【チンタラ】柏木集保 保護観察日記・25【ペース】
[2003年秋天翌週の日刊競馬紙面のコラム]
先週の天皇賞秋。ローエングリンに期待して激しくへこまされてしまったが、ああ
いう競馬。本心を言うと内心では嫌いではない。
行かなければ挑戦の出走の意味もないゴーステディは、毎日王冠の情けないレース
運びから無理にでもいく。そういう立場に追い込まれていた。
有力馬のローエングリンは2番手に下げて折り合い、理想の先行ペースが成立する
はずだった。事実3〜4番手以下はスローにも近く、買ったシンボリクリスエスの
前後半は推定60秒2=57秒8。ツルマルボーイなど61秒0=57秒2が推定の
前後半で、実際にはピントはずれなのはペリエと横山典(ゴメン)なのだが、たまた
ま前の2頭が 別のレースをしたため結果オーライだったことは否定できない。
20馬身以上も離して前半56秒9はどういう理由をつけようと論外(事実13着と
18着)なのだが、もしローエングリンが困難を克服し2番手に下げゴーステディ
を前半58秒0くらいで行かせてたら、ペリエ、横山典のほうが非難の立場だっ
面もあるのである。
有馬記念のぺりえ(シンボリ)を思い起こせばわかる。
それはオリビエは世界の一流だが、後藤騎手も吉田騎手も(残念、連帯率20%
前後が示す実力でも)後ろめたいことなどない。実はペリエ騎手とて高速の時計
勝負のG1では(主戦場が欧州ゆえ)ペース音痴に近い。彼が巧みなのは有力
馬の位置をあの(クリクリの)目で、決して見失わず平然としていることだけなのだ。
後藤騎手を非難する声が多かったというが、浩輝、気にするな。柴田政も郷原も加賀も
岡部だって、豊はまあ別だけど、みんなそうして乗ったのだ。
本命にして大恥をかきあと2週間カップラーメンの私が、まあそれも進歩の過程だと
許す。外れた私のほうがもっと悪い。ネヴァーセイダイ、ダイハード(弱音を吐くな、
あきらめるな)。ローエングリンの後藤浩輝もゴーステディの吉田豊も、いい根性
してるじゃないか。強引に行くこともないやつが、実はもっと乗れない男なのだ。(柏木)