父・母・母父の名前を書いてください2

sage

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保守

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父：ナリタブライアン
母：ヒシアマゾン
母父：シアトリカル

前スレみられないの？

父サルノキング
母サンエイサンキュー
母父ダイナサンキュー

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age

父ダイタクヘリオス
母ダイイチルビー

実現きぼんぬ

父　ハシルショウグン
母　チェリーコウマン

仔　ハシルコウマン

父シンボリクリスエス
母ファインモーション
母父デインヒル

仔クリトリインモー

父フサイチコンコルド
母フサイチエアデール
母父サンデーサイレンス

実現してくれ〜

sage

1早く書けや五留ァ!!

スペシャルカルドゥーンて父じゃなくて母父がカルドゥーンなんだね

>>84へぇ

競馬ブック買いました。各馬の印は次の通り。

東京11R　東京スポーツ杯２歳Ｓ（GIII）1800m

関東（本紙）　　　スタッフ予想　　コ　　関西スタッフ
△△△………△　……△…△△…×　…　△△…△△△△△　マイネルデュプレ
△……△……△　△………×△○…　×　×△…×××××　マイネルパナシュ
…………………　……………………　…　……………………　マイネルポロネーズ
……○○△△…　△▲△…△…△▲　…　………△…………　ケイアイウンリュー
……△…△△…　◎×…×…………　…　……………………　ボブビースト
×△△……▲×　×…△…………△　…　……△……………　レオシャープ
…………………　……………………　…　……………………　エプソムアルテマ
………△…△…　△…………△……　…　…×………………　タカオファースト
▲×××××▲　…△▲…◎×◎△　○　○▲△▲▲▲▲○　ビッグファルコン
…………………　……………………　…　……………………　マイネルオクテット
◎○◎◎◎○◎　○○◎◎○○▲◎　◎　◎◎○◎◎○○◎　キョウワスプレンダ
△△……△…△　…△×…△………　…　……………………　フォーカルポイント
○△▲▲○◎○　△◎○○▲◎×○　▲　▲○◎○○◎◎▲　アドマイヤビッグ
…………………　…△…………△…　…　……………………　トミケンウイナー
…………▲……　…………………△　△　△…………△…△　ジュレップ
…◎……………　………△…………　…　……×……………　トウショウナイト

ﾋﾞｯｸﾞ

父フサイチコンコルド
母フサイチエアデール
母父サンデーサイレンス

父　ハシルショウグン
母　チェリーコウマン

仔　ハシルコウマン

父フサイチコンコルド
母フサイチエアデール
母父サンデーサイレンス

父　ハシルショウグン
母　チェリーコウマン

仔　ハシルコウマン

父オグリキャップ
母ホーリックス

1早くカキコしる！

父　サッカーボーイ
母　シャトルフジ
母父　タイキシャトル

父コクサイトリプル
母チェリーコウマン

仔コウマンコクサイ

父：フサイチコンコルド　母：フサイチエアデール

【フサイチファルコン】

　「とぉとぉ、、、とおとおやってしまった・・」
「くそっ！！後藤の奴、、、」
3コーナーから4コーナーへとさしかかる。鞭を1発2発。
「結局オレは、後藤の手のひらで踊らされていた間抜けな騎手だった・・
　果たして自分に完全犯罪が成し遂げられるだろうか」
気持ちだけが空回り。ズルズルと後退していくフサイチファルコン。
手綱を握る手から湧き出る汗が生ぬるく、嫌な気持ちを一層かきたてた。

「せっかく先生がクラシックにと、僕に託してくれた馬なのにこのザマだ。
　これも、何もかもあいつのせいだ」
・・・もう我慢できなかった。ドーベルを馬鹿にするなんて！
「へへ、、ラッキーティンバで運良くＧＩ取らせてもらった吉田君。
　今日も朝から熱心に調教のお手伝いでちゅか〜」
美浦に照り指す朝陽は後藤の顔を、さらに狡猾に映し出す。
あいつは、いつものように女と朝帰りだった。
それなのにどうして、実力はいつもあいつの方が上なんだ・・・

