森調教師が調教スタンド3階まで上がってきて、バリエンテをどこを使うか片山本部長
と相談が始まりました。
相談とはいっても森調教師の腹はすでに決まっていたようです。 するといきなり「サマーS
に使おうと思う」でした。片山部長の目が「点」になりました。小倉のサマーS・芝1800mは1
600万下、準オープンの特別レースです。森調教師が表情を崩しながら続けます。
「登録馬全部出てきても9頭立てでしょ。ダンゴのスローペースで展開しそうだから、そんな
に離される心配も要らないと思うんですよ」 昨日の時点での想定メンバーは7頭。バリエ
ンテが出走となると8頭立てです。500万の馬が準オープン挑戦でも、タイムオーバーに
なることなく、8着が拾えるという目論みです。 「自己条件でも勝ち負けまではまだ言えな
いだけに、ここで入着賞金を拾っておくのが大きいという計算です」というのは再び森調教
師です。確かに1着賞金は1800万円ですから、8着馬の「出走奨励金」という名の賞金は
108万円になります。 「高崎を除外されたのは誤算だった」と首をひねる森調教師が、
代わりに持ってきたのがこの仰天プラン。鞍上もすでに赤木騎手を確保してあるというこ
とで、同本部長も即刻承諾しました。
さすが禿先生まさに小銭優先主義でふね。