り消される事までは無いだろう。だが……」
「……なんですか先生?」
「今後のお前さんの騎乗依頼は減ってしまうかもしれないな。先ほどもアミダラから牧原を降ろしてくれと電話があってな……」
「そんな事は……どうでもいいんです」
牧原は口を開いた。
「私はオペラオーを見た時、どうしても和田君に、オペラオーに会ってほしかったんです。
きっと和田君も今一度、寂しそうにしているオペラオーを見れば、あんな……あんな馬鹿げたマネをやめてくれるって……」
「由貴子!」
増沢が強い口調で抑えた。
「……そんな事、言うもんじゃない……。言うんじゃない……」
「……でも」
「オペラオーはな、あの後馬運車から降りた後も全然言う事を聞かないんだ。
必死に西の空に向かってな、ただただ鳴き続けるだけなんだ……。
そう……府中の空に向かって……ひたすら鳴き続けている……」
「……でも先生……でも……でも……」
その後、牧原の言葉は続かなかった。
ただ自分の無力さに打ちひしがれて、涙を流すだけだった。
それを憔悴している牧原を板倉が必死で慰める。それを優しく見守る鹿戸……。
「鹿戸君、板倉君、由貴子の事、しばらく頼む……」
増沢はそういい残すと、部屋を出て行った。
彼の後姿がかすかに震えているのを、鹿戸は見送るしかなかった……。
徒労感と空しさと憤り、そして哀しみ。それらの感情がない混ぜになったまま、
増沢は美浦トレーニングセンターへ戻った。
馬運車から降ろされたテイエムオペラオーは、尚も西の空を見上げたまま、
己の騎手がいる場所に向けて鳴き続けていた。
――違う、鳴いているのではない、泣いているんだ。
ふと、増沢の脳裏にそんな考えが浮かぶ。
その、甲高く秋の空を引き裂くような鳴き声が増沢の胸を突く。
せめて、この鳴き声が府中に届けば良いのに。
和田の耳にだけでなく、今あの場所にいる全ての人間に、この哀しい声を聴かせてやりたい。
テイエムオペラオーを見つめたまま、増沢はやるせなく立ち尽くしていた。
562 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/10/13 18:37 ID:a6gEpnE2
age
563 :
:01/10/13 20:08 ID:MVWDx8dI
「そーだね、もちろんだよ、俺と田原さんと藤田さんで世界を獲るんだ……」
四位は、いつものように微笑んだ。
564 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/10/14 00:16 ID:LOB4pvnw
これほんとにおもしろい
565 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/10/14 00:19 ID:cnae99Zo
本編の続きをくれ〜!
566 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/10/14 07:44 ID:LDk9DXTP
どうなんの?
567 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/10/14 08:41 ID:g5wHlJOV
やられた…シチュエーションに萌えw<や○い好きにゃたまらんわー
568 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/10/14 21:48 ID:4L9KKaLh
続きが読みたい…
569 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/10/14 21:53 ID:EI8Il8V9
>567
頼むから801は他でやってくれ・・・・・
頼む!!!!!!!!!!!!!!!
570 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/10/14 22:44 ID:4Xydy9hp
>>569 それぐらいの分別はあるから、安心しておくんなましw<余所でやるよ
あ〜…それにしても続きが気になる!
801は連続競馬小説スレででも・・・
>>570 本当に分別のある人間なら
>>567みたいな書き込みはせんだろうよ(ボソッ
本編の続きが楽しみsage
573 :
多摩市名誉市民:01/10/15 09:42 ID:k3gFPcZw
私のいない間サイドストーリーありがとう。555さんの発案に感謝、昨日、生牧原を見て来ました、やっぱりあの娘は殺せません。
大量の雨が地面を殴る。強風に煽られて壁をも殴る。いつしか嵐というにふさわしい天候になっていた。
しかし、外とは打って変わって競馬博物館の中は静かだ。ミュートされた雨音だけが館内に響いていた。
気まぐれな雷以外には館内を照らすものはなく、まさに暗闇だった。―――ふと、ミュージアムパドックに
かすかな灯が見える。そして男の話し声が聞こえる。
「どっかのアホが再生したまま、ここに置いてましたわ。」
和田竜二は赤いディスクを手にしていた。くすんだ顔でにやりと笑うと白い歯が不気味に光った。
「ええ。ほな、よろしゅう。」
そう言って和田が無線を切ろうとした瞬間だった。
銃声とともにディスクプレイヤーが爆発した。
「動くな!」
「!!」
「そのディスクを渡すわけにはあかんのや。」
「・・・その声は、天才武豊さんじゃあーりませんか。」
「だまってディスクをその机に置いて手を上に上げんかい。」
「・・・武さんらしゅうないことありまへんか?暗闇に隠れるなんて卑怯でっせ。」
「やかましい。それを渡したら死んだ幹夫に申し訳がたたんのや。それは渡せへんのや。」
「ひゃひゃひゃひゃ。あのおっさんの死に顔見たんか?綺麗な顔がぐっちゃぐちゃやろ?ひゃひゃ。」
「・・・俺を・・・これ以上・・・怒らせんな・・・。」
「ひゃひゃひゃひゃ。ああ、忘れてたわ。わし忙しいねん。遊んどる暇ないわ。」
「動くなっちゅうとるやろが。」
豊が言うより早く和田は胸にあった手榴弾のピンを抜き、声のするほうに投げた。豊はすばやく
柱の裏側にまわって回避し、身を伏せた。追い討ちをかけるように和田はマシンガンを連射する。
壁や柱に無数の弾が当たり白い粉があちこちに飛び散った。
「どこに隠れても無駄じゃぁぁ。」
そして和田がもうひとつ手榴弾を投げようと構えたとき、マシンガンが爆発し、和田の指が吹き飛んだ。
「ぎゃああああっ。なっ、なんだぁ。」
「和田・・・。お前はもう終わりだ。その指じゃもう銃は撃てまい。」
「お前っ・・・蛯名・・・隠れててんか。」
「俺ら二人じゃ相手が悪かったな。」
「・・・ぐぅぅっ・・・くそっ」
和田は壊れたマシンガンを捨て、残ったほうの手でディスクをつかむと、出口に向かって駆け出した。
「ほんま、あきらめの悪いやっちゃなー。」
「どこへ行こうとお前に逃げ場はない。」
「それはどうでっしゃろ。わしはいつも寝るときは目覚ましセットしてますねん。」
和田が一番近くの柱にに張ってあった細い紐のようなものを引くと、部屋のあちこちに十数個仕掛け
られた手榴弾の安全ピンが一斉に抜けた。豊はとっさに叫ぶ。
「!!まずい!蛯名ぁ、ふせろぉぉぉ」
「トラップかっ!!」
「ひゃひゃひゃー。さいならー」
一瞬の静寂の後、鼓膜を突き破るような音と共に部屋中のものが吹き飛んだ。
和田の最期…
書きたいなあ
「理事長。ペリエ様がご到着なさいました。」
「そうか。こちらへお通ししろ。」
「かしこまりました。」
普段は電子ロックがかけられている重々しい理事長室のドアが開き、一人の男が入ってきた。
そのいでたちはユーモラスで、言うならば鬼のような、あるいは妖精のような、年齢不詳の小柄な
男だった。
「久し振りデスね、高橋さん。」
「待っていましたよ、ペリエさん。日本語がかなり上達しましたね。」
「ありがとう。ところで今回の任務の内容を教えてクダサイ。」
「ふははは。仕事熱心ですな。まず、ミルコとケントが来てからにしましょう。」
「分かりマシタ。」
ペリエの通された会議室の机には20枚くらい日本の騎手たちの写真が並べてあった。しかも奇妙な
事にそのほとんどに赤いマジックでばつ印がついていた。ペリエは興味深そうにすべての写真を眺めた。
四位、藤田、松永幹、河内などなじみのある関西の騎手はみな印がついているようだ。しかし、一枚だけ
よく知っている騎手の写真に印がついていないのを見て、ペリエは満足そうに微笑んだ。
「ふふ、さすがだね。君との勝負を楽しみにしてるヨ。ユターカ!HAHAHAー」
「ペリエ!!」
「豊!?気がついたか。」
豊ははっと起き上がり辺りを見回した。薄暗くはっきりとは見えないが、部屋の中は崩れた壁や柱が
飛び散り、ほこりまみれになっていた。そして立ち上がろうと手をついた瞬間、肩に激痛が走った。
「うぉっ」
「大丈夫だ。肩をやられてたけど傷は浅い。止血もしておいた。」
「蛯名・・・。あっ、和田は?和田はどうなったん?」
「どうやらうまく逃げられたみたいだ。あいつもなかなかやるよ。」
「そうか。俺は・・・、俺はどんくらい寝てたん?」
「五分程度だよ。やつもあの怪我じゃそんなに遠くには行けてないはずだ。」
「―――うっ。はは、まだちょい痛むわ。でもそないなこと言うてられへん。追いかけるで。」
「ああ・・・、その前にお前、ペリエって叫んでたけど、どうしたんだ?」
「はは、叫んでたんか。そうか・・・。蛯名、俺は何か嫌な予感がすんねん。」
「嫌な予感?」
「ああ、和田のくそガキを殺してディスクを取り返しても、それだけじゃ終わらへんような気がすんねん。」
「まさか、まだペリエが出てくるのか?」
「それは分からんけど、いまさっきペリエの笑い声が聞こえたような気がしたんや。」
「そうか。でも俺もどっちにしろ、この『プログラム』だけで終わらす気はないよ。」
「ああ。俺もや。」
「死んでいった奴のためにもJRAの腐った体質を叩かないとな。」
「二度と『こんなこと』をやらしたらあかん。」
蛯名は目的が一致したことで、二人の間の信頼関係がより強固なものになったことを感じた。武豊も
また弟のことを忘れる事は出来なくとも、今自分がやらなければならないことを成し遂げるために蛯名を
全面的に信用する事にした。
「うぉっ」
「大丈夫だ。肩をやられてたけど傷は浅い。止血もしておいた。」
「蛯名・・・。あっ、和田は?和田はどうなったん?」
「どうやらうまく逃げられたみたいだ。あいつもなかなかやるよ。」
「そうか。俺は・・・、俺はどんくらい寝てたん?」
「五分程度だよ。やつもあの怪我じゃそんなに遠くには行けてないはずだ。」
「―――うっ。はは、まだちょい痛むわ。でもそないなこと言うてられへん。追いかけるで。」
「ああ・・・、その前にお前、ペリエって叫んでたけど、どうしたんだ?」
「はは、叫んでたんか。そうか・・・。蛯名、俺は何か嫌な予感がすんねん。」
「嫌な予感?」
「ああ、和田のくそガキを殺してディスクを取り返しても、それだけじゃ終わらへんような気がすんねん。」
「まさか、まだペリエが出てくるのか?」
「それは分からんけど、いまさっきペリエの笑い声が聞こえたような気がしたんや。」
「そうか。でも俺もどっちにしろ、この『プログラム』だけで終わらす気はないよ。」
「ああ。俺もや。」
「死んでいった奴のためにもJRAの腐った体質を叩かないとな。」
「二度と『こんなこと』をやらしたらあかん。」
「太さんの話だと和田は恐らく本部の竹園にディスクを渡しに行くはずだ。」
「わしの考えが甘かったわ。先にディスクを回収されるとは。」
「それはしょうがない。とりあえず和田の目的は俺らを殺す事からディスクを届ける事に変わったはずだ。」
「せやな。じゃあ今度は俺らが追いかける番やな。」
「ああ。竹園の居場所はおそらく安全な放送席あたりだろう。」
「しかし、放送席にたどり着くまでに結構な兵がおるで。」
「そこで太さんにもらったこの武器を使おうと思ってる。」
「なるほど・・・。それならいけそうやな。」
「じゃあそろそろ行こう。肩貸そうか?」
「ふっ。もう大丈夫や。行くぞ!」
二人は大雨の降る暗闇の中に溶け込んで行った。
586 :
578:01/10/15 13:20 ID:swRfMfZ/
どうも横槍を入れてしまったようで、失礼しました。
和田はすぐには死なないようですね。少し思いつきましたので、書いてみました。
一応、
>>582の続きのつもりです。
――まだ死なれへん。
吹き飛ばされた指の付け根から、どくどくと血が流れ出している。
体の至る所に裂傷ができ、それらが突き刺さるように、あるいは沁みるように痛む。
――まだ死なへんで…
和田は口元を歪めて笑い、重い体を引きずるようにして歩いていた。
彼の目に映る東京競馬場は、既に見知らぬ場所のようであった。
あちらこちらに横たわる騎手達の亡骸にちらりと一瞥を投げ掛け、和田は尚も歩き続けた。
587 :
586:01/10/15 13:21 ID:swRfMfZ/
ごめんなさい。どうしましょう…585の続きってことでいいですかね。鬱ダ・・・
588 :
586:01/10/15 13:31 ID:swRfMfZ/
早く行かなければと思うも、身体が言うことを聞かなくなり始めていた。
和田の精神はその箍が外れかかり、錆びついた機械のような足取りで、それでも歩き続ける。
竹園が待つのは放送席であり――豊と蛯名の読みは当たっていた――そこまでゆけば
和田は望むものを手に入れられる筈であった。
「遅かったな」
兵士の一人から和田がこちらに向かっているとの報せを受けた竹園は、僅かに忌々しげに首を振った。
和田は手酷い傷を負っているという。恐らく、この先馬の背に跨ることは不可能であろうと思われる程に。
「仕方がないな」竹園は吐き捨てるように呟いた。
「ここまでやってくれたことだけは間違いない――迎えに行ってやるとするか」
589 :
586:01/10/15 13:37 ID:swRfMfZ/
五分程過ぎただろうか。放送席から降りた竹園と和田が数メートルの距離をおいて向かい合っていた。
肩で息をしながら、和田は漸くここまで辿り着いたのだと思った。
ゆっくりと手を伸ばし、竹園にディスクを手渡す。竹園は一瞬だけ満足げに微笑んだ。
「約束の褒美、貰えますやろ? 俺が日本一…いや、世界一の馬乗りになれるモンを」
和田の言葉に、竹園は首をかしげる。
「和田、お前は自分の置かれた状況が解らないようだな…その身体で、どうやって馬に乗る?
