ありえないシチュエーション Take2

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593おさかなくわえた名無しさん:04/12/05 00:21:31 ID:db5qhe6u
格調高いバカ。
594 ◆RqNaD.YxEA :04/12/05 23:20:47 ID:vf6antZV
教科書がない。
登校して自分の席に着いた私は机の中がカラッポになっている事に気がついた。
もしかするとと思いロッカーを調べると、案の定体育着とブルマも消えていた。
周りから嘲笑が聞こえてきた。声の主を探そうと教室中を見回すと、皆が皆私と
視線をそらした。
手が小刻みに震えだす。これはかなり不味い状態だ。きっかけは何なのか分から
ないが、おおよその見当はつく。おそらく私の悪口で盛り上がったクラスメート
達が、むかつくからイジメよう、と決めたのだろう。多分その程度のノリだ。な
んにしろ私は最悪の立場に立たされようとしている。
どうする?どうすればいい?このまま何もなかった事にする?いや、それは一番
不味い。相手は調子に乗ってエスカレートしてくるだろう。
相手を思いやれば人間関係はうまくいく。嘘っぱちだ。協調性。糞喰らえだ。そ
んなものだけでやっていける程私たちの世界は上等ではない。もっと下品でくだ
らないものだ。真理はシンプル。――舐められたら負け。
「うらぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああ!!!!!」
私は雄たけびをあげながら机を投げ飛ばした。
「教科書がねぇ!ぶっ殺すぞ!おまえらぁぁぁああああああ!!!」
机を次々と投げ飛ばす私を恐れ、皆が悲鳴をあげながら教室から逃げていく。
凡人は「ねぇ、私の教科書がないんだけど」とクラス中に聞こえる声でややキレ
気味に言うのがやっとだろう。だが私は違う。殺す気で行く。
「うらぁぁぁぁああ!!!かかってこいやぁぁぁああああ!!!」
窓ガラスを次々と割る私に親友のユミが声を掛けた。
「あやっぺ!大変な事になってるよ!女子トイレの前に張り紙があってさ…そこ
 にあんたの事が…」
あやっぺとは私の事である。彩だからあやっぺ。人を小馬鹿にするようなこのニ
ックネームには以前からムカついていたのでいい機会だから止めさせようかとも
思ったが、とりあえず張り紙の方が気になるのでスルーする。
「張り紙?なんなのそれ?怪文書?」
「いいから来なよ」
595 ◆RqNaD.YxEA :04/12/05 23:21:40 ID:vf6antZV
私はユミに連れられ廊下に出た。女子トイレの前には人垣ができていた。
どうせくだらない悪口が書いてあるのだろう。誰にでもヤラせる尻軽女。援交や
ってて値段は5万円。担任教師と寝て内申書に手心を加えてもらい大学は推薦枠
で入学するつもり。おそらくそんな感じだ。だんだん馬鹿らしくなってきた。
「は〜い!どいた!どいた!」
そう言いながら私は人込みを掻き分けた。
『1年B組のあやっぺは処女』張り紙にはそう書いてあった。
「なんじゃこりゃぁぁぁぁあああああ!!!!!」
私は泣きながら張り紙を剥がし、執拗に細かく破いてから紙吹雪にして廊下にば
ら撒いた。
「嘘だからね!これ、嘘だからね!」
私の声は誰にも届かない。
――あやっぺって結構遊びとか分かってる奴だと思ってたのにガッカリ。
――なぁんだぁ。見かけだけかぁ。前から糞真面目なとこあると思ってたのよね。
等のヒソヒソ話が聞こえてくる。普段はビビって目も合わそうとしないキモオタ
達が「萌え〜」と呟きながら私を凝視していた。
不味い。これは不味い。最悪だ。
596 ◆RqNaD.YxEA :04/12/05 23:22:02 ID:vf6antZV
ユミが恐る恐る私に聞いてきた。
「ねぇ、あやっぺ。初体験は小3で、相手は横須賀米軍基地のエリート空軍パイ
