◎赤木高太郎
前人未踏の快挙をついに成し遂げた。
地方競馬所属騎手として初めて難問の一次試験を突破した赤木はこの日、
合格の朗報を兵庫・尼崎市の自宅で受けると、記者会見が行われる栗東トレセンに駆けつけた。
「正直、ほっとした気持ちです」
緊張気味ながらも笑みがこぼれた。
難問を突破した努力はすさまじかった。
公営・兵庫競馬の調教は午前2時に始まり7時ごろまで続く。
赤木は調教後、1時間の仮眠を取って、レースが始まる午前10時ごろまで勉強。
レースが午後5時に終わると、再び仮眠を取りながら翌朝の調教時間まで机に向かった。
競馬法規をまとめた用紙をトイレや部屋に張り、それを見ながら食事を取った。
1日の睡眠時間は3時間弱。これを丸2年続け、2度目の受験で合格を勝ち取った。
「前例がないのに、赤木の努力を認めていただいたJRAには感謝の気持ちでいっぱいです」と、
智美夫人(29)は声を詰まらせた。
昨年9月に姓名判断により典子から改名した。
赤木の合格に少しでも後押しになればとの思いからだった。
JRAでは未勝利。全国的は知名度もないが
「それは乗って示すしかないと思います」と言い切った。
98年10月から8ヶ月間、豪州へ武者修行。
現地の騎手は赤木をいじめた。悪質な進路妨害。レースは連日、命懸けだった。
それを乗り越えてきた自負がある。
「やるべきことをやるだけです。その積み重ねでここまでこれたのですから」
異色の新人がJRAに新風を巻き起こす。
・・小牧太、赤木の合格を受けて、兵庫県競馬組合の大和田開催執務委員長は
「園田出身の騎手が全国の舞台で活躍してくれればこんな喜ばしいことはない。
騎手のレベルの高さを証明してほしい。G1レースで優勝することを期待している」と祝福した。
同競馬組合では19日に園田競馬場、24日に姫路競馬場で、゜壮行式゜を行う。
園田では最終レースを「フェアウェルステークス」と名付け、両騎手の兵庫でのラスト騎乗となる。