お前には無理だ――その身体ではな。残念だよ、和田」
竹園は言い、傍らの兵士に向かって合図を送る。兵士は素早く銃を構え、その銃口は真っ直ぐに和田の心臓を狙っている。
「――なるほど…これがご褒美っちゅうわけか」
和田は笑おうとした。恐怖はなかった。
590 :
586:01/10/15 13:42 ID:swRfMfZ/
「お前はこれまで本当によくやってくれた。オペラオーも、お前のおかげであそこまでいけた」
竹園の声音に、嘲りが含まれている――和田にはそう思えた。竹園は尚も続ける。
「最期に教えておこうか。オペラオーなんだがな、実はあれを欲しがる人が現れてね。
あれがこれまで稼いだ以上の賞金で買い取ってくれるそうだ」
竹園の目に愉悦の表情が浮かぶ。金に憑かれた人間のそれだった。
「私はこれが何もかも終わったら、オペラオーを引退させ、正式に売却する。
それまでは美浦で預かって貰おうと、もう送ってある。
――これは今回のプログラムとは無関係だが、和田、オペラオーは買い取られた後、
永遠に生きることになる…剥製として」
お前も、あの世でオペラオーに会って、そのぼろぼろの身体であれの背に乗せて貰え。
竹園は言い放ち、さも面白げに笑った。
竹園カコイイ最高の悪役
592 :
586:01/10/15 13:48 ID:swRfMfZ/
「あんたらしい道楽っちゅうわけやな」
ぽつりと言い、和田は手の中の木刀を握り締めた。
それは、ここへ来るまでに拾ったものだった。後藤が振り回していたに違いないと、和田は思う。
「そやけど、あんたがここで死んだら、その契約はパアやろ?違うか?」
「まあ、そうなるだろうな。だが、私は死なないし、死ぬのはお前だ。それに和田、
お前はオペラオーなどどうでもいいと言っただろうに。今になって情が戻ったか?」
和田は頭を振った。正直なところ、よく解らなくなっていたのだ。
竹園と交わした約束を反故にされた怒り、ここまで痛めつけられたことへの怒り、
望んだものを手に入れられそうにないことへの悔しさ。それらは確かにある。
……だが、オペラオーへの情となると、それが判然としなかった。
解っているのは、今、目の前にいるこの男を殺してやりたいと思い始めたことだけだった。
593 :
586:01/10/15 13:51 ID:swRfMfZ/
「よう解らん――そやけど、今、俺は無性にあんたを殺したいんですわ、竹園さん」
再び、木刀を握り締める。ふと、オペラオーの東の空からオペラオーの鳴き声が聞こえたような気がした。
……空耳や、そんなもん…
和田は一歩を踏み出した――
その光景を物陰から見ていた男達がいる。
和田より僅かに贈れてこの場所へ辿り着いた豊と蛯名だった。
彼等もまた、竹園の言葉を聞いた。
594 :
586:01/10/15 13:56 ID:swRfMfZ/
×オペラオーの東の空からオペラオーの鳴き声が聞こえたような気がした
○東の空からオペラオーの鳴き声が聞こえたような気がした
竹園サン、アクヤクニシタケドオコラナイデ(w
595 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/10/15 23:56 ID:Gh9BtVFa
おお!!続きが!
楽しみだ〜!
596 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/10/16 00:04 ID:E/ga0LOT
番外編で「あの世編」書いて。
出演者はもちろん殺されてった人々。
597 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/10/16 00:06 ID:Fcg8/6rB
598 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/10/16 00:16 ID:E/ga0LOT
可。
599 :
一方その頃:01/10/16 01:43 ID:XpzSUDe4
竹園は、絶えず降り注ぐ雨を受けとめるかのように手を掲げた。
「私の手であの世へ送ってやろう。お前へのせめてもの感謝の気持ちだ。」
腕を振り下ろすと、傍らの兵士達が一斉に発砲した。和田の体が吹き飛ぶ。
「うおぉぉぉぉぉ。」
和田は数メートル転がって倒れたが、すぐさま立ちあがった。
「防弾チョッキがあるんじゃ。簡単に死ねるかい。」
「その強がりがいつまで続くかな。弾は貫通しなくとも衝撃で骨や内臓はばらばらになってるようだな。」
「ぐふっ」
震えるような悪寒とともに口から鮮血が飛び散った。和田はそれでも激痛に耐え、足を引きずりながら
竹園のほうへと歩いた。右手からの出血も激しく、それが輪をかけて和田の体力を奪う。
「最後まであきらめない・・・か・・・。お前はオペラオーのおかげで一回り成長したな・・・。」
和田が竹園の前で木刀を振りかざした瞬間。もう一度傍らの兵士達が発砲した。また体が吹き飛んだが、
すぐに立ち上がった。また撃たれても、また立ちあがる。鳴り止まぬ雷鳴が和田に超人的な力を
与えているのだろうか。和田は何度撃たれてもその度に立ちあがった。
「ぐふぇぇ」
今度はどす黒い血を吐き出した。内臓が相当にダメージを受けている証拠だ。顔は泥まみれになり
服はただの布切れと化していた。失血が激しく本来なら到底動ける状態ではない。
和田は―――いや和田の体は震えていた。この震えの意味するものは死の恐怖であろうか。
あるいは怒りか、哀しみか・・・。
だんだんと視界がぼやけてきたが、それでも和田は竹園に向かって歩く事をやめなかった。
「わしは・・・あんたに感謝している。オペラオーに出会えたのもあんたの・・・ごぼっ」
「ふっ。そろそろ限界のようだな。」
和田はくずれ落ちそうになる体を、木刀を地面に突き刺して支えた。
「はぁ、はぁ、せやけどオペラオーを金持ちの道楽に使うことは許さへんで・・。」
「そういうお前もオペラオーを見限って、俺の出した餌に食いついてきたじゃないか。」
「わしは今になって気づいたんや。わしはあんたのために命がけで戦ってきた。そして結果あんたに
裏切られた。このどうしようもなく沈んだ気持ちが解るか?」
和田の目からひと粒の涙がこぼれた。すぐさま雨に溶けて消えてしまったが、竹園にはそれが涙であると
はっきり分かった。突如として、竹園は喪失感のようなものを感じた。子供の頃飼っていた犬が死んだ
あの日と同じ気持ちであった。
「オペラオーはあんたや俺のために一生懸命走ってきたんや。あいつに、わしと同じ想いをさせたらあかん。」
「和田・・・。」
「しゃあああああああああああああ」
和田は獣のような咆哮をあげて木刀を振りかざした。体に残ったすべての力をかき集めて、自分の
想いをすべて込めて、振りかざした。
驚いた事に竹園はそれを避けようとしなかった。兵士達が一斉に銃を構えたが、首を振って制止した。
「お前は俺を信じてきた。俺もお前を信じてきた。どんなに強がってもお前は俺を殺せない。」
「はは・・・。殺したくても体がもう・・・・。」
和田は悲しそうに笑うと、幾分水のたまった地面に倒れ伏した。
(゚д゚)ウマー
ですが、関西弁はもちっとナチュラルにして欲しいかも(ボソッ
>>604 すません
わし大阪に住んで3年ですが関西弁は難しいです
文字にするとなるとさらに難しいですわ
和田は横たわったまま空を見上げていた。黒い雲が空を覆い尽くして月や星など到底見えそうもない。
時折チカチカと光る雷が美しく見えた。冷たい雨が不思議と気持ちよかった。自分の死が間近に
迫っていると分かっていても恐怖はなかった。
和田は、いままでの人生を思い出していた。みんな元気だろうか?妻は元気だろうか?由貴子は
元気だろうか?たくさんの良き友と出会い、いい馬と出会い、そして家庭も持った。
いろいろと苦労した事もあったが、幸せな人生であったと思えた。
―――ふと、視界に人影が映った。
「和田・・・。」
「・・・・リーディングのお二人さんか・・・。」
竹園と兵士達が立ち去ったのを見て豊と蛯名が近寄ってきたのだ。蛯名は熾烈な現場を目の当たりに
して顔色を失っていたが、豊は冷静だった。豊はしゃがみこむと静かに話しかけた。
「竹園は何を仕出かすつもりなんや?」
「それは・・・わしも・・・知らされて・・ませんわ・・」
「そうか・・・。」
和田は苦しそうな表情を浮かべながら必死に声を振り絞った。
「あああ・・・最後に・・最後にわがまま・・・聞いてもらえ・・ませんやろ・・か・・」
「何だ。」
「オペラオー・・・引退レース・・・有馬で・・有終の美を・・・飾らしてあげ・・・て・・ほし・・い・・」
豊と蛯名は一瞬言葉を失った。二人とも馬乗りであるが故に和田の気持ちが痛いほど分かる。
ついさきほどまで和田を敵視していた二人であったが、和田の最後まで愛馬を気遣う姿に胸を
打たれたのだ。蛯名は涙を浮かべながら和田の頬に手を当てて力強く言った。
「まかせとけ。」
和田は子供のように無邪気に微笑んだ。
「・・・おお・・き・・に・・・みなさん・・・そして・・・・」
(オペラオー・・・)―――声にはならなかったが和田の口は確かにそう動いた。
もうマジで驚嘆だな…。和田でここまでつくれるとは…。
609 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/10/16 07:42 ID:BnbnNzOz
>「オペラオー・・・引退レース・・・有馬で・・有終の美を・・・飾らしてあげ・・・て・・ほし・・い・・」
やべっ!
泣けてきた…
その同じ時刻、美浦トレーニングセンター。
四肢を踏ん張らせ、頑として人間達の言うことを聞こうとしなかったオペラオーが、
その瞬間、一際甲高く鳴いた。西の空を見上げ、そちらに向かって駆け出そうとする。
周囲の人間達が慌ててそれを押し留めるが、オペラオーは首を高く上げ鳴き続ける。
オペラオーを見つめていた増沢も、西の空、府中の方角へと視線を転じた。
――和田に何かあったのだろうか。
その「何か」がどのような事態を意味するか、増沢には解っていた。
そして、オペラオーはそれをはっきりと感じたのだろうか……
馬にそのような能力があるとは思えない。常日頃の増沢ならそう思ったろう。
だが今、府中の空に向けて鳴くその馬を目にすれば信じずにはいられなかった。
オペラオーは知っているのだと。デビュー以来共に戦ってきた騎手の死を知ったのだと。
――馬は、我々人間が思う以上に、実は傍にいる者、共に戦う者を愛するのかもしれない。
そのことに気付かなかったのは、人間だけだったのだ。
(我々はもっと早く、そのことに気付くべきだった。こんなことが起きる前に)
増沢は、オペラオーの悲痛な鳴き声を耳にしながら府中の方角を凝視していた。
そして、府中では―――
「――何でこんなことになってしもたんやろ」
和田の亡骸を見遣りながら、豊はぽつりと呟いた。
「俺等の知らんとこで色々企みがあって、こうなったっちゅうのは、そりゃそうや。
そやけど、そうやないんや。もっと…根本的なこと言うたら変かもしれへんけど――」
「いや」蛯名もまた、和田の亡骸を見つめていた。「わかるよ」
「和田はもっと早うに気付かなあかんかったんや。あいつ、オペラオーのこと、
大事かどうかようわからんって言いよったけど、そうやなかったんや。
やっぱり、あいつはオペラオーのこと、大事に思っとった。そやから、最後に竹園に立ち向かってったんや」
豊は、ここで死んでいった男達のことを思う。
なぜ、こうなったのだろう。なぜ、こんな風に死なねばならなかったのだろう。
一体どこで、歯車が狂い始めたのだろう。
「行こう」
蛯名の声に、豊は我に返った。蛯名の目は赤く、頬には涙の乾いた跡があった。
「俺達はまだ生きてる。何としても、このまま終わらせちゃいけないんだ、豊」
――そうでなければ、死んでいった者達が浮かばれない。
蛯名の言わんとしていることは、豊にもはっきりと伝わった。
「そやな。行こか」
身体だけでなく、心にも重く圧し掛かる徒労感と不安を振り払うように、豊は大きく頷いてみせた。
612 :
多摩市名誉市民:01/10/16 12:03 ID:McgMk4Wl
和田ネタを考えたのですが、終わっていたので残念です。
614 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/10/16 12:47 ID:3R39gM9j
種無し最初と変わりすぎ〜(藁
でも面白いからその続きで頑張って
615 :
多摩市名誉市民:01/10/16 12:50 ID:McgMk4Wl
ただ今、勉強中であります。
616 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/10/16 12:52 ID:MZC71UBQ
>>615 ∧_∧ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
( ・∀・)< 勉強の邪魔だから静かにしてくれる?
_φ___⊂)__ \_______________
/旦/三/ /|
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| |
|愛媛みかん|/
617 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/10/16 13:26 ID:jj4iX5PZ
野暮な突っ込みやけど、ユタカはペリエの事を「オリビエ」と呼んでます。
個人的に気になったんで・・・
UPの時は訂正しといて欲しいな〜なんて。
618 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/10/16 13:35 ID:VBqJeKTy
面白いのでage
>>605 関西弁はもっと標準語っぽくしたほうが自然な感じになるよ。
普通の若い人は「わし」は使わないっす(;´Д`)
種無しはほぼ標準じゃないかな??とにかく楽しみにしとるんでがんがってねー。
620 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/10/16 16:48 ID:babfxCko
>>605 605をより関西弁にすると
すんません
俺大阪に住んで3年やねんけど関西弁ばりむっかいわ
文字にしたらよけいややこい
621 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/10/16 17:23 ID:x30yeGjZ
>>596 天国で山本先生とミキーオを再会させたって。
でもミキーオは人殺しちゃったから天国には行けないのか、はぁ・・・
622 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/10/16 21:47 ID:VFRK2d+w
長く続いてるな〜
誰か今までの全部まとめたHP作ってくれ。
624 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/10/17 00:13 ID:GrMULPE2
625 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/10/17 00:18 ID:xFo3UIpH
更新してほしいです
竹園は苛立っていた。さきほどからずっと和田の言葉が耳を離れないのだ。
(オペラオーはあんたや俺のために一生懸命走ってきたんや)
(違う!!馬は本能で走ってるだけだ)
(あいつに、わしと同じ想いをさせたらあかん)
(馬に感情なんかあるもんか。所詮は経済動物なんだよ、所詮は・・・)
突然、ズシンという爆音とともに部屋がゆれた。竹園は不意の振動によろめきソファーに手をついた。
(奴らが来たのか?)