 ロットって言ってたじゃない…。あれって嘘だったの?」
「嘘じゃない。嘘じゃないよ。彼の名はボブ。アフリカ系アメリカ人。本国には
 妻と3人の子供がいる素敵なパパよ。本当よ。嘘じゃない」
嘘である。真っ赤な嘘である。私はバリバリの処女である。フォークダンスの時
に男の子の手を握るだけで赤面してしまうほどの純な乙女である。しかし、その
事を周囲に知られては駄目だ。碌に遊びもできないつまらない女だと思われてし
まう。私は重ねるように「嘘じゃない」と叫び続けた。
信じてもらえなかった。ユミは疑いの目を向けたまま更なる質問をしてきた。
「あのさぁ、男の人のアソコってどんな形?」
「星型?」
うっかり質問に質問で返してしまった。しかも間違えたらしい。周囲の空気が凍
りついてる。どうすればいい?
「私は淫乱だ!!!!!」
渾身の叫びもスルーされた。私が学校を自主退学したのは翌日の事だ。
597おさかなくわえた名無しさん:04/12/06 01:46:34 ID:I18pET7P
598おさかなくわえた名無しさん:04/12/06 03:40:54 ID:1QgL3dNn
5年位前の話だけど。友達の彼氏と浮気してて、
(因みに2人はアパートで同棲してるんだけど)
友達がバイトでいない時に彼にアパートに呼ばれて行った。
事を終えて裸でマターリしてたら彼の携帯が鳴って、友達のバイトがキャンセルになり帰っててくる事に・・・
アパートからバイト先までは徒歩15分。もちろん間に合わなかったけど。
あん時ゃ、かなり焦った。
自分の中では「ありえないシュチュエーション」だった。
ってか「修羅場」だった。
599おさかなくわえた名無しさん:04/12/06 23:30:29 ID:b9CsXxQB
アパートの窓枠にぶら下がって隠れてれば修羅場にならずにすんだものを…
600おさかなくわえた名無しさん:04/12/07 03:13:51 ID:8WtVfRsW
素っ裸でかw
彼氏がちゃんとしてたらなぁ。
たとえば「近くのコンビニのいるからおまえも来いよ」
とか言ってそのすきにおまいが逃げるとか。
601おさかなくわえた名無しさん:04/12/07 06:47:28 ID:oTsP4qZA
間に合わなかったのは友人の帰宅だよね?
602 ◆RqNaD.YxEA :04/12/08 23:06:05 ID:ujEUX/5F
ぼくが幼稚園から帰って来て、虫キングのカードを買おうと思ったからスーパーマーケット(イトーヨカー
ドーじゃないよ!平和堂だよ!)に向かって家から出たら、隣の家の前に男の人がうずくまっ
て鍵穴を道具で弄っていたから「こら!お前泥棒だろ!悪い奴だな!」と怒りました。
泥棒は「うん。泥棒だ」と言ったから、やっぱり泥棒なんだなぁと思いました。
「お前、泥棒はやめろよ」とぼくが怒鳴ると、泥棒は「なんで?」って聞いたから、
「悪い事だからだよ」と教えてあげたら、泥棒は「なんで泥棒したらいけないの?」って聞いてきました。
「お母さんも幼稚園の先生も悪いことだって言ったよ!お前は馬鹿か!」と教えてあげたら、
「お母さんと幼稚園の先生が悪いことって言ったら本当に悪いことなの?」って言われたので、ぼく
は凄く困りました。一生懸命考えて「人のものを取る事は悪い事だ。人が悲しむ事をしたらいけないんだ」
と言うと「世の中は弱肉強食なんだよ」と言われたから、「意味がわからない。お前は馬鹿か!」と聞いた
ら「大人はみんな他人の財産を奪い合って生きているんだよ」と言われました。
ぼくが「お前、馬鹿だろ?」と言ったら泥棒は「日本で一番偉い人は誰?」って逆に聞いてきて、
「パイロット」ってぼくが答えたら「ぶっぶー!政治家だよ」って言ったから「ボケたんだよ。空気読めよ」
って言い返しました。
603 ◆RqNaD.YxEA :04/12/08 23:06:46 ID:ujEUX/5F
