1 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :
観客の歓声を受け、コイノボリは芝を蹴る。
皐月4着、ダービー2着
菊花賞こそは……
この馬のファンの誰もがそう願っていた。
2番人気、単勝オッズ8.2倍
1番人気には三冠をかけたループミレニアム。ここまで連を外したことはなく、皐月賞からは無敗。
1.2倍の単勝オッズがこの馬にかかる期待を表していた。
ゲートが開き、18頭が飛びでる。
ループミレニアムは後方から。今までならコイノボリはループミレニアムよりも前に位置取りをしていた。
しかし今回はループミレニアムのさらに後方。最後方。
,ィZ三三二ニ== 、、
,. --{シイィ彡彡三三三ミ丶、
,イィ三ミ>'"´ __,,  ̄`丶ミミミミヽ
/シ彡シ'´ _ ,ニ_二 三‐`、 `ヾミミミヽ
. ,'ilif'彡' ,' _,..-ュ ̄ fニ三三ミヽヾミミミヽ
jlリイ彡! :,ィ彡'"´ :. :. .:' `゙' ヾミミミミ',
l{i{l{lノリ ,'fi´ _, i :. ';=―一 ',ミミミミ!
{lilili/{ ' ,.-‐'"´,:,! ' 、ー-‐ ' Nlハ⊥
|lilifリハ .: '、 _,.ノ,' ,. }、 tf{´i, l|
. Wリ小! .: ,ゝ^ :: ヽ `!) Vl
ゞ干ミ} : / _J_ 丶 }'´ /
'、Yヾ :. l /ィ三三シ'^ / ノ
ヾ.f'、:.:. '´ '"~"' /l'´
ヽ._):.:.、 ,. ' l
トi、ヾ:.. 、 _,. - ' |
/^ヾ!、丶 ` ¨""´ |
/ヽ 丶、 `¨¨´ ト、
/::::::::::丶、 `丶、 丶 | rゝ、
3 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/10/21(火) 23:29:52.96 ID:lnA77/1Y0
うわあああああ!
出遅れかぁあああ!
しまだあああああ!
観客の悲鳴があちこちから湧き上がる。
騎手島田勇気はもちろん考えなしに後ろを選択したわけではなかった。
ループは前にいる馬は必ず差す。しかし差し切ったあとに力を抜く癖があるんだ。だからその瞬間この馬、コイノボリが差す展開に持ち込めれば……
勇気は3年目ジョッキーで、G1を制したことはない。しかし何か不思議な勘のようなものが彼にはあるようで、その勘がこの馬はお前をG1ジョッキーに導くぞ、とG1レースの度に囁くのだ。
この馬は強いんだ……
きっとループだって差し切れる。
隊列は縦長。
逃げ馬のカーパンサーが軽快に飛ばす展開。
しじみをコトコト \無料約五日分をもう1/― 超濃厚なそのしじみエキスを
コトコト煮詰めて \初めての方に差/ 飲みやすいソフトカプセルに更に凝縮したのが
∧,,∧ 煮詰めて \∧∧∧∧ / ,.、 ,.、 自然食研のしじみ習慣です
(;`・ω・) < し > ∠二二、ヽ
/ o━ヽニニフ)) < 予 じ > ((´・ω・`))<あぁ…何ですかコレ?…これはぁ…
しー-J 火火火 < み > / ~~:~~~ \
───────── < 感 習 >───────────
\ 一つだけ? / < 慣 >― 昨日も、また飲みましたね?
 ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ < !!!! の > 毎晩、飲んでますね 頑張って、起きてからも
∧,,∧ フタハコデス>(゚∀゚∨∨∨ \ (' A ` ) カラカラでぇチャポチャポ
(`・ω・´)<あ、フタハコ?フタハコォ!?十日分\ _| ̄ ̄|| )___ 気持ちはどんより
( っ|~~| 欠かせないですよねぇ \/旦|――||///
5 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/10/21(火) 23:37:18.71 ID:lnA77/1Y0
その隊列のまま、レースは流れた。
しかし残り1500メートルでレースは動く。
一番初めに仕掛けたのは夏の上がり馬、セブンスクルーだった。
セブンに離されまいと、他の馬も動き出す。
しかし二頭だけ。
二頭だけ動くことなく、後ろのポジションを守り続けている。
ループミレニアム
コイノボリ
そしてその二頭が動き出したのは、3コーナーの入り口であった。
ループが来たぞ!!!
観客の歓声がドッと湧き上がる。
そのループの後ろをコイノボリが追いかけ、それを見た観客はさらに湧いた。
前の馬を次々と捲くっていく二頭。
4コーナー入り口ではすでに中断の位置。
そして直線に入る。
直線一番初めに抜け出したのはセブンスクルーだった。
剛腕斎藤岳の鞭が唸る。
しかしそれも束の間、ループは異次元の瞬発力を、名手竹田の鞭一つで発揮した。
セブン、コイノボリを一瞬で置き去りにする足。この足を持っているのはループだけだ。
しかしそれは勇気には分かっていたことであったので、冷静にループが抜け出したその瞬間に鞭を入れた。
きっと
きっとループは力を抜く
コイノボリもここまでにかなりの脚を使っている。
しかしこの馬なら。
勇気の予想通り、ループの背中が一歩一歩近づいてくる。
差せる。
わずかそれは確信に変わった。
>>6の続き
この前ズリダチとタイマン勝負したことを書くぜ。
互いに六尺姿でまずは威嚇、腕組みヤニ咥えガン飛ばし、
大股で筋肉と勃起誇張して、野郎比べだ。
雄臭ぇポーズで挑発しあう。腰突き出し勃起を振り回し、
オラオラ節で興奮に火が付く。
やわらオイルをタップリ仕込んで、いよいよズリ戦開始だ。
胴ズリ、逆ズリ、雁ズリ、玉ズリ、上ズリ、下ズリ。
野郎うなぎ責め、腰砕けの手マンコ、野郎泣かせの亀頭責め。
片手技と両手技の競り合いで、雄の粋と艶を比べ合う。
ズリ見せ根性丸出しでな。
一息入れる時にゃ、奴の胸板めがけて、勃起ションベン。
ビシバシ痛ぇくらいに、照射すりゃ、雄の征服感が全身を
快感となって駆け回る。
さらにオイルを仕込んで2R。
今度は俺のズリビデオ見せながらのダブルズリ攻撃さ。
ラッシュ飛ばして、ド淫乱野郎に変獣し、チンポ・センズリ・押忍の連呼。
俺達はまさに、チンポ、ズリ、男意気を激しく比べ合う戦闘士だ。
寸止めのエロい表情も相手を落とす神技、何度も食らう度に金玉の
引きつる痛みさえ新たな快感に変わる。
その時、ほんの少しの気の緩みで奴は快感のコントロールを失い
射精の痙攣に突入。
2回に渡るファイトはいずれも俺の勝利、最後は奴のチンポめがけて、
野郎征服の快感に酔いながら勝利の照射!
3時間勝負は俺達ズリ舎弟の絆を更に固めたぜ!
いけぇええええええ!
勇気は叫んだ!
他の騎手ももちろん叫んでいるのだが、それを掻き消すぐらいの大声が、心の底から出た。
ついにコイノボリはループに並ぶ。
今までこんなことはなかった。
そしてコイノボリの首が出る。
コイノボリが勝った。
三冠を阻止した。
誰もがそう思った。
その時コイノボリから発せられた違和感。
あと少し
届かない。
いや確かに届いた。
しかし……
勇気は鞭を止める。
レース後、勇気は二着になったコイノボリからゆっくりと降りた。
今日はここまで
10 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/10/22(水) 00:21:00.39 ID:hIDnNxzD0
あげ
もういいです
つまんないね
俺は評価するよ
14 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/10/23(木) 00:44:50.85 ID:nxlnm01l0
半年後
コイノボリは未だに故障からの復帰の目処が立っていない。
菊花賞のあの直線。確かに一度届いた一着に、コイノボリの名前はなかった。
「仕方ねぇや。そういうこともある」
69歳の佐山俊蔵調教師は勇気の肩をなんども叩きながら励まし、馬主の黒山彰には自分の責任だと深々と頭を下げた。
幸いにも予後不良にはならなかったものの、故障の程度は大きく、今に至る。
「おい、勇気。俺や。コイノボリについてやねんけどなーー」
電話に残された佐山からの伝言を、勇気は途中で遮った。
勇気はもうコイノボリには乗る資格はないと感じていた。あの時の佐山の涙を堪える姿を呆然と見、勝手に最後方を選択した自分を悔いた。
黒山さんも佐山さんも良い人だ。
勇気はそう唇を固く結ぶ。
だからこそコイノボリには乗れない。俺には荷が重すぎる……
勇気はそんな風に考えながら、缶ビールをコップに入れる。
あの日以来、お酒の量は明らかに増えている。もちろん結果も消極的な騎乗をしてしまっているのでついてこない。
15 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/10/23(木) 13:43:19.42 ID:nxlnm01l0
「今日はもう寝るか」
一人呟きながら、勇気は布団に潜り込んだ。
その週の日曜日、勇気には4鞍の騎乗馬が与えられていたが、メインのG1である、天皇賞春の騎乗馬はいなかった。
あの出来事以来、勇気は調子を落としていたのだが、それがG1では特に顕著で、逃げ馬では故障を恐れて逃げれず、差し馬ではポジションを積極的に取れず、追い込み馬では後ろをずっと走っているなど散々な結果で、大きく関係者の評価を落としてしまっていた。
期待の若手からの転落。これは騎手の世界では決して少なくはないのだが、勇気もその渦に飲み込まれた。
一番人気は三冠馬で竹田騎手のループミレニアムか。
前残りがこわいが、それでもループなら差し切るだろう。
勇気はレースの展開を頭の中に描く。
しかしその度にループの後ろを走るコイノボリが亡霊のように現れる。
勇気は
途中で出しちゃった(°_°)
17 :
名無しさん@実況で競馬板アウト:2014/10/23(木) 15:21:10.74 ID:/MwWjA6dO
幸いにしてコイノボリの予後は良好であった。
「もう大丈夫」岡路医師のお墨付きをもらい一日5本の山登りをこなしたコイノボリは再び菊花賞にいどんだ。
敵は去年のウンボロルーベンスなんちゃらが子供に見えるナリブラライアン。そして勝った。
〜fin〜
18 :
名無しさん@実況で競馬板アウト:2014/10/23(木) 16:29:14.56 ID:MqjHaI6M0
マチカネコイノボリって馬
好きだったな
コイノボリのメンコがいい感じだった
汗かいちゃったね、シーザリオ
1 :名無しさん@実況で競馬板アウト:2006/09/13(水) 19:17:24 ID:hXHU3jYiP
9月だというのに
たくさん汗をかいた シーザリオ
またがっていた(またがっていた!)
