小学5年の頃、冬も間近な秋。
河原にてモデルガンで打ち合いして遊んでたガキ7人。
僕達は端の下のホームレスのおっちゃんに怒鳴られた。
「うるせぇぞガキ!」
反抗期直前の僕らは短気でバカな生き物だった。
おっちゃんめがけてウージーサブマシンガンが火を噴く。
2 :
おさかなくわえた名無しさん:04/01/19 10:31 ID:mMXEW7CW
当たり前だけどホームレスのおっちゃんはブチキレて追ってきた。
すばしっこい子供達は捕まる前に全員土手に駆け上がる。
僕らは土手を登ってくるおっちゃんに対して一斉射撃。
BB弾が雨あられと襲い掛かかる。
高きより低きを見るは その勢い破竹の如し
大きくなって歴史を学んだ頃に思った。
戦略的には間違っていなかったと。
しかし、人にやった行為としてはめちゃめちゃ間違っていた。
BB弾を受けながらも鬼のような形相で登ってくるおっちゃんを見て、大急ぎでチャリに乗り全員撤退した。
「やっぱムカツクよ!俺ら遊んでただけじゃん!」
数日後の休み時間、リーダー格のH君が言った。
彼は場を盛り上げるのがとても上手い、ムードメーカーである。
一方的にこちらが攻撃したくせに、H君の一言によって二回目の攻撃が決定してしまった。
確か「第二次ルンペン大戦」というアホな上に酷い名前がついた記憶がある。
そそ時僕は、BB弾の一斉射撃にも耐えれたおっちゃんに対して、新兵器開発してしまった。
キン消しブームが過ぎ去って数年、当時の僕らは「SDガンダム消しゴム」が流行っていた。
その消しゴムが入っているガチャガチャのカプセルに目をつけたのだ。
ご存知だろうか、カプセルの下の部分には、Ф1.2mmほどの小さな穴が開いていることを。
カプセルの中に小麦粉、砂、小石などを詰め、最後に爆竹を投入。
その穴から導火線を出せばお手軽手榴弾の完成である。
放課後の校庭、試しに一つ投擲したところ、「パーン!」という音と共に、見事空中で内容物がぶちまけられた。
というか尖ったプラスチックの破片が高速で飛びちる。
そのガキの作ったお手製手榴弾は、どう考えても危険物だった。
「おーすげぇじゃん!これ!いっぱい作って当てようぜ!」
だが、ガキ共は危険性など微塵も感じていなかった。
いや、感じる能力があからさまに不足していた。
つまり、とってもバカだった。
「よし…乗り込むぞ!」
「うん…」
「せーの…」
「突撃ーー!!」
モデルガンと手榴弾を持ったクソガキ7人は、
ホームレスのおっちゃんの住処と思われる橋の下に攻め込んだ。
「あ、あれ?」
「いないみたいだね」
おっちゃんは居なかった。
全員の緊張が解け、気持ちに余裕が出てきた頃、この住処を探索することになった。
「ねーこれ見てよ」
「うわ、晩飯かなー」
などと話しながら見て回ると色々な物を発見した。
茶碗などの食器類、ボロボロのふとん、生えているススキで作った寝床、食料品などなど。
そして僕らは…
もうそこまで冬が来ているというのに、ススキで作られた寝床を破壊し、
ふとんや食器などあるものすべてを川に流してしまった。
すっかり仕返しを達成した気になった僕らは、河原で遊ぶことは無くなった。
いや、そういう気になったと無理矢理思いこんだだけで、本当は報復を恐れていたんだろう。
一言怒鳴られただけで、モデルガンで攻撃し、さらに住んでいる場所をめちゃめちゃにしてしまった。
やがて冬が来て、寒さを感じるようになると、あのおっちゃん大丈夫かなぁと考えるようになった。
ふとんなどを全部処分してしまったからだ。
謝りたい!もの凄く謝りたい…
謝りたいのだが、行って殺されるかと思うと怖くていけなかった。
もし凍死していて、それを発見してしまったらどうしよう、化けて出てくるかもしれない。
そう考えると、橋の下に行こうという気持ちは0になってしまった。
高校の頃、ふと橋の下に足を運んだ時、
そこは柱にスプレーで落書きが描かれているだけの、何も無い場所になっていた。
亡くなってしまったのだろうか、別の場所で生活しているのだろうか、もう誰にも分からない。
現在の僕jは結婚もして、子供も二人産まれ、普通にサラリーマンやってる。
その時のことを思い出すと、罪悪感が湧き出て、なんともいえない複雑な気持ちになる。
今更も今更、超今更だが、
謝りたい。
本当に謝りたい。
橋の下のおっちゃん。
ごめんなさい。