【aiwa】アイワってどうよ? part.6 【GONE】
148 :
目のつけ所が名無しさん:
哀話崩壊への道 No.2
スピーカー設計担当の竹岩、嘆いていた。
あと300円、余分にコストをかければ
今よりも遥かにいい音のするスピーカーが作れるのだ。
マグネットもコイルもそしてコーン紙もワンランク上のものが使える。
しかしその300円のコストが削られている。
竹岩、300円コストの高いスピーカーの採用を強く薦めていた。しかし技術の首脳陣、音に造詣の深い人間はいなかった。
とにかく安く作るだけが至上命令だった。
竹岩の強い希望により、例月の製品企画会議でこの二つのスピーカーの聞き比べを行う事になった。
「300円くらいの差なんか目じゃない。この音の差を聞き比べてもらえば、このスピーカーが採用されるに決まっているさ。」竹岩自信があった。
当日、同じセンターユニットを二つ並べ、コストの異なる2種類のスピーカーを交互に鳴らした。
「両者の音の差は歴然としている。これを聞き比べれば、300円の差なんて・・」
しかし、大半の役員は言った。
「一体どこが違うんだ。全く同じ音じゃないか?」
竹岩、この発言に愕然とした。これがオーディオメーカーの役員たちの言葉か?
音の違いは分かるがコストが問題だ、というのならまだ分かる。
しかしこの音の差そのものが分からなければ話しにならないじゃないか。
竹岩、暗澹とした思いにとらわれた。
(続く)