僕の手にはびっしょりシーザリオの汗
両手を広げて吹かれる 時間を忘れた
手にできた結晶を
僕はおひつを開けて おにぎりを握った
おいしいね シーザリオ
20 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/10/24(金) 12:09:37.04 ID:ja7XzeC00
勇気はそのコイノボリの幻想を追い払うために、騎乗に集中しようと考えた。
今日の天皇賞に騎乗馬はいないのだ。考えることは騎手として大切だが、コイノボリの幻想に乱されれば仕事にならない。
そんなことを考えながら、1レース目の騎乗馬に跨る。騎手という仕事は、どんなに辛い経験をしても、生きるために跨らなければならないのだ。
9レース後その日の騎乗レースを全て終えた勇気はホッと息をついた。
今日も勝てなかったが、安全に乗り切った彼は満足していた。
馬券を買っている人に申し訳ないという気持ちも当然彼は持ち合わせているが、それでも安全に乗れたというのが今の彼には一番だった。
10レース。
このレースも騎手竹田の乗る逃げ馬が一番人気であり、ループの前に勝ちを積み重ねるだろうというのが、大方の予想だった。
新聞紙には二重丸が並び、鉄板と書かれている。
馬の力、騎手の力両方を兼ね備えているのだ。当前である。
21 :
名無しさん@実況で競馬板アウト:2014/10/24(金) 12:11:02.20 ID:u3SNP0380
サンダーガルチ
22 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/10/24(金) 14:35:08.12 ID:ja7XzeC00
パドック気配も抜群で、10レース竹田の勝利で間違いない。
誰もがそう考えていた。
16頭がゲートの中に入る。
そしてスタートと同時、一人の騎手が馬に振り落とされた。
その瞬間観客席はざわつき、まさかと何度も何度も落馬した騎手が誰なのかを、違ってくれと思うように確認する。
しかし確認しても変わらない。
竹田騎手、落馬。
怪我の具合は大丈夫か、天皇賞は乗れるのか?
心配していたのは観客だけではない。テレビでそれを見ていた勇気も不安な気持ちになった。
竹田は面倒見が良く、冷静そうな見た目とは裏腹に男気に溢れていて、期待の若手と周りから言われていた勇気もよくお世話になっていた。
二人で競馬について朝まで語り合ったこともある。というのも勇気は教えてもらう立場であったが。
竹田さん……大丈夫か?
何ともなくてほしい。勇気は願った。
レースも終わったがざわつきは収まらない。竹田は大丈夫なのか、もし乗り替わりなら一体誰が。
京都競馬場は独特の空気が流れている。
勇気を含めた騎手たちも、もしかすると自分が代わりに乗ることになるかもしれないという思いから、皆言葉を失くしていた。
天皇賞春の騎乗馬が無く、今空いている騎手にはG1を買ったことのない騎手や若手騎手が多い。
そんな騎手が、あの三冠馬、ループミレニアムに乗れるかもしれないのである。しかもこの天皇賞の舞台で。
勇気以外のほとんどの騎手は心配しながらも少し期待もしているような顔つきをしている。
しかし勇気だけは逆だった。
乗りたくない。いや、俺には乗りこなせない。
前が残ることがあり、仕掛けどころが難しい天皇賞春。京都3200という舞台は騎手の力に大きく左右されるというのは周知の事実だ。そんな舞台で三冠、有馬を制したループミレニアム。単勝1.5倍の期待。連を外したことのない実績。
全てがプレッシャーになる。
ピリピリした雰囲気の中、扉は開かれた。駆けつけてきたのはループミレニアムの調教師、砂山浩二。
砂山の表情を見ると、乗り替わりであることは明らかだった。
「島田!頼む!ループに乗ってくれ」
その瞬間、みんなが勇気の方を振り向いた。
24 :
名無しさん@実況で競馬板アウト:2014/10/25(土) 04:23:50.04 ID:7NlyAo2EO
そう!彼のハイレグTブリーフが審議の対象となっているのだ。
25 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/10/25(土) 14:00:53.48 ID:w8Bfl+5c0
「俺……ですか?」
なんで? どうして俺なんだ。
「ああ、お前だ! 頼む」
砂山の言葉の強さから、勇気には本気で頼んでもらってることが分かった。
しかし勇気はまだコイノボリを乗り越えれていない。
断りたい。
正直勇気はそう感じていた。
しかし周りの雰囲気がそうさせない。
事情が事情のため拍手なんかはないが、他の騎手たちは悔しそうにしながらも、ほぼ間違いなく勝てるであろうループの騎乗が回ってきた勇気に、良かったな、おめでとうという視線を投げかけている。
そしてこんなにも真剣な砂山。
断れない。
これは断れないーー
「分かりました……乗らせていただきます」
勇気は仕方なく立ち上がった。
俺に乗りこなせるのか? ループミレニアムがーー
勇気は不安を抱えたまま移動し、パドックを周回していたループミレニアムの側に寄る。
間違いなく素晴らしい馬体だ。
26 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/10/26(日) 14:21:48.45 ID:NtB2ZCnw0
そしてその素晴らしい馬体に跨ると、さらにバネの強さを彼は感じることができた。
今日のループは完全に仕上がっている。
馬場に入ると、ループは颯爽と走り出した。
観客の歓声もさらに大きく響く。
「ゆうきい!!頼むぞ!!」
「しっかり乗れよ!」
勇気に向けられた声も聞こえてくる。
勇気は作戦を考える。
ループの瞬発力や持久力の細かい部分は乗ったことがないから分からない。
しかしやはり先頭に出るとソエを使う癖があるので、馬の力を信じて最後方から行くのが正解だろう。
一番後ろからレースを進め、京都競馬場特有の下り坂で追い出しを始める。
そして直線入り口で5番手ぐらいにいるのがベストだろう。
勇気の作戦は案外早く決まった。というかこれしかなかったのだ。馬は繊細な動物で、普段と別のことをすれば、馬の調子が狂ってしまう可能性も高い。
ファンファーレが鳴り、勇気とループミレニアムはゲートに入っていく。
2枠4番
勇気はループを落ち着かせるために頭を撫でる。
18頭がゲートに入り、そして火蓋が切って落とされた。
>先頭に出るとソエを使う癖がある
ソラと間違えた(°_°)
29 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/10/28(火) 09:25:16.00 ID:HKkOZzw10
もちろん勇気と、ループは作戦通り一番後ろから行く
つもりだった
「なんでだー!」
「大丈夫か!」
「おお!」
ループはどんどん前にいく。
しかし勇気に逆らって前にいっているのではない。
最後方からの競馬でのコイノボリの怪我を乗り越えられていない勇気には、技術的には抑えることができても、気持ちの面で抑えることができなかった。
また怪我させてしまったら。
全く届かなかったら。
掲示板にさえ乗らなかったら。
そう考えてしまえば作戦はあってないようなものになる。
「3番手から進めるか!いいぞ、勇気!」
観客はそんな勇気の心の動きに気付いていない。勝負の騎乗だと思ってみている。
「あいつ……」
怪我をしている竹田は、やりきれない表情でそう呟いた。
30 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/10/28(火) 09:47:55.63 ID:HKkOZzw10
天皇賞春のレースは三分間を越えるレースであり、凄く長く感じるが、その中で上手い騎手は、初めの作戦と照らし合わせてレースを進めていく。
もし初めの作戦からずれてしまっても、落ち着きながら修正することができる。
しかし若い勇気にそれを求めるのは酷だった。
「やってしまった、やってしまった」
勇気の頭の中は余裕の一切を捨ててしまっている。
辛うじて救いといえば、帝王ループミレニアムは落ち着いていたことだった。
レースは淡々と進む。
ペースは早くない。
そして京都競馬場の下り坂に差し掛かった。
後ろの馬が詰めてくる。
前の馬との距離はどんどん縮まるが、ループミレニアムだけは後ろとの距離を詰められることなく、4コーナーですでに先頭に躍り出た。
ソラの癖を知らない観客は騒いでいるが、勇気にはこれが失敗なことがはっきり分かっていた。
そのまま直線に入る。
ループは先頭。後ろとの差は1馬身。
31 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/10/28(火) 10:12:45.53 ID:HKkOZzw10