泥棒は「政治家は何やってる人」って言って、ぼくは「がんばってる人」って答えたら、
泥棒は「汚職をしてる人だよ」って教えてくれました。
「汚職って何?」って聞くと、それはとても悪い事だと教えてくれました。
泥棒は「とても悪い事をやってる政治家が日本で一番偉いんだよ。だから悪い事をする人間は偉いんだよ」
って教えてくれたから、ぼくは「あーそうか。でもそれくらい知ってたよ」って言いました。
「でも、どうして政治家は悪い事をするの?」って聞いたら、
「お金のためだよ。世の中で一番大事なのはお金なんだよ」って言ったから、
「違うよ。愛だよ」って教えてあげると、泥棒は目から一筋の涙を流して「そんなもの実在しないんだよ」
って言いました。とても綺麗な涙だったから本当の事なんだと思います。
ぼくは泥棒さんにお別れを言ってスーパーに向かいました。今日は色々大切な事を勉強した気がします。
ぼくは大人になったらお金をたくさん手に入れる悪い奴になろうと心に誓いました。
604 ◆RqNaD.YxEA :04/12/08 23:26:43 ID:ujEUX/5F
連続カキコ上等
605 ◆RqNaD.YxEA :04/12/08 23:27:29 ID:ujEUX/5F
応接室で待たせていたフリーのパパラッチと名乗る男は編集長である私が入室し
ても椅子から腰をあげなかった。少しばかり頭にきたが、顔には出さずに向かい
の席に座った。ささいな諍いでトクダネをふいにしたくない。
「待たせたね。それで、電話で話していたスクープとは何だい?」
男は返事の変わりに1枚の写真を机の上に置いた。写真には丸々と太った男が写っ
ていた。ポーク山崎。好感度No.1のデブタレントである。
ポークが角界から芸能界に移籍したのは3年前。その後、語尾に「ブー」をつける
独特のトークでお茶の間の人気を鷲掴みにしていった。昨年には彼出演の「アフリ
カ難民救済募金」のCMが賞に輝いた。飢えで今にも死にそうなアフリカの子供た
ちを完全無視して焼肉を食いまくるポーク山崎のCMは、発展途上国と飽食日本の
格差を的確に表現した名作だと各界から高い評価を得ている。
「ポーク山崎か…。それで彼がどうしたんだ?この写真だけでは分からないんだが」
男は黙って2枚目の写真を出した。クイズ番組のパネラー席に座るポーク。回答し
ながらオムライスを食べている。
「お茶の間に流れている光景じゃないか。これがどうした」
これはポークの芸風である。「いつもモリモリ食べてるブー。腹減ったブー」が彼
の口癖でありキャッチフレーズだ。
男は3枚目を出した。セットの横でバケツに嘔吐するポークの写真。食べた物を全
て吐いているようだ。私は笑った。
606 ◆RqNaD.YxEA :04/12/08 23:27:50 ID:ujEUX/5F
「ひょっとしてこれがスクープかい?底なしに飯を食う事を売りにしているポーク
 だが実は小食だった。これがスクープ?…君ねぇ、そんな事はまっとうな業界人
 なら皆知ってることだよ。なのに何故この世界の人間がその事をスクープにしな
 いか分かるか?みんな、彼の事が好きだからさ。ポークは太るために血が滲むよ
 うな努力をしてる。成人病など恐れずに吐きながらでも喰いまくってる。その姿
 にみなが心を打たれているんだ。彼は脳下垂体の病気のおかげで楽して太ってい
 るその辺のデブタレントとは違う。尊敬に値するデブだ。さぁ、もう分かったろ。
 私にそのネタを買う気はない。帰ってくれ」
男は4枚目を出した。恋人らしき人物に寄り添いホテルに入っていくポーク。これ
は紛れもないスクープだった。掲載すれば雑誌の売れ行きは飛躍的に伸びるだろう。
問題は、その恋人らしき男が私だという事である。
「そのネタいくらですか?」
私は満面の笑みを浮かべた。
607おさかなくわえた名無しさん:04/12/09 08:57:59 ID:N0qTr9bu
>◆RqNaD.YxEA

