1 :
法の下の名無し:
国際法上、日本の降伏は、無条件降伏だったのか?を検討するスレです。
【論点1】無条件降伏の定義
無条件派:一五項目にわたる条件を見ると、実質的にはほぼ無条件降伏に近い内容というほかない。本裁判においてポツダム宣言の受諾が無条件降伏というのは、その趣旨である。(判例)
【論点2】条約上、「降伏」は軍隊のみしかできないのか。
無条件派:国家間の条約は強行規範(ユス・コーゲンス)に反しない限り何を定めても構わない。(通説・判例)。
【参照】『国際法辞典』(筒井若水編)の「無条件降伏」の項
(引用開始)
【無条件降伏】 〔英〕unconditional surrender〔独〕bedingungslose Kapitulation
戦闘行為をやめ,兵員・武器一切を挙げて無条件に敵の権力下に入ること〔ポツダム宣言L,降伏文書参照〕。
第二次世界大戦において連合国は,国家としての無条件降伏を枢軸諸国に対して要求した(例:日本に対するカイロ宣言)。
この政策は,ドイツについてはそのまま実施されたが,日本やイタリアについては一定の降伏条件(日本については
広義の合意としてのポツダム宣言)があり,その意味では文字どおり無条件の降伏ではない。
国際法学会編著「国際関係法辞典」
「降伏」の項では、
「第2次大戦の敵対行為の終結に関し,連合国は枢軸国に無条件降伏を求めた.これは,一部の軍隊ではなく一国の
全軍隊を無条件に降伏させるものであり,また,勝者が敗者の政治的,経済的な事項にも明確な影響を行使し,さらに,
戦争の終結および戦後設立する秩序を組織する手段であることから,従来の降伏とは異なるものとされる.」
「交戦国軍隊の一部が,その指揮官の権限において戦闘行為をやめ,敵対してきた軍隊の権力下に入ることをいい,
降伏規約(capitulation)によって降伏する場合(stipulated surrender)と,別段の約定なく降伏する場合(simple surrender)とがある.」
【論点3】条約名:[Title] Instrument of Surrender はなんと読むか?
無条件派:(軍及び国の)降伏文書と読む。
【論点4】ポツダム宣言の八条(subuct to)の意味は?
無条件派:「支配される」という訳語であり、国の降伏を強く推認させる用語。
【論点5】
ポツダム宣言や降伏文書に「条件」はあるか?
無条件派:無条件降伏した国にも国際法上当然の権利は保障される(判例)から「奴隷化されない」「家庭に復帰」は「条件」と呼べない。
【論点6】無条件降伏を一律に認定する判例の扱い
無条件派:法律(国内法・国際法)の専門家達が下した判断であり尊重すべきである。当事者効など裁判の効果とは区別すべきである。
【論点7】百花繚乱の学説の扱い。
無条件派:高野先生はポツダム宣言しか触れてない。江藤はただの痴漢であり国際法学者じゃない。高橋は自身の論文で「判例通説は無条件降伏派という言葉を用いている」と白状している。
【論点8】日韓漁業協定、降伏文書は条約か?
無条件派:国際法とは、国際主体の合意のことであり、どちらも国際法である。
【論点9】カサブランカ会談、南北戦争、ルーズベルトの無条件降伏観は考慮するか?
無条件派:日本が同意しているわけでないから拘束されない。その歴史観が日米間で慣習法になっているともいえない。考慮の対象は、日本が同意したポツダム宣言と降伏文書の内容のみである。
2 :
法の下の名無し:2011/03/15(火) 20:27:36.57 ID:6hruanSn
Q1:法律上の「無条件降伏」とは?
A1:勝利者が国際法に定められたこと以外に何の約束もしないときに一般的に無条件降伏と呼ばれる。(第13回参議院外務委員会昭和27年5月29日)
この定義をとると
@国際法上当たり前の保障は「条件」でない
A連合国が日本に要求する条項は「条件」でない。
という二つのテーゼが導かれます。
大多数の論客は外務委員会の定義を採用していまが、一部有条件降伏派の論客はこの定義自体に反発しています。
Q2:ポツダム宣言は、結局「軍の無条件降伏」を明記した条約なのですか。
A2:ポツダム宣言制定経緯の中で、「国」→「軍」の無条件降伏に書き換えられた事実があります。この事実を重視するとその解釈で間違いないと思います。
しかし、ここの議論の争点は「降伏文書」です。降伏文書の降伏対象は「国」も含むかどうかが、ここの争いです。
3 :
法の下の名無し:2011/03/15(火) 20:37:02.50 ID:6hruanSn
「降伏条件」の定義は以下のとおりとする。
@日本が降伏することの交換としての、
A連合国が負う法的拘束力のある負担で、
Bかつ、両当時国の代表者の最終的な意思の合致があるもの。
Cただし、国際法上当然負うべき占領軍の最低限のルールは除く。
@ABCの要件全てを充たすものが、「降伏条件」であり、
有条件降伏派は、この「存在」を証明する義務を負う。
4 :
法の下の名無し:2011/03/15(火) 20:56:42.82 ID:6hruanSn
5 :
法の下の名無し:2011/03/19(土) 15:54:49.31 ID:EF3s+TWM
ひとを殺すなの不法の条件は無条件
これも法学の基礎な。
6 :
法の下の名無し:2011/03/21(月) 16:06:21.95 ID:42hfdf6G
たしかにこの「無条件降伏」の論題は、論者がそれぞれまもろうとしてる利益と名誉がものすごく錯綜してるのがむつかしいですね。
日本国政府(吉田)や判例が「無条件降伏」に立ち、戦後補償裁判の原告が「有条件休戦」に立つのは、無条件降伏に立たないと
契約的基礎が成立してしまい、日本国政府が国民に賠償不能な負債を負わされることになるためのようですし。一方で日本民族
としての名誉や「領土問題」にのみ視点がある(不勉強な)ヤシは「国は降伏していない」「完全に合意づくであり有条件だ」と主張
したくなる。その論理だと日本国政府がもたない、という点には思い至らない。このあたりがむつかしい。
ポツダム9項も同じ感じですね。これが契約的基礎をもつ双務契約だとしたら、(対ソ賠償請求権を放棄してるから)シベリア抑留者への
労働請求権に国が応えなきゃならなくなる可能性がある(「個人が国際法上の請求権をもたない」法理により回避可能だが)。
7 :
法の下の名無し: