田中勝春を生温かく見守るスレ29

「田中勝春手記」（スポニチより）　１／２

ありがとう。今はその言葉しか浮かばない。僕は馬に乗ることにしかできない男。
それも14年間もJRAのＧ�Tを勝ってない駄目騎手だ。
なのに周囲の方々は僕が勝ったことを自分のことのように喜んで拍手してくれた。
最終レースの騎乗がなかったら大泣きしたいぐらいだった。
関係者、ファンの皆さんには感謝してもしきれない。

レースは前に数頭置いて進めようと思っていた。だが１コーナーを過ぎたあたりで
急にペースが遅くなった。ここが決断のポイントだった。迷わず行かせた。
「（若葉Ｓで２番手から抜け出した）岩田君のように乗ってくれ」と音無先生が
話していたことを思い出した。馬に逆らうなという意味だろう。
この馬にはセオリーが通じない。言うことを聞かせようとすることは逆効果だ。結果は正解だったと思う。
先頭に立ってから気分を良くしたヴィクトリーは余力十分に直線を迎えた。夢中で追った。
でも松岡君（サンツェッペリン）に一瞬前に出られた。ゴール前は際どかった。.
勢いは向こうの方が上に見えた。「今年も駄目だったか…」とうなだれ、
検量室に戻ろうとしたらノリさん（横山典）が「おい、勝ってるぞ」って。
オーッ、本当かい！？　うれしさがこみ上げてきた。

「田中勝春手記」　２／２

今年は調子がいいねと言われる。競馬への考え方を切り替えたのが良かったかもしれない。
去年まではあれこれと馬に要求しすぎていた。自分がそれほどの器でもないのに、おかしいよね。
馬と会話しながら競馬して勝ち負けには過剰にこだわらない。そう決めた。
その途端にいろいろなことがいい方向に向かい始めた。まさかクラシックまで勝てるとは。
なんだか夢を見ているような気持ちだ。Ｇ�T連敗中はからかうような声も聞こえた。
でもそのことで競馬が注目されるなら、それでいいと思った。

この勝利が今までお世話になった方への恩返しになっただろうか。
いや、まだ足りない。まだまだ頑張らなきゃ。
みんなの応援に感謝しながら、今夜はうまい酒を飲むことにするよ。