少し間を置いて、一人の兵士が血相を変えて放送室に入ってきた。
「社長!襲撃です。武豊と蛯名正義が奇襲をかけてきました。」
「見張りはどうした。」
「それが、この悪天候にまぎれて・・・。それに奴らは強力な武器を手に入れているようです。」
「強力な武器だと?・・・かまわん、プログラムなど関係ない。奴らをなんとしても殺せ!」
「し、しかし・・・最初の爆撃で兵の半数は戦闘不能になってしまいました。」
竹園は顔をゆがめて奥歯を噛んだ。
「この役立たずどもめが。」
そう言った瞬間、また爆音とともに部屋が揺れた。今度は先ほどよりもかなり近い。
「社長!お逃げ下さい。このままでは・・・」
「くっ、特殊部隊に連絡しろ。そして『あれ』も用意しろ。」
「はっ。」
兵士が走り去ると、竹園はすばやく自分のスーツケースに書類や和田の持ってきたディスクを
手当たり次第に押し込んだ。そして非常階段へ向かおうとした時、爆音とともに後ろ側の壁が
吹き飛んだ。
「そこまでや、竹園。」
竹園はゆっくりと振り返った。そこには対戦車砲を担いだ武豊が立っていた。
「・・・武君か。よくここまで来たね。」
「はっ、笑わせてくれるわ。」
「あんたの兵士は皆くたばったよ。」
豊の後ろでは蛯名がマグナムを構えていた。
「さぁ、観念してディスクを渡しぃや。それとJRAが何をしようとしてるのかも教えてもらいましょうか。」
「そんなことを知って何になる。」
「竹園さん。自分の立場を理解して下さい。」
「ふっ、それは私のセリフだよ、蛯名君。まったくそんなものをどこで手に入れたんだ?
まぁ、よくがんばったがここまでだよ。」
そういうと竹園はポケットから黒いものを取り出して掲げた。
「このリモコンが目に入らぬか?ってか。」
「何!?」
「まさか・・・。」
竹園はにやりと笑った。
「そのまさかだよ。君たちを殺す事などわけないことだ。はっはっは。」
蛯名と豊の脳裏に四位の無残な死に様がよぎった。そう、二人とも忘れかけていたが自分たちの
頭の中には『装置』が埋め込まれている。開発したのは目の前にいる男だ。勢いにまかせて
ここまで来た二人であったが、落胆の色を隠せなかった。
「くっ・・・そ・・・。」
心理的圧迫からか、二人は体中に脂汗をかいていた。張り詰めた空気の中で死へのプレッシャーが
二人に襲いかかる。
―――しかし、何故か優位であるはずの竹園も汗をかいていた。気温は降り続く雨のせいでかなり
下がっているというのに・・・。
「一歩でも動いたらお前らはあの世へ逝く事になる。」
竹園は自分を奮い立たせるかのように声を張り上げた。そして、後ずさりをしながら続ける。
「最初に尾形がちゃんと説明しなかったのかな。貴様らはただJRAの命令どおりプログラムを
続けないと死ぬ事になる。まぁ、プログラムを続けても生き残るのは一人だがな。はっはっは。」
「やかましい。お前の大事な兵隊さんは全滅したんや。あんたに殺された和田も含めてな。」
「・・・。」
蛯名はあきらめず竹園を狙っていた。
(リモコンのボタンを押される前に竹園を殺してしまえば・・・、あるいはリモコンを直接破壊するか。)
しかし、一度のミスも許されない。弾を外してしまえば自分たちはその場で死んでしまうであろう。
不運な事に部屋は薄暗く、さらに竹園を守るかのように机や機器が並んでいる。そう考えている
間にも竹園はどんどん遠ざかって行く。
「和田は、気が狂ったのだ。だから殺してやった。お前達には感謝されるべきだと思うがな。」
竹園は非常階段への出口まで来ると、慎重に二人を見張りながら扉を開けた。
「さらばだ。じきに特殊部隊が到着する。プログラムは失敗に終わってしまうが、クローン騎手の
候補はお前らだけじゃない。いやむしろ奴らのほうが適格だ。日本のジョッキーは金に困る事は
ないからヘタレが多いからな。お前らは用無しだ。死んでもらうよ。」
「『奴ら』だと?」
「貴様らもよく知っているだろう。日本に出稼ぎに来ている外国人ジョッキー達だよ。」
「何・・・・・。―――待て、竹園!」
「動くなと言っただろ!」
「くっ・・・。」
竹園はリモコンをかざしたまま外へ出て扉を閉めると、急いで非常階段を降りていった。
竹園が扉を閉めると、蛯名は緊張が溶けて座りこんでしまった。
「何してんねん。追うぞ、蛯名。」
「悪い・・・でも、近づくとやばいよ。」
「おそらくあれははったりや。」
「はったり?」
「そうや。あいつ俺らが動けへん状態やというのに、なぜか汗かいて緊張しとったやろ?」
「ああ、汗は分からなかったけどびくびくしてたな。」
「おそらくあのリモコンは壊れとる。」
「!?・・・なんでそう言い切れるんだ?」
「もし本気で俺らが死んでいいと思うてるんやったら、なんでボタン押さへんのや?」
「・・・・そうか!押さなかったんじゃなくて、押せなかったのか。」
「そういうことや。追いかけるで。」
蛯名はあんな極度の緊張状態の中においても、するどく相手を観察していた豊に、頼もしさと
末恐ろしさを感じた。
「あんたが味方でよかったよ。」
「はは、お世辞はいらんから、事が終わったら酒奢ってや。」
「おっけー。任せといて。」
「よし、ほな特殊部隊とやらもさっさと片付けるでぇ。」
非常階段を降りた所で、竹園は先程のリモコンを放り投げ満身の力を込めて踏み付けた。
ぐしゃりという音と共にリモコンが潰れ、竹園はそれを蔑むように見下ろした。
豊の睨んだ通り、リモコンは既にその使命を果たすことができなくなっていたのだった。
忌々しさが募り、竹園は首を振る。
振り払おうとしても、和田の言葉が頭の中で鳴り響く。思い出すまいとしても、最期に和田が見せた涙が脳裏から離れない。
――下らない。馬に感情があるなどと。
視線の先に、和田の亡骸が横たわっていた。竹園は目を細め、ゆっくりと近寄る。
「お前達馬乗りの下らないロマンチシズムには飽き飽きだよ、和田」
――残念だったな、最後の最後にオペラオーを守ることができなくて。お前が、あれ程オペラオーを愛しているとは思いもしなかったよ。
ふっと息を吐き、傍らの兵士に声を掛けた。
「ここから出るぞ。急げ」
635 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/10/17 21:38 ID:U68DRUTq
なんか怖い展開になってきた…
和田の死では感動。
竹園には恐怖。
続きが楽しみです・・・。良スレですなぁ。
637 :
:01/10/18 00:32 ID:tiF9z96T
あれ?竹園。美浦に行くのか?
オペラオー危うし!
638 :
あ〜た:01/10/18 01:47 ID:tPB/fXQ/
続きがたのしみ♪
そろそろ佐々木竹見さんが登場するのかしら
639 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/10/18 01:52 ID:HylB5MCE
640 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/10/18 02:44 ID:awxUwlhr
正直、外国人ジョッキー軍団が蛇足に思える。どうゆう展開を考えてるかにも
よるが、竹園が良き悪役として定着してきた今、最後の最後でとってつけた
ラスボスは萎えると思う。
ここまで続いた以上、オレがこのスレに最後に望むのは、破綻無くキレイに
まとめて終わらせて欲しい。
641 :
多摩市名誉市民:01/10/18 09:45 ID:gXjrIHXg
関口房朗を登場させよとしていたのに残念です。
>>641 だからオマエはツマランから書くなって。
643 :
多摩市名誉市民:01/10/18 13:52 ID:gXjrIHXg
「我以外、皆師なり」(吉川英治)
644 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/10/18 22:43 ID:5elosz0R
>>641 悪いけどあなたが書くとこのスレのレベルは下がります
>>641 642・644に禿しく同意。
番外編であんまりサブキャラ持ってこないでくれ。
面白くないし訳分からんくなる。
646 :
440ことnoto:01/10/18 23:57 ID:cDYwrhAO
人のこと言えないけど、番外編は短編で終わらせるほうがいいよ。
南井さんのは別どして。
647 :
二代目ロボ丸:01/10/19 01:04 ID:2Z9zNwbx
西の空が明るくなり、灰色の雲間から光が射してきた。
外に出ると、雨はすっかり上がっていた。恐らく通り雨だったのだろう。
傍らのウイングアローも今はすっかり落ち着いて、南井に甘えている。
その時、ヘリの音が聞こえてきた。だがよくある小型機の音では無い。
ミリタリーマニアなら多分解るであろう、軍用機独特の音だ。
何やら胸騒ぎを覚えて南井は音のした方へ駆け付ける前に、アローの顔をじっと見た。
まるで烙印を押すかの様に、強く、強く。
「……これからの事は、頼んだぞ」
一言だけ担当厩務員に言うと、南井は振り返らずに馬房を後にした。
何がなんだか解らずにいる厩務員の横で、アローが再び甲高く嘶く。
だが先程みたいに暴れなかった。悲しみを堪えるかの様に四本の脚をふんばって、
遠ざかっていく先生の後ろ姿をいつまでも真直ぐに凝視めていた。
648 :
二代目ロボ丸:01/10/19 01:09 ID:2Z9zNwbx
角馬場のある乗馬苑付近───そこは朝から一部関係者以外は立ち入り禁止になっていた───に
降り立ったヘリの方へ向かう途中、南井は一人の青年が同じ方向に向かっているのを見つけ、声をかけた。
「おい!」
声をかけると青年は立ち止まった。茶色の髪に色白の肌、くっきりとした目鼻立ち…
どう見ても自分と同じ人種では無い。だが、それ以前に何故彼がこの季節にわざわざ来日したのか。
[どこへ行くんだ?]
慣れない英語で話し掛ける。青年も母国語では無い言葉に一旦考え込んだが、やや間を置いて答えた。
[今からトーキョー競馬場に行くんです。森先生に招待されて…]
東京競馬場!まさにプログラムの真っ最中だ。南井の身体に戦慄が走る。
[オリビエとケントも来るそうなんですが、パーティーでもあるんでしょうか?]
青年…ミルコ・デムーロは屈託のない表情で南井に微笑んだ。その様子だと本当に何も知らないらしい。
森、いやJRAは彼等外国人ジョッキーまでこの狂宴に巻き込もうというのか!?
デムーロは本来なら成田空港でペリエやデザーモと合流する予定だったのだが、
手違いで関西空港に着いてしまい、JRAの手配したヘリが来るまで栗東トレセンに待機するよう言われたのだ。
[でもだいぶ遅れてしまって…森先生に申し訳ないです。
パーティーはもう始まってるだろうし、先生、きっと怒ってるでしょうね……]
そう言って落ち込むデムーロの肩を、南井は両手でしっかりと押さえる。
[いや、ミルコ。君は運が良かったんだ……]
言うや否や、南井はデムーロの首の後ろを素手で強く叩いた。あっ、という声を挙げて異国の青年は
その場に崩れ落ちた。
もうこれ以上の犠牲は必要ない。
この若いイタリア人の未来を奪う権利はJRAだけでなく
世界中のどこにもないのだ。
649 :
二代目ロボ丸:01/10/19 01:42 ID:2Z9zNwbx
「南井先生、デムーロどないしたんでっか?」
偶然その場を通りがかった3人の若手騎手…高橋亮と常石勝義、古川吉洋が
気絶しているデムーロを脇道へ運んでいる南井に声を掛けた。
「やあ、彼が急に倒れちゃって。悪いけど診療所に運んでくれないかな?
…ついでに、医者に彼を一晩監視するよう言っといてくれ」
「先生はどこ行くん?」
デムーロを預け、東に向かって走り出そうとする南井に亮が訊ねる。
南井は一瞬だけ振り返り、悪戯っぽく笑みを浮かべると、あっという間に走り去った。
「亮、ボーッとしとらんと早よ行くで!」
古川にせかされて慌ててデムーロの足を持ちながら、亮は意味深な南井の笑みに
一抹の不安と哀しみを感じた。
数日前から親友の祐一と和田だけじゃなく、他のジョッキーの姿が見えなくなった事も
何か関係あるのだろうか。
でも今は、デムーロの事が心配だった。この暑い時期にわざわざ来日して急に倒れるなんて、
きっと疲れが溜まったのだろう。
元気になったら、色々と話をしてみよう。
そんな事を考えながら、亮は古川や常石と共に診療所の方へ向かっていった。
650 :
二代目ロボ丸:01/10/19 02:26 ID:zBntTS/+
角馬場では既に何人かの兵士がヘリの前に立っていた。予定時間より大幅に遅れてミルコ・デムーロ
…実は南井克巳なのだが…が角馬場にやって来たのを見て、兵士達は皆、安堵の表情を浮かべた。
大事なゲストに万が一の事があったら、自分の首が飛ぶ。
[お待ちしてました、時間が無いので急いで下さい]
「Thank you…」
流暢な英語で先導する兵士に、帽子を深く被り、濃い目のサングラスをかけ、大きめのマスクを
しながらといういかにも怪し気な格好の南井はやや片言のような英語で答えながらヘリに乗り込んだ。
もしもの事を考えて、スーツの内ポケットにシグ・ザウエルを忍ばせておいたのだが、
どうやら取越し苦労に済んだようだ。
サングラス越しに遠ざかるトレセンの風景を見つめながら、南井はもう引き返せないところまで来ていた。
それは同時に、逃げてばかりいたあの頃の自分と訣別する旅でもあった。
651 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/10/19 03:36 ID:voYn/M4e
良スレだぁ
一気に読んじゃったよ。
本編落ち着いたら
外伝で武とエビの同期の塩村の話もキボン
「あなたにとっては下らないことかもしれませんね」
――南井がある覚悟を胸に栗東を離れたその同時刻、東京競馬場。
和田の亡骸を見下ろしていた竹園の耳に、武豊の声が突き刺さる。
「下らないロマンチシズム…確かにそうかもしれない」
豊の口調は標準語になっていた。
「けれど、あなたのような人には一生解らない…俺達にとって、馬がどんなものか。
その馬と一緒に走る競馬が、どんなものなのか。竹園さん、あなたには幾ら時間をかけても決して解らない
俺達にとって、競馬は決して金の為だけにあるものじゃない。もっと別のものの為でもある。
だが、あんたには解らないんだ」
兵士の一人が竹園に駆け寄り、ヘリの準備が整ったと告げた。
「有り難い御高説だが」竹園はやんわりと笑んだ。「私はそろそろ行かなくてはならないのでね」
豊は真っ直ぐに竹園を見返す。気圧されては負ける――気持ちが負ければ、それは即ち死を意味していた。
「競馬というものは、ビジネス以外の何者でもない。確かに不確定要素が多く
リスクも大きいがね。それでも、やってみるだけの価値はある。他に類を見ない、
刺激的なビジネスだよ、競馬は――馬も、君達騎手もひっくるめてね」
それはJRAにとっても同じことなのだろう。馬も騎手も、そこに携わる人全てが金の成る木という訳だった。
豊はちらりと腕時計に目を走らせた。このプログラムのさなか、いつ壊れてもおかしくはなかったのだが、
幸いにしてまだ生きていた。
「それ程までに、競馬のロマンとやらについて語りたいなら、あの世で死んだ仲間達と語らったらどうかね」
「――竹園さん、残念ですがヘリは飛びませんよ。この場に蛯名がいないことを、おかしいとお思いにならなかったんですか?」
「ほう」
竹園の眉がぴくりと跳ねる。眼鏡越しに、その細められた瞳が鋭く光るのが見えた。
「なるほど。そういう考えか。だが、そう上手くいくかな?」
竹園は大仰な身振りを見せる。と同時に爆発音らしきものが――豊はそう思った――鳴り響いた。
655 :
多摩市名誉市民:01/10/19 12:00 ID:Wnuu6bIt
「痛みに耐え、明日の良スレの為に米百俵の精神でネタの聖域なき構造改革を断行する。
656 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/10/19 12:08 ID:lOQhK98N
658 :
noto:01/10/19 23:22 ID:6dliF5bV
な、何だ――?