　14着でゴールイン。ファルコンと共に引き上げてくる僕の顔を見て
先生は真っ青な顔をしている。まさか・・・
僕の第2の人生が始まろうとしていた。

（つづく

父：フサイチコンコルド　母：フサイチエアデール

【牡 フサイチファルコン】Vol.2

　「吉田。おまえ・・・」

覚悟はできている。、、といえば嘘になる。
しかし、この長い騎手人生のなかで、あいつと一緒のレールを歩むのは
もうこりごりだった。例えこの1日が巻き戻ろうとも、今日のように
機会が来れば、必ず同じ行動をとっていたと思う。
あいつは昔からアーモンドには目がなかった。
それがおまえにとって不幸の根源だったのだ。

　爽やかな容姿、そして先に大舞台でＧＩを取ってしまったことが
目立ちたがり屋の後藤には面白くなかったのであろう。
あいつもハンサムなことはハンサムなのだが、エラの貼っている骨格は狭量に見せた。
また、ジョッキールームの鏡からでたびたびエラを気にかけている姿は滑稽だった。
その仕打に、木刀で滅多打ちにしたことは世間を騒がせた。ただ、これはほんの序の口に過ぎない。
あぶみに細工をされ、あと少しで落馬しかけになったこともある。
レース中では、カメラの死角になる部分で執拗以上に電撃鞭を当ててきた。

　・・・先生の薄い髪はかすかに震えている。いつも以上に眩しく見えた。
もう秋のＧＩは残すところ有馬記念のみ。特に騎乗予定のない僕は
毎年のように、気楽に先生と新年を迎えるはずだった。

「おい、落鉄しているじゃないか。気が付かなかったのか」
ファルコンの足元を見遣る。だけど、そんな形跡は何ひとつ伺えない。
先生は静に僕の目を見て頷いた。まるで心のなかで呵責されているようだ・・

やれるのか、、完全犯罪を。
ファルコンは翌週の未勝利戦に連闘で挑む。

父：フサイチコンコルド　母：フサイチエアデール

【牡 フサイチファルコン】Vol.3

　ＧＩのファンファーレが中山競馬場にこだまする。
僕は1番人気のモノポライザーに跨っていた。武さんが先週、よもやの
騎乗停止処分を受け、なんと騎乗依頼がこの僕に舞い込んできたのだ。

歓声が地面を震えたたせる。
さぁ、直線。騎手の一番の見せ所だ。格好良く撮ってくれよぉ。
手ごたえは手綱を握る掌からこれ以上にないほど伝わってくる。勝てる！！
逃げねばるコスモディグニティを捕らえ、あとハントするのはゴール板だけだ。
後ろから足音は全く聞こえない。

残り１００ｍ、５０ｍ。独走だ。手綱さばきが冴え渡る。
・・・・・ん、。
痛い！？体中が賞味期限切れの牛乳を飲んだ時のように痺れる。
こ、これは。この感触は、、、まさか。　後藤の電撃鞭だ！！
すぐさま左側に顔をし向けた。
その視界に映ったのは、般若の形相で鞭を振るう、まぎれもない後藤本人だった。
口にはお土産だと偽ってプレゼントした、青酸カリ入りのアーモンドをくわえている。
リノリウムの地面に苦悶の表情でもだえ続けるやつの姿が脳裏を過ぎった。
「ゆるさんぞ・・・ゆるさんぞ・・・」

　僕は、汗でぐっしょりぬれたベッドの中から飛び起きた。
かすかに股間も生ぬるく湿りけを帯びている。
隣では、片手枕をして心配そうに見つめる先生の顔があった。
「もう後戻りできないんだ・・・」
僕は心の中で囁いた。

