なんとなく今日思ったことを書くスレpart4

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63おさかなくわえた名無しさん
思ったことというか思い出したことなんだけど。
数年前、夢と魔法の某遊園地の食堂でバイトしてたときの話。

夏休み、そしてお昼時。
暑さもさることながら、忙しさも半端じゃなかった。
俺の着ていた地味なコスチュームも、汗とミートソースでべたべただった。
残飯、食器を片し、机をきれいに拭き上げて、
ふと、入り口近くの大きい円卓のほうに目をやると、
小さな女の子がちょこんと座っていた。

困った。
うちの店は片付け以外はセルフサービスなので、
席の先取りは注意しなければならない。
そうしないと、先取り客と食事中の客で、たちまち店がパンクしてしまうからだ。
が、当時バイト内でそれなりの地位を築いていた(と思っていた)俺は、
その責任感から、ちょっと躊躇した後、女の子に注意をしにいった。

「ねえ、お父さんとお母さんは?」
「お父さんはご飯とって来てくれるの!」
その子はたどたどしい口調で、でも楽しくて仕方が無いといった感じで応えた。
しゃべり方と姿から、まだ幼稚園さえ入っていないのかもしれない。
ほんとかわいい女の子で、パンダの耳がついた麦藁帽子がとっても似合っていた。
(ネズミの耳と気付いたのは、だいぶ後のことだった)
自分の顔がとろけているのに気付きながらも、俺は本来の目的を忘れていなかった。
この子を席から退かせないといけない。
64おさかなくわえた名無しさん:03/12/19 00:50 ID:kmw7Qs+W
では、お母さんはどうしたのだろうと思い、訊ねてみた。
「じゃあ、お母さんはどこにいるのかな?」
するとその子はニコニコの笑顔から、たちまち泣き出しそうな顔になった。
なぜか俺は、全身の血の気が引いていくを感じた。
「お母さん...、もういないの」
そのときの俺の顔は相当ぶさいくになっていたと思う。
あせって、あせって、あせりまくった。
あんまり覚えていないのだが、手をヒラヒラさせたり、わーわー言ったりして、
何とか笑わせようと必死になっていた気がする。

その子に笑顔が戻ると、俺はようやく落ち着きを取り戻した。
(悪いことをしたな......)と罪の意識にさいなまれ、
俺は以下の贖罪行動を開始した。
・子供用の椅子をもってきて座らせる
・机をきれいに拭きなおす
・一発芸を3発ほど披露

女の子はすっかりご機嫌になった。ホントにとてもかわいかった。
許されたと感じた俺は、「お父さん早く来るといいね、じゃあね。」とその場を去った。まわりは残飯の山になっていた。
大急ぎで片付け始め、フルパワーで働いた。
65おさかなくわえた名無しさん:03/12/19 00:50 ID:kmw7Qs+W
しばらくは働くことに没頭していたと思う。
小さな女の子のことはすっかり忘れていた。
が、ふと入り口近くの大きい円卓のほうへ目を向けた。
トレーの上にいっぱいご馳走並べた冴えないおっさんが、
危なげに女の子のほうへ歩いている。

お父さんがご飯を持ってきたらしい。
女の子は遠くでおおはしゃぎしていた。
おっさんは顔をくしゃくしゃにしていた。
互いがとても幸せそうだった。

なのに俺は悲しくなった。
あの子が幸せなのは間違いない。
あの様子なら、今後も幸せだろうし、きっといい子に育ってくれるとも思った。
でも、倉庫に行って誰もいないのを確認した後、ちょっぴり泣いた。
なんでだろう?