思わず豊は音のする方向へ顔を向けた。
その方向にはライフルを構えるペリエの姿があった。
「HAHAHAHA…ホンの挨拶代わりダヨ。ユタカ」
「オリビエ……」
「まあそういうことだ。メインレースの後には最終レースはつきものだろ?
直にデザーモもデムーロもやってくる。5頭立てとは少々寂しい気もするが、
メンツはなかなか豪華な最終12Rだな?ハハハハハハ」
……オリビエ、そんなキャラ?
661 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/10/20 21:06 ID:EgxbRGx1
662 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/10/20 21:08 ID:wmZcRf88
age
>>655 そこに書いてある「痛みに耐え・・・」って所がすでに面白くない。
当然話も面白くない。
でもデムーロ止めた南井の話はヨカタよ。
664 :
noto:01/10/21 07:33 ID:8fRjBp35
「まあそういうことだ。メインレースの後には最終レースはつきものだろ?
直にデザーモもデムーロもやってくる。5頭立てとは少々寂しい気もするが、
メンツはなかなか豪華な最終12Rだな?ハハハハハハ」
これは竹園の言葉ね。
665 :
:01/10/21 15:27 ID:eAkGcCY2
とりあえずウイングアローは今後応援したくなった(w
666 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/10/22 00:04 ID:9I1tkH64
age
667 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/10/22 01:07 ID:wRt9j32C
age
668 :
多摩市名誉市民:01/10/22 12:10 ID:X9T7irCZ
「私はいくら叩かれても立ち上がる、私は「明日のジョー」である」
>>668 叩いてるんじゃなくてさ・・・
ホントにつまんないから止めてってみんな御願いしてるんだけど。
670 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/10/22 12:13 ID:P65jRABg
>>668 ネタを作ろうとする努力には感謝したいが、まだ作品というレベルではないのだよ
671 :
多摩市名誉市民:01/10/22 12:39 ID:X9T7irCZ
「前に進む事を止めない、たとえどんな障害があろうとも、自由党は一貫しています、「ネタ一新」」具体策があります「自由党」」
672 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/10/22 12:40 ID:f6AcD4w1
多摩市は以後、放置の方向で。
>>671 そういったレスのコメントにも誰も賞賛のレスしないことに気付きなさい
674 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/10/22 15:08 ID:BGB1wDAn
675 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/10/22 21:48 ID:AqvKY2PR
>>671 もう絶対書くなよ。
真面目な話で悪いけど、牧原出たあたりから急速におもしろくなくなったよ。
なんとか時間をさかのぼって、もう一度読みたい。
外伝始まったばかりの頃はマジでおもしろかったんだけどな。
なんとかならんのか。
バトロワスレって、どこの板でもこうやって、
終わりを迎えるのな(笑)
677 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/10/22 23:26 ID:Scm7e9bV
>>676 そうは言われてもホントに面白くないんだもん、こいつの文(藁
678 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/10/22 23:28 ID:f6AcD4w1
まぁ、牧原はさほど話に関わってない(誰かが検問張られたって事でチャラにした)んで、
良いんじゃないの? ただ、職人といえど毎回毎回フォローするのも大変だろうから、
以降たとえ多摩市が書き込んだとしても、それは話の一片にさえも組み込まないでよろしい。
個人的には和田vs竹園は好きだったので、早く続き書いて欲しい。(多摩市以外に)
679 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/10/23 00:07 ID:sApK7YpD
和田vs竹園は好き〜
でも、豊と蛯名がどうなってんのか、もうわからなくなってきた。
680 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/10/23 00:14 ID:MlJPukne
後藤が死んでつまんない
681 :
番外編美浦編筆者:01/10/23 00:27 ID:Nz7sfr4p
ども久々の登場です。
多摩市名誉市民氏の牧原を本編に絡ませようとした強引さには、ちょっと……と思いました。
私が最初、番外編を書き始めたのは、単に勝春と勝浦がそういやー……って感じで書いただけで、本編に絡ませるつもりは全くないところで、そーっと……ってつもりだったんですが。
他の方(栗東編など)もそこのところを踏まえてくれていたので、良かったと思います。
ただ今、彼みたいなストーリーぶち壊しの輩を輩出する原因になってしまったかと思うと、なんか逆に自分が余計なことをした気になってしまいます。
それに牧原が、馬運車を乗っ取る話の頃には、番外編ばっかで本編が進まないと困るから、収束しようって動きがあったにも関わらず、やり続けたからね。
まぁあの時は緊急措置って言う事で、ああいう話でフォローって形しましたけどね……。
ただ一行、一行しか書かない、あの書き方から、こちらとしては辞めて欲しかったかもしれないな。
今後は何もフォローはしないで無視するんで、二度と書き込まないでね。名誉多摩市民氏。
>>681 そういうのは番外書いてる人間が言うとなんか妙な感じがしないでもない。
つかそう思っていても黙っておいた方がよかったかもな。
今までの文章が台なしだーよ
どうも、南井編を書いた者です。
元々南井さんの話も番外編だけに停めようと思ってたのですが、
外人ジョッキーも登場してきて話の収拾がつかなくなってきたのと、
ペリエ&デザーモはともかく、デムーロの存在意義がちょっと「?」と
いうところがあった(多分真っ先にペリエの餌食になりそうな予感がした)ので、
ならば最初からバトルに参加させない→南井さん身替わり(本編に巻き込んだ)
という風にしてしまいました。
今まで書くだけ書いて一つもフォローしてなくて申し訳ありません。
しかし正直言って南井編が意外な反響でびっくりしています。いや、ホント。
684 :
一方その頃:01/10/23 04:35 ID:I0yRE2R1
どうも、和田VS竹園の意外な好評に喜んでる者です。
しかし外人の話を作ってしまったのはわしなので
今更ながら申し訳なく思ってます
責任とって話を終わらせるべきなのかもしれませんが
読み返して見ると他のシピーツしてる人のほうが全然文章がうまいので
どうしようか迷ってます
一応、書き溜めているんですが
もしネタがある方がいるなら先に書いておいてください
明日の夜までに話が進んでなかったらカキコしてみます
ボツならボツで結構ですので
685 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/10/23 10:04 ID:HI0ufT+K
>>586-593まで、和田と竹園の再会までを書いた者です。
ずっとこのスレは読んでいたのですが、書くのは初めてで、
これでいいのかなと思いながらやってみました。
(オペラオーを本編に出さない方がいいとは思っていましたが、
竹園がオペラオーを美浦に連れて行った理由はあってもいいかなと考え、
ああなってしまいました。それに、この話での氏のキャラクターなら、
和田をあっさりと捨てるような気もしまして…)
その後の、684さんが書かれた和田の最期には感動してしまいました。
>>684さん、楽しみにしています。
686 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/10/23 12:26 ID:i9YYZwHm
竹園の緊急電からおよそ10分大型へりが府中に到着した。「おお、やっと来たか」竹園は胸をなでおらした、ポバリング状態のへりから次々と特殊部隊員が降下してきた。
687 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/10/23 12:36 ID:i9YYZwHm
「これで、あのクソ野郎を潰せる」竹園が呟くと竹園の無線が鳴った、。
689 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/10/23 12:43 ID:i9YYZwHm
「こちら、竹園」「只今、コマンド部隊が正門に到着しました、ご指示を」「なに、正門?正面スタンド前ではないのか?」「いえ、我々は・・・」そこで無線が途切れた、「おい、どうした」竹園の言葉には応答はなく、ただ長居電波音と耳障りな雑音だけが残った。
690 :
多摩市名誉市民:01/10/23 12:48 ID:i9YYZwHm
どうも、森善朗です、あいにくまだネタは未発表ですが、なにか?
691 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/10/23 12:52 ID:qHYPniof
692 :
多摩市名誉市民:01/10/23 12:56 ID:i9YYZwHm
うん、じゃこの板の抵抗勢力として居座るかな
693 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/10/23 13:07 ID:i9YYZwHm
その頃、理事長室のドアが激しく蹴破られた、「動くな」部屋に乱入した特殊部隊員が一瞬、腰を浮かした、高梁を制した。
694 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/10/23 13:14 ID:i9YYZwHm
高橋の体には無数のレーザーポインターの光点が照射されている。「まったく、遅くてかなわんわ」ソファーからペリエがゆっくり立ち上がった「ペリエ様、どうぞこちらへ」隊員がペリエに道を開けた。
695 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/10/23 13:20 ID:i9YYZwHm
「ペリエ、貴様」そこで高橋は初めてペリエの背信を知った。「α、α、こちらβ、こちらβ、孔雀を確保した、繰り返す、孔雀を確保した。」
>>692 ねぇ、みんなに評価されないのが悔しいの?
でも面白くないからしょうがないよ。
697 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/10/23 13:27 ID:i9YYZwHm
高橋は隊員に両脇を抱えられ、手荒く運ばれた、「貴様ら、一体、何者だ」隊員は応えなかった、しかし高橋は前を行く隊員の背中の文字が目に入った。「FSAITI」という文字が・・・
698 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/10/23 13:32 ID:i9YYZwHm
一方その頃竹園は逃げていた、何かに追われるわけでもなく、動物的な本能が自身に危機が迫っている事を感じていた。
699 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/10/23 13:35 ID:i9YYZwHm
竹園は一部が破壊された、競馬博物館に逃げ込んだ。館内は薄暗く、なんとなく不気味だ。
700 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/10/23 13:39 ID:i9YYZwHm
竹園は展示物の「スターターの台」の前に座り込むと、肩で激しく息をした。それは、走ったことによる息切れなのか、それとも死の恐怖に怯えた息遣いなのかは判らない。
701 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/10/23 13:44 ID:i9YYZwHm
その時、薄暗かった、館内の照明が灯り、関東のGIファンファレーが鳴り響いた。
702 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/10/23 13:46 ID:i9YYZwHm
竹園の後ろの「スターターの台」がゆっくり上昇した、竹園は慌てて、立ち上がった。
703 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/10/23 13:53 ID:i9YYZwHm
その瞬間、竹園の後頭部がザクロが割れたように脳漿が吹き出した、竹園は床を大量の血液と脳漿で染めて、倒れた。「うん、竹園、21世紀の競馬はわしの時代だ。」スターターの台からゆっくり関口房朗が下り立った。
文章が稚拙。
せめて書き込むならまとめてくれ。
1行か2行で書き込むのはウザイ。
こんな簡単に竹園オーナーが殺されてしまっては和田とのやり取りの意味が無くなってしまう。
それにこの大詰めで新キャラはもういらんでしょ。登場人物が多けりゃいいってもんでもないし。
続きを考えていく姿勢は評価してもちょっとなあ…
ていうか相手しないほうが一番いいんでねーの?
このスレ終わったね
708 :
658の続き:01/10/23 18:02 ID:xoLGov95
>>658 ペリエの放った銃弾は蛯名の右足をかすめていた。
かすめたと言ってもライフルの威力は凄まじいものだ。
かなりの量の鮮血が蛯名の右足から流れている。
「次・・ぎ・・・は当て・・ル・・・エビナ」
ペリエは2発目の銃弾を撃ち込もうと蛯名に銃口を向けた。
蛯名は必死に距離を置こうとするも激痛から思うように動くことが出来ない。
その時、豊はペリエの様子がおかしいことに気がついた。
言葉は途切れに途切れに発せられ、目は虚ろに曇っている。
よく見るとペリエの耳の辺りから赤く点滅する光が見えた。
「竹園ぉ!貴様、オリビエに何をしたんや!!」
709 :
658の続き:01/10/23 18:03 ID:xoLGov95
不適な笑みを浮かべながら竹園は答えた。
「外国人はプライドが高くてねぇ。なかなか協力してくれないものだから
こちらの指令を実行してもらう為、少々、無理をさせてもらった。」
竹園は続けた。
「まぁ、ペリエ君に人殺しをする意志はないだろうな。
こちらの意に沿って動いてる只の操り人形だから。
君達はそんな彼をこれから殺すのだよ。
私を倒したいのだろう?計画を止めたいのだろう?
