ゴウハラマジック【今日も誰かにゴ(25)ドバイス】

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143ゴと生きるということ
最初は軽い気持ちだったんだ。
お、あいつの息子か、複勝でも買ってやるかな。

それが始まりだった。

おい、あの馬の上でフレンチカンカンを踊ってる陽気な奴は誰なんだ?
あーそーなの、彼がねー・・・・・・
よー、世界中のレース規則に縛られず一人だけ馬を斜めタテ横横斜めに走らせてるのは?
・・・へー、彼なのねー・・・・

そこから私の競馬が変わった。

私は魅入られたようにその一人の騎手を買いつづけるようになった。
足のつめを切った後その臭いを嗅がずにはおれないように、クツについたウンコの臭いを
確かめるように、かんだ水っ洟を必ずみてしまうように・・・・
男の馬券を買いつづけた。

まず、女房と子供がいなくなった。

144ゴと生きるということ:03/10/19 23:35 ID:BJk0o0zD
私の病は深く、激しく進行していた。

その男の馬券だけでなく、その男と関わった馬、厩舎、その男の臭いのするものは
全て購入しないと気がすまなくなってしまっていた。

会社をリストラされた。

親の土地を担保にいれてその男の馬券を買いつづけたのがばれて、親と故郷を失った。

それでも私はその男絡みの馬券を買いつづけた。
馬券が見返りをくれる事は殆どなかった。0といっていいかももしれない。
神が、キリストに罰を与えるかのように、お金は返ってこなかった。

夢を見た。

その男が鞍上から私を見下ろしながら高らかに笑ってこういった。
「そう。それが俺と生きるということ。ゴ主義。」

鞍上の男は決めていたが、馬に合わせてフレンチ・カンカンを踊っていた。

私と鞍上の男の横を、たくさんの馬と騎手、歓声が通り抜けていった。
ああ。今日は秋華賞だったのか。
とっくに私には関係のないものだ。

わたしは、これからも男の馬券を買いつづけるだろう。
それが、ゴと一緒に生きるということだから。