ある夏の日。
よく熟したイチジクを一つむさぼり食ったあと、残りも食べようとなにげなく実を割って見たら
果肉が台所の電灯をきらきらきらきら反射させました。手は動かしてないのに。
よくよく見ると、イチジクの実が全部イチジクの実の色をした宇治(正しい文字を打ちたくない)でした。
同じパックの他のイチジクも全部宇治入りでした。
熱いお茶を飲んで文字通りお茶を濁しましたが……あのイチジクほどおいしいイチジクには
あれ以来まだ一度も出会っていません。
もちろん、必ず実を割ってしげしげ見つめてから食べる癖がつきました。