ほら、早く助けないと蛯名君はこのまま死んでしまうが、それでも良いのかね?」
黙り込んでいる豊に竹園はこう言った。
「君達は最後まで殺し合いを続ける運命なのだよ。
強靭な精神力を養うには丁度良い訓練だと思うがね?あはははは。」
結局、俺達は竹園の掌の中で躍らされているだけなのか・・・。
豊はうつむきながら呟いた。
「・・・クソが」
710 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/10/23 21:47 ID:1KWhQ7xd
どうなってしまうんだろう…このスレ
でも本当に本編は完結させてほしいと思うほどおもしろいし
番外編も本編に絡まなくても読みごたえありましたよ。
自分には才能がないので、書くことはできませんが
ぜひ続きを読みたいと思ってます。
711 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/10/23 23:17 ID:FL1eS8aD
本編、番外編ともに好きです。毎日ここを見るのが楽しみなんです。
完結するまで応援age!
712 :
noto:01/10/23 23:39 ID:zGUT3Nn0
南井さんの話はそのまま続けて、本編に入れてしまってもいいと思ってます。
個人的に新キャラ出すのは構いませんが、頼むから多摩市のようなつまらないネタを無理に本編に入れたら今までの話が台無しになります。。
多摩市が書いたヤツ全部あぼ〜んでsage
714 :
noto:01/10/23 23:59 ID:zGUT3Nn0
激しく同意
>>712 南井さんを本編に登場させる事を許可していただきありがとうございます。
あとはどのように展開させようか…メンテ中の初代ロボ丸に負けないよう
頑張らなければ。
しっかし多摩市の書き込み、強引過ぎるっつーか厚かましいというか。
あの1〜2行しか書き込んでないのは携帯から打ってるんでしょうね。
あんまり多摩市の話題は出さんでおこう。
話題に出せば出すほど図に乗るのは目に見えてる。
それにしてもヤツは必ず昼間に現れるよな。
ま、行動パターンからしても、ヒッキーだろうなコイツ。
他人に認められたくて認められたくてたまらないってやつ。
だから本編は一度ここにUPした後、例のHPにまとめれば
いいんでないの? 多摩市の文章を消去でき、本編を
まとめて読ますにはそれが一番。
717 :
noto:01/10/24 01:48 ID:Fl2tFIGH
「…竹園さん、アンタは5頭立てと言ったよな…、…アハ…アハ…アハハハ…」
痛みをこらえつつも、蛯名は竹園を嘲笑った。
「何がおかしい、蛯名くん。まあ、まだ二人来てないからな」
「…分からないならいい。そのバカさ加減…気付かない…ことを不幸と思うんだな…アハハハ…」
「死んだ仲間が亡霊として戻るのかね?死ぬ真際になって妄想でも見てるのかい、蛯名くん。アーハハハハハ、これはおかしいわ。」
竹園が高笑いしているその時、突然頭上で爆発音がした。その直後、周囲から白い煙が湧き、瞬く間に周囲は煙の海と化し、その場にいた者の視界を奪った。
そして何度も何かが爆発
「な、何だ!一体これは何だ!」
「うわっ、何やねん!何も見えへんやんか!」
皆が慌てふためいている最中、誰かがユタカの口を塞ぎ、そして手足をとった。
「フガ…アニフンデン…ハガヘ〜!」
精一杯何かを叫ぼうとするが、口をふさがれて何もしゃべれない。拘束を解こうともがくが、手足を取られて動けない。
何も出来ぬまま、どこかへ連れ去られるユタカ。一体どこへ連れられるのか、そして蛯名は、竹園は、ペリエは――――。
718 :
noto:01/10/24 02:06 ID:Fl2tFIGH
「スマンな、ユタカ。めちゃくちゃ強引なマネをして」
拘束を解かれるとそこには小島太と数人の厩務員の姿があった。
「…ふ、太さんやったんか…。…死ぬかと思ったわ…」
「竹園のヤツが逃げると踏んでいて、脱出用ヘリの近くで見張っておいたのが幸運だった。うちのスタッフも何人か配備させておいたからな。」
「…ホンマ、おおきに…そうだ、蛯名はどないしてん?アイツは大ケガを負ってんねん!あのまま放置したらアイツ死ぬで!」
「安心せい。もうすぐここに連れてくるはずだ。まあ、待て」
ユタカの焦る気持ちを抑えようと小島は言った。
719 :
noto:01/10/24 02:29 ID:Fl2tFIGH
ほどなくして蛯名が手足を抱えられて連れてこられた。
「え、蛯名、大丈夫か?」
ユタカが尋ねる。
「…ああ、生きてるのは…確かだよ…」
聞き取りづらい声で蛯名は答える。
右足の出血が大分ひどい。このままでは共に戦えるかどうかも怪しい。
「…オレのしたことが…スマン…ユタカ…」
「あまりしゃべるなや。体力を消耗するだけやぞ…しっかし、こういう状況になるとは思いもせんかったわ。」
「…ペリエにデザーモ、デムーロか…これは厄介だぞ。」
そこにいるもの全てが不安に陥っている中、ヘリの音が聞こえた。
「…クッ、竹園のヤツ逃げやがったか」
悔しがる豊。しかし、その横で小島は冷静にしゃべる。
「…まて、ユタカ。外を見てみろ。」
小島は外に人差し指を向けた。
「あれは竹園のヘリじゃない。第一人が中から降りてきてる。おそらく外国人ジョッキーの誰かだろう…ん?何か変だぞ。」
「…え、何が変なんです?」
720 :
:01/10/24 02:49 ID:Lg17t68E
書き手が多摩市云々の話題をするのは正直さめる。
721 :
多摩市名誉市民:01/10/24 10:18 ID:dllbPGYs
私ね、あいにく夜は仕事なんで昼間に出没するのよ、いやーいいね渦中の人は
722 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/10/24 15:44 ID:thk74aWf
>>721 惨めだな・・・
そんな強がりしか言えないなんて。
まぶしい光に、岡部は目を覚ました。
「俺は・・・、確か幹夫に・・・」
はっとして首に手をやるが、傷もなく痛みも感じない。
「夢だったのか?」
岡部は上半身を起こし周囲を見渡したが、何もなかった。
雲ひとつない空は太陽が見えないのに明るく、地面は上質の芝生のような感触だ。
「ここは、どこだろう」
そのとき、何かが背中をつついた。さっきは何も見えなかったのに。
慌てて振り向くと、1頭の馬が立っていた。
鹿毛に、きれいな流星、見覚えのある馬具・・・
「マ、マティリアル!」
岡部が間違えるはずはない。
何度も夢を見たし、骨が折れる音が耳に残って消えることはなかった。
マティリアルはうれしそうに頬をすりよせてきた。
指で流星をなぞる。やはりマティリアルだ。
そこで、ようやく岡部はここがどこなのか理解することができた。
「ということは、マサトたちも来ているはずだ。マティリアル、案内してくれるか?」
マティリアルは頭を上げて、乗りやすいように姿勢を正した。
体が軽い。
岡部はマティリアルの背に飛び乗った。
マティリアルはケガをする前とまったくかわらない脚で走り出す。
その背で、岡部はかつての盟友に語りかける。
「ルドルフ、先にここで待ってるからな。お前はゆっくり来い」
色々と、外伝的な短編ができそうだね。
この「プログラム」が始まる前、こんなことになるとは思ってもみなかった頃の話とか。
726 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/10/24 19:01 ID:xJ2r+kTZ
727 :
ギヤック ◆VoWxzUuM :01/10/24 19:02 ID:RyT+oSf2
728 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/10/24 19:17 ID:rrSd2Cwa
>>724 (・∀・)イイ!
シンボリインディも出して
やらんでいいか・・・
730 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/10/24 21:58 ID:E9TWtc8A
シンボリインディ希望!
あまりにも悲しい最期だった…
731 :
麻矢:01/10/24 22:32 ID:Ym7+jjo9
724です。
ありがとうございます。
はじめて書いたんでとっても不安だったんです。
インディとマティリアルで悩んだんですが、
インディの事故が最近すぎて悲しすぎて、どう書いていいかわからなかったんです。
まだまだ未熟ですね。
外伝モノはしばらく控えたほうがいいのではないかな・・・。
別に話がいやなわけではなく、本編が少しずつだけど進み始めた時に外伝を出すと、流れが途切れてしまう気が・・・。
また外伝がイパーイ出てくると、本編にこじつける人とか現れてややこしくなりそうな危惧が。
他のみなさんは、どう思われます?
733 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/10/24 23:47 ID:4JUGpsAM
>732
確かにそうですね。
でも724さん!!最高ですよ、上手いです!
本編終了後また外伝書いてください!
734 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/10/25 00:09 ID:0brQFtYm
>>732に同意。
しかし麻矢さんの文は、今までの本編、番外編の筆者軍団くらいいい文だ。
これは本編終了後に、これから死ぬかもしれない人も含めて、書いてもらいたいですね。
もちろん、マティリアルに乗った岡部のシーンから続けて。
735 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/10/25 00:39 ID:pne7d6a8
>724
マティリアルゥゥゥ・・・・・・(涙)
さいごにルドルフに呼びかけるのもいいですぅぅぅ
736 :
麻矢:01/10/25 01:23 ID:PZycIIzL
>>732 絶対に本編にこじつけられないような死後の話ならいいかと思ったんですが、
軽率でしたね、ごめんなさい。
私も本編がとっても楽しみなので、もっといい話を考える時間ができたと思って待ってます。
執筆者のみなさん、がんばってください。
737 :
noto:01/10/25 01:52 ID:yEq422R1
「いや、何か前見た時よりはあまりゴツくないんだよ」
「…言われてみれば、何か筋肉が落ちたようにも見えますが」
「…まあいい。どっちにしても不利な状況には変わりない。まずは蛯名の体を何とかしなければ。おい、しっかり手当てしとけよ!」
大怪我を負った蛯名、そして竹園のロボットとして操られてるペリエ、そしてヘリから出てきた外国人ジョッキー…太厩舎のスタッフが数人いるとはいえ、全く予断を許さない状況下には変わらない。
あの憎き竹園を成敗したい、しかし、どこにいるか分からない…。そしてこの「プログラム」は一体どうなるのか?
豊は何も出来ず、ただ焦りばかりが募っていた。
738 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/10/25 08:56 ID:q3U7uw5C
額に浮かぶ汗を手の甲で拭うと、豊は胃の痛みを感じた。緊張感がそうさせているのだ。
肉体だけでなく精神の疲労も限界に近い。つい数日前まで想像すらしていなかった事態の中に放り込まれ、
仲間同士が――仲間だと思っていた者同士が殺し合うのを目の当たりにしてきた。
とうに発狂していてもおかしくない状況の中、彼の心を支えているのは竹園とJRAへの憎悪だった。
「太さん……みんなは…みんなをあのままにしておくのは辛い…」
豊を我に返らせたのは、蛯名の呻き声にも似た呟きだった。
「解ってる」小島もまた疲れた顔をしていたが、それでも笑みを浮かべる。「放っておきたくはないさ。
だがな、それにはまず、お前達が生き残ることだ。違うか?」
厩舎のスタッフに蛯名の手当てを指示し、小島はヘリから降りた人物に目を凝らした。
見知った顔であることは間違いない。だがあれは、記憶の中にあるどの外国人騎手とも違う。
――あれは誰なのか、そして何を意味するのか。警戒心が小島の中に広がってゆく。
739 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/10/25 09:06 ID:q3U7uw5C
せめて男の声だけでも聞こえれば、と思いながら小島は蛯名と豊に視線を移す。
――声を聴けば、誰か解るだろうに。
蛯名の顔から、徐々に血の気が引いていく。それでも尚、仲間達の遺体を放置しておくことに
心を痛めているらしいと思うと、小島は可笑しさと哀しさを感じた。
「とにかく、今すぐにあの男に近寄るのは危険だ。正体すら解らないんだからな……
それにしても、竹園は何処へ行ったんだ。あの男もこのままにしておけないというのに――」
「太さん…竹園はきっと…理事長に会いに行ったか、そうでなければ美浦ですよ…きっと」
「美浦?」
蛯名の言葉に、小島は怪訝そうな顔をし、豊ははっと息を飲む。
「今回のプロジェクト絡みでなら、理事長の所だし……そうでないなら美浦です。
美浦にはオペラオーがいて、あの男はオペラオーを売り払うつもりですから――」
「なるほどな」
二人から竹園のやろうとしていることを聞き、小島は嫌悪の表情を浮かべた。
だが、すぐに追いかけることもできない。ここで生き残ること、全てはそれからなのだ。
――絶対に死なんからな。俺も、蛯名も。
傷付いた蛯名を見つめながら豊は思うのだった。
740 :
多摩市名誉市民:01/10/25 11:33 ID:T0bqaLiS
「Ai、syaru、ritann」(ダグラス、マッカッサー)
283 名前:多摩市名誉市民 :01/10/25 14:10 ID:T0bqaLiS
「なるか?兄弟天皇賞制覇、モンテファスト」「浦和から来たタマモクロスって何者?」
285 名前:多摩市名誉市民 :01/10/25 14:34 ID:T0bqaLiS
「有馬記念でダイユウサクを買わないのは馬鹿」「オグリ、まさかの2着、ヘタレ岡は逝ってよし」
こいつ何書いても面白くないね
742 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/10/25 23:15 ID:tDMFvcTo
久々に最初から読んだらあまりにもテンポよく皆死ぬんで読みやすかった
743 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/10/26 10:41 ID:VGG8U2eC
age!
744 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/10/26 10:51 ID:DqiUmdtt
多摩死は何がしたいんだ?
745 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/10/26 11:05 ID:HLWa+hOZ
「一方その頃」さん、また書いてください。
和田のような死があることで、ますます竹園が悪く見えてすごく面白かった。
待ってます。
746 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/10/26 12:18 ID:VGG8U2eC
agetokanntokann
747 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/10/26 13:33 ID:lNxQoAPD
>>744 良く分からん。
でも俺、「かちゅ〜しゃ」で霊死の投稿全部透明あぼ〜んした。
一気にこのスレ見やすくなったぞ
748 :
ゲーム:01/10/26 13:40 ID:FRRkvmw7
749 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/10/26 19:37 ID:q9009uIk
age
750 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/10/26 22:27 ID:YhUcDpcq
進んでる?
週末はお休みだから、進むかな?
それとも競馬場で忙しくて進まないかな?
執筆者軍団さん、楽しみに続きを待ってます!