【牡 フサイチファルコン】Vol.4
　父：フサイチコンコルド　母：フサイチエアデール

　「うなされていたようだったが、悪い夢でも見たのか？」
僕は答えず、一滴の光を照らす豆球を何気なく見ていた。先生も察して
いることだろう。少しでも不安を取り除こうという気遣いが感じられる。
そんなやさしさが、逆に鬱陶しかったりするのだけれども。

　不本意なレースが続いていた。その中でもフサイチファルコンのレースを
直に見ていたオーナーは大目玉だったらしい。先生の顔を潰したくない。
母、エアデールを彷彿とさせる重心の低いパワフルな馬体。
とても見栄えのする漆黒の青毛。
前評判も高かっただけにこんなレースが続けばいずれ、それなりの制裁を
受けることだろう・・・
もしかすると、心の奥底では罰を受けて罪を償いたいのかもしれない。
良心と、これからも関係を続けていきたい欲求とが葛藤をしはじめていた。
先生はオーナーに土下座して謝っていた。腕に自信のある調教師を募集し
先進的な思想をもつことで有名な馬主だが、懐古的なところもあって
上手くいかないときは、本当にタチが悪い。
先生の背中は、いつになく哀愁を漂わせていた。
それが魅力的に映ってしまうのはどうしてなのだろうか。

　閑散とした荻窪の安ホテルの一室。
　「先生、次のレースは必ず勝つよ」
無理に稚気に装い、僕は先生の体に身を預けた。
老いても弾力のある肉体は、まるでノーザンテーストのように僕を包んでくれた。

>>96-99
ｲｲ!

　　　　　　　＿＿＿＿＿＿＿,　　　　　　　　
　　　 　　／　　　　　　　　　　　＼　　　　　　
　　　 　　|　　　__＿＿＿＿＿,,,＿ゝ　　　　　
　　　 　　|　　《 　　　　　　　　　|　　　　　　　
　　　　 　|　　| 　━━　　 ━━|　　　　　　　
　 　　　　|　　| 　ヽ ･ヽ　　|/ ･/l　　　　　　　　
　　 　 　ヽ　 ｌ 　 　 　 　 　|　　 |　　 ┌───────
　　　 　 　（ ~　　　　　　　」　 　|　　 │
　　　 　　　 |　 　 　 ,―――.　 ｌ　　＜.　良い肴が手に入りましたよ。
　　　　　 　.|ヽ　 　ー――'　 ／　　 .│ 山岡さん！
　　　　　 　|　 ＼＿＿＿＿丿 　 　 _│
　　＿＿／■＼＿＿＿＿|■＼　　 └───────　　　　　
／　　＼　 ■ヽ　　　　 / ■　　　ヽ──¬　　　　　　　

　　　　　＿＿＿＿,,,,,,,,,,,,,,,,､､､
　　　 ／　　　　　　　　　　　　）））
　　　/　　　　＿＿＿＿＿＿,,,ノ
　　　/　　　 ｌ　/　　　 ＼＼ヽ|）
　　　| 　　　|　''''''''''　　 　''''''''|
　　　| 　　　| ( 　･ )　　　( ･ )l
　　　| 　 　 ｌ　 　　　　　 ｌ　　|　　　┌───────
　　　| 　（ ~　 　　 　　　 _)　 |　　　│
　　　 | 　 |　 　 　 ,―――.　ｌ 　　＜　んんっ！！　これはうまい！！
　　　　ｌ　.|ヽ　 　　ー――' / 　 　 │ 一体これは何の肉だい？
　　　　ヾ |　 ＼＿＿＿＿ノ　　　　│
　 ＿＿／ヽ＼　　　　　　| ｌ＼._ 　 └───────
￣　　　　　λ ヽ　　　　 / .|