アンタ最高だよ
今後も期待するさ
608おさかなくわえた名無しさん:04/12/09 09:40:39 ID:2ICh4R8l
針がふりきれないような、もどかしさを感じる。
609 ◆RqNaD.YxEA :04/12/09 21:24:14 ID:Salj5DVH
パンをくわえながら通学路を走る美少女と曲がり角で激突。
美少女「いったぁ。気をつけてよ」
俺「お前こそ」
美少女「あ…遅刻、遅刻」
走り去る彼女とはもう2度と会うことはないと思われたが、
なんと転校生として俺のクラスにやってきた。
転校生「あ!あんた…」
俺「お前は!」
先生「なんだ。お前ら知り合いか。だったら席は隣がいいな。君、彼の隣に座って」
転校生「…これからよろしくね」
俺「おう」
610 ◆RqNaD.YxEA :04/12/09 21:24:42 ID:Salj5DVH
ありえない。人はそう言うだろう。しかし俺はその言葉が嫌いだ。全ての可能性を否定する
言葉。あきらめの言葉。そもそも、上記のシチュエーションは実際に起きえないのだろうか?
このシチュエーションの具現化を妨げる大きな要因は以下の3点と考えられる。
1.自分のクラスに美少女が転校してこない。容姿に関わらず転校生そのものが少ない。
2.転校生は初日からそうそう遅刻しそうにはならない。
3.パンをくわえて走る学生など見たこともない。
「曲がり角で激突」に関しては自分からぶつかればいいので要因には入れないでおく。
さて、とどのつまりありえないシチュエーションとやらを具現化するにはこれらの問題点を解
決してやればいいのである。
まず、1である。「美少女が転校して来ない」来ないなら転校せざるをえない状況にしてやれ
ばいい。
俺は深夜他校に忍び込み美少女の教科書・体操服・ブルマを盗み、目立つところにターゲット
を誹謗中傷する張り紙をした。翌日登校したターゲットは私物が無くなった事と怪文書のせい
で精神的に追い込まれる。怪文書の内容を真に受けた単細胞達は追い討ちをかけるように彼女
を中傷しだすだろう。結果、彼女は転校を決意する。
そんなに上手くいくはずがない、とみな思うだろう。確かにちょっとした嫌がらせくらいで学
校を辞める人間はそうそう多くないし、張り紙を真に受ける単細胞もそうはいない。うまく転
んでターゲットが学校を自主退学したとしても、別の高校に転校するとは限らない。たとえ転
校を希望したとしても、自分の学校に転校してくるとは限らない。穴だらけである。
だが、ターゲットを100人に増やせばどうだろうか?ようは美少女転校生だったら誰でもい
いのである。100人のうち1人でも、学校をやめ、転校を決意し、俺の通う学校に転校して
くれば問題はクリアなのだ。実際に俺は自分の学校の通学圏内にある全ての学校の美少女に嫌
がらせを行った。その成果があって、1人が我が校に転校してくる事となった。
611 ◆RqNaD.YxEA :04/12/09 21:25:15 ID:Salj5DVH
次は2の問題だ。「転校生が初日から遅刻する?」これは比較的簡単な問題。登校初日の前日
転校生の家にピッキング技術を駆使して進入し、冷蔵庫のありとあらゆる飲食物に睡眠薬を混
入させる。これで彼女の家族は全員寝坊である。後は、遅刻するかしないか微妙な時間を見計
らい、セールスマンを装って彼女の家に電話をかければ、それがモーニングコール代わりにな
るわけだ。実際に彼女の家へ侵入した際、近所の子供に見つかるといったトラブルに見舞われ
たが、生来子供には好かれる性質なので見逃してもらえ、何事も無く目的を遂行することが出
来た。
さて、1番の難問ともいえる3である。「パンをくわえて走る学生などいない」これには頭を
悩まされた。色々と考えた結果、マスコミを動かす事にした。マスコミに「パンをくわえて走
るのがトレンディ」と書きたててもらえば、流行に敏感な女子高生はその通りにするだろう。
俺は某大手雑誌の編集長の身辺を執拗に洗い出し、彼がデブタレントと肉体関係にある事実を
突き止めた。この弱みをネタに彼を脅し、雑誌に「パンをくわえて走って登校!大流行!」と
いった記事を何度も何度も掲載してもらった。その効果は覿面で、今では街中にパンをくわえ
て走る女子高生が溢れている。
とりあえずこれで全ての問題はクリアしたが、念には念を入れている。まず、遅刻しそうな転
校生を彼女の家族が車で送るかもしれない。そうならないよう昨晩、車のタイヤには穴を開け
ておいた。
次に、パンの問題だ。いくら女子高生の間で流行っているとはいえ当日彼女の家に食パンがな
いかもしれない。仮にあったとしてもくわえていかないかもしれない。そこで彼女の自宅の真