だめだ。
捕まる。
勇気は必死に置いながらそう感じた。
しかしループミレニアムはソラを使わない。
ループミレニアム鞍上がフラフラのこの状況で、最大の弱点を打ち消した。
怪我の功名とでも言うべきか。
ループは真剣に走る。
しかしループにとって距離が長かったのか、それとも今までと違う競馬をしたことにより体力を消費したか。
ラスト100メートルで足の火が消えた。
「ああ!」
2頭に追い抜かれたところでゴール。
追い込んできて勝ったのは初G1制覇、大穴のミソノサイフォン。
ループミレニアムは初めて連を外した。
32 :
名無しさん@実況で競馬板アウト:2014/10/28(火) 10:13:38.56 ID:sDXJRGN9O
最高に面白な。
33 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/10/28(火) 10:37:34.00 ID:HKkOZzw10
「まぁ乗り替わりだったしな」
「一応3着だし勇気は頑張ったよな」
「頑張ったじゃねぇよ! 単勝ぶち込んでんだぞ!」
観客の勇気に対する評価は二分していた。
最低限の仕事をした。
クソ騎乗だ。
しかしその答えは勇気が一番、誰よりも理解していた。
「砂山さんすみません。僕のミスです」
勇気は頭を下げる。
コイノボリの時は涙が止まらなかった。
しかしこの負けは涙すら出ない。
全力を出せなかったのだ。
ループも、勇気も。
「仕方ねぇよ。急な乗り替わりで3着なんだからお前は仕事をした。後ろからならもっと悪かったかもしれねぇし」
砂山は勇気の肩を叩き、労う。
厳しいことで有名な砂山も、流石に乗り替わりをお願いした勇気を怒る気になれなかった。
しかしその時、扉が開かれて鬼の形相をした男が入ってくる。
普段冷静沈着で有名な騎手、竹田寄道
その男が入ってきてそうそう勇気の頬目掛けて怪我をしていない方の自分の腕を振った。
鈍い音が部屋に響く。
勇気は頬を抑えながら、竹田を見上げた。
「失望した」
ただ一言。
その言葉が勇気の頬よりも心に響いた。
34 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/10/28(火) 11:57:33.31 ID:HKkOZzw10
竹田はその一言だけを置いて部屋を出た。
「あいつなんだ。あいつが俺と馬主の椚さんに代わりは島田勇気を乗せてくれって頼んできたんだ。あいつはお前に期待しとったんだろう。お前なら勝ちに導けるって」
砂山は竹田の去った後の扉を見つめる。
「初めてだよ。あいつがあんな風に頼んできたのは」
勇気は砂山の言葉を聞き、自分の情けなさを悔やんだ。
謝りに行かなければいけない。
情けない騎乗をして期待に応えられなかったことと、ループミレニアムの戦績に傷を付けたこと。
レース中にループの競馬を、自分の都合で変えてしまったことを。
勇気は部屋を飛び出す。
竹田はすぐ出たところで、目を押さえ、嗚咽を漏らしていた。
「竹田さん……」
しばらくの沈黙のあと、竹田は口を開く。
「手を出してしまってすまんかった。ほんまは10レースで怪我した俺が一番悪い。俺も分かってるんだ。乗りたい、勝たせたい。そんな気持ちをお前に押し付けてしまった。さらに悔しい気持ちまでお前にぶつけてしまうなんて……」
竹田は涙を拭きとる。それでもまた溢れ出す。
これは勇気が見る、初めての竹田の涙だった。
竹田さん…バスケがしたいです
36 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/10/28(火) 12:33:23.26 ID:HKkOZzw10
「竹田さんーー」
「謝らなくていい」
謝罪しようとする勇気を、竹田が遮る。
「謝らなくていいから、ループミレニアムという究極の馬に乗れた経験を絶対に無駄にするな。この馬の背中を知ってるのは俺とお前だけなんやから。それと……」
竹田は一呼吸置いた。
「コイノボリに乗れ」
コイノボリ。
竹田が騎乗するループミレニアムに、クラシックで唯一迫った馬。
勇気がデビューの時からずっと乗り続けていた馬。けれど今は乗ることを拒否している馬。
「今日の敗戦から学んだお前が、立ち上がる姿を見ればきっとループも喜ぶはずだ。佐山さんもお前しか乗せる気はないと言っていた。勝ち負けじゃないんだ。お前がコイノボリに乗っている姿に、佐山さんも、黒山さんも、ファンも惚れ込んどるんや」
勇気は黙って聞いている。
しかし身体中の血が激しく流れ出したのを感じた。
「お前なんだよ。あの馬の騎手は」
そう言って去っていこうとする竹田に、勇気は一言感謝の言葉を述べた。
勇気は今、ここにきて、さっき竹田さんに殴られた場所が熱くなっているのを感じる。
全レースが終わり、帰宅の許可がおりてすぐ、勇気は携帯電話を取り出した。
37 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/10/28(火) 16:55:53.08 ID:HKkOZzw10
「もしもし、勇気か? どうしたんや?」
佐山は今までも親身になり、勇気を自分のところの馬に乗せたり、勇気の相談に乗ったりしていた。
だからこの電話もなにか相談があるのかと感じた。
コイノボリの件以降、いくら電話をかけても勇気は出なかったが、そんなことは佐山にとってはどうでもよかった。
久々に勇気から電話がかかってきたということは、なにかあったのかもしれない。佐山にとって勇気は、ただの仕事相手やコイノボリの騎手というだけではなく、孫のような存在なのだ。
勇気もそう思ってもらえていることに気付いていたが、今それを改めて感じた。
佐山の声を聞いた瞬間、今まで電話に出なかったことに対しての申し訳なさがこみ上げてくる。
けどもうそれも終わりだ。
「佐山さん、コイノボリに乗らせてください。お願いします」
ループに対する竹田の意識、自分に対する竹田の気持ちを見た勇気は、昨日までとは全く違うなにかを持っていた。
勇気にはそれが今ははっきりとは分かっていない。
コイノボリ、ループ、佐山、黒山、竹田、砂山、自分がお世話になった全てに向けられているものというのは薄々気付いているが。
38 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/10/28(火) 17:15:50.06 ID:HKkOZzw10
「なんや! やっと乗る気になってくれたか!」
佐山の声は弾む。
勇気から言い出してくれたことが、ただ嬉しかった。
「はい。コイノボリともう一度G1に向かいたいです。まだコイノボリの背中はまだ空いてますか?」
「当たり前や! あいつの騎手はお前しかおらん。すぐに黒山さんにも電話する」
勇気は目頭が熱くなる。
こんなにわがままな騎手を許してくれる調教師、馬主はそういない。
「とりあえず勇気! 明日うちに来い!黒山さんにも来てもらう! これからの話をしようや!」
今まで何百回と行ってきた佐山との作戦会議。会議中のワクワク、成功した時の喜び、失敗した時の悔しさ、それらを共有してきた佐山と勇気。
この二人の関係が復活した瞬間だった。
39 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/10/28(火) 17:37:32.71 ID:HKkOZzw10
「伺わせてもらいます!」
勇気も、佐山もまだまだ話したいことがあったが、そこで電話は切れた。
携帯電話の充電切れだった。
ふうっと一息付き、勇気は前に向けて歩き出す。
そこにある未来は誰にも分からない。
次の日佐山の家に行けば、立派な車が停めてあり、それは馬主の黒山がすでに来ていることを表していた。
勇気は少し早足で歩き、呼び鈴を鳴らす。
すると、慎ましい女性の声とともに、扉は開かれた。
「勇気くん久しぶりねぇ。あの人も待ってるわよ」
佐山を支え続けて40年になる妻の佐山由紀子。勇気は由紀子にもご馳走になったりしてお世話になっていた。
「お久しぶりです。お邪魔します」
勇気は頭を下げて、靴を脱ぎ、佐山のいる和式部屋に歩いていく。
そしてノックすると、襖が激しく開けられた。
「待ってたぞ! 勇気!」
勇気の小さな身体が佐山の腕と胸に包まれる。暖かな温もりを勇気は感じた。
「佐山さんちょっとどいてくれ」
後ろからは黒山が勇気を迎え入れる準備をしている。
すまんすまんと謝りながら佐山が離れると、黒山は手を差し出した。
「勇気、待ってたぞ」
勇気はその手を取り、すみませんでしたと頭を下げた。
40 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/10/28(火) 17:50:32.08 ID:HKkOZzw10
とりあえず休憩
誰も読んでないノリ(°_°)?