【牡６　ハシルコウマン】
父：ハシルショウグン　母：チェリーコウマン　母父：ｽﾌﾟﾚﾝﾃﾞｨﾄﾞﾓｰﾒﾝﾄ
生涯成績　（地方）５戦０勝

>>101
稀に見るヒット！ひどいけどﾜﾗﾀ！
さらに前スレ>>1も帰ってきてくれたら名スレ復活ってかんじなんだけどな。

【牝　シャトルヴィーナス】
父：サッカーボーイ　母：シャトルフジ（父：タイキシャトル）

　明日はあたしの輝かしい1ページを刻む、思い出のデビュー戦になるだろう。
橋口先生の厳しい坂路調教にも耐えて、これ以上にない仕上がりでむかえられる。
　「えへへ、がんばっちゃうぞ！
将来は、絶対プレンティ君のお嫁さんになるんだ。
明日は早いから、早めに寝よおっと、、、、Ｚｚｚ

あ、あれ、、、暑い・・・
どうしちゃったんだろう。体が焼けるように・・、これって夢？？　」


　どんどんどん！
「先生！！大変です！！！
　馬房が真っ赤に染まってます！！」
静寂に包まれた栗東の界隈で、そこだけケタタマしく玄関の扉を叩く音が
響きわたる。どこからか、サイレンも聞こえている・・・


生涯成績　０戦０勝　ファンの心の中で彼女は生き続ける、、

【牡１　ジュピター】 Vol.1
父：サルノキング　母：サンエイサンキュー（父：ダイナサンキュー）

　12の面を持つ、そのサイコロは7の部分だけが少し擦り減っている。
手の中でコロコロと弄びながら、共に事業をしている予想会社の社員と話を交わしていた。

「・・それでＴ原さん、今週の予想はどんなもんでっしゃろ」

どこにでもあるようなスチール机。そこにサイコロをやさしく転がした。
出目は、４と１０を示している。

「メインは４−１０だな。これは間違いない。オレを信じろ。絶対だ」

先方は困惑したような声を発した気もしたが、
そんなことわたしにはどうでも良かった。電源ボタンを勢いよく押し携帯を懐にしまう。

昔は一流の騎手だった。華のある誰もが実力を認めるカリスマ的存在である。
一度は栄光を手中に納めた。しかし、そのプレッシャーは相当なものだった。
次第にそのプレッシャーに耐えられなくなっていた自分は逃げた。そして壊れた・・・

　午後9時20分。事務所の明かりをすべて消し、どこかに飲みにいこうと一案する。
外に出てふと空を見上げると、明るすぎて何も見えないはずの都会の夜空に
サンサンと輝く一片の星を見た。いや、見たような気がしただけだった。

一瞬、騎手をしていた昔、人間のエゴによって翻弄された２頭の
サラブレッドを思い出す。
サルノキング。そしてもう一頭はサンエイサンキューである。

【牡１　ジュピター】　Vol.2
父：サルノキング　母：サンエイサンキュー（父：ダイナサンキュー）

　理想だけを追い求めていた。若造だった自分は何もかもが上手くいっていたし
ゆるぎない自信を築き上げていた。自分に酔っていた。
完勝で弥生賞を勝利したサルノキングの次走はスプリングＳである。
野心に燃えていたわたしは、仕上がりをみてみようと東の本郷調教師の元へ訪ねてみる。
空はまだ薄暗く、吐く息は白かった。ちょうど玄関から先生らしき影を認める。

　「はじめまして、もしよろしければキングの手綱を取らせてほしいのですが」
調教師が急遽、中村先生から橋本厩舎へ移動していたので、今日会うのが始めてだった。
その時は、そこに何が隠されていたかなんて、考えるよしもなかった。
　「あ、ちょうど良かったＴ原君、、、ちょっと話があったんだよ。こちらに来てくれるかい？」
私は強引に腕をとられて、生垣の影になる場所に連れられる。
傍らのトイレと思われる辺りから排便の匂いが鼻を掠める。

　「実はね。馬主さんの意向でね。スプリングＳでは抑えて競馬をしてくれないかって
依頼されたんだ。僕もね。そういった戦略もクラシック戦線を戦っていくうえで
良い経験になると思うんだ。
スピードの溢れたサルノキングに、その戦法は無茶としか言いようがなかった。
わたしの競馬信念にも反している。少し狡猾な顔をして返事をしてみた。

