タテヤマはスイープとの別れが悲しかった。これで最後になるかも知れないのだ。
レースが始まった。アドマイヤメインが先生を乗せ、気持ち良さそうに飛ばす。
やる気がかぎりなくないタテヤマはブービーに三馬身離れたシンガリを走っていた。
残り800。バテて下がってきたシルクフェイマスがタテヤマにボソッと言った。
「タテヤマさんがスイープさんが好きなのは知ってるよ。
スイープさんの引退で元気がないんだよね?ホントは彼氏になりたいんだよね?」
タテヤマは何も言えなかった。シルクフェイマスが更にバテてタテヤマの後ろになった
「何も聞きたくない。無力な自分が嫌で仕方がなかった。でも、有馬が終われば、
有馬が終われば、スイープは結婚して俺は乗馬にでもなる。彼女を忘れられる」
そうタテヤマは思い、レースをあきらめようとした。
「タテヤマぁ!あきらめるな!はじめての男になれなくても、
もっと活躍すればスイープさんと付き合えるかもしれないんだ!
やるだけやってから諦めろぉ・・・俺のぶんまで」フェイマスの叫びが聞こえた。
「おぉっと、シルクフェイマス故障発生か。ん?後方から物凄い足で
あがってきたのはファストタテヤマ!ディープと連れてあがってきた!」
スイープのために。自分のやれるだけのことを・・・
「勝ったのはファストタテヤマぁ!」