【泣かせろ】・゚・(ノД`)・゚・キーストンよりイイ話【酒の肴】

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589名無しさん@お馬で人生アウト
大人たちに不良と呼ばれる学生がいる。
 でも本当のそいつは、街角で捨てられ、雨でビショ濡れになっている
小犬をやさしく抱き寄せて、学生服の胸の中に入れてやるようないい
奴なのに・・・・。
 綺麗な瞳。純粋な心。素直な気持ち。あまりにもまっすぐ過ぎるがゆえに
曲がってしまう・・。
 リードホーユー。あいつはそんな奴だった。
 そんなあいつに一度だけ騎乗したことがある。木枯らしの吹く冬の中山
競馬場だった。
 「おいっ、好きなように走ってみろよ・・・。右に行きたければ右に、左に
行きたければ左に・・・・好きな方に行っていいんだぜ・・・・」
 レースはずっとあいつにまかせたままだった。ゲートが開いてから、あいつの
好きなように走ってもらった。オレヶあいつに無理をきいてもらったのは
最後の300メートル。たったそれだけだった。
 一番でゴールの飛び込んだあいつは、
 「こんなにオレのことを信用していたのか・・・・」とチラッとオレの方を振り返った。
 「別に・・・・」
 馬上で大きく手を振っているオレにあいつは
「学生のころ、捨て犬を拾ったご褒美さ」
 そう言ってくれているような気がした。
 最初で最後のあいつとの会話。それがオレのビッグレース初勝利、
第28回の有馬記念だった。