　「でも先生。サルノキングはスピードと気性のかった馬です。
無理におさえると、口を割って本来の実力が出せないのは目に見えてると思うのですが、、、」
　「な、なに！君！八百長をしろなんて言っているわけじゃないんだ。
お、おい。オレを怒らせるとどうなるかわかっているのか。騎手人生なんて儚いものだぞ！！」

ガサガサ、、
何か後ろポケットに紙切れのようなものを入れられた。
それを出して見てみると、明らかに合成だとわかるアイドル武田久美子のコラージュだった。
先生の顔は一面、桜色だった。若かった私も、胸がときめいた。
1週間早い春が2人の間に訪れていた。

【牡 フサイチファルコン】Vol.4
　父：フサイチコンコルド　母：フサイチエアデール

　12月5日。中山競馬場、今年最後の開催。
その日は、雨が降りそうで降らない曇天の1日だった。
体感の寒さはそれほど気にはならない。それよりも先生の艶やかな
頭部が、荒涼たる悲しみを、僕らに投げ掛けていた。
先生の頭部さえ見れば言葉という概念なんて意味のないものだ。
時代とともに変遷する人間のサガは、そこに集約されている。
「くそっ・・」
僕は、やり場のない怒りを側にいた田中さんにブツける。
鞭のしなる良い音がジョッキールームに勢いよく響きわたった。

　ファルコンの2戦目となるレースは今日の１Ｒ。ダート1200ｍ。
ファルコンにとって多少短い距離でもあったが、連闘ということもあって
先生はこのレースをチョイスした。こんなところで躓くような馬ではない。
そのことは自分も十二分に理解している。

パドックを周回する。
横断幕もデビュー戦と比べて減っていたが、それでも３つ４つ見に入る。
期待をかけられているのが否応ナシに伝わってくる、この瞬間。
周りを見渡して、手ごわいのはただ一頭だけだ。全走、僅差の2着に甘んじた
父、ポイントギヴンという超良血馬、ヒシムサシマル。
600キロあろうかと思わせる雄大な鹿毛の馬体は、後ろを歩く小柄な牝馬を
たじろがせている。その様子を見ると思わずイノシシを連想する。
「とまーれぇ〜」
号令がかかった。ファルコンもレースだと分かっているらしく、
良い気合のりを見せている。絶対に勝たなければいけない一戦だ。

ファルコンの耳元に軽くキスをして僕たちは本場場へと乗り込んでいった。

【牡 フサイチファルコン】Vol.6
　父：フサイチコンコルド　母：フサイチエアデール

　ただ一頭をマークしながらのレースだった。
好スタートを決め、手綱を少し抑えてムサシマルを先に行かせる。
その3馬身ほど前にも馬はいたのだが、どうせ直線で沈むことだろう。
ムサシマル以外、アウトオブガンテューだ。

出走馬のすべての牝馬はレースにさえならない。既に遥か後方。
歩いているようにも見える。それほどまでにムサシマルは全体にオーラを
発散させ、かつダイナミック。砂煙がモウモウと立ち上がる。
後ろを走っていた馬は目潰しを食らった状態になり、競争中止に終いやられていた。
ただし、その雄大な馬格が能力に繋がるかというとそういうわけでもなく、4本の
細い足で体を支えなければならないサラブレッドにとってはあまりにも大きすぎた。
直線に差し掛かる辺りでは早くも息が上がっている。
「これなら完勝だ。あとはどれだけ体力を消費させず勝たせるか・・」

　直線に入り、必死に押しているムサシマルを尻目に僕はタイタニックで
演ずるディカプリヲのように前方を見遣る。その時ハッとした。
先頭を走っていたその馬も手綱を抑えていたからだ。出鞭を入れて気合を付ける。
ファルコンのスピードが上がっているのは全身をなびかせる風が知らせてくれる。
しかし差は縮まらない。縮まる気配すら感じられない。このレースにもオーナーが
ファルコンを見に競馬場を訪れているから勝つのは絶対条件。負ければ降ろされる、、
「い、いったい何という馬なんだ・・・」
必死に見ようとするが、前が霞んでよく見えない。
そして、ゴール版を横切った。完敗だった。馬場を降り、僕は眉を8時20分にして、
ファルコンを2着の場所に待機させた。