ん前に出張パン屋さんをスタンバイさせておいた。パン屋に開店無料セールの食パンを手渡さ
れたら、くわえるに違いない。
ちなみにそのパン屋の屋台であるワゴン車は近くのレンタカー屋で昨日借りたものだ。勝手に
パン屋らしくペインティングさせてもらったが構わないだろう。
パン屋役は近くの公園を寝床にする元高校教師のホームレスにお願いした。彼の打ち明け話に
適当に相槌を打った後500円をあげたら何でも言う事を聞いてくる事になった。大いに助か
っている。さて、これで準備は万全である。計画に落ち度は無い。
612 ◆RqNaD.YxEA :04/12/09 21:25:50 ID:Salj5DVH
つい先ほど「上質の御影石で造られた最高級の墓石はいかがですか?」といった内容のさわや
かなモーニングコールをかけた。あとは転校生が走ってくるのを待つだけである。激突予定地
点でスタンバイしている俺はミラーを注意深く見ながら大きく深呼吸した。その時携帯が鳴っ
た。公衆電話。ホームレスの斉藤さんだ。
「もしもし。斉藤さん。どうかしました?」
「あ…う…パン…渡したんだけど…。あの子…く…車で……」
は?車は使えない筈だろう。俺は慌てて彼女が走ってくるはずの通学路を覗いた。彼女がやっ
てくる。口にはパンをくわえている。しかしBMWの後部座席に座っている。俺は自分の計画
が破綻した事に気づいた。レンタカーだ。彼女の母親が家の近所にあるレンタカー屋で車を借
りたのだ。畜生!どうすればいい!
俺は車の前に飛び出した。もういい!車と正面衝突だ!死んでやる!
そう覚悟を決めた時、ありえない事が起こった。眼前まで迫ったBMWが真っ二つに割れた。
車の前半分・後ろ半分が俺の両脇をすり抜けていく。何が起こったのか分からなかった。数秒
後に理解できた。あのBMW…ニコイチか?それが俺の目の前でたまたま二つに割れた…。
呆然とする俺の頭上で女の子の悲鳴が聞こえた。見上げると、パンをくわえた転校生が降って
来た。車が分断した時の衝撃で後部座席に座っていた彼女は弾き飛ばされたのだ。
激しくぶつかり合った俺と転校生はアスファルトの上に転がった。
「いったぁ。気をつけてよ」彼女が痛そうに頭を抑えながら文句を言った。
「お前こそ」負けず嫌いな俺は反射的にそう言い返した。
彼女は急に我にかえったような顔をして立ち上がった。
「あ…遅刻、遅刻」そう言って学校へと走っていく。前半分だけのBMWに座った血塗れの母
親などこの世には存在しないかのように軽やか駆けていく彼女の後姿を俺はただただ見つめて
いた。
613 ◆RqNaD.YxEA :04/12/09 21:26:44 ID:Salj5DVH
そして我に返った。そうだ。俺も遅刻しないように登校しなければ。
彼女に気づかれないように距離をとりながら学校に向かう俺。これではストーカーだな、と自
嘲した。でも、かまいはしない。ストーカー上等。
始業5分前には校門をくぐれた。意外と時間には余裕が出来た。悠々と校舎へと向かう俺に同
僚の教師が挨拶をしてくる。
「斉藤先生、おはようございます」
「おはようございます」と微笑みながら返事をした。
ちなみに俺の本名は斉藤ではない。
昨年末の某日、俺は元教員のホームレス・斉藤さんから500円で戸籍を買った。以後の1年間、
この学校で斉藤さんとして教師をしている。全ては今日の日の為だ。
意気揚々と職員室へ向かう俺。中ではあの転校生が待っている。自然と顔がにやけた。
扉に手を掛けた時、肩を叩かれた。
「斉藤先生、ちょっとよろしいですか?」
校長だった。何の用だろう。後にしてもらえないだろうか。そうは思ったが無碍には出来ない。
あの転校生が卒業するまでの間はこの学校にいなければならないのだ。
「はい、大丈夫です。どのようなご用件でしょうか?」
「実はですね…。あなたに対する悪い噂を耳にしまして…。あなたが深夜の体育館でバレー部の
 機械を使って性的な行為をしていると…」
視界が暗くなった。俺の超プライベートを誰かに見られた。まずい。クビになるのだろうか?
1代目斉藤は理科室の人体模型をダッチワイフに改造しようとしてクビになったらしい。
そして2代目斉藤の俺も似たような道を辿ろうとしている。何らかの因果を感じずにはいられな
い。校長は淡々と話を続けた。
「大変言いにくいのですが…学校を辞めていただけませんか?今ならクビという形を取らずに済
 みますので」
「嫌です」
ビンタされた。
614 ◆RqNaD.YxEA :04/12/09 21:27:52 ID:Salj5DVH
>>607の期待に副えずに申し訳ありませんが↓で終了です。ドラクエで忙しいのです。
615 ◆RqNaD.YxEA :04/12/09 21:28:33 ID:Salj5DVH
――1年後

