ドリームパスポート 第14章

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873名無しさん@実況で競馬板アウト
49 名前:小田切総統 ◆Q1ExssOilE [sage] 投稿日:2007/12/20(木) 19:38:37 ID:T+p7zELy
(スポニチ前夜速報版)
待ち続けた手綱が戻ってきた。ドリームパスポートの鞍上は高田。
この事実を木曜朝に知らされた本人、高田は驚きとともに喜びを表した。
「ありがたいこと。何とか馬の力を発揮できるよう頑張ります」
これまで7人のジョッキーが跨ってきたが、コンビ回数は高田、安藤勝の4回が最多タイ。
騎手としての実績では劣るものの、厩舎所属ジョッキーとして普段の調教では手綱をとり続けている。水曜追いにも騎乗した。手応えはある。
「前走時はうるさいところを見せていたけど、調教を積んで今は落ち着きが出てきた。
今週の追い切りでも馬の後ろで辛抱してくれたし、らしさは取り戻していると思う」
今年0勝の騎手がグランプリで騎乗するのは異例中の異例。だがパートナーのことは知り尽くしているという自負がある。
新馬戦前は馬っ気がキツく、男馬にも乗っかかっていくほどの荒い気性。それを矯正したのは高田だ。
実戦でも皐月賞はメイショウサムソンに続く2着。秋の神戸新聞杯はサムソンを差し切った。結果を残しているのだ。
師匠にあたる松田博調教師は辛口のエールを送った。
「どんな乗り役でも走っているからな。乗り役じゃなくて馬に期待する」
誤解しないでいただきたい。キツい言葉は愛情表現の裏返し。普段は厳しい表情が緩んでいることが分かる。
師弟タッグで挑むドリームレース。だがトレーナーはこの表現を嫌った。
「夢はかなわないもの。それよりも『希望』やな。希望を持って行かにゃあ」
胸には希望の2文字。関係者から「乗り役は決まった?」と聞かれ、松田博師はこう答えた。
「おう。エース高田!」
のぞく横顔は笑顔。口調はどこか誇らしげだった。

有馬記念の枠順は1枠2番となった。これは高田が騎乗した皐月賞2着時と同枠。
事前に松田博師は「高田だから内の方がいい」ともらしていたが、希望通りの内枠にニンマリ。
枠順表を見ると「ちょうどいいやん。(馬群から)出てこられなくて」とジョークを飛ばした。
その実は『内で道中脚がためられる』という前向きな意味。まな弟子とのG1挑戦を前に、表情は明るかった。