最強ヒストリー「ウオッカのレース厳選は姑息だね」2
リモコンの電源ボタンの感触を親指に感じたと同時、番組MCの声が遮断され部屋は静寂に包まれた。
両肩がずっしりと重い。赤外線が生身の人間の脳内活動電源を落とす信号を送れるはずはないが、
何故こんな事になったのかを考えようとしても電気信号は巡らない。
16時を告げる仕掛け時計のメロディで、空白の一時に気づき我にかえる。
「ブルーメンに先を越されちゃったな。」この程度の空気振動ならば、周りに誰かいたとしても
ブツブツ一人ごとを言ってるようにしか聞こえないのだろうから寧ろ好都合だなと考える。
認める訳にはいかないという意固地な思いが、
何でも自分にとって都合よい解釈へと変換させる習性を身につけさせていた。
ブルーメンの勝利を素直に称えようと思っても、混合G1馬という響きで先日の屈辱が微かに蘇り、
明日は休日だというのに、翌日に仕事を控えている週末の終わりに似た閉塞感に支配される。
気がづけば2ちゃんねるのvsスレを開いている。「実績がなくとも一番強いのはスカーレット」と打ち込む。
そう信じなければ呼吸をする事もままならない。。。
-ダスカ基地の日常- 完