41 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/10/28(火) 18:55:37.36 ID:4jzCoEpF0
もっと盛り上げてな(°_°)
読んどるけど変なタイミングで合いの手は入れない方がいいかなと思ってw
43 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/10/29(水) 00:30:39.28 ID:5zGFHkrG0
頭を上げてくれと黒山は空いている方の手で肩を叩く。
「もしこのままお前が帰ってこなければ、俺はコイノボリを引退させようとしてたんだ」
黒山は全く表情を変えずにそう言った。
「それは冗談ですよね?」
「俺がお前に冗談を言ったことがあるか?」
黒山が勇気に冗談を言ったことはもちろんない。
全て本気なのだ。
「よっしゃ! 久しぶりの再開もここまでにして、調教師のわしから先の計画を話させてくれ!」
佐山は勇気と黒山の分の座布団を用意していた。
机の上にはお茶と煎餅が置いてある。懐かしい畳の匂いが、勇気の鼻をつついた。
「おい、勇気も座れ!」
「はい!」
勇気は座ると、お茶に口をつける。緊張感が少しだけ和らいだ。
44 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/10/29(水) 00:44:57.01 ID:5zGFHkrG0
「とりあえずコイノボリの脚はまだ完治していない。まだまだ時間がかかりそうや」
コイノボリの怪我はかなり重症だった。
それこそ一年間はレースに出れないレベルだ。
しかし生きているということは、まだ走ることができるかもしれないということ。
「黒山さんの前で言うことじゃないかもやけど、コイノボリはまだ4歳やし焦る時期じゃないと思う。だから今年は2レースだけ使い、来年フルで活躍してもらうっていうのがわしの考えじゃ」
「今年のレースは捨てるということですか?」
叩きのレースを用意し、次に繋がることだけを目的に走らせる。競馬にはよくあることだ。
しかし、今まで佐山がそんな指示を勇気に出したことはない。
「あほ! そんなわけないやろ! もちろん両方勝ちにいく」
「佐山さん。それはどのレースの話や?」
黒山が身を乗り出した。それはスイッチの入った合図。
「わしの中では有馬記念を使いたい。前哨戦はまだ決めてないけど、まぁ金鯱賞辺りを考えとる」
有馬記念。
もっとも競馬でお金が動く一日でもあり、現役最強馬が決まる一日でもある。
コイノボリも去年、怪我がなければ出走する予定だったレースだ。
45 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/10/29(水) 11:23:17.14 ID:5zGFHkrG0
「金鯱賞ってことは7ヶ月後か。結構先だな」
黒山は少しだけ寂しそうに呟いた。
半年以上も自分の愛馬の活躍を見れないのだから仕方ない。
「はい。わしはあえて時間を空けるべきやと思っとるんです。怪我を完全に治したいのはもちろんやが、コイノボリの気持ちを作るのは簡単じゃないと思う。8月ぐらいに帰ってきて、気持ち重視の調教し、一度放牧を挟む。そして11月からまた強めの調教を始める」
一度目の調教で感覚を思い出させて気持ちを作り、放牧で休めてから、2戦するための身体を作る。
それが佐山の計画だった。
「黒山さん! これでどうですかい?」
「わしが佐山さんの仕事に口を出したことはないやろ。任すわ」
「そう言ってくれるのは黒山さんだけや! 勇気お前はなんかないか?」
勇気はずっと黙って聞いていたが、ずっと考えていた。
「特に無いです。ただーー」
「ただ?」
「それまでに僕にできることは無いかなと考えていました」
46 :
名無しさん@実況で競馬板アウト:2014/10/29(水) 11:32:12.28 ID:FYCx8vL+O
明けて7才の1月、コイノボリがついに帰ってきた。
舞台は上山競馬場。
47 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/10/29(水) 11:38:38.99 ID:5zGFHkrG0
佐山は勇気のその言葉を聞くと、突然吹き出した。
「なんで笑うんですか!」
「すまんすまん。お前がそんな積極的な姿勢を見せるなんて珍しいなと思ったんや。で、お前にできること? そんなもん決まっとる。コイノボリに舐められない男になることや」
佐山の言葉に、次は黒山が吹き出した。
「またまた佐山さんは遠回しや」
「つまりなにをすればいいんですか?」
勇気だけが理解できずに、首を傾げる。
すると佐山はキュッと厳しい表情に戻った。
「調子を戻して、いっぱい勝ていうことや。お前最近まともに乗れてないやろ。昨日のループの騎乗もお前らしくなかったしな」
勇気はその言葉でやっと理解した。
騎手として成長し、コイノボリの背中に相応しいレベルにまで自分を引き上げるということ。それは簡単ではない。
「とりあえず俺の厩舎の馬は全部お前に乗ってもらう。メンタルも、勘も、腕も、落としてきたもん全部拾い集めて、さらに成長しろ! それがお前の八月までの仕事や」
「はい! ありがとうございます!」
勇気が威勢のいい返事から、佐山と黒山は同じことを感じた。
"3ヶ月後、こいつはきっと見違えるほど成長している"
48 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/10/29(水) 11:48:41.89 ID:5zGFHkrG0
競馬に携わる人間は成長に敏感になる。
調教師の成長、騎手の成長、馬の成長。その成長を見抜くのも才能であるのだが、黒山と佐山は当然それを持ち合わせていた。
「まぁ、久々やしこの話はここまでや。どうや?久しぶりに3人で飲まへんか?」
しかし佐山と黒山はそれを口には出さない。出してはいけないということも、二人とも熟知している。
「おい、わし車やぞ」
「タクシーで帰ったらええやろ!車は置いとけ!」
佐山さんと黒山さんは、同い年なのもあり、競馬の話が終われば普通の友達同士に戻る。競馬界でも有名なコンビだ。
「まだお昼ですよ!」
「関係ないわ! お前も飲め!」
勇気は楽しそうに一升瓶を空ける佐山を見ると、嬉しさがこみ上げてきた。
ああ自分はもう一度この人と戦える、と。
そうして話し合いは終わった。
次の週から勇気の快進撃が始まったことは言うまでもない。
49 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/10/29(水) 12:26:54.52 ID:5zGFHkrG0
7月。
春の競馬が終わり、夏競馬に突入。
新馬も続々と出てくる季節である。
勇気は5月、6月だけで20の勝ちを積み重ねた。4月終わりまでの4ヶ月間で20と少ししか勝ててなかったことを考えると、大躍進である。
しかし勇気は自惚れたりすることはなかった。それは馬を回してくれている、佐山、黒山の力も大きいことを知っていたからである。
それでも勇気の気持ちは整理され、技術が向上していることは誰の目から見ても明らかだった。
「あ、竹田さん。こんにちわ」
「お、勇気か」
いくら勇気が勝ち星を積み重ねたと言っても、竹田と勇気の間にはまだまだ厚い壁がある。勇気はG1はまだ一度も勝ったことがないが、竹田は怪我から復帰後、すぐに強烈な印象を刻み込んで、宝塚記念を制した。
もちろん騎乗馬はループミレニアムだ。
「ループミレニアム、すごかったですね!
最後強烈な脚を使ってレコードタイムなんて素敵すぎます!これでG1は5勝目ですね!」
「あの脚には正直俺も驚いたわ。成長して集中力もついたしな」
50 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/10/29(水) 15:27:45.81 ID:5zGFHkrG0
竹田はニヤッと笑う。
これから先負ける姿が考えられない。
そう言いたげに不敵な笑顔を作った。
「これでG1最多勝記録の8勝も見えてきましたね」
「ああ、けどそれは秋競馬次第だな。ループは今年で引退だから」
竹田はそう漏らしたあと、急いで自分の手で口を塞いだ。
しかし当然だが、すでに勇気には聞こえてしまっている。
「え!? ループ今年で引退なんですか!? どうして!」
「しっ!」
竹田は人差し指を立てて、顔を近づけ、勇気に大きな声を出さないように伝えた。
「まだ言っちゃダメなことなんだ。聞かなかったことにしてくれ」
竹田はそう言うと逃げるように足早に去っていく。
それから1週間後、競馬界にビッグニュースが流れ、新聞でも一面に取り上げられた。
ループミレニアム年内引退。
秋は前哨戦を使って凱旋門賞、JC、有馬記念のローテでG1 8勝を狙う。
51 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/10/30(木) 09:49:00.71 ID:oMeomc/P0
「ほー。やっぱりループ凱旋門賞いくんか。けど海外遠征て状態がどうなるかわからへんのにほんまにこのローテで行けるんか?」
「ループはきっとやりますよ。ただ最後の有馬記念はコイノボリが勝ちますが」
佐山と勇気は新聞を読みながらループミレニアムについて語り合っている。
競馬関係者なら嫌でも気になるニュースだ。
「お前も言うようになったなぁ」
「当たり前です。僕はコイノボリの騎手ですよ」
勇気はこの二ヶ月で確実に自信を取り戻している。今の勇気は気持ちの面で前の勇気とは比べものにならない。
「そんなお前に明後日調教を頼みたい馬がいるんや。土曜日デビュー予定でお前に乗ってもらう馬やねんけど、なかなか気性の面が落ち着かん」
佐山は新聞を片付け、ある馬の写真を取り出した。
「土曜日の新馬戦というとトロサーモン? でしたっけ。結構おかしな名前ですね」
勇気が馬の写真を見ながらそう言うと、佐山は笑いを堪えようとする。
「それは名付け親の黒山さんに言ってみてくれ」
「あ! 黒山さんの馬なんですか!?」
なら仕方ないな、っと勇気は思った。黒山の馬は変な名前の馬が多い。さらに魚好きの為、魚の名前が入ることが多々あった。コイノボリもそのうちの一つで、他にもナマズ、ウナギ、アナゴ、マグロ、魚のオンパレードだ。
質問 絶対君って松樹剛史に影響受けてる?
