展望を広げようとするとき、必ず「成功した例は少ない」などと、悲観的な見方は出てくるものだが、
ダイワスカーレットの松田国英調教師も、生産の社台ファームも、大城オーナーも、既存の概念や、
定説やパターンにとらわれることなく、可能性に対していつも挑戦者である。ダイワスカーレットが
「フェブラリーS」で答えを出し、ドバイミレニアムやエレクトロキューショニストと同じように
「ドバイWC」を展望するのは、ファンにとってもっとも楽しいことだろう。
もし仮に、ダート巧者の中に入って、いきなりのダートGTで望ましい結果が出ないことがあった
としても、それは仕方がない。関係者やファンの中には、不思議な人びとがいて、こういうケースで
「やっぱり…」とか、「無理だと思っていた…」など、したり顔をする人びとが出てくるものだが、
それは受け止めたような顔をして無視すればいい。
競馬の歴史の中では、かつて「この馬は短距離タイプである」、あるいは「長距離でこそなのである」
とか、かたくなに概念的な姿勢を崩さない人びとの世界があった。古典的流儀を重んじる国が
多かったように思う。
それはそれでいい面もあるのだが、彼らが手がけた馬は、発展も進歩も広がりもなく、やがて
忘れられてしまっている。
ダイワスカーレットは、ヴァーミリアンやサカラートなどの一族というだけでなく、父アグネスタキオンにも
「ダート巧者」であっても不思議ではない系統の血があふれている。
評価は分かれるだろうが、どんな結果が出るのか。ウオッカとの改めての対決より、さらに大きな興味を
呼ぶことになるのは間違いない。今年前半の最大の見どころが、ダイワスカーレットの可能性である。
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