【天下】永田裕志最強説【無敵】

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 格闘技世界一決定戦2003
<日付>2003年4月某日
<開始>15:00
<会場>東京ドーム地下闘技場

 ミルコ戦での敗戦から一年以上。永田裕志の闘志は消えていなかった。
永田はあえて地下闘技場での再戦を迫った。ノールール、究極の闘いでリベンジがしたかったからだ。
ミルコもその要求を呑んだ。己の強さに絶対の自信があったからだ。
 東京ドーム地下闘技場に己の力を信じる戦士二人が足を踏み入れた。
 永田にあの日の悪夢が蘇る。しかしあの頃の永田ではない世界最強の称号であるIWGP王座を
10回防衛、この世に敵はいなくなった、ただ一人を除いて。
同じくミルコも最強の野獣ボブ・サップを撃破し回りに敵はいなくなった、ただ一人を除いて。
己の強さを信じる心が運命の糸となり今日ここに最強の二人を導いた。しかしこの試合が
終わると同時に最強はこの世に一人となる。運命に打ち勝つのはどちらだ?
13 :03/04/29 20:20
 15:15 運命のゴングが鳴った。
 徐々に間合いを詰めるミルコ、早速威嚇のハイキックを出したその時だった、永田は目にも止まらぬ
スピードでタックルを決めた。しかしミルコもグラウンドの技術をモノにしていた、素早く体勢を立て直すと
グラウンドから脱出。スタンドの状態に戻した。
 闘技場内が地鳴りのような歓声に包まれる。
 ミルコはさらに間合いを詰めるとあのボブサップを一撃で倒した左ストレートを繰り出す。
しかし永田はこれをかわし闘魂伝承の延髄切りを繰り出した。ミルコの後頭部を的確に捉えたこの一撃で
ミルコがグラついた、永田はこの隙を見逃さずにプロレス界に革命をもたらしたオリジナル技エクスプロイダー
(ナガタプロイダー)でミルコをマットに叩き付けた。  (下記写真参照)
http://gazo.dempa2ch.net/waracolla/img-box/img20030429192306.jpg
 これで勝負ありと思われたがミルコはまだ立ち上がってきた。自信がミルコ・クロコップで
あることの誇り、そして永田を叩きのめす、その想いが力となって彼を奮い立たせた。
 ミルコがハイキックの体勢に入った。永田の脳裏にあの日の記憶が蘇る。同時に今日この日まで
戦い抜いた日々も蘇る。永田に迷いは無かった、あの日苦汁を飲まされ今日まで十字架となって
永田を苦しめたミルコのハイキック。これを打ち破る方法・・・永田の体は自然に動いた。
次の瞬間ミルコの即頭部に永田のハイキックが突き刺さった、膝から崩れ落ちるミルコ。
 これを勝機とみた永田はすぐさまナガタロックUを決めた。全てはこの瞬間の為に
永田は今日まで戦い抜いてきた、ミルコにギブアップの意思表示をさせる為、最強の称号を
取り戻す為。永田は全ての思いを腕に込め絞り上げた。ミルコが苦悶の表情を見せる。
そしてとうとう、ミルコ・クロコップがギブアップ。  (下記写真参照)
http://gazo.dempa2ch.net/waracolla/img-box/img20030425153923.jpg
14 :03/04/29 20:21
 15:25 戦いが終わった。
 わずか10分の事だった。闘技場内は天まで届くかのような万雷の永田コールが鳴り止まない。
永田の背負い続けてきた、そしてプロレスが背負い続けてきた十字架が永田コールに粉砕された瞬間だった。
永田は場内を見回すと敬礼ポーズ、そして笑みを浮かべるとノーコメントで会場を後にした。
敗れたミルコもノーコメントだった。言葉はいらなかった、10分の闘いが全てを物語っていたからだ。
 この日プロレスラー最強神話が封印を解かれた。プロレスファンが背負い続けてきた負い目も今日消し飛んだ。
 闘技場を出た永田はその足で野毛道場に戻り練習を始めた。これで終わりではない
プロレスラー最強神話が封印を解かれたと同時に永田裕志最強伝説が幕を開けたばかりだから。
永田は闘い続ける、世界最強であり続けることが彼の夢だったのだ。




「ゆうたん、朝よ、起きて起きて」目を開けると綺麗とは言いがたい愛すべき妻の姿が見えた。
「ゆうたんたらよっぽど楽しい夢を見てたのね、ずっと笑顔だったぞぉ。」
そう全ては夢だったのだ、追いかけても追いかけても届かない最強の称号。
「・・・まあ時期じゃないよな・・・。」永田は自分に言い聞かせた。