世の中まだまだ捨てたものではないと思ったこと

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643おさかなくわえた名無しさん
 家族でお出かけ中、4つ違いの妹(当時小学生)がビタン!と転倒、泣き叫ぶ
妹を親父は抱き起こし、泣きやむまでおぶって歩いた。
 厳しい親父だったし、俺はそんな事してもらった事はなかった。小坊だった俺
はその場では文句も言えず、後で母親に「ずるい…」とか拗ねてみせた覚えがあ
る。
 それから十余年、俺が一九の時に親父が胃ガンになった。告知はしていなかっ
たが親父は自分の病状に気づいている様子。見舞いに行ったある日、親父は俺に
こう言った。
 「10歳の時、○子(妹)が転んだ事、覚えてるか?」
 「うん」
 「母さんから聞いた。悪かったと思ってる。でもな」
 「今更何だよ」
 「○子は優しく育って欲しいから助けた。おまえは強く育って欲しいから
  放っておいたんだよ」
 「・・・・」
泣いちゃいけないと思いながら、泣けて仕方なかったよ。