藤田ならノゲイラに勝てるはず・・・?

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食事を済ませると僕は外に出ました。
逃げ出したかったからです。
外は晴れていい天気でした。少し涼しくなった風がさわやかです。
街の音は自動車の音も、子供の泣き声も、何もかもが楽しげに聞こえ、
僕とはまったく無関係な世界に思えました。
本屋で立ち読みをしたり、ゲームセンターで遊んだりして、
時間をつぶしましたがいずれは帰らねばなりません。
少し日も陰った頃に帰宅しました。
「ただいま…」
聞こえないように一応あいさつをしました。
リビングに行くと祐子が寝ていました。
洗濯物を取り入れてたたみかけで眠ってしまったようです。
寝息をたてている祐子をしばらくじっと見つめました。
昨日までの祐子を思い出すと涙があふれてきました。
少し涼しかったので僕の部屋からタオルケットを持ってきて
そっとかけてやりました。
「……祐子、ごめん」
僕は自分の部屋に戻ると、枕に顔を押しつけまた泣きました。