494 :
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ピザ屋でバイトしてた時の話。
いつもの様に制服に着替えてタイムカードを押した数分後、一本の電話があった。
番号を確かめると30分前に掛かってきた客の番号だ。
注文表が無い事から配達済みである事が分かる。
「クレームかな?」と思いつつ電話に出た。
「お電話ありがとうござ」
「お;いjうぇふぉpじゃおfkぁうs!!!!!」
…何言ってるのか分からない。
それでもなんとか聞き取ろうと俺は頑張った。
5分経過…
無理でした。
取りあえず静かになるまで放置する事にした。
さらに2、3分経過…
「なんか喋れや!おい!!聞いてんのか!!??」
ようやく理解できる言葉が発せられた。声の感じからして若い男だ。
「大変申し訳ございませんが、もう一度おっしゃって頂けますか?」
「だからてめぇんトコのピザが冷めてるっつってんだよ!!!耳ついてんのか!?てめぇはよ!!」
「それは申し訳ございません!すぐに新しいピザをお持ちいたします!」
「だったらよぉ、○○のLと△△のLとチキン6ピース持って来い!あとウーロンとコーラ3本ずつ!!当然サービスでな!!」
495 :
2/4:03/12/15 14:50 ID:35WcPN5T
…また分からなくなってきた。何言ってんの?コイツ。
確かにクレームに対応するのに「サービスで品物を付ける」というのはよくある。
当然ウチの店でも「誠意の形」としてそのサービスを行う…が、これは度が過ぎるだろ。
「あの、お客様。それはちょっと難しいのですが…」
「あぁ!?てめぇんトコの落ち度だろうが!!サービスは当然じゃねぇのか!!」
…ヤバイ。俺ヤバイ。このままじゃキレる。
そこに店長登場。
電話を取って10分以上も経つのに一つもパソコン操作をしてない俺に違和感を感じたらしい。
事情を説明し、店長と電話を代わる。
数分後。渋い顔で受話器を置く店長。
結局、客の言う通りの品を持って行く事にしたそうだ。もちろん最初のピザも一緒に。
「中にはこういうお客様もいるから…気にしないでね。配達する時は怒らせないように頑張って!」
という激励(?)の言葉と共に熱々ピザ3枚とチキン、ジュースを持って店を出る。
496 :
3/4:03/12/15 14:51 ID:35WcPN5T
配達先に到着し、チャイムを押す。
「どーせチンピラだろ」という俺の想像とは違い、出てきたのは「やくざの親分」を思わせる渋い御仁。
「おう…ピザ屋さんか。なんだ?忘れモンか?」
とドスの効いた声でおっしゃられる。
「あ、あの。先ほど配達させて頂きましたピザが冷めているというご指摘がありましたので
こうして新しいピザとお詫びの気持ちを持参し、馳せ参じた次第でございます。」
と、恐怖心から怪しい日本語を操る俺。
するとその御仁は、
「ん…?別にそんな事ぁ無かったと思うがな…。」
とおっしゃられた。
一刻も早くその場を脱出したかった俺は、
「ですが、ご指摘を頂いたと言う事は当方に落ち度があった事と存じます。
こちら、作り直させて頂きましたピザと、こちらはお詫びの気持ちにございます。
今回はまことに申し訳ございませんでした。それでは失礼いたします。」
と、これまた怪しい日本語で商品を渡し、逃げるように店に帰った。
497 :
4/4:03/12/15 14:51 ID:35WcPN5T
無事に店に帰り着き、ホッと一息…ついたのも束の間。
10分もしない内に先程の御仁が来店。何やら2,3人引き連れ、俺の方に接近してきた。
接近してくる間、俺は「ああ…今日、無事に帰れるかな…?」と考えていた。
だが俺の考えとは裏腹に、その御仁は丁寧過ぎる程の態度で謝罪してきた。
「お宅のピザに落ち度は無く、若い奴の狂言だった。店に多大な迷惑を掛けてしまい、大変申し訳ない。
どうか世間を分かっていない小僧のやった事、と見逃して欲しい。」
そうおっしゃりつつ頭を下げる御仁。と同時に横にいる青年の頭を掴み、深く下げさせた。
見ると青年の顔は痛々しく腫れ上がり、見てるこっちが苦しくなる程だった。
すると、いつの間にか横に来ていた店長が、
「いえ、何もそこまでして頂かなくても…。こちらこそ今後とも当店をよろしくお願いいたします。」
と頭を下げたので、俺もそれにならって頭を下げた。
その御仁は「まことに申し訳なかった」と言い、多すぎるピザ代を置いて去っていった。
…マジで恐かった。
けどボーナスも出たし、結果オーライかな。