53 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/10/30(木) 10:55:16.14 ID:oMeomc/P0
>>52 全然知らん(°_°)ww
最近は小説書く勉強やと思って、三島由紀夫の潮騒読んだけど、その影響なら少しかなw一人称でしか書いたことないのを三人称に変えただけやけどww
54 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/10/30(木) 11:09:41.85 ID:oMeomc/P0
「それでそのトロサーモンなんやけどうまく抑えながら末脚を生かす調教してほしいんや。きっと兄に似てえげつない脚あるはずなんやけど……行きたがってまっったく言うこと聞かん」
佐山が調教を頼んでくることは別段珍しいことではなかったが、こんなにも調教がうまくいってない様子を伝えてくるのは初めてのことだった。
「ちなみに兄は誰なんですか?」
勇気はうーんと写真の馬体を見る。何処かで見覚えのある気がするのだが、いまいち閃かない。
「コイノボリや……」
佐山の自信なさげな呟きに、勇気は思わず立ち上がった。驚き、嬉しさが混じり合う。
「な、なんで今まで言ってくれなかったんですか!?」
そんな勇気から出た第一声はそれだった。
「いや……あんまりにも調教がうまくいっとらんかったからーー別に隠してたわけじゃないぞ! ちゃんと調教できてからっと思っとったんだが」
まさか兄弟でここまで違うとは。
と佐山は溜息をつく。
コイノボリは大人しく、言うこともしっかり聞く馬なので、苦労はほとんどなかった。
しかしトロサーモンはその真逆。暴れん坊なのだ。
「佐山さんの気持ちは分かりました。とりあえず明日乗らせていただきます」
実際乗ってみないと分からないことも多い。勇気は立ち上がった。
「明日が楽しみですよ」
佐山をここまで困らせる暴れ馬。いったいトロサーモンとはどんな馬なのか。
勇気は少しワクワクしながら、次の日を迎えた。
55 :
名無しさん@実況で競馬板アウト:2014/10/30(木) 19:29:59.69 ID:kMzDAO9FO
次の日待ち合わせ場所に行くと、トロサーモンが話しかけてきた。
トロサーモン「俺を乗りこなしたきゃ、伝説の馬具を揃えることだ。」
勇気は冒険の旅に出た。
56 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/10/31(金) 15:10:51.46 ID:Kiu7KP0x0
今日は休みです
57 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/11/01(土) 11:23:10.89 ID:2tM32y730
朝であるが、やはり夏であり、照りつける太陽がさらに芝に反射し、キラキラと空気を温める。
勇気はトロサーモンの初のお披露目を待っていた。
トロサーモンーー話に聞く限りは相当なやんちゃ坊主だが、それでも勇気はコイノボリの騎手として、乗りこなさなくてはいけないと感じている。
ここは騎手のプライドにかけてしっかり躾を……
そんな風に考えていると、佐山が一頭、馬を率いてきた。
「こいつがトロサーモンじゃ」
佐山の紹介を受けて、勇気は観察するようにトロサーモンを見つめた。
馬体の色はコイノボリと同じ綺麗な黒毛だ。
しかし馬体はコイノボリよりも一回り大きい気がする。
しかし何よりも違うところはこの目つきだろう。
トロサーモンは勇気のことを睨み続ける。
もう勝負は始まっているーーそう感じた。
58 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/11/01(土) 14:04:46.66 ID:2tM32y730
「佐山さん。とりあえず乗ってみます」
「ちょっ、ちょっと待て!」
佐山の制止を振り切って、勇気はトロサーモンに手を掛ける。
そして跨った瞬間、トロサーモンは立ち上がり、勇気は振り落とされた。
「勇気、大丈夫か!」
痛みは走ったが、うまく受け身を取れたので骨などには異常はなかった。しかし勇気にとっては、拒絶されたことの方が問題だ。
「こいつ……俺には乗られたくないってか?」
「いや……こいつは誰が乗ってもはじめはこうなんじゃ。だからちょっと待てと言ったのに」
佐山は勇気を支えて立ち上がらせる。
「とりあえずお前に慣れるまでスキンシップをとり続けんといかん」
こうするんじゃ、と佐山はトロサーモンの顔を優しく撫でる。するとトロサーモンは甘えるような顔つきに変わった。
「なるほど。やってみます」
勇気はトロサーモンの顔を撫でる。
しかしトロサーモンは勇気に対しては睨み続ける。
「なんだこいつは」
「はじめはみんなこんな感じじゃ」
そうして勇気は30分間撫で続けた。
59 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/11/01(土) 14:17:46.95 ID:2tM32y730
「なんでだよ!」
勇気の突然の大声に佐山はビクッとする。
「佐山さんもうかなり撫で続けてるのに、こいつずっと睨んできます……」
「うーむ、おかしいなぁ」
佐山は時間を確認する。
もうあまり時間がない。
「まぁ目つきは気になるがもう一度乗ってみるか」
「乗って大丈夫ですか?」
「多分」
トロサーモンはじっと勇気から目を離さない。佐山の自信なさげな返事もあり、勇気はかなり不安になったが、しかしこのままではやはりラチが空かないので、乗ることにした。
「よいしょっと」
今回はトロサーモンもさっきのように立ち上がったりはしない。
佐山は心の底から安心した。
「よし!じゃあ調教はじめるぞ」
そのまま調教がはじまると、トロサーモンは走り出した。
トロサーモンのダッシュ力に勇気は驚く。
なんだ、普通に走れるじゃないか。と勇気が感じたその時だった。
トロサーモンの走り方が変わった。
まるで今までは適当に走ってたかのようなギアチェンジ。
勇気は抑えようとしたが、抑えようとすればするほどトロサーモンは反発する。
「おい! 落ち着け!」
勇気の言うことは聞かない。
トロサーモンはそのギアのまま、最後まで走り抜けた。
ん?
そこで勇気はある違和感に気付く。
この馬もしかして……
「あぁ……こんな走りではあかん……今週の新馬戦どないしよ」
頭を抱える佐山に、勇気は一言告げた。
「逃げさしましょう、佐山さん」
「逃げ!? この馬の血統は全部コイノボリみたいな差し馬やぞ!」
勇気は手に残る感覚を握ってみる。
佐山は真剣に考えている勇気の顔を見て、溜息をついた。
「まぁーーお前に任すわ」
勇気はトロサーモンを見る。
睨むような目つきは変わらない。
息遣いも変わらない。
勇気はトロサーモンの顔を撫でる。
「勝つぞ、トロサーモン」
レース当日。
札幌競馬場は前日の雨が残り、少々重い馬場になっている。
この日勇気はまだ一勝もしていなかったが、それでも調子は良さげな感じであった。
札幌1800
この日の新馬戦はなかなかメンバーが揃っている。
名牝サテライトファンの娘サテライトインが一番人気で、他にも調教抜群のセーフティゾーン、半兄がG1馬のメテオジカル
世間ではこの三強が揃ったこのレースに対して伝説の新馬戦かもという声が上がっていた。
トロサーモンはコイノボリの弟ということで注目は集めているが、調教が悪いので4番人気に甘んじている。
61 :
名無しさん@実況で競馬板アウト:2014/11/02(日) 02:06:24.77 ID:4uzgZ77h0
読んでます。続き楽しみです。がんばってください
62 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/11/02(日) 10:51:12.26 ID:t4d+pKV90
パドックでのトロサーモンはやはり落ち着きがなく、発汗も目立っていた。
その姿を見た馬券購入者は頭を抱える。
しかし勇気だけは自信のある顔をしていた。
相手は確かに強い。
しかしトロサーモンなら。
そういう気持ちがあるからだ。
馬場入場すると、トロサーモンは軽快に走り出した。佐山はその姿を見て立ち上がる。
「勇気……勝負する気か」
隣の黒山は不安そうに愛馬の様子を眺めている。
そうしてついにゲートインの時が来た。
トロサーモンは大外なので、ゲートに入って待たなくてもよいところが、救いであるだろう。
スタートはきっと失敗する。
そこからどれだけ追い込んでいけるか。
さっきまで佐山はそんなレースを想定していたが、さっきの馬場入場時に勇気の意思を読み取っていた。
勇気はトロサーモンと逃げる気だ、と。
最後にトロサーモンがゲートインする。
勇気はトロサーモンの首を2.3回撫でた。
そしてゲートが開かれる。
トロサーモンは予想通りの出遅れ。
しかし勇気はそこで、一度鞭を入れた。
勇気の鞭に反応してトロサーモンは凄いスピードで前に追いつく。
そして先頭の馬を抜かし、逃げの体制に入った。
「なんだなんだ!?」
「掛かってるのか?」
ファンの心配をよそにトロサーモンはさらにさを広げ続ける。勇気も手綱を締めない。1000メートルの通過タイムは58秒。
やはりスピード力はある。
勇気は確信した。しかし今のギアは昨日と同じだ。
5馬身の差をつけて、最終コーナーに入る。
他の馬が接近してきて、差は無くなった。
メテオジカルに並ばれて直線へ。
64 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/11/03(月) 12:00:05.80 ID:TeCK1C4i0
そこで勇気はもう一度鞭を入れた。
勇気はその鞭でトロサーモンに語りかける。
"あるだろ?もう一段。
お前はコイノボリの弟なんだから"
ギュン。
トロサーモンの脚が変わった。
メテオジカルにあっという間に2馬身の差をつける。メテオジカルはトロサーモンのペースについてきてそこからさらに後退する。サテライトインも中段から伸びてこない。
セーフティゾーンは追い込んでくるが、それでももう遅い。
トロサーモンがゴール板を駆け抜けた。
2着セーフティゾーンに2馬身の差をつけての勝利。
勇気は馬上で小さくガッツポーズ。
その姿に大きな拍手が送られた。
「佐山さん! やっぱり勇気や! もうわしの馬は全部あいつや!」
黒山は興奮して佐山の肩を掴む。
佐山はトロサーモンと勇気を見て、優しそうに笑っていた。
「定年前に……神からのプレゼントが多いなぁ」
65 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/11/03(月) 12:09:13.61 ID:TeCK1C4i0
「なにをいってるんや! 佐山さん!」
黒山はそんな風に浸る佐山の肩をさらに揺する。
「まだまだや! 勇気はきっとトロサーモンを2歳チャンピオンにして、コイノボリで有馬記念を取らしてくれる! それまではプレゼントでもなんでもないで!」
ただの余興や!
黒山は半分涙目で呟く。
今日、札幌競馬場に小さな嵐が吹き抜けた。
66 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/11/03(月) 13:08:56.18 ID:4LFQltTy0
八月 ついにコイノボリが帰ってくる。
「いよいよやな」
佐山と勇気はまた酒を飲みながら語り合っていた。黒山は仕事で来れないため、今日は二人だ。
「来週コイノボリが帰ってくる。お前はここまでよー頑張った」
「はい。コイノボリも認めてくれるでしょうか」
「それは俺にはなんとも言えんわ」
トロサーモンの新馬戦以降、勇気の評価は日に日に上がり、勝ちを積み重ねる中で、いい馬も回ってくるようになっていた。
ちなみにトロサーモンの次走は九月の札幌二歳Sで準備が進んでいる。
今は短期放牧中であり、スタートの練習を入念に行っているようだ。
「トロサーモンに乗ってみて、ちょっと僕の中で感じる部分があったんです」
「なんや?」
佐山は黒山にもらった日本酒をぐびっと飲む。勇気は日本酒を飲むことが出来ないので、チューハイだ。
「 もしかしたら今までコイノボリが落ち着いてたのも、我慢してたのかも、ストレスが溜まってたのかもしれないと感じました」
それは考えすぎやろ。
佐山はそう返した。
「兄弟で性格が全く違う馬もたくさんおるからな。まぁ再来週帰ってくるから、そのとき確かめよう」
「はい……」
勇気は不安な気持ちになる。
それは同窓会で久しぶりに学生時代の友達に会う感覚に近かった。
67 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/11/03(月) 13:37:35.28 ID:4LFQltTy0
そうしていよいよコイノボリが帰ってくる日が来た。
黒山、佐山、勇気の3人は馬運車を待ち構える。
「今日からコイノボリの物語がまたはじまると思うと感慨深いわ」
佐山の言葉に二人は黙って頷いた!
「あ、来ました!」
見えてきた車を勇気が指を差す。
不安と、楽しみとが入り混じる中で、勇気は指が震えた。
車か止まると、三人はすぐに後ろに回り、コイノボリが降りてくるのを待つ。
すぐに開かれ、八ヶ月ぶりのコイノボリが降りてきた。
黒色の馬体に長い脚。そしてつぶらな瞳。
額には白色の模様があり、それがコイノボリであることを示している。
三人ともが久しぶりの再会に思わず言葉をなくしたなかで、まず初めに口を開いたのは佐山だった。
「おお、やっぱりかなり太っとるな」
「けどこの優しそうな顔は変わらんのう」
佐山と黒山が近寄り、撫でてやるとコイノボリは気持ち良さそうに鳴く。鳴き声も変わらない。
68 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/11/03(月) 13:40:38.27 ID:4LFQltTy0
!マークは間違いです。
69 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/11/03(月) 17:01:36.15 ID:4LFQltTy0
それに続くように、勇気も撫でようとした、その時だった。
コイノボリは怯えるような目になり、勇気から離れるように後ずさる。
それを佐山が抑えると、抵抗するように暴れ出した。
「勇気、ちょっと離れてくれ!」
佐山の大きな声でも勇気には届かない
黒山は呆然としている勇気の腕を引き、無理やり離した。
「コイノボリ……」
「勇気、しっかりしろ! お前もここまで頑張ってきたんやから!」
黒山の声でハッとなり、勇気は正気を取り戻す。
その頃には佐山はもうコイノボリの突然の興奮を抑えており、厩舎に連れて行こうとしていた。
「すみませんでした、黒山さん」
「ええ、ええんや。けどあんまりショックを受けるな。はじめはこうなることも予想できたことやろ」
「はい……ですが……僕はコイノボリに乗れるようになるのでしょうか?」
勇気がそう言うと、黒山は語気を強める。
「前も言ったが、お前以外乗せる気ないし、お前が乗らんなら引退や! だから頼むぞ! 勇気!」
黒山はそう言い残し、佐山の方に走っていく。一人残された勇気は、知らぬ間に作っていた自分の握り拳を眺めた。
70 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/11/03(月) 17:02:23.26 ID:4LFQltTy0
(°_°)プロット作ってないですが今半分ぐらいやと思います(°_°)
一息ついたようなので…
楽しく読まさせてもらってます。前に松樹剛史について訊ねた者です。
コイノボリ書き終わったら、絶対君に読んで貰いたい競馬小説がありまして…
勝手ながら勧めさせてもらいます。
宮本 輝 優駿(新潮文庫) 結構古めの作品で上下巻なので入手困難かもです。
松樹剛史 ジョッキー(集英社文庫)
松樹剛史 GOーONE(集英社文庫) どちらもBOOK OFFとかで手に入ると思います。
お節介に感じたら、すみません。
引き続き頑張ってください!
72 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/11/03(月) 18:07:58.21 ID:EZ2eYG870
>>71 教えていただきありがとうございます。
すぐに探させてもらいます。
無ければAmazonで探します。
競馬関係の本を読みたいと思ってたのですが、なかなか見つからなかったので嬉しいです。
73 :
名無しさん@実況で競馬板アウト:2014/11/03(月) 18:22:45.50 ID:HKopuLnw0
74 :
名無しさん@実況で競馬板アウト:2014/11/03(月) 18:37:22.56 ID:HKopuLnw0
続きまだあ?
読み終えたから続きはよ!
