>>738の続きです。
彼女は僕たちが道をふさいでいるのを見ると怯えた様子でした
「あの、あの」
と言いながら手をモジモジと胸の前で組んで立ちすくんでましたが
意を決したように僕らに向かって歩き始めました、そのまま通ろうと
思ったのでしょうが、僕は意地悪をして彼女の前に立ちふさがりました
彼女は泣きそうな顔で「あの、あの」と言いながら僕の横を
通り過ぎようとするのでまた僕は彼女の前に立ちふさがりました
僕はその時本当に本当に最低なニヤけた顔をしていたと思います。
彼女は何か唸り声みたいな声を出すとまた廊下を逆戻りしていきましたが
急にくるりと僕らのほうに向き直り、何を思ったのか通路の外の
大雨の中に出て水溜りを歩き始めました。僕は「あっ」と声を出して
驚きました、まさかそこまですると思わなかったからです。呆然としました。
彼女は水溜りで滑って前のめりに倒れてその場で泣き始めました
仲間は急に怖くなったらしくて「俺しらねぇぞ」と言い逃げていきました。
俺もどうしていいかわからずその場に立ちすくんでいましたが
A子さんは立ち上がって泣きながらトボトボと校舎の中に入っていきました
彼女の上履きはどう見ても新品で真っ白でした、その靴が泥で汚れて
ドロドロになっていました。僕は彼女の悲しそうな後姿が今でも忘れられません
その夜僕は密かに布団の中で泣きました。いつか謝ろういつか謝ろう
と思っているうちに卒業となり、A子さんとはそれ以後会う機会はありません
高校生になった頃から僕はボランティアを始めました。たぶん自分自身が
ボランティアをやることで気持ちを楽にしたかったのだと思います。
いつかA子さんと再会して謝りたいと思ってます。