焼き肉チェーン店「焼肉酒家(さかや)えびす」の集団食中毒事件で、横浜市保健所は16日、
横浜若草台店(横浜市)から持ち帰ったユッケ用もも肉から大腸菌O(オー)111が検出された、
と発表した。厚生労働省によると、患者の便からO111は検出されていたが、肉から出たのは
初めて。汚染食材はユッケ用もも肉の疑いが一層強まった。
富山県警などの合同捜査本部は、えびすや肉の販売元の大和屋商店(東京都板橋区)などを
捜索。しかし、押収した食材や調理器具から菌は検出されていない。また、感染者が食べた肉は
すべて消費されていた。このため、大和屋商店が卸したユッケ用もも肉が、食中毒の原因と断定
されていない。
横浜市保健所などは、えびすの神奈川県内の4店を調査。横浜若草台店の利用者で食中毒の
症状を訴えた人はいなかったが、大和屋商店から購入し、同店の冷蔵庫に保管されていた
ユッケ用もも肉のブロックから、今月9日に菌が検出された。ブロックはパックされており未開封。
同店に納入される前に汚染された可能性が高いという。今後、富山県と調整し、患者の検便で
検出された菌と遺伝子の型が一致するか調査する方針。
また、同保健所は、横浜上白根店(横浜市)を利用した20代の男性から検出した腸管出血性
大腸菌O157の遺伝子型が、富山県の患者から検出された菌と同一だったと発表した。
同保健所は、男性に同行し、O111による食中毒症状で入院している女性の発症原因を同店と
断定し、営業禁止処分とした。
富山県では、系列店を利用した多くの患者の便からO111やO157が検出されている。
男性は4月19日に同店を利用。同行した19歳の女性がO111による溶血性尿毒症症候群と
診断された。富山県生活衛生課によると、同県砺波市の砺波店で食事し、5月4日に死亡した
43歳の女性は、血液検査の結果、O111の抗体反応があったことがわかった。これで富山と
福井両県の死者4人全員がO111に感染していたことになる。