――あなたの全てを買いたいんです。
彼になら掘られてもいい。私はそう思った。おもむろにズボンを脱ぎ、お尻を彼に突き出した。
人通りのない公園とはいえ屋外で行きずりの男に体を捧げる息子の事を知ったら田舎の両親は
どう思うのだろうか。少しばかりいたたまれない気持ちになったが、その考えを打ち消した。
好きな男に抱かれるのだ。恥じる事などない…。
抱いてください、と出した声が僅かに震えた。正直のところ怖かった。男の人に抱かれるのは
初めてである。女性との経験も無い。28年間操は守り続けてきた。そんな私の体を男の人の
固い一物が貫く。その様を想像するだけで体が硬直した。その気持ちを押し殺す為に私は更に
お尻を持ち上げ、ギュッと両目を閉じた。
――そうそう簡単に体を開いてはいけませんよ。
男は優しくそう言い、ズボンを履かせてくれた。
――あなたの全てを買いたい…つまり戸籍を買いたいんです。売っていただけますか?
はやとちりして醜態を晒してしまった私は、恥ずかしげに頷いた。そして商談に入る。結果、
斉藤さんの戸籍は1000円で転売できた。500円の儲けである。
1000円札を渡して立ち去ろうとする彼に、私は声を掛けた。もう少しだけ、話を聞いてい
ただけませんか?
――はい。ぜひ。
私は1年前の出来事とそれに関わる全ての話を語り始めた。この公園で斉藤さんから戸籍を買
い高校教師として働き始めた事。バレー部の顧問としての特権を利用し、深夜の体育館で部の
備品を使って自慰行為にふけっていた事。そして、自分の夢の為に多くの人を傷つけてしまっ
た事。私からイジメを受けた100名近くの女子高生のうち数人はそれが原因で学校を辞めて
しまった。その事を今では心から申し訳なく思っている事。
話が進むにつれ彼の目を直視できずに俯いていた私は思い切って顔を上げた。彼はいなかった。
風のような人――彼は凍えるような寒空が生み出した幻だったのかもしれない。
616 ◆RqNaD.YxEA :04/12/09 21:29:44 ID:Salj5DVH
私は公園の片隅で暖をとる仲間達の元へ向かった。一緒に賞味期限切れのコンビニ弁当を食べ、
水で薄めすぎてカルキの味しかしない酒を飲んだ。いつもと変わらない夜。金は無いが陽気で
気のいい仲間達。今年の冬は何人の仲間が寒さに負けてこの世を去るのだろうか…。
この公園のリーダーである川田さんが皆に声を掛けた。
「おまえら、新入りだぞ」
家出少女とのことで、公衆便所で寝ていたところを川田さんに発見されたらしい。彼女は私の
顔を見て驚きの表情を浮かべた。
「あ!あんた…」
彼女は1年前に私とぶつかったあの転校生だった。
「お前は!」
ニヤニヤ笑いながら川田さんが言った。
「なんだ。お前ら知り合いか。だったら家は隣がいいな。君、彼の家の隣にダンボールハウス
 作って」
彩と名乗った少女は誰に言われるでもなく私の隣に座った。私は家出した事情を聞いた。父親と
の不仲が原因らしい。事の発端は彼女の下着がなくなったこと。彼女は犯人を父親だと決め付け
て口汚く罵った。後日真犯人は隣の家に住む幼稚園児で、その園児は盗んだ下着をブルセラショ
ップに売り、得たお金で虫キングのレアカードを買っていた事が分かったそうだが、その時には
父親との関係は修復不可能なまでに悪化してしまっていた。彼女がさんざん無視し続けたために
父親の方からも声を掛けなくなってもう半年になるという。もう、家には居たくないの…、と彼
女は呟いた。僅かに濡れた目が私を見据えていた。抱かれたがっている目だった。
617 ◆RqNaD.YxEA :04/12/09 21:30:26 ID:Salj5DVH
「…これからよろしくね」
「帰りなさい」
私はそう答えた。彼女から何度も話しかければおそらく父親との関係は修復できる。何より彼女
は痩せすぎていた。こんな体ではホームレスとして冬は越せない。斉藤さんのように凍死してし
まう。
「でも…」
「送るから」
私は彼女の手を引いて歩き出した。住所は知っているので聞く必要は無かった。途中で空き地の
前を通った、1年前にはここにレンタカー屋があった。その店の店長は太極拳とヨガを組み合わ
せた全く新しい健康法を編み出し、テレビにも出演するようになった。最近ではポーク山崎とい
う名のデブタレントとの肉体関係が発覚しマスコミを賑わしている。1年あれば街は変わる。
人も変わる。私も例外ではない。
家の門をくぐる彼女を私は遠くから見ていた。玄関から父親と思われる男が飛び出してきて、彼
女の頬を叩いた。何かを怒鳴りつけているようだがここからは聞こえなかった。二人は抱き合っ
て家の中に入っていった。
「これでよかったのか?」
後をつけてきたらしい。ホームレスの川田さんがそう言った。
「いいわけないだろ!!!」
私はそう叫び、泣いた。全力で泣いた。畜生!畜生!畜生!
妙に月が大きく感じられる夜。全ての涙を出し切った私は決意した。
美少女が転校してくる予定の定時制高校を調べ上げる。そこに俺も転校する。転校初日に通学路
で美少女にタックル。これなら誰にも迷惑はかけない。タックルされる転校生はその瞬間だけ少
しばかり痛い思いをするかもしれないが後で幸せになれるので問題ない。完璧な作戦だ。
川田さんにその計画の全貌を語った。
「始めからそうすればよかったのにな」と彼は言った。まったくだと思った。
                                        ―完―
618おさかなくわえた名無しさん:04/12/10 18:28:54 ID:eU7ZgSvz

