事故で重傷を負い、意識不明状態に陥った男性。
彼は夢の中で、かつて自らが空想し創作した黒歴史厨二病ワールドに迷い込んでいた。
そこは超常的な特殊能力を持った正義の味方や悪の手先が日常的に激しい戦闘を繰り広げる世界。
そんな弱肉強食の犯罪都市にポンと放り込まれた男性だったが、在りし日の空想とは異なり何の能力も持たない一般人として世界に存在していた。
強力な能力を持った主人公の視点で空想していた頃と違い、相応に年齢と経験を積み、社会人となった彼の前には様々な世界の暗部が映し出された。
理不尽な暴力によって、眼前で弱者が傷つけられていく様子。
貧困と無法がただ生きていくだけの事さえも困難にしてしまう現実(夢だけど)。
人々を救う力を持った強力な能力者たちは「ふっ…」とか「興味ないね」「関係ないね」「弱い奴は勝手に死ね」と大半が惨状に見向きもしない有様。
理不尽に強い憤りを覚えるも、しかし悪党や社会不安に立ち向かう力は残念ながら今の彼には無かった。
そして無力を噛み締めて立ち尽くす彼の背後に暴力の魔の手は突然迫る!!
「Dクラスの攻撃型能力」
それはザコ中のザコとして設定された最弱の部類の能力者による襲撃だったが、何の能力も持たない一般人には十分致命的な攻撃だった。
滞在していたスラム街は一瞬にして炎と瓦礫に包まれ、そこに暮らす人々は為すすべなく殺されていく。
(誰か助けてくれ…正義は…この世界に正義はいないのかっ!?)
燃え盛る都市の残骸の中、(夢の中だけど)死を覚悟して目を閉じた瞬間に彼の前に現れたのは