752 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/10/27 09:04 ID:U1oxU5Bw
外伝は外伝でやっぱおもしろい
753 :
GC:01/10/27 21:34 ID:x2b0L0u2
ageとくわ。
754 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/10/28 06:25 ID:CgwnBGSH
落ちそうなのでage
「ん?―――なんだ?」
遠くから響いてくる騒音に驚き、三人は一斉に空を見上げた。またヘリが来たのだが、今度は
かなり多い。15〜20機もあろうかという数だ。
「まだいるのか?」
「そんな・・・」
小島と蛯名が落胆して、ため息をついたときだった。
「待て。あれは何やろ?」
豊が指差したものは、いくつかのヘリに運ばれてきたコンテナであった。かなり大きなコンテナだ。
数は1、2、・・・5個ある。相当な重量があるのか2台のヘリでひとつのコンテナが運ばれている。
「コンテナのようだが・・・」
「一人に一つ、コンテナが?」
「・・・!?まさか」
「どうしたんですか、先生。」
「何か知ってはるんですか?」
小島太は一瞬沈黙し、うつむいた。彼の頭の中に、亡くなった森調教師の言葉がよみがえった。
(社台の連中が、いよいよ『例の馬』を作るそうや。実験段階は終わったらしいで。後は基本とする馬を
選べば、半年くらいで完成らしいねんけど。・・・馬のほうも『プログラム』やらなあかんやろね。)
森の言葉だけでは『馬のプログラム』というもののやり方を理解できなかったが、今この光景を目にして
はっきりとイメージできた。
「あのコンテナには、おそらく馬が乗っている。」
「馬?」
「馬?」
豊と蛯名は同時に声をあげた。
「そうだ。お前達騎手を選別すると同時に、馬の選別もするつもりかもしれん。」
「馬の選別・・・って。」
「例の馬の元となる遺伝子を選ぶってことですか・・。」
「ああ、森や尾形が話していたのを聞いたことがある。」
「俺らがその馬に乗って殺し合いをするっちゅうことですか。」
「そういうことになると思う。」
「JRAはそんなことが選別になると思ってるのか。」
蛯名は、あまりにも身勝手なJRAのやり方に哀しささえ覚えた。
有望な騎手を何人も殺して、さらには何も知らない馬までをもこの地獄に投げこもうというのか。
ひどすぎる。このまま、『プログラム』を続けることは絶対に許せない。なんとしてでも食いとめないと。
―――しかし、どうすれば終わらせる事が出来る?
「どうすれば・・・、どうすれば終わるんですか、この悪夢は。」
「蛯名・・・。今のお前達にできることは、『プログラム』に従うふりをして、生き延びる事だ。」
「しかし先生、それだけでは――」
「ともかく、だ。新しい三人がどの程度やる気になってるんかが気になる。どんなにいい作戦があっても
奴らに殺されたら終わりやし。」
「その通りだ。」
突然、場内放送が響いた。まるで感情の無い棒読みの低い声だった。
『おはよう、みなさん。JRA理事長の高橋です。現在午後6時30分です。今から一時間後の
午後7時半より、プログラムを第二段階に移行します。生き残っている日本人ジョッキーのお二人、
えーと、武豊君と蛯名正義君、に外国より招待致しました、オリビエ・ペリエ君、ケント・デザーモ君、
ミルコ・デムーロ君を加えての5人で、バトルしてもらいます。』
「高橋やて?」
「どうしてこんなところまで・・・。」
「静かに!よく聞いておくんだ。」
理事長本人が競馬場に来ている事は三人にとって衝撃だった。これは願ってもないチャンスだ。
高橋の息の根を止めれば、『プログラム』、いや腐ったJRAの体質そのものを変えることができるかも
しれない。小島の言葉どおり二人は息を潜め場内放送に耳を傾けた。
『なお、第二段階においては、皆さんには馬を使ってバトルしてもらいます。今回使用してもらうのは、
皆さんもよくご存知の馬です。みな種牡馬となってしまってますので、競争能力の回復のために
若干強い薬を使ってます。気性がちょっと悪いかもしれませんが、ここにいるジョッキーのみなさんなら
扱いこなせると思ってます。』
「種牡馬だと?」
「なるほど。『例の馬』の元となる遺伝子にはそれなりの実績のある馬が必要やわな。」
「そんなこと・・・・、牧場のほうは許したのか?」
「社台の吉田が今回の『プログラム』にからんでいることは調べがついてるよ。」
「そうなんですか・・。」
『今から一時間は休戦とします。各自しっかりと準備を行いましょう。この一時間の間に発砲したり
相手に攻撃したりしたものは、即失格となりますのでご注意下さい。失格の場合はみせしめとして
射殺されるということを覚えておいてください。では、ただいまより馬の配給を行います。各自パドック
まで来てください。一時間以内に取りに来ない場合も失格ですので。』
「配給だと?馬を物みたいに扱いやがって。」
豊は怒りをあらわに叫んだ。プライドの高い彼にとって、自分の愛するものを馬鹿にされることは
許せなかった。さらに今の自分にはただ相手のいいなりになるという選択肢しかないことも、精神的に
かなりの苦痛だった。
「いや、豊。これはチャンスかもしれない。」
豊とは対称的に蛯名は落ちつきを取り戻していた。いまから一時間の休息が約束されたことや
馬に乗って移動できることなどは足を負傷している彼にとっては大きな救いとなる。そしてなにより
倒すべき相手であるJRA理事長がここに来ているのだ。何も浮かばなかったさきほどまでより、幾分
元気が出てきた。
「蛯名の言う通りだ、豊。」
「分かってますよ、先生。相手の言いなりになるのはしゃくやけど、多少なりとも有利な条件を出して
くれましたわな。」
「ああ。馬に乗ればこっちにとって大きな戦力になる。」
「でも、薬で無理やり筋肉を増強したとか言っていたな。」
「あいつらのやりそうなことですがな。」
「もうこれ以上はあいつらの好きなようにはやらせないよ。」
「当たり前や。」
三人に笑顔が戻った。なんとかなるかもしれないという気持ちが三人の心を癒したのだ。
「よし、蛯名動けるか?」
「ああ、太さんの止血のおかげでなんとか。」
「じゃあ二人ともパドックに行く前に少し俺の話を聞いてくれるか。」
「なんですか?」
「実はな・・・。」
762 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/10/28 13:04 ID:131eyMTf
おもしろいです
763 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/10/28 23:20 ID:v5J4uiFc
あげ
764 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/10/28 23:31 ID:7Paeu5Ab
気になるとこでとめないでage
765 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/10/29 01:19 ID:pcb7CzdJ
本当に気になるとこで止まっている・・
766 :
586:01/10/29 07:52 ID:SOsjT444
進んでいますね。面白いです。気になるなあ。どうなるんだろう。
それにしても、竹園オーナー、どうしよう…
東京競馬場から出るぞ、などと言わせた手前、
どうにかしなくてはいけないんですが…
難しいです。
767 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/10/29 20:27 ID:8c5LhctQ
下がりすぎなのでageておきます。頑張ってください。
768 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/10/29 20:46 ID:hcRicLVQ
めっちゃ気になる〜
769 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/10/29 23:59 ID:/LnznCJk
小島太は何を言おうとしているんだー!?
竹園正継はJRA本部へ戻るつもりであったが、高橋が東京競馬場に来ていると伝えられたため、
しぶしぶながら会いに行かなければならなかった。自分の予定が変えられることに憤りを感じたが
この世界で高橋に逆らう事は許されない事も重々理解していた。
ぶつぶつ言いながら来賓席に向かっていると、前から一人の男が近づいてきた。
「こんばんわ。」
「これは社台の・・・。」
「お久し振りです、竹園さん。」
竹園は意外な人間に出会い、少し驚いた。相手は日本トップの馬主、吉田照哉だった。普段は
お互いに口をきくようなことはない。
「どうしてわざわざここにいらしたんですか?」
「いやぁ、例の馬のためのデータを取っておきたかったんですよ。」
「なるほど。しかしそれは研究員にやらせておけばよいのではないですかな?」
「自分の目で見ておきたいんですよ。あなたも開発者なら分かるでしょう?」
「はっはっは。そうかも知れませんな。」
お互い当たり障りのない言葉を持ち出して、距離をとっていた。建て前だけの無感情な笑い声が
響く。無意味なあいさつ程度の会話をしていると、すぐに来賓席にたどり着いた。来賓席の入り口は
100もいようかという戦闘兵が取り囲み、物々しい雰囲気であった。
「ささ、理事長がお待ちです。」
吉田に促され、竹園はしぶしぶ中に入った。理事長という言葉は竹園にとっても大きなプレッシャー
であった。しかし会わないわけにはいかない。
一歩中へ足を踏み入れた途端、空気が違っていた。竹園はおもわず一瞬立ち止まってしまった。
唾をのんで必死に気を落ちつかせてから奥へと進んだ。一歩進むごとにどんどんと空気が重くなる。
「おはようございます。竹園でございます。」
竹園は奥にいた男に向かって、精一杯の声を振り絞った。
男は竹園に背を向けて、窓の外を見ていた。
「やぁ、竹園君か。よく来たな。もちろん手ぶらじゃないだろうね。」
男は振り向きもせず、静かに言った。竹園は声を震わしながら答えた。
「も、もちろんでございます。こちらに例のディスクを回収してまいりました。」
そういうと竹園は手に持っていたスーツケースを前へ差し出した。
「尾形らの処分もちゃんとやったようだな。」
「は、はい。」
「ご苦労だった・・。そうだ、君も吉田君と一緒にこの『プログラム』を観戦していくかね。」
竹園は一瞬声をつまらせた。本当は一刻でも早くここから立ち去りたかったのだ。しかし、逆らうことは
できない。
「は、はい。ありがとうございます。」
「うむ、じゃあここで待っていたまえ。私はそろそろ放送に行かないといけないのでな。」
無理やり竹園居残りで・・・
先ほどまでの豪雨が嘘のようだ。東の空に月が現れて、ぬかるんだ地面を静かに照らしていた。
ひんやりとした湿度の高い空気の中を歩くと生臭い芝の臭いが鼻をつく。秋風がすこしばかり肌寒い。
地面から立ち上る蒸気がうっすらと霧を作り出して、幽玄の美を演出していた。なんという静かな
世界だろう。―――蛯名正義は馬にまたがっていた。そして、この東京競馬場の美しく静かな空気に
包まれて、この三日間の出来事を思い出していた。他の騎手達が殺され、あるいは殺し、自分も
殺されそうになった。中でも、親友である横山典弘の死は辛かった。悲しかった。そして横典を殺した
豊もまた、彼の弟を殺されている。自分が殺したのだ。このことは蛯名の心に重くのしかかり、
苦しかった。蛯名は泣き出しそうになりながら、必死に自分に言い聞かせた。
「誰にも罪はない。罪があるとしたらそれはこの『プログラム』だ。」
蛯名は今まで味わってきた地獄が夢であって欲しいと願っていた。この競馬場の静かな美しさが
蛯名をそうさせるのだろうか。実際、この景色は地獄というには程遠いものだ。
蛯名はふと自分がまたがっている馬の首筋を優しく撫でた。馬はそれに応えて軽く喉を鳴らした。
「まさかお前とまた走る事になるなんてなぁ・・・。」
彼はパドックにいたときと同じ馬とは思えないほど落ちついていた。パドックでは激しく首をふり
後ろ足を跳ねていたが、蛯名の姿をみたとたん嘘のように静まったのだ。
――彼は蛯名を覚えていた。自分が現役時代いっしょに戦ってきたパートナーを覚えていたのだ。
そして、もちろん蛯名も覚えていた。一目見て分かった。忘れるはずはない。ともに世界に挑んだ
偉大な戦友、エルコンドルパサーを。
「まるで夢みたいだな。」
彼の存在は蛯名にとって心強かった。どれだけの勇気を与えられたか計り知れない。 蛯名はまた
馬の首を撫でて、微笑んだ。
――静かな空気を突き破り、場内放送が響いてきた。
『えーと、ただいま7時25分です。あと5分でプログラム第二段階を開始します。』
高橋政行―――JRA理事長である彼の声は、冷たく、なんの感情も感じられない。その棒読みの
低い声は、それだけで他人を虐げているように聞こえる。
「ちっ、高みの見物のつもりか・・・。」
プライドの高い武豊は昔から高橋を嫌っていた。その威圧的な存在が気に入らなかった。
『ミルコ・デムーロ君、ミルコ・デムーロ君。あと5分以内に馬を取りに来ないと失格となります。
失格の場合、発見され次第射殺されることを覚えておいてください。』
(デムーロが逃げ出したのか?)
予定外の展開に豊は少しとまどった。小島太に告げられた作戦では豊がデムーロが『やる気』か
どうかを調べ、危険な場合は叩くことになっている。
(しかし、そういえば先生はデムーロが前に見たときとは全然雰囲気が違うと言うてた。俺には
はっきり見えへんかったけど、またペリエみたいに薬付けにされてたんかもしれん。それで機が狂って
逃げ出したか・・・。ちょっと困った事になったわ。もしそんな状態やと話もできへんな・・・。)
『ではルールをもう一度確認します。7時半より皆さんに殺しあいをしてもらいます。これは時間無制限
です。誰か一人になるまでやってもらいます。もちろん食事の配給はなしです。武器は競馬場内に
落ちているものを探して使ってください。では、7時30分になったら合図します。それまではおとなしく
待っていてください。』
突然、豊の隣にいた馬がいなないた。
「しっ。気持ちは分かるけど静かにしといてや。変な奴に見つかったらやっかいやしな。」
馬のあごを撫でながら豊は優しくささやいた。豊の馬を見る目はおだやかで、子供のようであった。
彼は豊にとって特別な馬だ。
――豊がパドックに向かったとき、ここにはお前に用意した馬はいないと言われ、入場門にあった
コンテナまで連れていかれた。いくら兵士達がひっぱっても彼はコンテナから出てこなかったのだ。
しかし、豊の姿を見るとすぐに出てきてうれしそうに豊に擦り寄った。豊はその姿に驚いき、そして、
おもわず涙した。
「お、お前・・・よう来てくれた・・・・。薬をうたれてつらかったやろう?かわいそうになぁ・・・。」
彼は豊にとって忘れる事の出来ないパートナーだった。初めてダービーを取ったときの戦友、
スペシャルウィークである。豊はなんとしてでもこの馬だけは守ってあげなくてはならないと、
思っていた。
そのとき警報が鳴り響いた。月夜に広がるその響きは哀愁を感じさせる。馬がまたいなないた。
警報が止むと再びいまいましい声の場内放送が流れてきた。
『7時30分になりました。では、ただいまよりプログラム第二段階をスタートします。みなさんがんばり
ましょう。それから、次の放送は一人だけ生き残ったときまでありません。放送があるまで戦い続けて
下さい。では。』
放送を聞き終えると豊は深呼吸した。そしてスペシャルウィークにひらりとまたがると、来賓席を
指差して叫んだ。
「行くぜ、相棒!」
781 :
sage:01/10/30 02:49 ID:JPAFeKjk
(ちょっと時間を戻して幽霊による豊激励編)
打ち合わせを終え、豊は二人と別れた。休戦時間は残り30分を切っている。
独りになると、じわじわと四肢を圧迫していた疲労感が倍加して襲って来た。
「配給」を受け取りに向かう足が重い。
自棄や激情が去った後、豊の胸を占めていたのは虚無だった。
敵を討つ。狂った「プログラム」を終わらせる。JRAの腐敗と不正を暴く。
当面の目標。そこまではいい。だが、それから?
