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「サイゾー」10月号の榊原DSE社長、川俣氏(ミルコのマネージャー)のインタビューから発言を抜粋。
まず下の箇所は衝撃的。これはK-1上層部にいた人間の反乱だよ。
「タイソンがリングに上がったと聞いた時は、『おっさんやりおったな』と思ったよ。
そのとき、自分は海外にいて映像は見られなかったが、おっさんの得意気な表情が
目に見えるようだった。あとでビデオで見たら思った通りの表情だったけれどね。」
川又誠矢。ひとまわり以上歳上の石井前館長のことを「おっさん」と呼べる男。川又は
現在、K-1を離れPRIDEのリングにあがるミルコ・クロコップのプロデューサーとして
知られている。元々はK-1を陰で支えてきたが、今年1月、PRIDEを運営する
DSEの森下前社長が自殺した後、解散説も流れたPRIDEの良き理解者として、
さまざまな面で興行をサポートしてきた人間だ。
榊原「僕自身、当初はPRIDEが30回近くも続くとは思ってもいませんでしたが、
その原動力はなんといっても「PRIDE・1」の高田さんのヒクソンの戦いに
あるんです。あの頃高田さんは、UWFは本物だといってファンに見せておきながら、
それが裏切りだったと悩んでいました。ファンと自分を裏切っていた。その気持ちを
フラットにするためにも『ヒクソンと戦いたい。全力でぶつかりたい』と僕に
泣きながら訴えてきたんです。」
川又「ミルコがPRIDEに上がるようになったのも、そのピュアな部分によるところが
大きいよね。俺は単純にあいつをK-1でもプロボクシングでもPRIDEでも、すべての
世界チャンピオンにしてやろうと思っている。本人もなれると思っているし、そのための
努力をしているしね。PRIDEはそういう場をつくってくれる可能性はありますよ。
高田×ヒクソンを実現させたドリームステージだからこそ、というね。普通はもっと
いろいろな思惑が入り込んできて、なかなか実現しないものだけどね。」
川又「館長とはねぇ、彼が保釈された後も会って、酒も飲んだし喧嘩もしましたよ。
あるときは館長がね、『なんでカワマっちゃんは、俺をいじめるの?』と、
ポロッと言ったこともある。そのときは素直に言いましたよ。『館長、誤解したら
いけませんよ。』って。『格闘技において、俺は石井門下生でしょ』って。
今回のタイソンのことも、試合が実現できるかどうかして、やはりすごいと思う。
今の立場でリングにあがちゃったことには、いろいろ問題もあるだろうけど(笑)、
大したものだなと思うね。」
榊原「僕らにとってK-1というのは目標なんです。(中略)そもそも高田さんと
ヒクソン戦のことを話したときに、『今までのプロレス興行論じゃ駄目だ』と。
『K-1のように役者と裏方が一戦を画してないないと駄目だ』と話し合って、
今の形になったんですから。そのビジネスモデルをつくったのが石井館長でしょう。
(中略)K-1は生まれてからもう10年ですから、僕らリスペクトしていますよ。」
榊原「K-1というのは、競技として優れていると思います。ただ、競技に乗り過ぎて
しまうと、いわゆる闘いというものが本来もっているドラマティックな部分が
薄れますよね。たとえば、PRIDEに登場するグレイシー柔術やプロレスには、
1世紀に及ぶ歴史があります。あるいは柔道にはそこに日本文化という重みもある。
この前の吉田×田村というカードにも、そういう歴史をどうオーバーラップさせていくか。
そういうことによって、ソフトとしての重みが増すんです。それはすなわち、
その人の人生を投影することになりますからね。(後略)」
川又「俺が思うのはね。今のK-1を見ていると、石井和義で始まって石井和義で
終るかな、という気持ちもあるわね。(中略)タイソンの腕を引っ張り上げる
石井和義よりは、フィリオ戦に出ていく館長を見たかったというのはある。
K-1=石井館長だから。それが、今のK-1はリスクを背負っていない者がいろいろ
しすぎているというかね。」
榊原「ボブは最高のエンターティナーですよ。でも、現段階で出場は難しいと思いますよ。
ミルコとかノゲイラとか、頂点を極めようと文字通り人生を賭けてストイックにトレーニングを
している人たちのなかで、今の彼に登場できる余地があるのかかどうか。(後略)」
川又「この前キモとやったボブの姿を見て、PRIDEのファンがその登場を望むかだよね。
子供は別にして。俺は石井館長がK-1に戻らないと駄目だと思っているんだけど、その
欠落感の象徴として今のボブの姿があるように思えてね。この前のPRIDEに集まった
4万人は、ボブを見たくないんじゃないか。個人的にそう思うね。」
(年末のイノキ・ボンバイエについて)
川又「現状で言えるのは、ま、今考えられるオールスター戦をやるということかな。
誰もが見たかったけど、実現できなかったマッチメ−クを。複数のテレビ局と交渉中
だけど、腹の中ではだいたい決まっている。ミルコの体調に問題さえなければもちろん出ます。
今言えるのは、そのへんまでだな。」
次号に続く。