【カラフル】 森絵都 【DIVE!!】 

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205なまえ_____かえす日
永遠の出口、本屋で見つけて立ち読みしてきた。
短編なんでさらっと読める分量だったんで拍子抜けしてしまったが。
結論的に言うと、ドラマ脚本家は黒い魔法とコッペパン知ってた可能性は十分あるとは思った。
しかしながらコッペパンは少女の心象風景レベルにとどまる小作品程度のもので、
作品性の幅と深みにおいて
十数回にも及ぶ連続ドラマが“盗作”できる種類のものではない。
初回にいくつか類似点が見出せただけで終わる。
この先連続ドラマが展開していく上で、もはやぱくりなど誰も口にすらしなくなるだろう。
せいぜい着想のきっかけにした程度にとどまるだろう。
いわばジョージ・ルーカスが黒沢明の隠し砦の三悪人に着想を得てスターウォーズ作ったという
類の話であって、著作権持ち出して語るほどのことではない。

「黒い魔法とコッペパン」あらすじ
・主人公の少女は5年生になるにあたって低学年の「模範」になるべくはりきってた。しかし幼稚園から偶然ずっと
同じクラスだった男の子とまた同じクラスになり、男の子は「今年一年冬眠する」と彼女につげる。
理由は魔女の教師が担任になったからだ。
男子は声楽家の息子で北欧生まれ。裕福な家庭で育った気品のある子。彼の姉は魔女に歯向かって敗北し、
登校拒否になった。そのため男子は抵抗は無駄だと観念している。
・魔女は校長や教頭よりずっと前からこの学校にいてて、誰も何も言えない。
担当クラスの成績を引き上げることに執念を燃やし、その実績もある。
漢字の書き取り・計算ドリル・教科書書き写しなど家庭学習帳を強制して生徒間で競わせ、
やった分量での勝敗をクラス全員間でグラフ化させて、成績上位を特別扱いする。
成績が落ちると絶対学習を強要する。
上位者は放課後掃除とか免除され、「監視役」として他の生徒らの掃除を見てるだけでいい。
テストは成績順に返していき、下位は渡す際にほっぽりだす。
女教師はかっぷくのいい50代のおばはんで、大仏パーマに白髪まじり。鷲鼻にブルドックのように垂れた頬。
オカルト占いの絵札にある魔女の顔とそっくりだったのが教室で確認され、生徒間で話題に。
授業の合間にいつも唐突に病気の話を始め、悪い子は癌になるとか、身内で病気になった人のことなど
出鱈目な話で生徒を怖がらせてる。
そのため生徒は怖がってて、主人公の女の子も病気が怖いなどで必死で宿題にはげむ。
良い子ちゃんは可愛がられ、魔女が季節問わずストーブで焼いてるすごくいいにおいでおいしそうなコッペパン
をみんなの前で貰える。成績上位であれ、落ちればすぐ邪険に扱われるので厳しい競争。
・ある時、給食担当女生徒がシチューこぼしてしまう。彼女は上位から脱落してから体調悪かったのもあるかも。
代替は許されず、みんな食べられないじゃないか、罰としてずっと立ってろと魔女に言われ、嗚咽する。
成績上位女の子が「許してあげて」と先生に言ったところ(自分は成績いいから魔女に言えば聞き入れられると錯覚)
「じゃあ、あなたが代わりに立ってあげれば」と反撃され、以来、魔女から徹底的に陰湿いじめの対象にされてしまう。
主人公の女の子はずっと一緒の男の子の家行って一緒に魔女と戦おうと提案するが断られる。
体操の時間にも、次々いちゃもんつけられて、前の方で特別みんなの前でやらされてる例の優等生、
そのうちふいに倒れてしまって保健室に担がれていく。
主人公はふっきれたようにその場を飛び出し階上かけあがって教室に戻る。その後を追う男の子。
他の生徒らもかけあがってくる状況で「俺なんとかする」。
・かくして生徒らの間で「闇の連絡網」が築かれ、近くの公園で「闇の集会」が開かれるようになった。
そこで喧々諤々の話になって、そのうち魔女が教室支配の根拠にしてる二つの要素が崩壊する。
1.魔女と呼ぶことをやめる。
魔女に似た風貌→偶然の一致。 怖い病気の話→ばばあは健康のこと気にするからそんな話ばかりしてるだけ。
2.コッペパンを物欲しがるのをやめる。
→男の子がストーブで魔女が靴下乾かしてるの見たと暴露したんで魅力崩壊。
これにより魔女の支配道具が失われ、生徒はもはや怖がらなくなった。
そうして「闇の三か条」可決される。
1.もう家庭学習とかやらない。誰もが似たようなグラフにすることで、魔女によるグルーピングを阻止する。
2.何かあれば闇の集会で相談する。
3.女教師に排撃されてる生徒へのいじめを拒否してみんなで守る。
もしかすればこの団結はあっけなくつぶされるかもしれない。
しかしともかくもこうして生徒らの間に一筋の光がさしこんのだった。