父も弟も、あの人も死んだ。仲間も後輩の多くもいなくなった。
生きて戻れば、妻に会える。トレセンには、リストに載らなかった仲間も馬もいる。
しかし、何をしても死者は生き返りはしない。
以前同様に家に帰っても馬に乗っても、なかったことにはならないのだ。
失ったものは、あまりにも大きすぎる。
握っている銃が、ずっしりと重みを肩に伝える。
俯き加減で歩く豊の目の前で、不意に光が凝った。ひとつ、またひとつ。
ぼんやりとした人型をとったそれが、間違えようのない声で豊を呼ぶ。
「……兄さん」
「幸四郎!?」
自分の目の前で絶命したはずの弟からの呼び掛けに、豊は驚いて顔を上げた。
「おまえなんやな? 生きとったんか?」
光に向け、縋るように豊は問いかけた。
もしそうだったら、あれが事実でなければどれだけ喜ばしいか。
しかし、幸四郎の答えは淡々として非情だった。
「ううん、僕は死んだよ。でも、消えたわけじゃない」
混乱する豊を、やはり耳慣れた声でもうひとつの光が呼んだ。
また聞けると思って、永遠に聞けなくなった声だった。
782 :
sage:01/10/30 02:55 ID:JPAFeKjk
「豊……ごめんな」
「幹夫さん!?」
和田に殺されたと蛯名は言った。小島太も幹夫の死を確認していた。
それでも、彼らの言葉より自分の感覚を信じたかった。
豊は、光の方へふらふらと歩み寄る。
光は人の形はしていても、顔ははっきりしない。
だが、確かにそこには豊が失ってしまった者の声と気配が存在していた。
「幸四郎、幹夫さん、どうして……」
銃を持たない側の手を伸ばす。手の中に繋ぎ止めようとする仕種だった。
しかし、その手は二つの光の実体を掴めずにすり抜ける。
「駄目だよ。もう、兄さんは僕たちに触れたりはできないんだ」
幸四郎は少し悲しげに言った。
「だったら、死んで幽霊になったいうんか。死に切れずに迷うとるんか」
「他の人は知らない。でも、僕たちが今いるのはあの世じゃないと思う」
「じゃあ、どこにいるんや?」
「兄さん、僕たちはいつでも兄さんの中にいる」
豊は目をみはった。幸四郎の後を、幹夫が続けた。
「おまえが俺たちを忘れないでくれる限り、俺たちはこの形で生きているんだ」
「……俺の中に? だったら、なんで出て来たんや」
その問いに、幹夫は苦笑したようだった。
「そんな顔してるの見たら、心配でおちおち寝てられやしない」
幸四郎も相槌を打つ。
「そう、そんな余裕なくして疲れた顔、兄さんらしくない」
「………」
783 :
sage:01/10/30 02:55 ID:JPAFeKjk
「このクソゲームの結末、二人には見えへんのか」
豊はぽつりと訊いた。
「僕たちにもわからない」
「力になれなくて、すまない」
それから暫く、豊は何も言えなかった。光も何も言おうとしない。
しかしやがて、粒子がさらさらと散るように光は人の形を失い始めた。
まるで、力尽きたかのように。
「ま、待ってくれ」
我に返ったように、慌てて豊は弟を引き止めようとした。
「幸四郎、また出て来られるんやろ?」
「……ごめん、でも、兄さんは負けやしない……よね?」
その間にも光は薄れていく。豊は、もうひとつの光に尋ねた。
「また、会えますよね、幹夫さん?」
光は困ったように揺らいだ。
「……いずれは。でも、まだおまえは……」
光はどんどん薄れていく。もうほとんど外界と判別がつかない。
彼らの声も、遠くなっていく。
「こうやってまた兄さんと話せるかはわからないけど、いつも見てるから」
「おまえの中の俺たちを殺したくなかったら、死ぬな」
最後にそう言い残して、周囲の景色に融けるようにふたつの光は消えた。
豊は、大きく息を吐いた。
今見た物は、白昼夢でも幻覚でもない。そう確信していた。
「すまんかったな……幸四郎、幹夫さん。俺は、大丈夫やから」
一人で残されたようでも、自分は一人ではない。彼らが教えてくれた。
共に戦おうとする仲間も、まだいなくなったわけではない。
頼もしい仲間が、少なくとも二人いる。
「もう、誰も殺させへん。皆で勝つんや」
低く呟いて銃を握り直す豊の瞳には、先刻までとは異なる光が宿っていた。
(長くてすみません。一番の恐怖、801に間違われたらどうしよう)
784 :
sage:01/10/30 03:22 ID:4o5kudHM
(幽霊編その2)
「ごめんな……豊」
「幹夫さん!?」
和田に殺された、と蛯名は言っていた。太も、彼の死を確認したと言っていた。
それでも、彼らの言葉より目の前の気配を信じたかった。
豊は、ふらふらと光に歩み寄る。銃を持っていない側の手を伸ばした。
光を、その実体を掴みしめようとする仕種だった。
二つの光に交互に繰り返す。しかし、手は光の中をすり抜けるばかりだ。
何も掴めはしない。
「兄さん、もう僕たちに兄さんは触れる事は出来ないんだ」
幸四郎が寂しげに言う。豊は唇を歪めた。
「そうか。死んでも死に切れずに、あの世で幽霊になってしもうたんか」
「幽霊……うん。でも僕たちがいるのはあの世じゃない。他の人は知らないけど」
「あの世じゃない?」
「兄さんの中、だよ。だからこうして話もできる」
「おまえが俺たちを忘れずにいてくれる限り、俺たちはこの形で生きていられる」
黙って見ているつもりだったけれど、と幹夫は笑った。
「だったら、どうして出て来たんや」
「だって、そんな疲れた顔の兄さん、らしくないから」
苦笑するように言う幸四郎を、幹夫が引き継ぐ。
「そんな顔してるの見ていたら、おちおち寝てもいられない」
785 :
sage:01/10/30 03:26 ID:4o5kudHM
ぎゃー、分割し損なって途中が二重だ。すみません。
しかも書き直す前のまま…784はムシして下さい。
ケーブルで首括ってきます。さやふなら。
786 :
1:01/10/30 03:38 ID:w+MX0T3U
まだ続いてたのか・・・。
って俺が言うセリフじゃねえな
787 :
:01/10/30 17:36 ID:f6IvT1hi
う〜、まだかなぁ。
待ってるよ。
788 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/10/30 18:00 ID:hEFFAVho
>>786 ひょっとしてスレ立ててあとはほおっておいたのか?
789 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/10/30 23:32 ID:/X4O1k64
あげなきゃ
太先生はなにを、蛯名とユタカに言い残したんだろう?
まだ明らかにされてないよね?
うおー、気になるぅー。
791 :
続きが読みたい:01/10/31 04:34 ID:8utPDcOm
こんな良いスレ初めてみた!
このスレのみんなに感謝!!
792 :
586:01/10/31 07:57 ID:f9hWFi5Q
一方その頃さんはさすがだ…
いよいよ大詰めですな。
(皆さんに触発されて、「死後の世界編」を思い付いてしまいました。
和田編なのですが、本編が終了したら発表させて頂くかもしれません。
バケントレナカッタ…オノレワダ!)
793 :
麻矢:01/10/31 11:15 ID:L+wVKCSK
続きがきになります。
やっぱ本編のみなさんはすごいです。
ミッキーは幽霊になった(らしい)ので死後の世界編はなしにしたほうがいいんでしょうか。
>>792さん
死後の世界編ってそれぞれの話にかかわりをもたせたほうがいいんでしょうか。
マサトさんは岡部さんにからませた話をかくつもりだったんですが。
でも、ワタナベにはどうからませたらいいのかわからないし。鬱だ。
794 :
586:01/10/31 12:30 ID:f9hWFi5Q
>>781の続き(理事長と竹園だけど)
放送を終えた高橋理事長は、しごく満足した顔付きで来賓席に戻ってきた。
吉田と共に竹園がおとなしく残っているのを目にし、鷹揚に頷いてみせる。
「しかしまあ、ほぼ順調に進んでいるようで一安心だ」
窓辺に立ち、理事長はゆっくりと口を開く。その口調は平坦で、心中を推し量ることはできなかった。
竹園は、募ってゆく不安と恐怖を振り払うようにごくりと唾を飲み下す。
自分の命が、今や高橋の掌の中にあることを理解していた。
「竹園君、人間とは愚かな生き物だと思わないかね?」
高橋の言葉に込められた皮肉に、竹園はどきりとする。暗に自分のことを揶揄されたような気がした。
「特に、調教師や厩務員、それに騎手達。たかが馬の為に――経済動物に過ぎない馬に肩入れし、
情をかけ、淘汰されてゆくのが馬の定めだと割り切りながらも愛さずにはいない。
まったく、どうにも下らない感傷だ。競馬は即ち金だ。ロマンなど、私にとっては妄想に過ぎん」
「仰る通りです。理事長の仰る通りで――」
そう言い掛けた竹園の脳裏に、静かな声が響く。
――オペラオーはあんたや俺のために一生懸命走ってきた――
795 :
586:01/10/31 12:31 ID:f9hWFi5Q
竹園は弾かれたように立ち上がり、辺りを見回す。和田の言葉が再び竹園の心を掻き乱す。
下らない幻聴だと言い聞かせ、額に浮かんだ汗を拭って椅子に座り込む。
一度は振り払った和田の言葉が、今になって蘇る。それは竹園の焦りが生み出した状態だが、
自らの焦りや恐怖心をそのまま受け入れることが出来よう筈もなかった。
高橋はそんな竹園の様子に気付くこともなく窓の外を見下ろしている。
一刻も早くこの場から立ち去りたいという思いばかりが募り、竹園は唇を噛んだ。
そんな竹園の様子に気付いた吉田照哉が不審そうに声を掛けた。
「竹園さん?いかがなさいました?」
高橋もまた、眉を顰めて竹園に視線を移した。「どうした、竹園君」
大きく息を吐き、竹園は声のした方へと振り向き近寄ってゆく。
そこに見えた顔に、竹園は声にならない悲鳴を漏らした。
796 :
586:01/10/31 12:31 ID:f9hWFi5Q
血に染まりぼろぼろになった勝負服。頬にこびり付いた血は乾いて赤黒い。
指を吹き飛ばされた右手。にやりと笑うと、歯だけが不気味な程に白い。
和田竜二は笑みを浮かべたまま竹園に向かって歩み寄ってくる。
「何をしにきた! お前はもう死んだ――恨み言でも言いにきたか!」
「竹園さん! 竹園さん! 一体どうなさったんです!」
竹園は、何をしにきた、俺の前に現れるなと叫びながら高橋に掴み掛かる。
そんな竹園を高橋から引き離そうと、吉田が竹園の肩を掴み揺さ振るが、
竹園は焦点の定まらない目で高橋を見据えていた。
「俺に近寄るな! それとも殺され足りないのか、和田!」
797 :
586:01/10/31 12:32 ID:f9hWFi5Q
「なるほど」
入ってきた兵士達によって竹園から引き離された高橋は、この事態を理解し、
吐き捨てるように呟いた。「そういうことか」
騎手達の死因も、誰が誰に殺されたのかも、高橋は全て把握していた。
無論、竹園が和田を殺したという報告も受けていた。
その時に何があったかまでは把握できていないが、
恐らく、竹園を錯乱させるきっかけになりうるだけのことがあったのだろう。
兵士達に取り押さえられながらも尚も暴れる竹園を尻目に、高橋は静かに呟いた。
「残念だよ、竹園君。君にはもう少し働いて貰えると思っていたのだが」
お前が見ているものは幻影に過ぎない。そう教えてやるだけの情を、高橋は持ち合わせていなかった。
798 :
586:01/10/31 12:37 ID:f9hWFi5Q
>>793麻矢さん
自分の場合、あくまで番外編の読みきりという感じで思い付いて、
発表しようかどうしようかと思っている段階です。>死後の世界編
ただ、ここで皆さんが書かれたり、自分も書いた本編や番外編のネタは
使わせて頂きました。
799 :
586:01/10/31 12:39 ID:f9hWFi5Q
800 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/10/31 23:12 ID:700Lv/ek
下がりすぎなのでage
801 :
800:01/10/31 23:14 ID:700Lv/ek
800GET!でもIDは700か〜
802 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/11/01 00:15 ID:3J9n8az1
長いな〜
803 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/11/01 01:09 ID:Idw2EnXY
>>793 麻矢さん、番外編は番外編と割り切って読むので書いてけれ〜
804 :
781:01/11/01 01:54 ID:BBHosw/e
>>793麻矢さんへ
二人を幽霊にしてしまい、自分もケーブルで首を吊って幽霊になりました。
でも、貴方の死後の世界編が読みたいので、フォローしてみます。
本編が進んでいる最中にすみません。これきりですので……。
「どうかあの子を、幹夫をこちらに連れて来させて下さい」
愛弟子が死んですぐ、彼・山本正司は死後の世界の裁き手に懇願していた。
「あんな幽霊になってさまようなど、あまりに不憫です」
何度も言葉を重ね、地上にとどまったままの弟子を救おうとする。
「もともと優しい性格で、今回のような事がなければ、人殺しなんて出来る子ではありません」
だが、相手の態度は冷淡で願いは聞き届けられそうにない。
「しかし、三人を殺して三人未遂。それが事実だ」
天上の裁き手は、山本に冷たく言い渡す。
「即座に地獄に落ちなかっただけでも感謝するべきだな」
山本は、顔を歪めながら反論した。
「納得出来ません。今回にしても、幹夫が生き残ろうとした目的は私の安否を確かめるためでした」
自分がここにいるのに彼が罰せられるいわれはない、と山本は主張した。
「あれが罪を犯した原因は、私にあります」
裁き手──おそらく「神」と呼ばれる存在──は、訝しげに尋ねた。
「何故、自分で罪をかぶろうとする? そこまであれを庇う?」
「私は、幹夫の親のようなものです。親が子を思うのは、当たり前でしょう」
「血が繋がっている訳でもあるまい」
「繋がっていないからこそ、一層いとおしいのです」
必死の形相で、山本は言い募る。
そして思い浮かべる。初めて出会った時の彼を。
学校を卒業したばかりの、まだあどけなさを残す小柄な少年だった。
その子が一流の騎手になり、クラシックを取り、数々の勝利を運んでくれた。
立派な大人に成長しても「先生」と自分を慕って笑う彼が、可愛くてならなかった。
彼の為なら、何でもしてやりたかった。
805 :
781:01/11/01 02:00 ID:M7RyP4Cm
そして、自分は与えていたばかりではない。彼も与えてくれた。
彼は、子供のない自分たち夫婦に、諦めていた幸福を運んでくれた。
結婚式で、親の席に座ってくれ、と頼まれた時には、涙が零れそうになった。
実の子供でも、ああも満ち足りた幸福をくれただろうか。いや、ないだろう。
「他人だからこそ、血を分けた子供以上の存在になったのですから」
言葉に込められた山本の心情に感じるものがあったのだろうか。
山本の言葉を受け止める相手の雰囲気は、僅かに和らいだようだった。
「そこまで言うなら、考えても良い」
思わず喜色を浮かべた山本に、ただし、と声は続けた。
「お前が代わりに地獄に落ちるというのならな」
だが、普通の亡者なら震え上がるだろう問い掛けにも、山本は怯まない。
寸刻の間も置かずに即答する。
「わかりました」
その声は、全く震えていなかった。
「どうぞ私を地獄に落として下さい。それで幹夫が上がれるのなら、構いません」
躊躇わずにそう言い切り、山本はもう一度深々と頭を下げた。
「……殊勝なり」
沈黙の後、感服したような声が降って来た。
「実の子が親を殺し、親が子を殺すこの時代に奇特な事よ」
「……で、では……?」
「その親心に免じ、赦そう。下界の酸鼻に決着がつき次第、連れて来るが良い」
「は……はい。寛容なご配慮、ありがとう……ございます……」
そして、裁き手はその場から姿を消した。
涙に咽ぶ山本の背後に、いつの間にか四位が立っていた。
「山本先生、あとでご一緒しましょう」
「四位君?」
「俺、幸四郎を迎えに行ったんですけど、その時は弾かれちまったんです」
あの兄の悲しみや怒りの念が強過ぎて、幸四郎が絡め取られてしまった、と四位は苦笑した。
「もうちょっとしたら、迎えに行けると思うんですけど」
「じゃあ、ちょっと待つとしようか」
地上への門の手前で、二人は腰を下ろした。
(幹夫、今はそこで全てを見届けろ。終わったら、すぐ迎えに行くからな)
親子以上の絆で結ばれた師弟が再会するまでには、もうあと24時間もない。
806 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/11/01 07:46 ID:Vlomsh5H
>804,805
イイ!