75 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/11/04(火) 09:49:53.18 ID:ntLTXhdN0
「こんなことで挫けちゃいけない。俺が負けなければ、きっとコイノボリも応えてくれる」
勇気は誰もおらず、返事もないが自分に発破をかけた。
そして厩舎の方に向かっていく。
すると佐山も勇気の方に駆け足で近づいてきていた。
「はぁ、はぁ、ふー。老体にはちとこたえたわ」
佐山は息を切らしている。暴れるコイノボリを抑え、落ち着いたらすぐに勇気の元に来たのだ。
「佐山さん。俺は今日は帰った方がいいですか?」
その質問に佐山はうーん、と考える。
そして口を開いた。
「そーやな。今日は帰れ。けどまた明日来い。このままやったら調教にも乗れへんからな! 来れる日は全部来い」
勇気は頷いた。
佐山から言われなくともそのつもりだった。
勇気はコイノボリに乗ることを目標にここまで勝ちを増やしてきたし、今なら期待に応えられる自信もある。
勇気の脳裏には、コイノボリが怪我をした瞬間が思い浮かぶ。
今の状況もあれと比べるとなんでもない。
76 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/11/04(火) 10:10:28.89 ID:ntLTXhdN0
その日はそのまま、佐山の言う通りに家に帰った。
次の日の朝、再びコイノボリに会いに行ったが、同じように怯え、暴れ出した。
その状況が一週間ぐらい続いたが、佐山はその度に、なにも言わずにコイノボリの興奮を抑え、勇気への接し方も今まで通りを貫いた。
それが分かるからこそ、勇気は佐山により申し訳なくなるし、一日でも早くなんとかしたいと思った。
勇気も本当にレースで来れない日以外は毎日佐山の厩舎に足を運んだ。
コイノボリの調教も助手を乗せて始めたが、走る気が全く見えない。と佐山は勇気に漏らす。
トロサーモンとはまた違った意味で、うまくいかない。
そして二週間が経ったころ、勇気は変えなければいけないと思った。
札幌二歳に向けて帰ってきたトロサーモンの調教後、勇気はコイノボリの方に向かう。
しかしこの日の勇気は一味違った。
まず佐山が勇気を見る。
「お前ーーなにしとるんや? 気が狂ってもうたか?」
佐山の言葉に、勇気は黙って首を振った。
今日の勇気は人ではない。
コイノボリと同じ馬で、名はユウキだ。
77 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/11/04(火) 10:41:00.74 ID:ntLTXhdN0
ユウキは自分の顔に被せている馬面のズレを治す。
前日の竹田さん主催の飲み会で、騎手の斎藤が持ってきたのがこのパーティグッズだったのだが、勇気はそれで閃いたのだった。
これを被ればコイノボリと同じ目線に立てるかもしれない、と。
ユウキは佐山の心配をよそに、コイノボリの前に立つ。
コイノボリも不思議そうな顔をしているがいつもの様に怯えたりはしていない。
いけた! 作戦成功だ!
ユウキはさらに、コイノボリの頬を触る。コイノボリは気持ち良さそうに首を傾げた。
その時だった。
突然の強風。
飛んでいく馬面。
ユウキから勇気へ。
コイノボリは一瞬勇気を見て立ち止まっていたが、また逃げようと暴れ始めた。
こうなれば、勇気は離れなければいけない。
勇気は急いで離れ、落ち着かせている佐山を遠くからため息交じりに眺めた。
78 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/11/04(火) 10:52:30.19 ID:ntLTXhdN0
「すみませんでした……」
勇気はもう何度目かの頭を下げる。
その頭には佐山のゲンコツによるたんこぶが一つ出来上がっていた。
「お前はほんま……ほんま情けないぐらいのアホやな!」
佐山はそう言いながらさっきの馬面を勇気に渡す。勇気は受け取り、鞄にしまった。
「そんな見かけだけ変えて近づいても意味ないやろ!」
「すみません……」
勇気の口からはすみませんしか出てこない。
佐山も勇気がふざけてやったわけではないということは理解していたが、それでもあまりの馬鹿さ加減に呆れていた。
「わしはな、人と人との付き合いが外見だけじゃないように、馬と人だって中身で付き合わなあかんと思っとる」
「おっしゃる通りです……」
勇気は俯いた。
佐山はそんな勇気を椅子に座らせる。
「お前が焦ってるのも分かるけど、コイノボリが恐れてるんはお前の小さい見た目じゃなくて、中身に怯えとるんや。やからこそ偽るな。騙し騙しやってる奴を誰が信用するんや」
女と恋愛するときだってそうやぞ。
佐山はそう付け加えた。
勇気は恋愛は未経験だが、佐山の言っていることは理解できた。
79 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/11/04(火) 12:55:23.41 ID:ntLTXhdN0
80 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/11/04(火) 12:56:07.74 ID:ntLTXhdN0
81 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/11/04(火) 12:57:11.65 ID:ntLTXhdN0
82 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/11/04(火) 12:58:01.72 ID:ntLTXhdN0
83 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/11/04(火) 12:58:26.28 ID:ntLTXhdN0
84 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/11/04(火) 13:00:05.82 ID:ntLTXhdN0
85 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/11/04(火) 13:01:20.26 ID:ntLTXhdN0
帰厩編
>>66>>67>>69>>75>>76>>77>>78 中身にちょくちょくミスがあります。
もし抜けていたり、間違えて乗せてる部分があれば教えてください。
読みやすさのためにこうしましたが、初めからスレを見ていただいても笑えるレスがあり面白いと思います(°_°)ww
オススメ小説
>>71 あとdat落ち、スレの書き込み制限に対する対策方が分からないので、知ってる方は教えていただきたいです。
Part2スレ立ててここ貼ればいいのかな?
86 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/11/04(火) 20:24:43.51 ID:ntLTXhdN0
次の日
勇気はなにも被らずにコイノボリの前に立った。
そして暴れだそうとするコイノボリの前で、勇気はお尻を地面に付ける。
「コイノボリ。菊花賞んときは無茶させて悪かった。あと今までも嫌がってるのに近づいて悪かった。昨日も驚かせて悪かった」
勇気は座ったまま頭を下げた。
コイノボリはいつもみたいに逃げようと暴れたりしていない。
なんだ? どうしたんだ? と言いそうな不思議がる顔をしている。
言葉は伝わらない。
けど想いは伝わるかもしれない。
佐山は手綱を握る手を緩める。
それでもコイノボリは離れない。
「今まではほんまに悪かった。悪かったけど俺はお前に乗ることを諦められない。
もう一度チャンスをくれ」
勇気は頭を下げ続けながら、気持ちを正直に伝えた。
コイノボリはゆっくりとそんな勇気に近づいてくる。
もう完全に佐山の手から離れていた。
87 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/11/04(火) 20:45:03.28 ID:ntLTXhdN0
くぅーんと鳴きながらコイノボリの顔が勇気のそばにくる。
勇気が顔を上げると、コイノボリは勇気の頬を舐めた。
「コイノボリ……!」
勇気はコイノボリの顔を抱きしめる。
もうコイノボリが逃げることはなかった。
勇気の想いが、ついに伝わったのだ。
佐山はその姿を見て、誰にも気付かれまいとしながら涙を流す。
「なんで泣いとるんや」
しかし少し遅れてきた黒山がそれを見つけた。佐山はすぐに服の裾で涙を拭き取る。
「な、なんでもないわ!」
「なんでもないのに涙はでんやろ。ん? あれは……」
黒山もやっと佐山の涙の原因であるコイノボリと勇気の姿を見つけた。
黒山と佐山は見つめ合い、お互いの目から涙が出てくる。
「これはあいつらには内緒やな」
「おう」
勇気とコイノボリはそんな二人の様子に気付くことなく、じゃれあいを続けた。まるで今までのコミュニケーションを取れなかった間隔を埋めるように。
88 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/11/05(水) 12:47:52.14 ID:xYkgnTmS0
「よし! 勇気とコイノボリも和解したし、今日からは調教も乗ってもらうぞ!あと今週はトロサーモンの札幌2歳ステークスもあるしな!」
九月に入り、秋の競馬がもうすぐやってくる。佐山厩舎には多くの馬がいるが、九月初めの重賞挑戦はトロサーモンである。
ネットの予想オッズでは1番人気に推されている。新馬戦の同じコースで良血馬をねじ伏せたのが理由であろう。
そんなトロサーモンの調教ももちろん大事なのだが、コイノボリの調教も勇気にとっては大事だ。
久々のコイノボリの背中ということもあり、勇気は朝からそわそわしている。
トロサーモンには前から乗っているが完全に良化していた。扱い方も分かっているので問題はない。ただコイノボリはまた一からという気持ちを持たなくてはいけないのだ。
「よし、まずトロサーモンから行こか」
トロサーモンは勇気が跨ると顔つきが真剣になる。調教に対するスイッチが入るようだ。
教育で抑えるとか考えんでいい。トロサーモンが走りやすい走り方があるなら、それがこの馬の個性や、そこを伸ばしてやれ。
新馬戦から数日後、佐山に逃げ以外もできるように教育をするか訪ねた勇気はそんな答えをもらっていた。
なので調教も、トロサーモンのペースで走らせるようにしている。
するとトロサーモンも気持ち良さそうに走り、調教が悪いなんてことはなくなった。
89 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/11/05(水) 22:24:19.29 ID:xYkgnTmS0
今日はこれだけです(°_°)
90 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/11/06(木) 01:57:11.52 ID:OIZqvtwN0
「おー見違えるほどええ走りするようになったなぁ、こいつは」
勇気がトロサーモンからおりると、トロサーモンはいつもの間抜けなやんちゃ坊主のような顔に戻る。
この顔もまたトロサーモンの可愛い一面であり、佐山と勇気が好きな部分であった。
「よし……いよいよやで」
勇気はコイノボリの顔を見る。不安そうなのは勇気や佐山だけではなく、コイノボリの顔からも不安の色が見えた。
コイノボリは今まで勇気を乗せずに調教していた。言うことは聞くし、悪くはないのだけれど決して良くなく、違和感がある。というのは乗った助手の言葉である。
勇気は少しでも衝撃を和らげるように、コイノボリに跨る。コイノボリの背中はその瞬間ぶるっと震えた。
それでも前のように暴れたり、逃げたりすることはない。
コイノボリもまた、勇気の意思を感じ取り、そして精神面で成長しているのだ。
しかしそれでもまだ弱い。
コイノボリが走りだすと、助手の言っていた違和感の意味が早速理解できた。
怪我をした方の足をまだ庇っている……
91 :
名無しさん@実況で競馬板アウト:2014/11/06(木) 02:55:50.24 ID:+ZYUHatQO
それでも無理矢理コイノボリを走らせたところ、再び故障した。
それから2年の月日が流れた。
92 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/11/06(木) 11:56:01.97 ID:OIZqvtwN0
もう治ってるはずだが……
勇気はそう考えながらも、止めずに様子を見る。
確かめてみると、やはり間隔は怪我をしていて庇っているというよりも、怪我を恐れて庇ったような走りをしているように感じた。
勇気がとりあえず追ってみると、コイノボリはスピードを増すが、それでもやはり伸びが足りない。
トロサーモンのように抑えつけて走りづらそうとかそんな感じではないのだが、怪我を恐れているから足も思い切って動かせないのだろう。
あのループを一瞬差した脚には程遠い。
「どうやった?」
調教が終わり、コイノボリから降りた勇気に佐山は尋ねた。
「怪我はもう完全に治ってるんですよね」
「あぁ。それは間違いなく治っとる」
「治ってるはずなのに、庇いながら走ってしまってます。この走りなら次は逆の脚を怪我しかねない気がします」
勇気がそう伝えると、佐山は唇に指を置き考える。
「庇いながら、か」
ちょっと考えさせてくれ。
佐山はそう言うとすぐに部屋に帰っていった。佐山は自分の世界に入ると、他の人に気が回らなくなる。
一人残された勇気は、挨拶をして帰るか悩んだが、しても聞いてもらえないだろうと思い、そのまま帰ることにした。
93 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/11/06(木) 11:57:24.09 ID:OIZqvtwN0
あぼーんされてる(°_°)
Part2作った方がいいかな(°_°)
94 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/11/06(木) 12:35:22.52 ID:OIZqvtwN0