先生が静にやってきた。

【牡 フサイチファルコン】　終
　父：フサイチコンコルド　母：フサイチエアデール

　僕はウイナーズサークルで両腕を空に上げている。
傍らでは、ポニーテールに髭面のイカツイ親父が苦虫を噛み
潰したかのように地面を睨み続けている。ファルコンに跨り
上から見下ろす親父のお腹は妊娠3ヶ月といったところだ。
険悪な雰囲気が場を覆う。

　「吉田、おいどこへ行くんだ。こっちだろうが」
先生は1着の馬を待機させる方向を指さしている。僕は困惑する。
たしかに前の馬を捕らえることはできなかったはずなのに・・
降着にでもなったのかな？
そのとき、体全体に電流が走った。前を走っていた馬・・
後ろしか見えなかったその姿は、たしか四角い顔だった・・

瞬刻、後ろを振り返る。
しかし、そこからは電光掲示板を見ることはできない。
急いでジョッキールームのホワイトボードに走った。
ファルコンの馬番は1着を示している。
1着と2着との間には8の文字が書かれていた。
圧勝だった。
だけど一生僕はあいつには勝てない、とその時悟ったのだ。

　それからのファルコンは馬主の意向で転厩することになった。
結局、クラシック前に故障し大成することはなかったけど、
僕の騎手人生の中に深く刻まれている。

生涯成績：14戦3勝　（ 主な勝鞍：中京日経賞 ）

【牡　オグリホーリックス】　Vol.1
　牡：オグリキャップ　牝：ホーリックス

　私は今、ニュージーランドの名もない牧場に来ている。
1年間滞在し、ようやく宛ての知れなかった1989年のジャパンカップ馬、
ホーリックスの所在を突き止めたのだ。世界レコードで駆け抜けた彼女の姿は
日本の競馬ファンを震えた足せた。当時、中学生だった私は、ホーリックスよりも
オグリキャップが名も知れない牝馬に負けたことに対して残念がったのを思い出す。

　月日が流れ、大学を出た私は好きだった競馬の仕事に携わった。
それも北海道の牧場で。
しかし現実と思い描いていた想像とは全くかけはなれたものだった。
私の働く「よさこい牧場」は、家族で経営する小さな牧場。
私がその牧場に来る前から、既に火の車だったらしい。
宮部みゆきが、もしこの牧場に取材に訪れれば、きっと『火車２』を出版するに
違いない。そう思わせるほど、経営は上手くいっていなかった。
そして私は最後の大博打を社長に提案された。
ジャパンカップ以降、いまいち消息の掴めなかったホーリックスを購入しよう
という経略だった。幸い大学時代、私は英文科で英語を学んでいたので
片言の英語は話すことができる。

　今、私の右ポケットにはなけなしの1億の小切手が収まっている。
目を瞑り落ち着こうと努力する。両手はかすかに震えていた。

父アドマイヤドン母ビリーヴ母父サンデーサイレンス

チェリーボーイ
父：ツルマルボーイ母：チェリーコウマン

【牝　Beliveの06】　Vol.1
　父：Admire Don　母：Believe　母父：Sunday Silence

　世界を震撼させた、あのドバイワールドカップから3年。
アドマイヤドンは再び日本の地に脚を踏み入れた。
世界に認められ、2000万ドルの破格のシンジゲートがアメリカで組まれ
日本を旅立った。しかし時代錯誤なのか、ノーザンテーストの系統の重さは
サイアーラインを隔てるごとに顕著に見られるようになっていた。
日本の生産地は悲鳴を上げていた。もっとパワフルな馬がほしいと。
ミスタープロスペクターのラインが欲しいのだと。
そして、ターントゥ系に愛称の良いミスタープロスペクターの需要が
急速に高まっていくなかで、アドマイヤドンは34億という高額な値で
日高グループによって買い戻されたのだった。

