百年の恋も冷めた瞬間！95年目

元彼氏が木村拓哉の大ファンだった。

付き合ってしばらくして「引く？」と打ち明けられた。
「そんなことじゃ引かないよ。」と返すとすごく喜んでくれて、私も嬉しくなった。

それから彼との会話に頻繁にキムタクの話が入るようになり、
ある日突然「Maybe…？」と言われた。

意味が分からず戸惑っていると「そこはMust be!って返すんだろ！」と大激怒
どうやらキムタク主演ドラマの有名なセリフらしく、
「俺の彼女なら俺の好きな人のドラマくらいDVD借りてきてチェックしろよ！」と説教された

戸惑いつつも、でも自分の好きな芸能人の話を恋人としたいという気持ちも分かったから、
その日からキムタクについて猛勉強した。

ファンサイトを読み漁り、主演のドラマを全部借りてきて、ラジオも聞き、
TVはもちろん、雑誌もチェック。

でもそこで段々と気付いた。

彼の洋服や選ぶもの・お店などは、全てキムタクがハマってると言ったものばかりで、
今まで彼が言っていた事（価値観・考え方）は、
全てキムタクが色んな媒体で言ってたことと丸々同じだということに。

私に言ってくれた告白のセリフも甘い言葉もキスの仕方も、
全てドラマで言ったことや、やったシチュエーションばかり。
よくよく思い返すと喋り方もいわゆる「キムタク喋り」。

完全に木村拓哉のコピー人間だった。
しかも彼自身の趣味嗜好はどこにあるの？というくらいのレベルで。

猛勉強のお陰で彼との会話が充実したが、私は工藤静香にはなれないと思い冷めた。