あれは、俺が幼稚園児の頃だった。
我が家では常用玩具のことをめんめ号と呼んでいた。
そのめんめ号が酷使の末ボロボロになった夏、兄貴と花火をやっていた。
そして、西部警察ごっこと称してめんめ号のハンドルやらいろいろなところに花火を差し込んだ。
兄貴も面白がっていた。
当然ながら常用玩具はプラスチックの塊ゆえ、めんめ号はあっけなく着火。
だが親からいい加減捨てろと言われてた代物だから惜しげはないし、傍に兄貴がいるからと安心しきっていた。
そんな時、ドラえもんが始まると母ちゃんが告げた。
すると兄貴は、無常にも激しく燃え盛るめんめ号の消火を俺に命じ、ドラえもんを見に戻ってしまった。
俺は取り残された恐怖を堪えながらホースに飛びつき蛇口を捻った。
泣きながら、ふぁいやあぁぁぁぁ! と叫んでいた記憶がある。
燃え盛るめんめ号に水をぶっ掛けると、天ぷら火災と同様の原理によるものか巨大な火柱が上がった。
あの時は死ぬかと思った。
自分でまいた種は自分で刈るということを学んだ5歳の夏であった。
なお、こんなことがあっても仲のよい悪ガキな兄弟であったりする