　その繋養されていたアメリカでドンが交配した一頭。
そこにビリーヴはいた。
ドンが日本に帰国してから2年後。まだ名前のないBeliveの06は
日本では生産できないと一瞬で察知してしまうほど、骨が太く皮膚は
弾けていた。ピチピチしていた。そして、その馬格からアンバランスに
思えてしまうほど、小さな顔をしている。

　ある記者はBeliveの06を見て、こう呟く。
「サラブレッドの進化系」と。

【牝　（市）チェリーボーイ】
　父：ツルマルボーイ　母：チェリーコウマン

　「社長。どうしてもチェリーボーイですか・・」
　「うむ」
いつも威厳に満ちた態度で社員たちから怖がられていた 社長も
さすがに今日のときだけは右頬だけ微かに釣りあがっていた。
馬をはじめてみないかと、馬主をやっていた取引先の会長に薦められ、
サラブレッドが売買されるトレーニングセールに出かけた時のことである。
そこで社長の見に留まったのが紛れもない、同馬である。
始めは買う気なんてない。付き合いだから仕方ない、と言っていたのに。

　「お、おい見てみろよ。チェリーコウマンだって。
.　 ある意味最強だな。ハハハ。」
助手のメガネの坂崎君は、笑ってよいのかわからずに頓狂な顔で
社長に曖昧な相槌を打っている。
「よし！この馬を買うぞ。父がツルマルボーイという名前だから、
　子供の名前はチェリーボーイで決まりだ。がははは。」
唾を辺りに撒き散らしながら馬鹿笑いをしている。いつもはあんなに
真面目なお方なのに、一体どうしてしまったのだろう。
これもチェリーコウマンという名前の魔力なのだろうか。
いや、オトコは誰でもそうなのだ。
くだらない下ネタを肴に、くだらない想像で性欲を満たそうとする。
きっと競馬を好む人間たちも、同じようにチェリーコウマンという名前だけで
あらゆる空想を組み立て、ほくそ笑んでいるに違いない。
そう思うと鳥肌がたつ。

　実を言うと秘書の私も馬名登録の書類を提出するまで、この馬が
メスであったことに気が付かなかった。馬名審査に通らなかったのは
言うまでもない。

【牡　オグリホーリックス】　Vol.2
　父：オグリキャップ　母：ホーリックス

　私はなかなかはじめの一歩を踏み出せずにいた。
その場に躊躇して1時間ほど経過しただろうか。突然、後ろから幼い声が掛かった。
「お兄さん。こんなところで何してるの？（英語）」
後ろを振り向くと、12歳くらいの金髪で目、鼻、口がメリハリのついた
少女が佇んでいる。たじろぐ私を訝しげにグリーンの目で見ている。
変な人に思われてはならない、私は少女に事情を噛み砕いて説明した。
　「そう。パパなら今、家で事務をしてるけど、お兄さんの願いは
　　叶えられないと思うよ。」
　「そんなこと、話してみないとわからないじゃないか」
この世のことすべて悟ったような顔つきで語られて、一回り年齢が上の
私は少し腹がたった。

　「わかるよ。ホーリックスなんて馬は最初から存在しないんだから。
　　ふふふ・・・」
最初は既に死んでしまったのかと思い、ドキッとした。
少しムッとした私は少女を置いて牧場の中へと歩いていく。
「なんとしてでも、ホーリックスを日本に持ち帰り社長の喜ばせてあげたい」
心の中で何度も反芻し、やがて事務所と思われる建物を見つけ玄関の扉を叩いた。

それにしても牧場らしく広大で、大きく柵が周りを囲っているのに馬が1頭も見えない。
なんとなくその牧場は寂れているように感じ、不安が一層つのっていた。

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