95 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/11/06(木) 12:40:24.79 ID:OIZqvtwN0
96 :
名無しさん@実況で競馬板アウト:2014/11/06(木) 12:55:37.12 ID:QWVIMJzW0
絶対君、ageときます
競馬小説勧めた者なんですけど…
実は、宮本 輝の優駿を以前に手放してしまった事がありまして
昨日、BOOK OFFに寄ったら100円コーナーに何故か上巻だけ在りました
買いましたが下巻どうしようって感じです…
Part2も楽しみにしてますね引き続き頑張ってください。
あげ!
98 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/11/07(金) 11:38:42.76 ID:yWT1m8Hi0
>>96 Amazonありましたよ!
バイト代入れば一気に買います!
99 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/11/07(金) 17:48:05.86 ID:yWT1m8Hi0
あげ
100 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/11/08(土) 14:04:03.97 ID:blCaaQdZ0
あげ!
101 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/11/09(日) 01:10:13.51 ID:Ztd8fpxU0
あげい!
102 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/11/09(日) 11:21:15.06 ID:Ztd8fpxU0
あげ
103 :
名無しさん@実況で競馬板アウト:2014/11/10(月) 06:26:01.22 ID:fkMO458DS
104 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/11/10(月) 09:50:55.83 ID:jNPU3yd40
あげありがとうございます(°_°)
これは……ww
105 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/11/10(月) 18:43:16.80 ID:jNPU3yd40
あげちゃん
106 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/11/10(月) 22:51:08.40 ID:jNPU3yd40
あげい
107 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/11/11(火) 11:07:40.19 ID:wV+YL3pr0
あげ
カスミの写真はよ
109 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/11/11(火) 21:15:56.00 ID:6KUFohjJ0
上げ
111 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/11/11(火) 22:03:20.06 ID:6KUFohjJ0
よめません。すみません。
112 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/11/11(火) 22:03:50.39 ID:6KUFohjJ0
110のあぼーん解除しようとしたら落ちます
114 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/11/12(水) 09:22:45.10 ID:LYieW+Zy0
115 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/11/12(水) 21:59:04.47 ID:LYieW+Zy0
あげ
116 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/11/12(水) 21:59:43.17 ID:LYieW+Zy0
117 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/11/13(木) 12:35:13.15 ID:byxiQVJd0
あげあげ
こっちから読んでね
118 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/11/14(金) 10:56:27.18 ID:o/JOhwat0
あげ
119 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/11/15(土) 09:56:05.84 ID:BvQ6fIjO0
あげ
120 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/11/15(土) 22:54:29.36 ID:BvQ6fIjO0
あげ
121 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/11/16(日) 07:35:29.22 ID:8I0mUNe30
少し上げといていただければ助かります。お願いします
122 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/11/16(日) 23:32:48.61 ID:8I0mUNe30
あげ
123 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/11/17(月) 10:49:42.45 ID:HC80FRT+0
みんな読んでね
124 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/11/17(月) 21:44:28.32 ID:HC80FRT+0
125 :
名無しさん@実況で競馬板アウト:2014/11/17(月) 21:56:36.13 ID:NNP6huBU0
Part2の55で、違和感を感じた箇所を指摘します。失礼ながら
「おいい! 競馬ch見ようやぁ!」
セリフなので、chって略しかたは、おかしい
有料ではあるが、の方が読むにはスムーズかな
不快に感じたら、すみません。
126 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/11/17(月) 22:03:25.74 ID:HC80FRT+0
>>125 ほんまですね(°_°)ww
やらかしましたw
127 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/11/18(火) 08:44:50.75 ID:q1JOQZ6C0
ほいあげ!
128 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/11/18(火) 17:22:28.25 ID:dCu+aEJb0
熱い展開なうでしゅ
129 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/11/19(水) 10:01:31.98 ID:KGUVQq7o0
あげ
130 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/11/20(木) 01:08:51.22 ID:1c9kamTY0
あげ
131 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/11/20(木) 01:34:54.87 ID:1c9kamTY0
あげ
132 :
名無しさん@実況で競馬板アウト:2014/11/20(木) 01:37:13.70 ID:oeAxcfZOO
コイノボリの中のどれかな?吹き流し?
133 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/11/20(木) 01:53:13.01 ID:1c9kamTY0
あげ
134 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/11/20(木) 01:57:37.62 ID:1c9kamTY0
落とさないで
135 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/11/20(木) 02:00:55.66 ID:1c9kamTY0
やめい
136 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/11/20(木) 02:03:16.46 ID:1c9kamTY0
あげ
137 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/11/20(木) 02:05:29.78 ID:1c9kamTY0
あげ
138 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/11/20(木) 02:08:32.47 ID:1c9kamTY0
あげ
139 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/11/20(木) 02:08:46.82 ID:1c9kamTY0
あげ
>>137 もう少し間隔を開けないと、連投規制喰らうぞ
141 :
クンニスキー ◆PEROPEROp. :2014/11/20(木) 02:17:50.20 ID:1tgu9X6K0
保守支援
とはいえ、今
40分で450まで落ちるから、
マージン見て 20〜30分に一度の☆ュかな?
(^o^)ノシ
収まったか!!
144 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/11/20(木) 10:08:23.65 ID:1c9kamTY0
ありがとうございます。
バイト終わりで寝てしまってました。
僕ああいう面白くないことやるやつはマジで嫌いです。
わらさん、クンニスキさんありがとうございました。
145 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/11/20(木) 19:35:42.43 ID:1c9kamTY0
あげ
146 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/11/21(金) 15:31:09.13 ID:rbSNkdPj0
あげ
147 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/11/22(土) 10:09:18.09 ID:uQEEjqlo0
あげ
あげ
149 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/11/23(日) 09:49:08.04 ID:oL7vpbH30
あげ
150 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/11/24(月) 02:07:48.09 ID:Fhn2A+Zk0
あげ
151 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/11/24(月) 16:19:24.98 ID:Fhn2A+Zk0
今日少し忙しいです
152 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/11/25(火) 08:29:57.73 ID:YI9wPOLL0
あげ
153 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/11/25(火) 18:50:30.43 ID:8DRv9H3c0
154 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/11/26(水) 09:29:06.04 ID:m9T+7OSz0
あげ
155 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/11/26(水) 21:29:13.77 ID:m9T+7OSz0
あげ
156 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/11/27(木) 12:55:37.17 ID:kaDrveS60
あげ
157 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/11/28(金) 01:31:34.43 ID:X3xWq4Pr0
あげ
158 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/11/28(金) 17:54:09.32 ID:X3xWq4Pr0
あげ
159 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/11/29(土) 04:33:34.54 ID:n+f9CAyA0
160 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/11/29(土) 11:10:32.82 ID:TjiVhdBe0
あげ
161 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :2014/11/30(日) 09:36:49.96 ID:QRgpVoS+0
あげ
162 :
絶対君 ◆fJFuyhTwO6 :
あげ