オペラ・クラシックスを歌う人のスレ

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母音・子音などの言語体系や民族的な骨格構成の違いから
ベル・カント唱法は鼻腔共鳴がドイツ唱法は咽頭腔共鳴がより強調されるものの
発声の基本はなんら変わらないという記述をどこかで読んだ憶えがあります
要はより明るいかより暗いかという声区融合バランスの違いですかね
呼吸に腹部をへこませる方式と膨らませる方式があるのも流派等による戦略の違いだとか

一種の科学信仰みたいな科学的発声理論の要求はあるんだろうけれど
スポーツと同じように科学理論にもとづきトレーニングをすれば必ず上達するというわけでもないし
たとえ理想的な発声理論が存在してもトレーニングから感覚的部分はなくならないと思うな
まして歌唱に関する発声の科学理論なんて当分確立されそうな気配もないんだし

喉頭原音を入力として声道というフィルタを通した後の出力が声
というあまりにも単純なモデルでは歌唱における声を説明することは到底できないし
声は共鳴腔だけでなく骨格や筋肉も共振させるから呼吸筋などの緊張が変化すれば声は変わるし
声帯の音源波形は声門下圧だけでなく声道形の影響も受けるけれど
さらに喉頭懸垂の違いによっても大きく変化するからモデル化するには変数が多すぎるんだよね
モデル化するにしてもサンプルは理想的な発声に近い歌手でなければ意味がないだろうから
サンプルとしてどのような歌手を抽出するかという基準も判断が難しそうだし

科学にあまり期待できない現状では上手い人の歌い方に倣うしかないということになるけれど
発声はほとんど目に見えないのでスポーツのように人のやり方を見てまねるということも難しく
必然的に表現の難しい身体感覚やイメージを表現した言葉に頼らざるをえなくなり
実験科学的なスポーツトレーニング以上に理論よりもイメージがより重要となって
結局は感覚とかセンスの問題に行くついてしまうんじゃないかと思う

科学的と言われるフースラーの『うたうこと』にしてもアンザッツはじめ本質は感覚的なものだし
医師としての解剖学的知識だけでなく歌唱経験があったからこそ素晴らしい本になったのであって
歌唱経験のない科学者には絶対に書けない本だと思うな

そういう感覚的なものを磨くには体に覚え込ませるべく練習あるのみで
発声トレーニングとは体育会系的なんだよね