女子高生の話から斉藤につながてるなんてw
619おさかなくわえた名無しさん:04/12/11 23:04:42 ID:tknGqW37
もう、なに?何なのよ!この感じ…

いきなり部屋に土足であがりこんできた男に一目惚れしちゃって、ズッキン ドキ って気分。

620おさかなくわえた名無しさん:04/12/11 23:05:50 ID:wAJySFbX
619 名前:おさかなくわえた名無しさん 本日のレス 投稿日:04/12/11 23:04:42 tknGqW37
もう、なに?何なのよ!この感じ…

いきなり部屋に土足であがりこんできた男に一目惚れしちゃって、ズッコンバッコン って気分。
621おさかなくわえた名無しさん:04/12/11 23:08:19 ID:tknGqW37
スマソ。
ありえないテンションで読んでいたノリで、不適切な発言をしてしまった。

楽しく読ませてもらいました。
連投、乙です。
622おさかなくわえた名無しさん:04/12/12 01:55:54 ID:3XXS696v
>>620に性的な言葉攻めを受けながらも腰の低い>>621に萌え
623おさかなくわえた名無しさん:05/01/03 16:13:40 ID:8gumy6/H
俺が高校生のときの話
入学してすぐの席順はあいうえお順だった。当分この席順だから周りの席の奴とは
とりあえず話を交わしておこうと思った。一言二言周りの奴と話をしたが、後ろの
席の奴(男)はなんだかよく分からないやつだった。
授業中、いつもの通り後ろにプリントをまわした。プリントを受け取る気配が無かった
ので、体をひねって後ろを振り返る。そいつはノートに落書きを書いていた。どうやら
夢中に。書いている様子は真剣だった。何を描いているかは良く見えない。
「おい」
俺がいうと、
「あ、あうん」
と照れくさそうに袖で絵を隠しながら、プリントを受け取る。

休み時間俺は聞いた。
「何を描いていたの?」
「え?」
「さっき」
「さっき?」
「えと・・・プリントまわした時」
「あれ?」
「うん、あれ」
「幽遊白書」
幽遊白書はその当時夕方再放送でやっていた。霊力を使って敵と戦うアニメだったか・・・
俺はさらに聞いた。
「好きなの?描いたの見せてよ」
彼はいやいやながら見せてくれた。
624おさかなくわえた名無しさん:05/01/03 16:14:17 ID:8gumy6/H
全然うまくない下手糞な絵が描いてあった。霊弾を撃ってるところか?
小学生並みだな・・・と思う
「へーうまくないね」
嘲笑はしないが、本音で答えた。真顔で。
しかし彼は笑って見せた。ノートを閉じようとしたので俺は手でそれを阻止し、その隙に
自分のシャープペンと消しゴムをとって彼のノートに修正を加えた。
「人間の肩、腕、手、指はこう描くんだぜ」
多少俺は、絵心があったので何気にうまい具合に修正できた。
「うまいね」
彼がニコニコしていた。
俺はさっきの質問の続きをした。
「幽白かなり好きなんだね」
彼は答えた
「うん。。。特訓して、俺も霊弾を撃つんだ」

9割方実話かも 暇があれば続きを書くかも。
625おさかなくわえた名無しさん:05/01/06 12:04:13 ID:ntxdzOwX
つ、つづきを
626おさかなくわえた名無しさん:05/01/09 19:55:40 ID:RTKcbzT+
「東名高速道路でマヨネーズが散乱」スレにあったんだが


マヨネーズが徘徊する夜の東名高速に果たしていくつの金めっきが
可能か考えたことはあるか?
たとえば、綿棒の先の部分の宇宙に思いをはせる夕焼けのとき、
『生きろ』と叫ぶ少年が突如としてブラウン管から飛び出す。
このとき人間として、むしろ心をもつ生き物として目の前のミラクルを
ただただ傍観するしかないのはそれこそデジタル化した耳掻きだ。