「ここは・・・どこだ?」
藤田は真っ暗な闇の中を彷徨っていた。
時間の感覚がわからない。
いや、“感覚がない”といったほうが良いかもしれない。
一体どれくらい歩いただろう?
藤田はついに闇の深さに耐え切れなくなってその場にしゃがみ込んでしまった。
と、そのときだった。
「おみと〜し♪」
馬鹿馬鹿しく間抜けな、それでいてとても懐かしい、調子外れの歌声。
「その声は・・・」
黒のジャンパーを着た田原が、1頭の馬を曳いてやってきた。
「社長!久しぶりだな!」
田原に会えて、藤田は心底嬉しかった。
これ以上一人で歩きつづけるのは限界だった。
しかし、いくら裏切られたとはいえ、新人のころから可愛がってくれた
兄貴分を撃ってしまったことに、藤田は引け目を感じていた。
「ごめん。痛かったやろ?」
「社長が会いたがってた馬を連れてきたぞ」
藤田の言葉を遮るように田原が言った。
「俺が調教をつけたから、よく走るよ。社長はつかまってるだけでいい」
藤田の目に、再び驚きの色が浮かんだ。
田原が曳いているのは、去年の暮れに自分が逝かせてしまった馬ではないか!
「お前が一番強かったよ・・・」
藤田が勝たせる事ができなかった馬にかける言葉はいつも同じだ。
タガノテイオーに対する、精一杯のたむけの言葉だった。
「成貴さん、ここに来たからにはもう虚勢を張らないで済むんだね」
田原の腕を借りてタガノテイオーに跨った藤田は、憎まれ口を叩いた。
調教師になってからの田原は変わった。
絶えず何かに怯えているようで、騎手時代の気ままな雰囲気はすっかり消え失せていた。
そういえば、あの音痴な歌声も久しぶりに聞いたような気がする。
「バカヤロー。俺は社長と一緒に凱旋門賞を獲るんだよ!」
藤田は笑った。
「バカは死んでも治らへんのやな」
田原も一緒に笑った。いい笑顔だった。
「社長、俺はこっちに来て楽になったよ。だけど、厩舎のみんなは苦労してるだろうな・・・。俺は酷い事をした。きっと地獄に行くんだろうな。そのときまでは、一緒にこの馬の世話をさせてくれ。俺がやり残したことを」
「成貴さん・・・」
「俺、自分のことが一番好きなんだ」
「プッ。なにいってんだよ今さら。それは充分わかってるって」
「まいったな。社長は相変わらず口が悪いな」
田原は苦笑した。
「でも、自分と同じくらい馬が好きなんだ。信じろよ。だって、俺だもん」
「・・・わかってるよ」
藤田は思った。この子供のような大人の面倒を見ながら、地獄でバカをやるのもいいかもしれない。
「さあ、四位を探しに行こうよ」
藤田は気付いていた。
人を殺めた自分は、仲間を裏切った田原と同じ地獄へ行かねばならないことを。
なにも知らずに死んでいった四位とは行く世界が違うだろう。
しかし最期に「ずっと、友達だぞ」と約束した友を探さずにはいられなかった。
藤田は気付いていなかった。
自分と田原がすでに地獄にいることを。
四位と会える時が、その責め苦を終えた時だということを。
暗く長い道のりを1人で行かせなかった、競馬好きの死神の計らいを。
809 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/11/01 10:31 ID:6oJzRMCa
藤田と田原、いいなあ。586さんの和田編も読みたい。
810 :
麻矢:01/11/01 11:01 ID:iiluAdHH
>>781さん
いい話でしたー。泣けましたー。
本編がおわったら、ミッキーと幸四郎さんのお話かきますー。
でも、やっぱりワタナベ編はお笑い路線になりそうだ・・・(プッ
本編だとヘタレなんですが死後の世界でもヘタレなんでしょうか、彼は。
811 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/11/01 14:37 ID:fdNfg9yH
番外編ならクマちゃんと江田照とアンカツのも希望。
っていうか、本編もよろしくおねがいします...
813 :
586:01/11/01 20:20 ID:+QeNVbEr
814 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/11/01 22:20 ID:Yj0Yhgwo
進んでるので嬉しい
いろんな人の発想でつながっていくのが楽しいわん
816 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/11/02 07:49 ID:SDwq68E8
定期age
817 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/11/02 12:18 ID:lJp5u1rB
age
818 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/11/02 16:47 ID:LFzENNGI
早く続きが読みたいage
819 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/11/02 22:58 ID:1Rml/jPU
age
820 :
noto:01/11/03 00:28 ID:IP47S/td
開始直前、ミルコ=デムーロ、いや、デムーロ扮する南井克巳はようやく配給する馬を手に入れることが出来た。
[馬の用意が出来たぞ]
[OK,OK]
正体バレを防ぐために手短に返事をし、そそくさと馬に乗る。
とりあえず、自分がデムーロでないことを関係者に知られてはいけない。知られれば、それはすなわち「死」を意味する。
少なくとも、アイツらを救出するまでは死ねない。いや、死んではいけない。死ねば全ては終わりだ。
今まで死んでいった当時の騎手達、そして今回のプログラムで死んでいった後輩達のためにも…。
そんな不安と宿命を背負い、南井は地下道を通り、本場場へと向かうのであった。
821 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/11/03 00:35 ID:VHEU3mvc
822 :
noto:01/11/03 00:49 ID:IP47S/td
豊と蛯名はすでに本馬場へ入っていた。
各自、返し馬を行う。
「ダービーの時はホンマ、嬉しかったわ。天皇賞の時なんかも必死やったし、JCの時も…。お前にはホント、いい思いをさせてもらったよ。しかし、まさかこんなところで出会えるとは思わんかったわ。…なあ、一緒に生きて帰ろうな。」
「あの時はありがとうな…でも、やっぱり勝ちたかったな。…勝とうな、この「プログラム」に。…死んでいった仲間のためにも」
ほんのちょっと前までは切磋琢磨しあった仲間の多くがこの世を去った。自分が殺した、親しかった仲間に殺された…そんなみじめな思いの中で出会えたかつての戦友。その戦友もまた、今ここで自分達と同じ運命に遭わんとしている。
…そうはさせない。
二人の気持ちは同じだった。
ほどなくしてユタカはデムーロが返し馬を始めたのを目撃した。
「デムーロのヤツ、ちゃんと来はったか…ん、待てよ。あのフォームは何か見覚えあるぞ。」
騎乗フォームがデムーロのそれとは明らかに違う。どこかで見たことのあるフォームだった。
…もしかしたら。
823 :
noto:01/11/03 00:53 ID:IP47S/td
「…み、みーさん」
思わずユタカがつぶやく。しかし、走る音にかき消されてしまう。
「いちかばちか、併せてみよう。そして、ヤバイ状態のデムーロなら、ムチを一発…」
手綱をしごき、デムーロ扮する南井の乗る馬にせりかけた。
824 :
細かいけど:01/11/03 01:06 ID:rnHv1QMK
扮する、の前後が反対です。
「南井扮するデムーロ」じゃないっすか?
825 :
noto:01/11/03 01:25 ID:dXa/Bkav
なら、「デムーロのふりをした南井」と、改訂版のところは修正しておいてください。
826 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/11/03 13:25 ID:9Uy80LUt
ageよう
827 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/11/03 22:15 ID:u4h05iTk
早く続きが読みたい・・・・・
828 :
noto:01/11/04 00:00 ID:ahrKZiuM
「みーさん、みーさんやろ!」
馬体を併せ、豊は日本語で叫ぶ。いや、そうであってほしかった。
小島太が突然現われるように、誰かが現われて欲しかった。
死ぬのは怖い。
かといってもう誰も殺したくはない。
オリビエのように洗脳されたデムーロに殺されたくはない、いや、洗脳されたデムーロなんか見たくはない。
頼む、南井さんであってくれ、頼むから…。
その想いが馬を追うごとに強くなり、次第に豊の声も大きくなるのであった。
829 :
noto:01/11/04 00:03 ID:ahrKZiuM
「ユタカ、静かにしろ!このまましばらく馬を追え!」
南井は叫ぶ。
「オレは今はデムーロなんだ。もし正体がバレたら非常にヤバいことになる!気付かれないように争ってるフリしとけ!」
830 :
ロボ丸@久々:01/11/04 00:16 ID:YC73FS+4
[よりによってこの馬とは…]
皇帝と呼ばれた馬の息子・トウカイテイオーの背に乗りながらケント・デザーモは溜め息を吐いた。
他の連中に与えられた馬と違い、この馬が現役だった頃、自分が乗った事は一度もない。
たった一度、この馬が出走してたレースで別の馬に乗って一緒に走った事があるが、
特別に強いとも思えなかった。というより、自分の馬が先着してたからだ。
(ちなみに自分の馬は自分がゴール板を見間違えた為に2着になってしまったのだが)
それに豊のスペシャルウィーク、蛯名のエルコンドルパサー、そしてペリエのエリシオと比べて
テイオーは年齢面でもハンデがあった。
実戦の感を忘れかけている馬には、自分の腕でカバーしなければ。
今回のプログラムについてはずっと前から聞かされていた。
正確に言えばアメリカで計画されていたものを、JRAが横取りした様なものだが。
だが本国では馬の能力を確かめるだけのプログラムであった筈なのに、
どうしてわざわざ騎手同士を殺し合わせてまで遂行しようとするのか。
クソ、泥棒猫め。我が国のプランを自分等の都合の良い解釈で進めやがって。
831 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/11/04 00:44 ID:FLEnH3mb
話の途中すみません。
(ちなみに自分の馬は自分がゴール板を見間違えた為に2着になってしまったのだが
たしかその時のJCでデザーモが乗っていた時の馬はコタシャーンで
勝ったのはレガシーワールドだったような…
832 :
ロボ丸:01/11/04 00:48 ID:YC73FS+4
>>831 いや、一応「自分の馬が先着してたからだ。」とは書いてありますが。
ここで言う「自分の馬」はもちろんコタシャーンの事です。
(テイオーはあのレースかなり下位でしたよね?)
説明不足申し訳ない。
833 :
いや:01/11/04 01:37 ID:WM8w8l1w
>ここで言う「自分の馬」はもちろんコタシャーンの事です。
(テイオーはあのレースかなり下位でしたよね?)
説明不足申し訳ない。
テイオーはそのレースに出走してませんよ、確か。
834 :
名無しさん@お馬で人生アウト:01/11/04 01:40 ID:qSYbv2UO
デザーモはマキバスナイパーに乗ると思ってたのに。
835 :
ロボ丸:
>>833 >テイオーはそのレースに出走してませんよ
そうでした…どうやら前の年の有馬記念とごっちゃになってたみたい。
当時の競馬に疎くてあらためて申し訳ないです。
先の展開を書きかけたけどやっぱり没にします…ので
>>830もナシにして下さい。