≪あれは幻だったのかなぁ?≫と思う不思議な体験談

このエントリーをはてなブックマークに追加
587おさかなくわえた名無しさん
もう10年以上前の話です。

当時私は高校一年生でした。
その時の担任の先生が、突然一身上の都合で転勤になってしまい、代わりに女の先生が来ました。
今思えば少し幼い、可愛い雰囲気の女性でしたが、当時高一だった私にとっては、すごく綺麗な大人の女性と感じられました。
その先生は国語の先生で、声のすごく綺麗な人だったのを覚えています。
月日は流れ、高校二年に進級しました。二年の担任もその女の先生になりました。
私はすごく読書が好きで、先生とも趣味が合い、授業とは関係なくお互いに読書感想文を見せ合ったりして、個人的に仲良くしていました。
段々放課後に教室に残って、一緒に読書をしたりする回数が増え、私は自然と恋をしました。
三年に進級すると、残念ながら担任は替わって、その先生と会う機会も徐々に減っていきましたが、それでも定期的に文学について意見を交換する機会を持ち続けました。
大学の受験も終わり、冬休み前のちょうど今頃の季節でした。
雪が降ったその日、先生は結婚を機に辞めると悲しそうな顔で話してくれました。
何でも、海外で仕事をなさってる方と結婚するようで、私たちの卒業を待たずに学校を辞めるのだそうです。
先生のお腹には、既に新しい命が宿っているとの事でした。
私の気持ちを知ってか知らずか、私だけにそっと教えてくれたのがすごく嬉しかったのを覚えています。
終業式の日に、校長先生から正式な発表があり、この冬休みが開けると先生とは会えなくなる事を再認識しました。
12月25日、僕は先生を見送りに空港へ行きました。先生が出発の時間などを、こっそり教えてくれたのです。
相手はもう向こうで待っているらしく、先生は一人での出発でした。何故かご両親や友人の姿もなく、見送りに現れたのは私ひとりでした。
私は何も言えませんでした。言葉より先に涙があふれます。自分が一番好きな、大事にしていた本を先生に渡しました。
先生の笑顔が涙に歪んだのが、涙で潤んだ世界の中でもはっきりとわかりました。
先生は、「大丈夫、きっとまた会えるよ」と、涙でくしゃくしゃになった顔で、もう一度微笑みました。
588おさかなくわえた名無しさん:03/12/22 16:25 ID:uEt9uTW4
>>587の続き

と、そこで目が覚めました。
枕は絞れるほど私の涙でぐっちょり濡れていました。
私は長い長い夢を見ていたのです。
何でも風邪をこじらせ肺炎になり、入院して丸2日昏睡状態だったそうです。
まだ高一のままでした。
不思議な事に2日で見た夢は、細かい記憶まではっきりとしていて、完全に2〜3年経った感じでした。
それと、いくら探しても、大事にしていた本がそれっきり見あたらなくなってしまいました。

あれから10年以上経った今、一人の女性とお付き合いしていて、来年の6月に挙式をする予定です。
彼女と初めて会ったとき、先生を思い出しました。
私が大事にしていた本と同じ本を彼女も持っていました。
どこで手に入れたか聞いたのですが、彼女は訝しげな顔をして「古本屋で買ったんだけど、何か買わなきゃって気持ちになったから買ったの」と言いました。
読書は趣味ではなく、あまり本を持っていない彼女が、その本を持っている理由を私だけがわかったような気がしました。
彼女と先生は顔も声も、仕草も似ています。性格と趣味は全く違いますが。(笑)

嘘っぽい話ですが本当の話です。
夢の中に出てきた会った事のない見知らぬ人。
本当は実在するのかもしれませんね。
彼女にはこの話はしていないのですが、私は彼女が夢の中の先生と同じ人だと勝手に思いこんでいます。