今お前にとって一番大切なもの、それはきっとお前にしかわからない。
だけどこれだけはいえる。 スカラ座の冷暖房施設を襲撃したところで
太古の昔に在りしアンモナイトの体温を調節することは不可能なのだ。
つまり赤外線で強烈に歯が引き裂かれた兄弟を崇めるかのような空想に
浸っているときではないのだ。ともすればお前はシリコンでできたメガネの
前に屈服することにもなる。そうなれば間違えなくお前は乾電池の
要塞に取り残されたティラミス同然になってしまう。

そんなことが望まれたことは一度も無いはずだ。いや、望まれてはならない。
いくら桃缶の汁を熱望する欲望まみれの人間たちが戯れ始めても、そこへ
髭剃り一つ持って突進するようではどうにも勝ち目は無い。その状況で
彼らを破壊するには、空になったコカコーラのビンを小指にはめて彼らの
耳の穴めがけて踊り狂うしかない。つまりお前は単なるペヤングソースやきそばに
過ぎないのだ。大盛りもなにも関係ない。そこになるのはただ一つ、さび付いた
甲冑だけなのだから・・・。


俺も乾電池の要塞にブラウン運動しつつ糖分の過多なショートケーキになるべく
突進しようカナあと考えるアメリカ西部の夕暮れ。
627おさかなくわえた名無しさん:05/01/15 21:56:38 ID:znXP7g4O
>>626
もうね、読んでみたけど頭の中でイメージ映像が作れないんだが
628おさかなくわえた名無しさん:05/01/16 00:19:38 ID:7pXagSoU
>◆RqNaD.YxEA
しばらくスレ見てなかったんだがGJですよ
禿ワロタ
629おさかなくわえた名無しさん:05/01/20 20:12:58 ID:4MnvFgCO
>>627漏れはすべて映像化してしまったよ。
でも、もう限界だ。
しばらく眠りたい。
630629:05/01/20 20:19:11 ID:4MnvFgCO
あ、1ヶ所だけ無理だった。

甲冑だけなのだから・・・。
↑なんて読むのかわからなくてイメージできなかったんだ。
じゃ、疲れたので眠ります。
631おさかなくわえた名無しさん:05/01/21 16:59:54 ID:7myZjq8V
>>630
かっちゅう?
632おさかなくわえた名無しさん:05/01/23 13:55:42 ID:fUuOJB2E
>>631かっちゅうかー。
ありがとう。
633おさかなくわえた名無しさん:05/01/23 14:30:32 ID:fUuOJB2E
かっちゅうの意味を考えながら歩いていたら、
オオワシにガッと頭をつかまれてしまった。
かなり長い時間、空飛んでて、どうやら到着。

岩山の一番大きな木の枝に巣がある。
そこに俺はポイと放り込まれた。
子オオワシがいる。
うわーめずらしい。
っつーか、コイツ俺のことめっちゃ見てる。
子:『エサか?』
ムカッときた!
俺:「おい、アホか?俺はオマエの師匠だ。くちばしの使い方には気を付けろ」
エサ役などまっぴら御免なので、ビシッと言ってやった。
そんなこんなで、子オオワシの師匠になった俺は、飛び方のいろはを教えてやる。
とにかく、手をばたばたしていると
子オオワシは飛べるようになり、速攻で巣立たせてやった。

こうして俺は、子オオワシとしての第2の人生を、北超鮮でスタートさせたのだ。


634おさかなくわえた名無しさん:05/01/23 15:46:39 ID:S4RP8+C3
うはwwwwww夢で面白い話見たのに忘れちゃった
635おさかなくわえた名無しさん:05/02/07 17:53:40 ID:x284PCzi
ほっしゃ
636おさかなくわえた名無しさん:05/02/09 01:05:02 ID:wyVEDU1T
あひょっしゃ
637おさかなくわえた名無しさん:05/02/11 17:27:49 ID:eDb+eWjJ

  <⌒/ヽη___
/<_/____/





  <⌒/ヽη___
/<_/____/




638ゴッフレン ◆GOFLNNfinI :05/02/19 15:27:18 ID:+M2uJ1Ci
まだ残ってたのか
639おさかなくわえた名無しさん:05/02/19 18:25:05 ID:XT8nALgE
そりゃあんまりだぜ旦那
640おさかなくわえた名無しさん:05/02/22 00:30:10 ID:XqCtayqJ
>>638
  _  ∩
( ゚∀゚)彡 新作!新作!
 ⊂彡
641おさかなくわえた名無しさん:05/02/22 10:12:40 ID:h2/JwWg0
ゴッフレン ◆GOFLNNfinI

ファンです、握手してください!!
642おさかなくわえた名無しさん
↑のほうのゴッフレンって人のやつの笑いどころが全く分からん